堕ちた名家と覚りの目 作:Mary/merry《メリー/メリー》
所々誤字脱字文脈がオカシイ所あるかもですが、
ゆ っ く り 読 ん で い っ て ね !
堕ちた名家の少女
かつて、戦車道という競技にて西住流と島田流に並ぶと称された流派の一つであった。
鉄の如き堅牢さと敵の撃破の確実性を誇る、堅実なる武者西住流。
どのような場であっても、凄まじいほどの個人技で敵を翻弄する、流麗なる忍者島田流。
未来が見えているかのように戦場を彩る、慧眼なる軍師氷上流。
……昔は、という言葉が付くが、氷上流は確かにそう言われていた。
氷上は堕ちた。
理由は簡単。
3代目の氷上が余りにもお粗末過ぎたのだ。
何がお粗末だったのか。
簡単に言えば戦略も戦術も問題は無かった。
むしろ画期的だったといっても良い。
しかしながらその戦略も戦術も数年前の試合にて使った、研究され尽くされたものであった。
……故に惨敗した。
当然の事である。
そこから敗けが続き、氷上流はその名と家だけを残し幻の流派として潰えた。
◎
『策は敵に知られずに敵を貶めるからこそ、策足り得るのだ。
故に二度も同じ手を使うのは愚策と言っても良い。
だからこそ今、氷上流は堕ちた流派と呼ばれる様になってしまったのだ』
この言葉は、氷上流先代家元の祖母に向けて言った私の言葉である。
だというのに毎回懲りもせず突撃戦法を繰り返す訓練ばかり。
突撃するにしても策を仕掛け、丹念に精密な下準備をしてから、更に敵を追い込む止めに突撃をし、翻弄するのが『本来の』知波単突撃法であった。
しかし今、そんな事お構い無しに無駄に突撃吶喊する。
……知波単の突撃の伝統を造り出したのは、間違いなく氷上流だ。
しかし、策も何も無い突撃を知波単の伝統だの、伝説だのと……。
……そんなのは最早自滅しに行くだけだ。
……考える事を忘れ。
……型に嵌まり。
……突撃するしか能のない。
……楽しめない
吐き気がするほど嫌気がさした。
だから私は……家を飛び出して父の故郷である茨城県大洗町に。
戦車道から離れたこの街に住むことにしたのだった。
◎
「やぁやぁ!君が氷上
確か君の家って戦車道やってたんだよね~?
それじゃあ氷上ちゃん……戦車道、とってね~?」
一年の教室の中にずかずかと入ってきたのは、大洗の学園艦にある女子高の生徒会。
何を言うのかと目を向けてみたら、私を見てニタニタ笑っていた。
そして口を開いたかと思えば先程の言葉である。
……は?と思ってしまうのも無理は無いだろう。
「……御言葉ですが角谷杏生徒会長。
私は戦車道が嫌いですのでやりませんよ?」
そう言うと会長さんは、ニタニタと笑いながら再び口を開く。
「またまた~、去年まで戦車道を必死にやってたのに……嫌いなハズないよね~?」
「……その必死になる熱意など、私には無いです。
それに……私は『堕ちた流派』ですよ?
……期待するだけ無駄ですよ、無駄」
澄んだ日本人離れしたエメラルドブルーの瞳を閉じ、静かに言う黒髪の少女、麗華。
対して大洗女学園の生徒会長である角谷杏は困ったような顔をしながら再び口を開いた。
「だったらこの学校に居られなくするよ……と言ったら、氷上ちゃん本当に居なくなるだろうからな~……。
うーん、そうだね~……こっちの都合に付き合わせるのは悪いと思うけど……。
戦車道経験者の氷上ちゃんが居ないと困るんだよね~」
「……その理由がなんなのか教えていただけない事には受領しませんし、したくありませんので。
……何でしたら1学年上に『あの有名な』西住流のご息女が転入されたので、そちらの方を勧誘されたらいかがですか?」
あくまで自身は関係ないと、最近転入してきた有名な西住流の少女を生贄に捧げる。
無論、その少女がどういう理由で転入してきたのかという事を知りながら。
しかし、そんな言葉に反応したのは杏の隣に居た、生徒会広報担当のモノクル少女、河嶋桃だった。
「……西住はもう既に勧誘中だ」
「ふーん、勧誘『中』、ねぇ……」
「何が言いたいっ!」
麗華は思った。
……あぁ、河嶋先輩は扱いやすそうだな。と。
「いや何、勧誘出来たのかと純粋に疑問に思ったので。
……まぁその反応を見る限り、まだ返事待ちという所でしょうか」
「ぐぬぬぬ……」
「落ち着いて桃ちゃん?」
苦虫を噛み潰したように顔をしかめる桃を、同じ生徒会に所属する小山柚子が宥める。
その間にその場を去ろうと麗華は踵を返す。
「要件はそれだけの様でしたので、私はここ「何故氷上ちゃんを勧誘したか、理由を話せば了承してくれる?」……」
「「会長!?」」
杏の言葉に言い知れない決意を感じ、足を止める麗華。
今度は何を話すのか、と期待するわけでも無いが、ゆっくりと振り返る。
「了承するかは……場合によりますね」
「き……貴様!あまり調子に「かーしまー?」……っ!はい、会長」
「……かーしま、駄目だよ。
彼女、言わなきゃ絶対に了承してくれないよ。
目が……本気だもん」
そうして語られた話に耳を傾け、麗華は結論を出した。
「……(成る程、学園艦の解体。それが戦車道で覆るかもしれない、という訳か。)まぁ、用件は解りました。
……随分と面倒な事に巻き込まれた様で。
……良いでしょう、私も転校して来てそれほど経ってませんし、
また転校などすれば流石に資金も馬鹿になりません。
……正直、面倒な事は御免ですが、更に面倒を被る事になるより、協力した方が良さそうです。」
そう答えると嬉しそうに笑顔を浮かべた生徒会の面々。
……安心するのはまだまだ早いのだが、まぁ今は言わない方が良いだろうと麗華は思った。
「いや~、ありがとうね麗華ちゃん。頼りにしてるよ?」
「……ええ、まぁ私なんかが力に成れるかは解りませんがね?」
さて、と麗華は考えを巡らせる。
自身の乗る戦車には一応アテはあるが、問題は人である。
まず、自分が車長なのは当然として、砲手、装填手、操縦手は必須である。
何より自身は小さく非力なので、装填手は絶対に居てもらわないと困る。
「……門谷会長、暫く……そうですね、一週間ほど時間を貰えないですか?」
「ん?何で?」
「戦車はアテがあるのですけど、人をスカウトするために、この学園艦を巡る必要があるので……」
そう言うと、杏はこの後部活紹介で戦車道を大々的に発表するんだけど……と言うが、首を振る。
「門谷会長。……私は確実に勝つために、私の目で人を決めてスカウトします。
……後悔はしたくない質なので」
そうして、麗華は戦車道を共にするメンバーを探すのだった。
いかがでしたでしょうか?
自分で読み返してもやっぱり駄文具合が感半端ねぇんですが……。
まぁこんな駄文でも楽しんでくれたならば幸いです……。
※後書きが変だったので修正しました……
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