目が覚めたらスラムでした   作:ネコガミ

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本日投稿4話目です。


第38話『黄金の鷲の世界前哨戦』

side:ホーク

 

 

WBCジュニアミドル級の世界チャンピオンになった俺は、防衛戦を1回挟んでWBAジュニアミドル級世界チャンピオンと、世界タイトル統一戦をやった。

 

結果は俺の2ラウンドKO勝利で、俺はWBC、WBAの統一世界チャンピオンになった。

 

このまま他の団体とも統一戦をするのかと思ったんだが、ミゲルが言うには他の団体の世界チャンピオンは俺との試合を渋っている…いや、はっきり言って拒否しているらしい。

 

ダニー曰く、『他の団体の世界チャンピオンは30歳を超えているからな。世界チャンピオンのまま引退したいんじゃないか?』との事だ。

 

俺とミゲルはダニーの言葉に納得した。

 

そこでミゲルは俺の試合スケジュールを半年に一度程度の頻度で防衛戦をしつつ、期間が空きすぎない様に2ヶ月に一度のペースでノンタイトルの試合を組んでいく様に変更するそうだ。

 

ミゲルがそんな感じで俺の試合スケジュールを組む事を告げるとダニーが、『まるでリカルド・マルチネスみたいなスケジュールだな。』と言って笑っていた。

 

リカルド・マルチネスはフェザー級の選手で、50試合以上戦って負けなしのパーフェクトレコードを続けているボクサーだ。

 

たしかフェザー級は原作主人公と同じ階級だったよな?

 

リカルド・マルチネスも原作キャラなのか?

 

まぁ、俺には関係ねぇし、気にしなくていいか。

 

それよりも日本に帰った真理に、手紙と一緒に俺やデビッドの試合のビデオを送るか。

 

そんな感じでトレーニングに励んでいくと、あっという間に日々は過ぎていく。

 

そして統一世界チャンピオンになってからノンタイトルマッチを1戦終えた頃、デビッドが世界ランク1位の奴と行う世界前哨戦の日がやってきたのだった。

 

 

 

 

side:イーグル

 

 

今日の試合を勝てば世界タイトルへの挑戦が確約される。

 

漸くここまで来ることが出来た。

 

「デビッド、いつも通りだ。」

 

ダンの言葉に僕は頷く。

 

世界前哨戦、または世界タイトルマッチであってもいつも通りに戦えなくてはならない。

 

その程度をこなせなければ、ブライアンと戦う資格は無いのだから。

 

もちろん、相手を見下しているわけではない。

 

僕はいつも通りに全力を尽くすだけだ。

 

ゴングが鳴って試合が始まる。

 

リング中央でグローブを合わせると、ジャブの応酬で探りあいだ。

 

事前に入手していた相手の情報との差異を埋め合わせる。

 

そして今日の自身の状態を加味して戦略を組み立てていく。

 

1ラウンドを終えると、相手のおおよその手札はわかった。

 

後は攻略をしていくだけだ。

 

2ラウンド目、試合を優勢に進める事が出来たが、主導権を完全に物にするまでには至らなかった。

 

なるほど、彼が次の世界チャンピオン候補だという噂は本当の様だ。

 

だが、問題無い。

 

戦略の修正は出来た。

 

3ラウンド目、『飛燕』を用いて放ったショートフックを機にパンチをまとめてダウンを奪った。

 

これで主導権は奪えたと思ったが、相手はこれまでとリズムを変えて対応してきた。

 

うん、勉強になる。

 

もっと僕に学ばせてくれ。

 

そして試合は進み5ラウンド目、2度のダウンを奪ったところでレフェリーが試合を止める。

 

これで世界タイトルマッチが確約された。

 

僕はダンと拳を合わせる。

 

「世界挑戦は2ヶ月後…行けるな、デビッド?」

「2ヶ月の試合間隔で世界挑戦とは、まるでブライアンの様だね。」

 

僕の言葉にダンが笑う。

 

「その程度をこなせなくては、あの男のライバルを名乗る資格は無い。」

「…あぁ、その通りだ。」

 

ブライアンとの約束の時まで残された時間は1年以上残っている。

 

世界タイトルを取り、防衛戦を数戦こなすには十分だ。

 

待っていてくれ、ブライアン。

 

君のライバルとして、僕は必ず君との約束の舞台に辿り着いてみせる。




次の投稿は15:00の予定です。

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