書けるときと書けないときの波が激しいのでもう少しどうにかしたいところですが、中々難しいのが現状かもしれませんが。
それではどうぞ、ご覧下さい。(*^-^*)
その言葉は、男、
同時に、目の前に立つ少年に対して、恐れに近い感情を抱かせたのだ。
ことが起きる当日、その正午頃、烏養は、酷く難しい表情で休憩に向かう自身が教えている生徒達、烏野高校バレー部の面々を眺めていた。
今し方、食事のための昼休憩に入った彼らは、個々それぞれの気の知れるメンバーと固まりながら、各々の持参した食事を広げようとしている。
そんな和気藹々としたメンバーとは対照的に、繋心の表情は優れない。
無言の呻き声を漏らしながらクルリと反転して、体育館から外へと歩き出した。
「……どうかしました?」
目敏くその行動に気づくのはバレー部顧問として練習を見学していた武田である。
「……あ、もしかして、練習試合のメンバーでお悩みですか?」
その問いかけに答えの一つも返さない繋心の態度を気にする様子も無く、彼の視線や体育館に残されている備品の状態から彼の内面に抱える問題に辺りをつけるところは見上げた着眼点と言えた。最も、彼が現在熱意を注いでいる、この烏野高校バレー部に関すること以外でその着眼点が生かされているかどうかはそれ以外では関わりのない繋心には知る由も無いが。
「……セッターに、迷う」
無言の肯定と共に己の抱く、そして彼の予想通り、このバレー部に関係のある悩みの内容を率直に打ち明けた。
このゴールデンウィーク合宿の最終日、東京から遠征に来ている烏野高校との昔からの因縁のある高校、音駒高校……通称「ネコ」との数年ぶりとなる練習試合があるのは、既に部員達も知っていることだ。
寧ろ、彼らにとってはこの合宿中の一番の楽しみと言っても過言では無いだろう。
試合において、コートに入ることの出来る人数は六人。
特殊なポジションであるリベロを含めれば七人にはなるが、その中でセッターは基本一人なのが一般的である。
試合の司令塔として、正確なパス回しを行い、スパイカーにトスを上げ、得点を生み出す。
特殊な戦略でも無い限りは、船頭となるそのポジションの複数人起用は有り得ない。
烏野高校では現在、一年の影山飛雄と、三年の菅原孝支が、セッターとして存在している。
一つの
現在の実力で行けば、その軍配が上がるのは、一年の天才セッターである影山飛雄であった。
三年の菅原孝支も下手というわけではなく、また、同じ三年のエース、東峰との連携は今はまだ、菅原の方が一日の長があるように見える。
しかしそれは、影山の才能、そして、それ以上にもう一人の重要な人材、日向との連携を考えれば、自ずと結果は見えてしまう。
「けど菅原も、今までやって来ているワケで、他の連中からの信頼もあるだろうし……」
しどろもどろの口調で迷いを吐き出す繋心の言葉を黙って聞いていた武田が一息に言い切った言葉は、繋心が嘗て選手としてバレーに関わっていたが故に、言いにくい所を的確についていた。
「……その通りかも知らん」
高校三年生。最後となるだろう公式試合を繋心自身も現役の頃、試合に出られたのは正レギュラーが怪我で出られなかった一回きりであった。
コーチとなったからには選手目線で物事を見ているわけにはいかない。
それを理解していても、実践できるだけの覚悟が繋心にはまだなかったのである。
覚悟がなかった繋心を動かしたのは、彼が気にかけていた菅原自身だった。
「俺ら三年には“来年“が無いです」
それは、繋心自身も通った道だ。だからこそ言葉に詰まった繋心を、しかし気にすることなく、彼は言い募った。
「だから、一つでも多く勝ちたいです。次へ進む切符が欲しいです」
それは、チームのためか、己のためか。
己が多くプレーするために、チームの勝ちを優先することを選ぶ……まだコーチになって間もない繋心よりもはっきりと先を……長い一年間の
「俺はお前を甘く見てたみたいだ」
己の考えをはっきりと伝えてきた彼に答えるために、己がすべきこと、それは己も正直な考えを伝えることだと繋心は考えた。
「お前らが勝ち進む為に俺に出来ることは全部やろう」
だからこそ、宣言したその言葉は繋心にとっての覚悟の表れでもあった。
「「……」」
そんな二人の会合を隠れて他の三年の二人……澤村と東峰は、黙って聞いていた。
「気合い入れんぞ。一回でも多く勝つ」
「おぉ」
静かに互いを鼓舞する二人の瞳にも、強い覚悟が宿っていた。
「その時は覚悟しとけよ烏野ーっ!!」
同日、日がすっかりと落ちた烏野総合運動公園合宿所では、一人の男子生徒の叫びが夜空に響いていた。
「山本うるせぇ!!」
二つの枕を両手に眠りにつこうとしていた主将、黒尾の注意をさして気にすることなく、山本は傍にいた同い年のチームメイト、狐爪研磨にも声をかける。
「別に……どっちでも良い……」
その答は、部活におけるマネージャー事情になど、興味を示さない普段の研磨からしても、十分想像できる答だろう。
二年間、チームメイトとして関わっていた山本も当然分かっていた事だったので、不満を隠しもせずに八つ当たりのように言葉をぶつける。
「でも」
しかし、この先の研磨の言葉を予期できた者は、彼の目の前にいた同期達にもいなかった。
「ちょっと楽しみだよね。烏野と試合」
予想外の答えに驚愕の声を上げる下級生に、遂に黒尾の我慢は限界を迎えた。
「山本。そんな元気なら、テメーだけ練習増やしてやろうか?」
因みにその顔は、途轍もなく怖かったというのが山本含む全員の意見だった。
恥ずかしながら、今回本当に原作をなぞっただけの気がします。
しっかりと次回への布石、打てていると良いですけど……(苦笑)