目が覚めたらスラムでした   作:ネコガミ

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本日投稿1話目です。


第70話『黄金の鷲の一撃』

side:イーグル

 

 

4ラウンド目が始まるとブライアンは足を使い出した。

 

その速さは僕がスパーリングパートナーにした軽量級の選手をも上回り、即座には対応出来ない。

 

4ラウンド目は捨てる覚悟をする。

 

一刻も早くこの速さに慣れなければならない。

 

激しい出入りの中に緩急を混ぜられ、僕のリズムは何度も崩されてしまう。

 

その度にジャブとワンツーを打って修正していく。

 

4ラウンド目が終わっても対応の確信が持てない。

 

そろそろ勝負を仕掛けたいが、確信を持てない以上は5ラウンド目も捨てる覚悟をする。

 

その事を伝えるとダンも頷いた。

 

「主の好きにすればいい。だが、そう長くは持たぬ事を自覚しておけ。」

 

如何に鍛え上げてきたとはいえ、ブライアンのボディーブローを何度も受けてしまっている。

 

ダンの言う通りにそう長くは持たないだろう。

 

右拳に目を向ける。

 

『飛燕』に熟すために鍛えたリストがもたらした副産物のニューブロー。

 

これの為に1ラウンドから積み上げてきた戦略。

 

持ってくれよ…僕の身体。

 

 

◆

 

 

side:ホーク

 

 

4ラウンド目から足を使い始めると、試合は俺のペースになった。

 

鷹村との試合で一番印象に残っているのはあの4ラウンドの時だが、あれは俺のスタイルじゃねぇからな。

 

そう考えて俺は足を使う事を選んだ。

 

4ラウンド目は終始デビッドを振り回し、5ラウンド目にはダウンも奪った。

 

だがデビッドの目は死んじゃいねぇ。

 

何かはわからねぇが狙ってやがるな。

 

5ラウンド終了後のインターバルでミゲルもその事を伝えてきた。

 

おそらくは次のラウンドで仕掛けてくるってな。

 

さて…何をやってくるんだろうな?

 

 

◆

 

 

side:イーグル

 

 

6ラウンド目。

 

ブライアンのボディーが効き始めている。

 

動けても次のラウンドまでだろう。

 

だからこのラウンドで仕掛ける!

 

おそらくブライアンは察している筈だ。

 

だからこそいつも通りを心掛ける。

 

ジャブ。

 

避けられた。

 

ワンツー。

 

これも完璧に避けられた。

 

僕のパンチに慣れられたのだろう。

 

ブライアン相手に1ラウンドからずっと打ち続けていればそれも仕方ない。

 

だが、だからこそニューブローを打ち込めるチャンスだ。

 

足を使うブライアンに心まで振り回されない様に気を付ける。

 

1発、2発とブライアンのパンチをくらい足が震える。

 

まだだ!

 

まだ、僕は全力を出し切っていない!

 

6ラウンド目の1分が経過したタイミングで、一息吐ける瞬間が訪れる。

 

…ここだ!

 

ブライアンが予想通りに踏み込んでくる。

 

ジャブ。

 

避けられた。

 

想定通り。

 

ここで僕はストレートを打たずに、手首を捻って溜めを作る。

 

それが一瞬の間を作り、ブライアンへのフェイントになった。

 

あぁ…まるで世界がスローモーションになった様によく見える。

 

ブライアンが驚いて目を見開いている。

 

溜めを作った右拳を捻り込みながら打ち込む。

 

これが僕のニューブロー…コークスクリューブローだ!

 

 

◆

 

 

side:ホーク

 

 

やられた。

 

リングに膝をつきながらそう思う。

 

初めてのダウン。

 

だが、思ったよりも冷静な俺がいた。

 

「ブライアン!」

 

真理の声が聞こえる。

 

カウント7で立ち上がり構えた。

 

足元がフワフワしてやがる。

 

でも、頭は妙にスッキリしてるぜ。

 

「ホーク、やれるか?」

「あぁ、問題ねぇよ。」

 

レフェリーに返事をしながらデビッドに目を向ける。

 

今ならわかる。

 

全部あの一発の為だったんだな。

 

よくもまぁ、そこまで考えて試合が出来るもんだ。

 

俺には真似出来ねぇよ。

 

だけどよ、勝つのは俺だ。

 

行くぜ…デビッド!




本日は2話投稿します。

次の投稿は9:00の予定です。
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