破壊の嵐を巻き起こせ!   作:oldsnake

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熱い激情

バルカン「うぉりゃぁ!」

 

ペイロード「グギャァッ…!?」

 

 

バルカンのジャーマンスープレックスがペイロードを襲った。

人間でも人形でも出ちゃいけない音が鳴り響く。そして頭へ強烈な衝撃が走り余りの痛さに血が流れる頭を押さえて動けなかった。

 

バルカンは身体を反った体勢から元の体勢に戻り身体が見るに耐えない程にボロボロになりつつも意識を保っている死神に話しかけた。

 

バルカン「リーパー、大丈夫か?」

 

死神「カラダ全身がグチャグチャで暫くノ間動ケそうニないデェス…」

 

バルカン「分かった無理すんな」

 

ボロボロの死神を声を掛けた後、痛みが引きフラつきながらも立ち上がるペイロードの復讐に満ちた表情や目を見た。

そして溜息を吐きながら話し始めた。

 

バルカン「お前な… 幾ら復讐だからと言ってな、無抵抗な奴に撃ちまくって何が復讐だ?」

 

ペイロード「う、ウルサイ…! バルカンさんこそ、なんでこんなヤツの肩を持つ?この鉄履は味方を殺した張本人なのに…。

なんで… 私の邪魔をするバルカン?」

 

バルカン「思いっきり邪魔してやるよ。そして、もうお前にこれ以上死神に手出しはさせねえから」

 

ペイロード「邪魔をしない… さっさとここから出て行って… 」

 

ペイロードはバルカンに銃口を向けた。

バルカンは笑いながら近づく。

 

バルカン「はは… あのDG小隊のバレットの妹が…

…ここまで堕ちぶれるなんてなぁ」

 

それはバルカンの本音だった。

 

バルカン「正直な、お前が羨ましかったんだ、真面目でリーダーシップあるし仲間思いで絶対に見捨てない… そんな、お前とその兄とDG小隊に羨ましかった…。

…だけど今のお前はなんだ?確かに敵だ、確かに仇だ。だけども無抵抗な奴を痛ぶり拷問の様に苦しめる… そんなの見たかねぇよ!お前の憧れの兄が今のお前を見たら絶対に『お前は隊長失格だ』って言うぞ!絶対に!」

 

ペイロード「うるさい!うるさい!うるさい…!邪魔をするな…ッ!」

 

ペイロードは引き金を指に掛けた。

バルカンは銃口を胸に密着させた。

 

バルカン「お前じゃ私は撃てないだろ。それとな…うるさいうるさいってなぁ…

お前ぇ…仲間に銃口向けんじゃねぇ!!」

 

ペイロード「………!?」

 

手で銃をはたき落とした。そして更に近距離に詰め寄る。

ペイロードは殴られるか何かしら攻撃がくると思い身構えた。だがその行動はペイロードの予想していたモノとは違う物だった。

 

バルカンは拳を開き、さっきまでの表情とは違い笑顔でペイロードをハグしていた。その行動にペイロードは戸惑いを隠せなかった。

 

バルカン「ペイロード、いつものお前に戻ってきてくれよ…。

憎しみとか復讐とかでこんな残酷な事するお前の姿のなんて私も、お前の兄も二度と戻らないかも知れないフレイムも望まない筈だ…。」

 

ペイロード「………………」

 

バルカン「それに、私は決めたんだ。

…私の決して冷めない熱い激情で絶望の闇を照らす希望になるって。ペイロード…だから私はお前を絶対に諦めない。

…手が届くなら絶対に手を伸ばして救う。

だからさ…、いつものEA小隊の隊長【M109ペイロード】に戻ってこいよ…」

 

 

更に力強くペイロードを抱きしめる。ペイロードは号泣し涙を流し泣き始める。

今まで背負っていた復讐心や隊長という重責と色々な物を忘れて泣き続けた。

 

 

そして20分後

そこには泣き止み、何処か凛々しくスッとした表情のペイロードがいた。

 

 


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