目が覚めたらスラムでした   作:ネコガミ

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本日投稿4話目です。


第19話『静かなる怒りとビッグマウス』

今日は世界タイトルマッチの前日計量の日だ。

 

俺とミゲルは早々と計量室に入って待ってんだが…。

 

「チャンピオンはまだ来ないのかね?」

 

ミゲルがスタッフに聞いた通りに、チャンピオンがまだ来てねぇんだよな。

 

俺は計量室にある時計に目を向ける。

 

計量予定時間の5分前か…。

 

軽くため息を吐く。

 

実は俺とミゲルは計量予定時間の1時間前に来ている。

 

これは俺が前世で日本人だったから時間前行動を…なんて殊勝な理由じゃねぇ。

 

計量の後にはチャンピオンとの共同記者会見が待ってるからな。

 

さっさと終わらせてステーキを食いに行きてぇだけだ。

 

そんなつもりで早く来たんだが意味無かったな。

 

チャンピオンはルーズなのか?それとも俺を焦らす作戦か?

 

いや…もしかしたら今の時代はこんなもんなのか?

 

今は西暦1988年。

 

前世では当たり前だった携帯電話やインターネットがまだ普及してねぇ時代だ。

 

常識なんかが違っても不思議じゃねぇか。

 

そう思った俺は壁に背を預ける。

 

チラリと時計をみると計量予定時間になっていたが、チャンピオンはまだ来ねぇ。

 

無意識に舌打ちをした俺は、一つ息を吐いてから目を瞑る。

 

胃が鳴き声を上げやがるが、計量前だから水も飲めやしねぇ。

 

…くそったれ。

 

 

 

 

壁に背を預け目を瞑ったホークに目を向ける。

 

だいぶ苛立っているようだ。

 

それもそうだろう。

 

私達は早く計量や記者会見を終わらせるつもりで1時間前に来ていたのだからな。

 

だがチャンピオンは計量予定時間になってもまだ現れない。

 

おそらくはホークを焦らす作戦だろう。

 

…失敗したね、チャンピオン。

 

君は明日、リングの上から歩いて帰る事は出来ないだろう。

 

それは今のホークを見たらわかる決定事項だ。

 

せめて再起できる程度のダメージで収まる事を祈っているよ。

 

私が心の中で祈り始めてから10分程経つと、漸くチャンピオンが姿を見せた。

 

やれやれ、どうやら私の祈りは無駄になったかもしれないね。

 

何故ならチャンピオンを見たホークの顔から、表情が消えてしまっているのだから…。

 

 

 

 

計量が終わって漸く水を飲めたぜ。

 

だが一心地ついたところで直ぐに共同記者会見だ。

 

あんまり気が利かねぇインタビューをしてくんじゃねぇぞ。

 

早くステーキを食いに行きてぇんだからな。

 

「明日、彼から『スモーク』のニックネームは無くなるだろう。何故なら、私のパンチが彼を捉えるからだ。」

 

チャンピオンがそんな事を言うと、記者連中のカメラから一斉にフラッシュが焚かれる。

 

別にそんな事はどうでもいい。

 

待たされた詫びに、テメェからはベルトを貰うからな。

 

「ホーク選手、今年18歳の貴方ですが、今回が初めてのタイトルマッチです。その事について何かありませんか?」

 

あん?

 

ミゲルに目を向けると微笑んでやがる。

 

好きに言っていいんだな?

 

マイクを右手に持つと、俺は左手で指折り数え始める。

 

「7階級だ。」

 

俺の言葉に記者連中は首を傾げてやがる。

 

そんな連中の姿に笑いが込み上げてきたぜ。

 

「ウェルター、ジュニアミドル、ミドル、スーパーミドル、ライトヘビー、クルーザー、ヘビーで7階級だろ?俺は7階級制覇をするって言ったんだ。今回のタイトルマッチは、7階級制覇の通過点でしかねぇ。」

 

俺の言葉に記者連中からどよめきと一緒にフラッシュが沸き起こる。

 

そのフラッシュの中で、俺はチャンピオンに目を向ける。

 

「当たんねぇよ、テメェのパンチはな。まぁ、当たっても大した事無さそうだが。」

 

この俺の言葉でチャンピオンの顔に幾筋も青筋が浮かぶ。

 

そんなチャンピオンの視線を無視して記者連中に顔を向けた。

 

「宣言してやる。明日はKOで俺の勝ちだ。今のうちに賭けておいた方がいいぜ。」




これで本日の投稿は終わりです。

また来週お会いしましょう。

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