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瞼に当たる陽の光で目が覚める。
「くぁ…あ~、よく寝た。って…何で俺は外で寝てんだ?」
頭を掻きながら身体を起こすと、寝惚けた頭を起こす為に背伸びをする。
「っ、あ~…そういえば、昨日はけっこう酒を飲んだからな。それで酔っ払って外で寝ちまったのか?」
辺りを見渡して見ると、周囲には見覚えのない景色が広がる。
「あん?どこだここ?」
立ち上がって改めて周囲を見渡してみるが、まったく見覚えが無い。
困り果てた俺はため息を吐いてしまう。
「財布はあったけど…なんで諭吉がドル紙幣に変わってるんだ?」
更に休みだったからジャージで過ごしていたというのに、服装がTシャツとジーパンに変わっている事に驚く。
色々な事が立て続きに起こって俺は混乱してしまう。
「落ちつけ、落ちつけよ俺…っ!?」
気を落ち着けようとして無意識に額に手を持っていこうとしたその時…。
俺の目には、見慣れぬ肌の色をした腕が映り込んだ。
「なんでこんなに日焼けして…。」
ジャリ!
混乱の最中だったが、不意に聞こえた物音に振り向く。
「見ねぇ顔だな。新顔か?」
三人の黒い肌をした少年達が、何かをクチャクチャと噛みながら俺を見ている。
ガムでも噛んでるのか?
出会った人達が明らかに日本人じゃない事にも驚いたが、それ以上に彼等が話す英語が当たり前の様にわかってしまう事の方が驚いた。
何故なら俺の学生時代の英語の成績は五段階評価で一なのだから。
そこで気がついたのだが、先程から溢していた俺の一人言も英語だった。
「はは…もう何がなんだか…。」
驚きを通り越して呆れの状態になったその時、少年達はニヤニヤとした笑みを浮かべながら話し掛けてきた。
「ヘイ新顔、俺達がお前にスラムの流儀ってもんを教えてやるぜ。」
「…スラム?」
少年の言葉に猛烈に嫌な予感がしてきた。
「ニューヨークのスラムに来た奴が一度は味わう通過儀礼ってやつさ。さぁ、出すもんだしな。」
「はは…。」
そうか、此処はニューヨークのスラムなのか。
もう乾いた笑いしか出てこないが…さて、どうしたもんかな?
正直、俺の身に何が起きたのかさっぱりわからんのだが、一つだけわかる事がある。
それは、諭吉からドル紙幣に変わった財布の中身は俺の生命線だという事だ。
それを目の前の少年達に渡す?
冗談じゃない!
渡せるか!
ならどうする?
そんなの…答えは一つしかないだろ!
俺はあえて不敵な笑みをする。
それを見た少年達は訝しげな表情を浮かべた。
そこで…。
「…っ!?おい!」
少年達の一人が声を上げるが関係無い。
俺は全力で走り出した。
「「「待ちやがれ!」」」
少年達が異口同音に声を上げながら、俺を追いかけてくる。
こうしてニューヨークのスラムにて、俺の人生で初めての逃走劇が始まったのだった。
本日は3話投稿します。
次の投稿は9:00の予定です。