目が覚めたらスラムでした   作:ネコガミ

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本日投稿4話目です。


第65話『プロ日本王者とアマ世界王者のスパーリング』

side:ヴォルグ

 

 

グローブを合わせるとエージとのスパーリングが始まった。

 

挨拶代わりにジャブを放つと、身体に少し鈍さを感じる。

 

右手でジャブが逸らされると、お返しとばかりにエージのジャブがきたのでガードする。

 

速いだけでなく、初動が極めてわかりにくい。

 

厄介なパンチだ。

 

ブランクのある今の僕では捌ききれないだろう。

 

ダウンさせられる事も覚悟しておく。

 

ワンツーを始めとした左右のコンビネーションを駆使していく。

 

この左右のコンビネーションの繋がりの速さが僕の最大の武器だ。

 

だけどエージはガードにパーリング、スウェーにダッキングと僕のパンチに対処していく。

 

左ボディーがきた。

 

受ける代わりに右フックを返す。

 

ヘッドスリップでいなされた。

 

上手い。

 

素直にそう思う。

 

ゴングが聞こえた。

 

1ラウンド目が終わったんだ。

 

ラムダが待つコーナーに戻る。

 

「エイジ・ダテは強いボクサーだね。」

「うん、僕もそう思う。」

 

上手いだけでなく強い。

 

まだ1ラウンドだけしかエージと戦っていないけど、それがよくわかった。

 

国内チャンピオンのレベルじゃない。

 

間違いなく世界レベルだ。

 

ブランクのある僕には少し荷が重い。

 

「仲代ボクシングジムに来れたのは幸運だった。ヴォルグのスパーリングパートナーには困らない様だからね。」

 

確かに僕は困らないけど、エージはどう思ってるだろうか?

 

 

 

 

side:伊達

 

 

「どうだ?」

「可愛い気のある顔してるがボクシングは生意気だな。俺の引き出しを確認してきやがった。」

 

流石はアマチュアボクシングの世界王者といったところか。

 

まだ若いのにボクシングが上手い。

 

ただ闇雲にパンチを打つんじゃなく、しっかりと駆け引きの材料にしてきやがる。

 

だが、ビデオで見た動きよりもキレが無いな。

 

「ブランクか?」

 

そう呟くとオヤッサンが苦笑いをする。

 

「あまりいじめるなよ。」

「冗談だろ、オヤッサン。これから面白くなるところなんだぜ?」

 

オヤッサンがため息を吐くと、沖田が2ラウンド目開始のゴングを鳴らした。

 

「そんじゃ、行ってくる。」

 

 

 

 

side:伊達

 

 

3ラウンドのスパーリングが終わった。

 

結果は俺がノーダウンでヴォルグが2回のダウン。

 

今回はハートブレイクショットを使わなかったが、それでもまだまだ詰めが甘いぜ。

 

こんな出来じゃ、リカルド・マルチネスには通用しねぇな。

 

そう思いながら汗を拭いていると、ヴォルグがこっちにやって来た。

 

「『ありがとう、エージ。いいスパーリングだったよ。』」

 

2回のダウンは折り込み済ってか?

 

ますます生意気な野郎だ。

 

少しは幕ノ内を見習え。

 

「『エイジ、私のボクサーは君のスパーリングパートナーになる資格があるかな?』」

 

ラムダは確信を持った顔で聞いてきやがる。

 

師弟揃って可愛い気がねぇな。

 

「『あぁ、合格だ。明日からもよろしく頼むぜ。』」

 

そう言うと二人は微笑む。

 

おい、沖田。

 

不満そうな顔をしてねぇで、お前もヴォルグとスパーリングしやがれ。

 

ったく、イーグルとのスパーリングで成長はしたが、変なところで遠慮するのは変わらねぇ。

 

先が思いやられるぜ。

 

沖田、俺はお前に期待してるんだ。

 

だから、宮田と戦ったらさっさと上がってこいよ。

 

今のお前なら東洋はおろか、世界だって目指せるんだからな。




これで本日の投稿は終わりです。

また来週お会いしましょう。

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