訓練5日目、人形達はジュリコにグリフィン本部の近くにある山の入り口を集合場所に指定されて集まっていた。装備も実戦とほぼ同じ物を指定されていた。そして訓練の精神的疲れか殆どの人形の目が死んでいた。
止めたい、と弱音を吐く人形で出る中、バルカンは少しダルげに何やるのか考えていた。まぁ、訓練で山。と言えば大体想像が付くが…。
バルカン「登山だよな… はぁ… 大変だ」
山、電子空間での鉄血との戦いで虫とか別に構わないバルカンだが装備の都合上、山なんて登れる訳もなく余りいい感情は持てなかった。
そんな事を思っていた時、何処か見た事ある様な装甲を纏った人形が声を掛けてきた。
ベガス「バルカンだったか?名前は?この前は散々だったな!私も混ざりたいぐらいの仕打ちだったぞ!」
バルカン「はぁ… お前、
ベガス「そうだ、もしもだが戦場で一緒になったら私を盾に使ってくれても構わないぞ?もし足手まといなら囮にしても構わん。固さには自信があるからな私は」
ベガス12Mの感性はかなり特殊な様だった。
バルカンはベガスとの会話を受け流し聞いた。色々な話をしてくれるのはありがたいが「ジュピターの砲撃… む、武者震いが止まらん… はぁ…はぁ…」と頬を赤く染め興奮したり、鉄血に酷い目を遭わされたい。だのそう言うソッチ系の話だった。
そんなバルカンにとってはどうでもいい話を聞いていると訓練の時間となり、人形達は整列、教官であるジュリコが話を始めた。
ジュリコ「これより登山のタイムアタックを開始する。実戦を意識し、実際の装備を着て貰った。この山は人間の平均タイムで4時間で登頂し下山できる山だ。お前らには2時間でクリアしてもらう。1秒でも遅れたら全員もう一周してもらうぞ!いいな!」
「「「「了解」」」」
ジュリコ「…では
その発言に周りは混乱した。突然スタート発言しもう行っていいのか分からないからだ。
ジュリコ「お前ら!実戦にスタートって言って始まる戦闘はあるか!もう始まってるぞ!」
ジュリコのその言葉に人形達は我先にと走り始めた。転倒する人形が続出する中、バルカンも走り出すが揉みくちゃにされ後方を走る事を余儀なくされた。
バルカン「クソッ!出遅れた!」
バルカンの装備はS&W M500 でホローポイント弾と通常弾の30発ずつ、バックパックに詰め、無線や配給二日間分の計30Kgの重量。そんなに苦じゃない重量だった。
元々100kg以上の重装備をしていたバルカンにとって楽勝だったが、思いの外、2時間内という事もあり油断は出来ない状況だった。
そんな時、30分後の山の中腹である光景を見て、バルカンは足を止めた。バルカンが見た先にいたのは足を挫き、怪我負い身動きが取れずいる眼帯をしている小柄な人形だった。
「痛っ… うう… こんな所で…」
我先にと他の人形達が追い越して行く中、バルカンは一瞬気にせず走り去ろうと考えたが…。
バルカン「(助けたら間に合わない……
…けどスミスなら… DG小隊なら絶対に助けるよな…。もしここで助けなかったら私は絶対に後悔する… それは嫌だ…!)」
バルカンは怪我をした人形の側に駆け寄り、話し掛けた。
バルカン「大丈夫か?」
「大丈夫じゃないです…。完全に片足が逝ってしまって身動き取れないで… 痛っ… これまでだな…」
バルカン「おんぶするか?これじゃ最後まで行けねぇだろ?」
「…でも貴方!間に合わなくなりますよ!」
バルカン「私はそんじょそこらの戦術人形とは違うんでね。取り敢えず背中に乗ってろ。絶対に間に合わせてやるからさ。」
「いいんですか?」
バルカン「さっさとしろ!時間がねぇから!」
「分かりましたありがとうございます!」
バルカンは小柄な人形を背負い、山を再び登り始めた。時間を間に合わすに全力で山道を人形を背負いながら走る事になった。