目が覚めたらスラムでした   作:ネコガミ

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本日投稿3話目です。


第32話『黄金の鷲の成長』

side:ホーク

 

 

浜 団吉ことダンがデビッドのトレーナーになった。

 

ダンはアメリカのボクシング界では有名なトレーナーらしく、デビッドは知っていたそうだ。

 

そんなダンからトレーナー契約の話を振られたデビッドは二つ返事で受け入れていた。

 

まぁ、それでデビッドのスタッフが苦笑いをしていたがな。

 

さて、ダンをトレーナーとして受け入れたデビッドなんだが、ダンの指導を受けて少し変わった事がある。

 

それは左のパンチのバリエーションが増えた事だ。

 

左ジャブのダブル、左ジャブからの左ショートフックといったコンビネーションパンチは以前から使っていたんだが、そのコンビネーションの繋ぎが独特になったんだよな。

 

ミゲル曰く『飛燕』というパンチらしい。

 

なんでも第二次世界大戦後の日本のリングで、ダンが使っていたパンチなんだとさ。

 

まだ完成したわけじゃねぇみたいだが、この『飛燕』ってやつは間違いなくデビッドの武器になるだろうな。

 

スパーリングでその『飛燕』を体験したんだから間違いねぇだろ。

 

でもよ、その『飛燕』を全部避けていったらダンのやつが…。

 

『ヌシを見ていると、かつての好敵手を思い出すわい。』

 

って、仏頂面で言ってきやがった。

 

誰の事を言ってんだろうな?

 

原作キャラか?

 

まぁ俺は原作の事は少ししか知らねぇし、考えても意味ねぇか。

 

さて、減量を続けるかね。

 

 

 

 

side:イーグル

 

 

新しくトレーナー契約を結んだダンの指導で身に付けた『飛燕』に、僕は手応えを感じている。

 

これは間違いなく今後の僕の戦略の要となるパンチだ。

 

「ありがとう、ダン。貴方と契約を結んで本当によかった。」

「ふんっ、教え子が優秀過ぎると教えがいが無いわ。」

 

ダンが小さく息を吐きながらそう言うと、僕は思わず笑ってしまう。

 

「デビッド、ヌシが行こうとしておる道は苦難の道のりだと理解しておるか?」

 

不意に告げられたダンの言葉に僕は強く頷く。

 

その事は誰よりも僕が理解している。

 

だからこそ挑みがいがあるという事もだ。

 

「もちろんさ。それよりも、『飛燕』について何かアドバイスはあるかい?」

「後はフォームチェックをして熟せばよい。が、強いて言うならば通常のコンビネーションと使い分けるんじゃな。」

 

なるほど、確かにその方がより戦略が広がる。

 

流石は幾人も世界ランカーを育て上げた名トレーナーだ。

 

勉強になる。

 

「『飛燕』をものに出来たその時には、もう1つの武器を教えてやろう。」

「もう1つの武器?」

 

僕が疑問の声を上げると、ダンは不敵な笑みを浮かべる。

 

「さよう。リングの上に燕は二羽おる。もっとも、こいつはホークに対して使える様な場面はほとんど無かろう。じゃが、ヌシのボクシングの幅を広げる事は確約する。」

 

そう言ったダンは、ゼール氏と談笑するブライアンへと目を向けたのだった。

 

 

 

 

side:浜 団吉

 

 

儂はミゲルと談笑するホークを見て鼻を鳴らす。

 

奴め…まだ未完成ではあったが、デビッドの『飛燕』を初見で全て避けおった。

 

ミゲルが気に入ったという逸材だけはある。

 

並みのボクサーではパンチを当てる事すら困難だろう。

 

そう思った儂は若き日の事を思い出す。

 

儂と猫田の持って産まれたものの違い…才能の差というものを痛感したあの時の事をだ。

 

「…ふんっ!」

 

確かにボクシングに限らず、スポーツの世界は残酷なまでに才能が物を言う世界だ。

 

だがボクシングにおいて強さとは反応や足の速さ、そしてパンチの強さといった身体能力だけではない。

 

戦略や駆け引きも間違いなくボクシングにおける強さなのだ。

 

儂とデビッドのボクシングがあやつらに通じるかは正直わからん。

 

だがいつの日か、必ず挑戦状を叩きつけてやろう。




次の投稿は13:00の予定です。

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