境界線上のIRON BLOODED(※リメイク作品あり) 作:メンツコアラ
ご了承ください。
それではどうぞ。
◇◆◇午後0時40分
奥多摩・自然区◇◆◇
昼過ぎだというのに、先日の一件で武蔵の移住区や商業区が静寂に包まれている中、正純は一人、武蔵アリアダスト教導院に向かっていた。
(私一人で出来るのだろうか……)
正純はつい十数分前にかかった自分の父親『本多・正信』との通神内容を思い返す。
『武蔵アリアダスト教導院で学生による反抗が生じた。臨時生徒総会だ。お前の不信任決議を行おうとしている。言わなくても、お前の役目は分かっているな? 教導院に向かい、武蔵に良い結果を得られるように皆と交渉しろ』
(───そう言われたが、梅組ほぼ全員を一人で相手、か……)
少し心細く感じるが、今の自分は梅組の皆からすれば敵も同然。覚悟は決めている。
少しして、正純は開けた場所に出たのだが、そこで彼女の前に二人の少女……ミトツダイラと直政が立ちふさがった。
「ミトツダイラ? 直政も……成る程。私の足止めと言うことか。私が出席できなければ、不審議決議はどうとでもなるからな」
「おいおい。そう慌てなさんなって。あたしらも一応そっち側さね」
「私は騎士階級の学生代表として、直政は機関部の学生代表としての立場と責任がありますの」
「つまり、戦闘に巻き込まれる可能性のある住民側の代弁者……自分達と相対して、聖連を相手に出来るだけの根拠を示せ……と。そういう事だな?」
「Jud. 話が早くて助かるよ。まあ、あたしは見ての通り力業担当だ。あんたからしても、あたしらの実力を知るいい機会だろ」
「───そうか……正直、私一人で敵役に回るつもりだったが安心した……私もまだまだ未熟だな」
正純は額に手を当て、先程までの硬い表情ではなく、軟らかな表情をミトツダイラ達に見せる。正直な話、ミトツダイラ達は正純をもっと固い人だと思っていたのだが、その意外な一面に少し驚いていた。
「へぇ……そういう顔も出来るんだね」
「どういう意味だ?」
「気にしなさんな……さてと。それじゃあ、そろそろ行きますか?」
◆◇◆午後1時00分
武蔵アリアダスト教導院◆◇◆
全世界に生中継される中、教導院前に正純たち三人、梅組の生徒たちが、今回の議会の審判兼進行人であるオリオトライと彼女の後輩『
「武蔵アリアダスト教導院 副会長 本多・正純。臨時生徒総会を認めたうえで全生徒への提案に来ました。機関部代表の直政と騎士階級代表のネイト・ミトツダイラも参考人として来ています」
「元生徒会 会計 シロジロ・ベルトーニだ。この臨時生徒総会で武蔵の方向性を決めていいと、既に全生徒からの同意を得ている。何か質問はあるか?」
「…………Jud. では、一つ。
正純は顔をひきつらせながら
───簀巻きにされたトーリとネズミ耳を着け、フル武装した三日月だった。
あえて、もう一度言おう。
「えっと…………」
「セージュン、この下が気になるのか? イヤ~ん。セージュンのえ───」
「
「おい!? まさかの無視かよ!? ちょっとは俺の事も構って「黙ってろ」( ;´・ω・`)…………」
「しかし、
───ミカチュウだ」
「うん。何を言っているんだ?」
脳の処理が追い付かず、思わず聞き返してしまう正純だったが、正純の左では直政が口を押さえながら笑いをこらえ、逆の右隣ではミトツダイラが鼻を押さえ、その指の隙間からポタポタと血を垂らしていた。
さらに、三日月の横ではいつの間にか奥多摩が全力で写真を取っていた。
「先日、後先考えずに先行した罰として着けたのだが、これが思いの外に似合っていてな。新たな商売のネタを作るとは流石と言わざる終えない」
「Jud. 問い掛けた私が悪かった。話を戻そう。今回の議題は不信任決議を通して聖連に逆らうか、否かを決める事だな?」
「その通りだ。だから、そちらは聖連側、こちらは武蔵側となる」
「話は終わった? それじゃあ、そろそろ始めるわよ」
オリオトライの言葉を合図に三要がルール説明に入る。それを大雑把に纏めると、
・武蔵側と聖連側。その各代表三人ずつの二勝先取が勝利。
・聖連側が勝てば、ホライゾンの自害並びに武蔵の委譲を認め、武蔵側が勝てばホライゾン救出に向かう。
・相対方法は戦闘、交渉など何でもあり。
・相対の結果は武蔵の総意とし、異論は認めない。
「───以上が今回のルールになります。異論はありませんね?」
「「Judgement.」」
「それじゃあ、早速一回戦を始めましょうか。各陣営、一番始めは誰が来る?」
オリオトライの問いかけに正純が前に出ようとするが、それを直政が肩を掴んで止めた。
「悪いね。一番手はあたしが貰うよ。聖連に逆らうのはいいとして、明確な武装がない武蔵がどう戦うのか見せてもらうさね!」
前に出た直政は『承認』と書かれた術式を展開。
「
術式を叩き、直政は自身の力とも呼べる
「重武神『地摺朱雀』。あたしが地上に居た頃、戦場で見つけた武神の寄せ集め。今じゃあたしの
こいつとやり合える奴はいるか?、と直政はトーリ達に問いかける。
「直政殿、テンション高めでござるな」
「いや!? 普通に死にますよ、これは!!」
流石の梅組も相手が武神と言うことで気圧されている。
……が、一人だけ。直政の前に出る男が居た。
「へぇ……あんたが相手してくれるのかい、三日月?」
「Jud. そうじゃなかったら前には出ないよ」
「み、三日月殿?! マジで行くんでござるか!? というか、トーリ殿も何か言ったらどうです!」
「……ミカ。やれるんだな?」
「……───Jud.」
「そうか。なら、俺はなんも言わねぇ」
頼んだぜ。トーリのその一言を背負った三日月はネズミ耳を外し、装備した武装の一つのメイスを両手に一本ずつ持つ。
「総長連合 元総長補佐 葵・三日月。出るよ」
その一言で、三日月の目は狩る者の眼に変わった。
次回予定『矛盾の強者』
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心から御待ちしております。
トーリとホライゾンの対話までキング・クリムゾンしていい?
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問題なしd(^-^)
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ダメです(ヾノ・∀・`)
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いいからバルバトスをよこせ