Fate/stay night 【仮物の正義】 作:二刀流に憧れた中二病
どぞ。
「ん?衛宮?あいつは....そうだな、困ってる人がいたら誰でも助けるな。それが悪意を持ったものでもな。」
衛宮士郎__彼の事を周囲の人間に聞くときっとこう答える。
_____【馬鹿をつけた方がいいお人好し】
彼は学校にいる間、それ以外でも構わず助けを求められる、困っているなら必ず手を差し伸べる。そう、このように。
「衛宮ぁ、僕の代わりにさ、道場の雑巾がけしといてくれよ。僕今日用事あるんだよ。」
そんなただ面倒臭いだけというのが嫌ほど伝わってくる、更に悪意のある表情をしている。
それでも、彼はほんの一瞬、気付かれない程度に曇った表情をした後
「ああ、いいよ。やっとくよ。」
ほんの少し笑みを浮かべながら、さも喜んで引き受けると言っているようにそう言った。
しかし、当の頼み事をした彼、間桐慎二はその笑みが気に入らなかったのか、不機嫌な顔になり、イライラとした態度を見せながら
「.....あっそ。じゃあ、頼んだよ。」
そう言い残して一緒にいた女子生徒と共に早歩きで去っていった。そんな彼の後ろ姿を見ていた衛宮士郎は、こう思っていた。
(あいつは....慎二は多分怒ってるんだろうな。肩が治ってからまた弓道やらなかったこと。あいつは本気で弓道をやってた、俺が何時も褒められるなかあいつはずっとこっちを劣等感を感じたような目で見てきていた。俺の勘違いかもしれないが、たぶん悔しかったんだろう。最後まで俺より上にいけなかったことが)
何処までも彼はお人好しである。例え今のような事があろうと。全ての物事を自身に重ねて、自身に原因があるのだろうと思い、相手に怒りを抱かない。彼はそんな人間だ。
そんな彼だが、彼はまだ知らない。自身が数時間後に大いなる戦いに巻き込まれることを。一度殺されてしまうことを_____
「ふう....こんなもんかな。」
俺は自分で磨いた道場の床を見てそう呟いた。間桐慎二という友人....向こうはそうはおもってないのだろうが....彼に頼まれてこの弓道の道場の雑巾がけをこのくらい時間まで行っていたのだ。そして、今満足のいく仕上りになったため、先程のように呟いたのだ。
「だいぶ暗くなったな.....じゃあ、帰るか。」
そう言って俺は、鞄をもって帰ろうかとしていると、とあるものを感じた。
「魔力....!?」
俺は思わずそう呟いた。何故この付近で魔力を感じたのだろうか.....取り敢えず今は様子を見に行くことにした。
『ガキンッ!!』
かなり大きな、ここまで響く程の金属の打ちつけられる音がした。どうやらグラウンドの方から響いてきたようだ。
恐る恐るグラウンドの方へと音を立てないように近づくと、"それ"を目にした。
二人の男達が、互いの得物をぶつけ合って超スピードで戦っている。いや、俺の目から早く見えているだけで彼らからすればなんてことの無い速さなのだろうが。
一人は槍を持った青い装束を纏った男、もう一人は二刀の剣を持った赤い印象のある男。どちらも依然として戦いの速度を緩めない。むしろどんどん加速している。
見続けていると、急に動きを止めた。どうやら何かを話しているようだ。暫く話すと、青い男が槍を構え直した。
その瞬間、かなり高密度の魔力が男の持つ槍に込められた。その男の眼と同じ紅色の朱槍は、今にも赤い男を穿たんと魔力を放っていた。
その高密度の魔力に思わず俺は恐れおののいてしまい、後退りしてしまった。同時に、直ぐに後者の方へと駆け抜けた。
走る。
走る。
走る。
走る。
唯ひたすらにあの男から逃げ延びる為に俺は走り続けた。やつの眼は間違いなく躊躇なく人を殺せる眼だった。恐らく先程の後退りした時の足音で気付かれている。だから俺は生きる為に今走っている。
校舎の三階の廊下に辿り着き、一息ついた。だが、それが命取りだったのだ。
グサッ
「......かはっ」
口から血が......飛び出た......胸、には、ささ、れたかん、かく.....が.....
次第に俺の意識は閉じていく.......
意識が消え去る前に声が聞こえた。
「すまねぇな坊主。これも仕事でな。恨むんなら、あの場所にいた自分を恨むんだな。」
恐らく青い、俺を殺しにきていた男だろう、否、俺を殺した男。
そう考えている内にとうとう俺は意識を失った。
............
............
[やっぱりお前は正義の味方になんてなれない。資格なんてもとよりない。分かっていた事だろ。]
..........
[正義を謳うための力も無いくせに憧れて、馬鹿みたいだぜ、お前。]
..........せぇ
[力がねぇから殺されちまったんだよ。てめぇの責任だ。正義の味方になるために力をつけなかったお前のな。]
.......う.....せぇ
[全くとんでもねぇ馬鹿だな。そもそもあんなやつの頼みなんて断っちまえば良かったんだよ。だったらこんなところで]
今度こそ俺ははっきりと謎の声にこう言い放った
"うるせぇ!!"
[..........]
確かに、俺にはもとより資格なんてないのかもしれない。ただ引き継いだ
だが、それが例え偽善に満ちた仮物の正義であろうと、俺は、決して、その【正義の味方】を諦めることはしない。
"だからよ、黙って俺に着いて来やがれ"
それをしきりに声は消えた。思考もクリアだ。死に体の筈の体も何故か動く。血は出ている。そんなことは関係ない。自身の正義のためにあの青い男を"殺す"のだ。まだ目の前にいる。これを、逃すものかッ......!
俺は本能的に男を殺すべく何かを起動させ、すぐさま言葉を紡ぎ出した。
「【投影、開始】ッ!」
俺の知らない言葉をいつの間にか呟いていた。その瞬間頭にズキンッ!とした痛みが襲う。同時に知らない筈の刀剣類の記憶が流れ込んくる。俺はその中で最も相応しい武器を言葉のままに、己が手に顕現させた。
"それ"は白と黒、对となっている陰陽剣。名を【干渉】、【莫耶】という。目の前の男が魔力に気付いてこちらを振り向くがもう遅い。俺は既に奴の腹に二刀で斬りつけ、心臓を穿っていた。
「ガハァッ!!」
青い男が憤怒の形相でこちらを見てきた。
「ガフッ......て、めぇ、何もんだ....それに、その、剣は....」
奴の獣のような鋭い眼光を放っていた眼は、既に光を失いかけていた。立っているのも不思議なくらいだ。どうにか自身のもつ朱槍で立っているようだ。
「......取り敢えず、今回は俺が阿呆だった。死んだって確信しちまったからな。負けってことにしといてやるよ。だがな、次会った時は....」
その瞬間奴の眼に光が戻り、紅い眼が鋭く怒りの感情をこめて言い放った
「......間違いなくその心臓を穿つ。いや、てめぇの命貰い受ける。」
そう言葉をもらしたのち、すぐ消えていった。
それが限界だったのか、俺の体は激しい痛みに襲われた。
「........アッ....グッ.....ガァァァァァ!!!!!」
痛い。痛いなんて言葉では言い表せないほど体が悲鳴をあげている。まるで内側から鋭いものが飛び出ているような痛みだ。肩を骨折した時よりも数千倍も痛いだろう。
体の痛みが訪れると同時に、脳も尋常じゃない程の痛みに襲われる。まるで割れるかのような痛みだ。
息が苦しくなる。正常に呼吸が出来ない。肺へと酸素が送れない。だんだんと体中の血液もそれに伴って冷たくなっていく。
視界はとうに白くなり、何も見えない。何故だか知らないが、視界が見えなくなった時点で体は廊下に倒れていた。
そこで俺は今度こそ、【俺】という自分の生命を失った。
はい、後先考えず書いてみましたが、最後まで読んで下さりありがとうございます。
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では、チャオ〜