目が覚めたらスラムでした   作:ネコガミ

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本日投稿1話目です。


第70話『黄金の鷲の一撃』

side:イーグル

 

 

4ラウンド目が始まるとブライアンは足を使い出した。

 

その速さは僕がスパーリングパートナーにした軽量級の選手をも上回り、即座には対応出来ない。

 

4ラウンド目は捨てる覚悟をする。

 

一刻も早くこの速さに慣れなければならない。

 

激しい出入りの中に緩急を混ぜられ、僕のリズムは何度も崩されてしまう。

 

その度にジャブとワンツーを打って修正していく。

 

4ラウンド目が終わっても対応の確信が持てない。

 

そろそろ勝負を仕掛けたいが、確信を持てない以上は5ラウンド目も捨てる覚悟をする。

 

その事を伝えるとダンも頷いた。

 

「主の好きにすればいい。だが、そう長くは持たぬ事を自覚しておけ。」

 

如何に鍛え上げてきたとはいえ、ブライアンのボディーブローを何度も受けてしまっている。

 

ダンの言う通りにそう長くは持たないだろう。

 

右拳に目を向ける。

 

『飛燕』に熟すために鍛えたリストがもたらした副産物のニューブロー。

 

これの為に1ラウンドから積み上げてきた戦略。

 

持ってくれよ…僕の身体。

 

 

 

 

side:ホーク

 

 

4ラウンド目から足を使い始めると、試合は俺のペースになった。

 

鷹村との試合で一番印象に残っているのはあの4ラウンドの時だが、あれは俺のスタイルじゃねぇからな。

 

そう考えて俺は足を使う事を選んだ。

 

4ラウンド目は終始デビッドを振り回し、5ラウンド目にはダウンも奪った。

 

だがデビッドの目は死んじゃいねぇ。

 

何かはわからねぇが狙ってやがるな。

 

5ラウンド終了後のインターバルでミゲルもその事を伝えてきた。

 

おそらくは次のラウンドで仕掛けてくるってな。

 

さて…何をやってくるんだろうな?

 

 

 

 

side:イーグル

 

 

6ラウンド目。

 

ブライアンのボディーが効き始めている。

 

動けても次のラウンドまでだろう。

 

だからこのラウンドで仕掛ける!

 

おそらくブライアンは察している筈だ。

 

だからこそいつも通りを心掛ける。

 

ジャブ。

 

避けられた。

 

ワンツー。

 

これも完璧に避けられた。

 

僕のパンチに慣れられたのだろう。

 

ブライアン相手に1ラウンドからずっと打ち続けていればそれも仕方ない。

 

だが、だからこそニューブローを打ち込めるチャンスだ。

 

足を使うブライアンに心まで振り回されない様に気を付ける。

 

1発、2発とブライアンのパンチをくらい足が震える。

 

まだだ!

 

まだ、僕は全力を出し切っていない!

 

6ラウンド目の1分が経過したタイミングで、一息付ける瞬間が訪れる。

 

…ここだ!

 

ブライアンが予想通りに踏み込んでくる。

 

ジャブ。

 

避けられた。

 

想定通り。

 

ここで僕はストレートを打たずに、手首を捻って溜めを作る。

 

それが一瞬の間を作り、ブライアンへのフェイントになった。

 

あぁ…まるで世界がスローモーションになった様によく見える。

 

ブライアンが驚いて目を見開いている。

 

溜めを作った右拳を捻り込みながら打ち込む。

 

これが僕のニューブロー…コークスクリューブローだ!

 

 

 

 

side:ホーク

 

 

やられた。

 

リングに膝をつきながらそう思う。

 

初めてのダウン。

 

だが、思ったよりも冷静な俺がいた。

 

「ブライアン!」

 

真理の声が聞こえる。

 

カウント7で立ち上がり構えた。

 

足元がフワフワしてやがる。

 

でも、頭は妙にスッキリしてるぜ。

 

「ホーク、やれるか?」

「あぁ、問題ねぇよ。」

 

レフェリーに返事をしながらデビッドに目を向ける。

 

今ならわかる。

 

全部あの一発の為だったんだな。

 

よくもまぁ、そこまで考えて試合が出来るもんだ。

 

俺には真似出来ねぇよ。

 

だけどよ、勝つのは俺だ。

 

行くぜ…デビッド!




本日は2話投稿します。

次の投稿は9:00の予定です。

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