目が覚めたらスラムでした   作:ネコガミ

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本日投稿2話目です。


第63話『ネット掲示板と恋人と』

これは近年、アメリカで開始されたインターネットサービスで起こった掲示板でのやり取りである。

 

 

 

 

【ザ・スモーク】ブライアン・ホークの事を語るスレ11【ザ・ビースト】

 

 

1:このスレはボクサーのブライアン・ホークの事を語るスレです

  関係の無い話題は雑談スレにてお願いします

  次スレは800を踏んだ人が書いてください

 

 

55:またスモーキーホークが勝利した

   だが4ラウンドも掛かっている

   アウェーで調整に失敗したのか?

 

 

59:試合後には相手の日本人を称賛している

   調整の失敗ではないだろう

 

 

66:あの日本人には可能性を感じた

   次に戦う時には彼がパンチを当てる事に賭けてみよう

 

 

72:日本在住の友人から驚きの情報を聞いた

   なんとあの日本人は日本での評価が低いそうだ

 

 

77:72>本当か?スモーク相手にあれだけのファイトをしたんだぞ

 

 

89:マモル・タカムラは偉大なボクサーになれる素質を持っている

   何故ならあのスモーキーホークが名前を覚えたからだ

 

 

92:先日のスモーキーホークのアメリカでの記者会見を知った日本のマスコミは

   盛大に手の平らを返しているらしい

 

 

98:92>アメリカなら訴訟案件だな

 

 

131:いよいよ金メダリストの英雄デビッド・イーグルとの決戦が迫ってきた

    まだチケットを買える所を知らないか?

 

 

136:131>残念ながらどこも即日完売だ

    当日券が売られるのを期待するしかない

 

 

142:チケットが買えなくて友人と喧嘩をしてしまった

    何故かって?

    友人がチケットを手に入れていたからさ

 

 

145:142>その友人の住所を教えてくれ

    明日にでも話し合いに行く

    ピストルを持ってな

 

 

151:142>じゃあ俺はショットガンを持って行くよ

 

 

162:明日の警察が給料分働く事を祈っているよ

    俺はチケットを手に入れたのでな

 

 

170:誰か162のPCをハックしてくれ

    報酬として100ドル払う用意があるぞ

 

 

 

 

side:ホーク

 

 

ミドル級に階級を上げて1戦こなした今、俺はデビッドとの世界タイトルマッチに向けて調整に入った。

 

舞台はラスベガス。

 

デビッドとプロのリングで戦うに相応しい場所だ。

 

アメリカのケーブルテレビでは俺とデビッドのドキュメントが流れている。

 

今日の練習を終えた俺はそのドキュメントを見ている。

 

真理と一緒にな。

 

「考えると不思議ね。あの時はまだデビューしたての新人だったブライアンが、こうして全米で話題になる程のボクサーになっているんだもの。」

 

そう言いながら俺の肩に頭を預けてくる。

 

フワリといい匂いがした。

 

「まぁ、スラムで喧嘩をしていた悪ガキが英雄扱いだからな。そう思っても仕方ねぇか。」

「ふふ、ミゲルには感謝しないとね。」

 

真理の言う通りだ。

 

あの時にミゲルが誘ってくれたから今の俺がある。

 

スラムの悪ガキだった俺が、今ではこうしてニューヨークの一等地に家を持てるまで成り上がれた。

 

しかも真理といういい女が恋人になったんだ。

 

いくら感謝してもしきれねぇぜ。

 

「ブライアン、今日は泊まっていくからね。」

「…本気か?」

「ええ、もちろん。」

 

気が付けば周囲の知人達全員に外堀を埋められていたのを知ったのはつい先日だ。

 

デビッドとの世界タイトルマッチが終われば、真理との婚約を発表する手筈になっている。

 

なのに…いいのか?

 

俺だって男だ。

 

興味が無いわけもねぇ。

 

むしろ大いに興味がある。

 

やべぇ…世界タイトルマッチよりも緊張してきたぜ。

 

この日、俺は己の内に在る野性を解放した。

 

まぁ、おかげで1週間は真理に『ケダモノ』って呼ばれる羽目になっちまったがな。

 

反省はしているが後悔はしていない。

 

こんな俺だけどよ…これからもよろしく頼むぜ、真理。




次の投稿は11:00の予定です。

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