魔法陣から突如現れた存在に俺は驚きを隠せずにいた。
確かに俺は、聖杯戦争に参加するためにサーヴァントと呼ばれる歴史に名を残した英雄と呼ばれる存在を召喚し、それに成功したはず、はずなのだ。
だが、目の前の彼女の格好を見てみると少し疑問を覚える。
着物を着ているのはわかる。
日本の英霊ならその可能性も十分にあるだろう。
だが、しかしその上に羽織っている赤いジャンパーがその可能性を否定する。
多分、おそらくだが、日本の歴史において着物の上にジャンパーを着ていた人物など歴史に詳しくない俺には皆目見当もつかない。
「…おいおい、召喚したらしっぱなしか?全く俺はとんでもないマスターを引き当てたみたいだな」
こちらに話しかけてくる件の少女。
だが、彼女の言っていることは正しい、彼女は俺の召喚に答えてくれたということは、俺が彼女を招いたことになる。なのに、彼女からすれば呼ぶだけ呼んでほったらかしにしていることになるからな
それに彼女が何者なのかも本人に聞けばわかることだし、考える必要はないか
俺は立ち上がり彼女の方まで歩いて行き手を差し出した。
「いや、すまん。ちょっと混乱してた。改めて俺は比企谷八幡お前のマスターだ、よろしく頼む」
「…ふん、まあいい、俺はサーヴァントアサシンだ。聖杯とやらに興味はないが、呼ばれちまったいじょう仕事はする。」
「ああ、よろしく頼むアサシン」
そう言ってアサシンは俺の手を握り返す。
これで一応自己紹介はすんだよな、いや、でも、まだ一番大事な事を書き忘れていた。
「アサシン真名はなんだ?さっきの困惑もアサシンの格好で、誰なのか考えていてほったらかしにしちまったんだ。」
ふむ、と口に手を当てて考えているアサシン
そんなに真名を教えることが嫌なのだろうか?
「俺は別にアサシンの真名を聞いてもわからないかもしれないが、過去の事をとやかくいうつもりはないし、それに対して何かをいうこともしない」
だから頼むと再度念を押す。
「いや、マスターの考えている意味で真名を教えるのを渋ったわけじゃないんだ。ただ…」
「『ただ』なんだ?」
「俺は英雄じゃないし、かといって、別に反英雄でもない。そもそも、俺はサーヴァントになるほどの事をしたこともないし、俺自身なぜサーヴァントになっているか分からないんだ。」
アサシンの独白に俺は耳を傾ける。
アサシンの言っている事をそのまま受け取ると彼女はそもそもサーヴァントになり得る存在ではないと言っているが、現に彼女はアサシンとして、限界しており俺とマスター契約を結んでいるのは右手の甲に浮かび上がる赤い模様が指し示している。
何かがおかしい
「つまりだな、俺はマスターみたいにちょっと異能が使えるだけのほぼ一般人だ。それが、何故かサーヴァントになっちまってあんたと契約しちまったわけだ、あんたは有名な英霊が来る事を望んでたと思うが、俺みたいな外れで悪かったな」
それでも、知りたいって言うなら教えるぜと彼女は付け足す。
「…わかった、名前を教えてくれアサシン」
「っおい!!お前話聞いてたのか俺はただの一般人もしくは殺人鬼レベルの存在だって言ったんだ。なら別にあんたが俺の名前を知る必要はないんだぞ」
ああ、確かに彼女が言っていることは驚いた。
英雄なんかが来るもんだと思ってたら、自分が一般人だっていうし、自分で自分のことを外れなんていうのも驚いた。
でも、それだけだ。
「俺は別に有名な奴を召喚しようとしたわけじゃない。そもそも、触媒は親父の知人から貰ったものだったし、初めから誰が来ても話は変わってない。
それにアサシンの言っていることも概ね正しい、だが、俺たちはこれから聖杯戦争って言う命がけの戦争に挑むわけだ、それも俺とお前の2人で、ならパートナーの名前ぐらいは知っておくべきだと思っただけだ。」
俺の発言に多少面を食らったような表情をするアサシン
だから、俺はここでもう一度頼む
これから命を預ける存在に
「ーーーだから、お前の名前を教えてくれアサシン
それに、例外ってことはスペシャルってことだろならきっといいことに決まってる
」
アサシンは呆れたような表情で頭をかいてる
「はぁ、もう色々考えてた俺がバカみてぇじゃないか。外れサーヴァントに相当馬鹿なマスターと来た。これはまた斬りがいのある仕事になりそうだな」
「ーー「両儀式」それが、俺の名だ。よろしく頼むぜ馬鹿なマスター」
誰だこのイケメン