暑さへの耐性をお願いした筈が炎熱アンチになったんだが? 作:黒三葉サンダー
そして注意喚起!!今回はこの作品一番のご都合展開が発生する!!
皆!!常識や真面さ!そして正論は捨てたな!?行くぞぉぉぉ!!
何やら最近恐竜達が一定方向を見つめる珍事件が発生している。じゃれついてくるヴェロキラプトル達の頭や首を撫でながら俺も空を眺める。相も変わらず夕暮れのような空だ。たまに活火山が噴火したり大きな地震が起きたりするくらいの平和な日々だ。
炎を扱える恐竜達も流石にマグマには敵わない為、マグマ流出の際は俺が地面を砕いたりして塞き止め作業染みた事をやっている。そろそろ白亜紀も危険かもしれん。氷河期なんぞ来たら生き残れる自信がない。食い物無さそうだし。氷で腹は満たされないよなぁ……。
それにこの世界は気に入ってるので出来ることなら恐竜達の全滅は防いでやりたいのだ。環境保護団体ならぬ恐竜保護団体。ジュラ〇ックパークかな?
「おーよしよし!お前らはいつも可愛いなぁ!うりうり~」
じゃれついてくるラプトル達に癒されながらも、肌にはビシビシと嫌な感じが伝わっている。無論ラプトル達からではなく、次元の向こう側。覚えのある感覚だ。恐らくジュエルシードと金髪っ娘の母親のものだろう。まったく俺の体の優秀さも困ったものである。一般人で良かったんやで女神様。それだったら今頃普通の人間生活をエンジョイ出来てただろうに。まぁこの生活ももう馴れたし、飽きることはないから良しとしよう!
それよりも先程から地震がウザったい。揺れる度にラプトル達はおろかブラキオやトリケラも怯えるんだぞ!いい加減にしろ!(憤慨)
……はぁ、仕方ない。気は進まないけど行くか。
全ては恐竜達の安寧の為に!そして俺のストレス発散の為に!!
「ロキ!今回も頼むぜ!」
ラプトル達を森へ帰すと、入れ替わりで森から大型バイクが自立走行してくる。そう、実はこのバイクは自立走行が可能なのだ!これに気付いたのは二日前だ。いやー、あの時はビックリしたよ。呼んだら来ないかな?なんてアホな考えで適当に呟いてみたら勝手に走り出すんだもの。その時以来このバイクの名前はロキになったのだ。トリックスターの異名を得たバイクさんは絶好調である。
ロキに跨がってスロットルを回しエンジンを吹かす。やる気は充分だな。これなら難なく突撃出来そうだ。
「銀河の果てまで!突撃ラブハァァァァァト!!」
ブォン!!ゴォォォォ!!パリーン!!
こうして俺はまた次元の壁を突き破って走行を開始した。
──────────
「無駄弾を使う必要はないよ。ここは僕が────」
「っ!!クロノ君!下がって!!誰かくるよ!!」
「なに!?」
パリーン!!という音と共にこんにちは!!お邪魔するぜボーイズ&ガール!!
っておん?なんかロボットみたいなのいるな!取り敢えず止まれないんで轢くか。
着陸時に数体のロボットっぽいのを轢き壊して停車する。弁償はしない。そんな金は持ってないからな!
「邪魔するぞお三方」
「お前は……!?」
「そのバイク……もしかしてあの時の暖かい人?」
「間違いないよなのは!魔力反応が一緒だ!」
「む?」
なんか皆斬新な反応なんだけど……そんなおかしい所でも……は!?
鎧を!着ていないではないか!!
通りでマジマジと見られている筈だ!いや!止めて見ないで!そんなイカした顔してないの!
今からでも鎧を展開すれば……!
「あの!あの時はありがとうございました!」
内心慌てて鎧を展開しようとしていると、なのはと呼ばれた白い娘が俺に向かってぺこりと頭を下げてきた。
唐突なお礼に面食らう。やっぱ良い娘ではないか。素直にお礼が言える奴なんてこの世に一体どれ程いるものか……!
むしろ感謝したいのは此方の方だというのに。
「あー!もうやめだ!変なキャラ作りはやっぱ無理!」
「え?え?あの?」
「なのはちゃんだっけ?こっちこそありがとう。君のお陰で良い夢が見れたよ」
バイクから降りると二人の少年が警戒を顕にするが、なのはちゃんの制止のお陰で襲い掛かってくることはなさそうだ。
「まぁ落ち着けって。敵対するつもりはないよ」
「じゃあ何の目的でここに来た?」
「目的?そりゃ地震がウザったいから止めに来たんだ。ここだろ?その原因」
「次元震のことか」
次元震?あぁ、次元の地震ってことか。なんか色々と詳しそうな少年だな。後でお話をしたく思うぞ。余りにも俺の所持している情報が少なすぎるし、そろそろ本格的に動かないといけんでしょ。………5年経ってるけど。
「あっ!後ろ!!」
「おっと」
どうやら会話に夢中になりすぎたようだ。なのはちゃんの注意を受けた俺は後ろで剣を振り下ろそうとしていたロボット擬きに振り向き拳を叩きつける!
すると殴られた擬きの上半身が吹き飛び、上半身は他の擬きどもを巻き込んで飛んでいった。
「す、素手で傀儡兵を倒した……!」
「す、すごいの……」
「そんなバカな……」
まさに三者三様である。まぁでもティラノよりは強いな。ティラノ以上ビックティラノ以下だな。ビックティラノの戦闘力おかしくね?やっぱりあいつはパーティを組んで倒すべきレイドボスだったんだよ!
「さて、俺も手を貸そう!多少は力になるぜ?」
さっさとこのクソッタレな地震を終わらせようか。
──────────
次々と襲い掛かってくる傀儡兵(ロボット擬き)をねじ伏せながらフィールド内を進む。今回はロキは置いてきた。あいつはこの先の戦いに付いていけない……いや冗談よ?ロキには待機してもらってるだけだ。通路が狭いからね。周りを壊しながら進むにもちょっとなのはちゃん達が危ないので仕方無い処置なのだ。
ロキ!おとなしくしてるんやで!
「にしても数が多いな。ここのボスは財力があるのか」
「こいつらは魔力で作られたゴーレムみたいなものさ。ここに突入するまでに少なくとも80以上は越えてる」
「ははぁ……よくそんなところに3人で行こうとしたもんだ」
クロノ少年から得られた情報に辟易する。マジでよくこんな人数で行こうとか思ったな。
飛んでくる剣をキャッチしてピッチャー返しをしてやる。返した剣は綺麗に頭を貫いて動かなくなった。デッドボール!!
「先に突入した時空管理局員が皆やられたんだ。仕方無い」
「あらら……なんとも、まぁ」
ご愁傷さまである。あ、因みに現在はなのはちゃんとユーノ少年とは別行動だ。なのはちゃん達にはこの船(信じられない事に庭園らしい)の動力炉を止めてもらうために分かれ道で送り出したのだ。と言うわけで今はクロノ少年とのタッグでボスの元へと向かっている。初めは俺が動力炉を止めようか聞いたんだけど、「お前じゃ船ごと動力炉を壊しそうだから駄目だ」って停止食らっちゃったんだよね。いやはや残念。俺の行動はクロノ少年にモロバレだったらしい。
「……僕はまだお前を信じた訳じゃない。お前にはフェイト・テスタロッサを逃がした共犯罪がかけられている。だからこそお前は僕と一緒に行動させてるんだ」
「酷いなぁクロノ少年。美少女と美女は国の宝だよ?それに助けなきゃ金髪っ娘はあの紫色の雷に打たれていた。俺がやったことは間違いじゃないと思うけどな?」
可愛いは正義。その正義を犯すものがいるのならば俺が排除しようではないか。
それにあの時点で金髪っ娘が犯罪者だなんて分かるわけないじゃないか!まぁ助けたことは一切後悔してないけどね!
それよりも俺がまさかの共犯罪とは。あの世界に逃げ込めば勝ちじゃね?
「まぁ惚れた女を守りたいっていうクロノ少年の気持ちは大いに尊重しますけどね?」
「な!?ぼ、僕は別になのはに惚れてなんか!!」
「わっはっは!俺はなのはちゃんの名前は出してないぞクロノ少年!ボロを出したな!」
「っ!!この……!!」
顔を真っ赤にして魔法を打ち込んでくるクロノ少年。しかしそんな魔法ではティラノ一匹殺せんぞ!
直情的に飛んできた魔法をガントレットに炎を流し込んで握り潰す。ふはは!脆弱脆弱ぅ!!
「まだまだ未熟だなクロノ少年!精進あるのみ!」
「くっ!ほんとなんなんだこいつは……!」
「まぁ落ち着け。取り敢えずはそのプレシアなる者を捕まえようじゃないか!それが目的なんだろ?」
「ふんっ!そんなことわかってる!さっさと行くぞ!」
完全に不貞腐れてしまったクロノ少年。なんやこの少年めっちゃ面白いな。それに実力は本物だ。魔境で生き抜いた俺だから出来たものの、あの速度と威力の魔法は他の奴なら充分驚異だろう。実際傀儡兵を何体も貫きながら進んでいるのだから。
まぁなんだ、相手が悪かったな!
傀儡兵をクロノ少年と二人で倒しながら進んでいくと、少し広い場所へと出た。しかしそこには沢山の傀儡兵が待機している。んー、ざっと数えた感じ30体くらいか?
「おいおい、どうするよクロノ少年。強行突破しちゃうか?」
「そうするしかない。多分あそこを抜ければすぐプレシアの所へ着くだろう」
クロノ少年が杖を構え、俺も肩を回していると後ろから足音が多数聞こえてくる。どうやら挟み撃ちのようだ。流石にクロノ少年には負担が過ぎるか?
「おいおいおい、後ろからも沢山来たぞ?」
「くっ……こんなときに……!」
本当にもうすぐなんだろう。先程から揺れも増えてきたし、早くクロノ少年をプレシアの所へ送らねばなるまい。なら取る行動は一つだよなぁ?
俺は別に美少女と美女だけに優しい訳ではないぜ?
「おっし!クロノ少年!俺の後に続きな!道を作ってやる!」
「……仕方無いか、頼んだ」
「頼まれた!」
本当なら爆炎かませば1発なんだろうけど、熱に耐性のないクロノ少年が火傷する可能性があるので却下。故にバカ真面目に正面突破が正攻法!!
クロノ少年が追い付けそうな速度で走りだし、傀儡兵の群れに一人で突っ込む!斧を振り下ろしてくる傀儡兵の腕をもぎ取り、奪い取った斧を横一閃し傀儡兵どもをまるごとぶった切る!それでも道を塞ぐ奴等に斧を槍投げの要領でぶん投げて粉砕する!
これで道は出来た!
「さぁ行けクロノ少年!君が一番乗りだ!!」
「待て!お前はどうする気だ!!」
通路の向こう側へとクロノ少年を押し込めると、道を塞ぐように俺が立ち塞がる。んー、増援がまだまだ来そうだ。倒し損なった分も合わせて60体ほどか?
「俺はここであいつらを食い止める。クロノ少年は思う存分プレシア確保に集中するといい」
「バカか!あの数相手に一人で戦えるもんか!僕も一緒に!」
「わっはっは!あんまりお兄さんを嘗めるでない!あれくらいビックティラノに比べりゃ虫以下よ!それよりもプレシア確保頼むぜ相棒?」
「……!誰が相棒だ!僕はお前とタッグを組んだ覚えはない!さっさと捕まえてやるさ!……死ぬんじゃないぞ!」
「はっ!任せとけ!」
クロノ少年の足音が遠ざかって行くのを確認して、通路の天井を壊して道を物理的に塞ぐ。我が行く道に退路なし!敵前逃亡などもっての他!皆が帰りやすいようにお前ら纏めて潰してくれるわ!
「さぁさ祭りの始まりだ!今ならクロノ少年もいないから多少出力を上げても問題ないな!!」
体中から噴き出す炎の出力が上昇する。止まることを知らない急激な温度上昇により壁や床が少しずつ溶けていく。その対象は傀儡兵とて例外ではない。魔導バリアだかなんだか知らないが、上から押し込めば関係ねぇだろ!!
「吹き飛べやぁ!!」
右手に炎を収束させ、一気に解き放つ!!
解き放たれた爆炎は射線上の傀儡兵を全て呑み込んで突き進み、大爆発を起こしたのだった。
────────────
至るところが高熱によって溶けてしまい、最早傀儡兵の跡形すら残ってはいない。あれからも途切れることのない傀儡兵との戦いに少し辟易していた俺としては漸く終わってスッキリした。
その代わり地震が止まらない。傀儡兵が止まったことも考えると恐らくなのはちゃんが成し遂げたのだろう。魔砲少女様々である。
さて、クロノ少年の後を追うとしよう。
「ロキ!待たせたな!おいで!」
ぶっちゃけこの距離で聞こえるのか自信はないが、何となく届く気がしたので呼んでみる。あとは塞いだ道を殴って開ける。
少し待っていると遠くからエンジン音が聞こえてきた。マジで聞こえたのか……!(震え)
待ってました!と言わんばかりに勢いよく走ってきたロキは俺の前で華麗に車体を横に構えて停車する。なんだこのバイク!?
「おっしゃあ!フルスロットルで行くぜロキ!」
ブォン!!ブォン!!
まるで返事をするかのように2回ほどエンジンが鳴る。やる気充分!ガンガン飛ばすぜぇ!!
スロットルをフルに回し文字通り爆走を開始する!
道中瓦礫なんかも落ちているがロキには関係ねぇ!踏み潰して行けばいい!!
「この速さ!!この力強さ!!たまらんなぁ!!」
中々の速度を出しているロキだとあっという間に目的地へとたどり着く。ん?あれは金髪っ娘ではないか。それになんぞ見たことのない美人さんが2名。ケモっぽい人と黒髪のレディだ。あ、クロノ少年めっけ!
「待たせたな!クロノ少年!」
「!ふん!生きてたみたいだな!」
「ひでぇ言い草だ!」
「あなたはこの前の!?」
「あの時の不審者!?」
「はぁい金髪っ娘!話に聞いてたよりも元気そうで何よりだ!そんで俺を不審者呼ばわりするそちらのレディはもしや……あの時のワンコか!!」
こりゃたまげたなぁ……大型犬だと思ってたら実はケモっ娘だったとは。罪深い世界だ!でもそこがいい!ケモっ娘はいいぞ!思わずケモっ娘にサムズアップ!しかしケモっ娘に睨まれてしまった!
「何してるんだお前は……」
「ケモっ娘っていい文明だと思わないか?クロノ少年」
「頼むから僕に振らないでくれ」
「つれないな……俺とクロノ少年の仲じゃないか!」
「そんな仲になった覚えはない!!」
「そんなバカな!?」
酷いやクロノ少年!俺を裏切ったな!
「……なんかこの前とは違う……」
「そ、そうだね……なんかバカっぽいっていうか」
おふっ!なんかケモっ娘にディスられてる!金髪っ娘は困惑してるし!
まぁ前とまるっきり性格違うし戸惑うのも仕方無し。てかそろそろ黒髪レディを相手しないと不味い。さっきから怒りのような感情が伺える!
「お前のせいでっ!お前のせいで失敗したのだ!!どいつもこいつも邪魔ばかりして!!」
「えぇ……いきなり責任転嫁されてもなぁ……」
そんなヒステリックにならんと、一回落ち着いて話しましょうや。ね?奥さん。
「もう諦めろ!プレシア・テスタロッサ!アルハザードなんて存在しない!お前の計画は初めから頓挫してたんだ!」
「五月蠅い!私はアルハザードへ行かなければいけない!アルハザードの失われた魔法技術ならこの子を、アリシアを蘇らせる事が出来る!あぁ……アリシア……私の愛しい娘……」
「母さん……」
プレシアの言葉に金髪っ娘が悲しそうに手を伸ばす。
アリシア?あのカプセルに入ってる娘か。……金髪っ娘そっくりだな。なるほど。プレシアは娘を蘇らせる為にそのアルハザードって所に行こうとしてるのか。
んでクロノ少年いわくアルハザードは存在しないと。都市伝説みたいなのか。
「アルハザードへの道はすぐそこなのよ。もう誰にも邪魔させないわ!」
「母さん……もうやめよう?あの時の、昔の母さんに戻って……」
「ふん。人形に何を言われようとも私の心は変わらない!さっさと消えなさい!」
「……」
……なるほどねぇ。
「なら俺が探して来てやるぜ?そのアルハザードってやつをさ」
「はぁ!?お前は何を言い出すんだ!?言っただろう!アルハザードは存在しない!ただの根も葉もない噂だ!」
「ばっかクロノ少年!そんなん探してみないとわかんねぇだろ?任せろって、こう見えても俺はトレジャーハントには自信があるんだ」
何なら俺の装備全部トレジャーハントしたものだからな!わっはっは!
しかしそんな提案もプレシアに睨まれるだけだった。
「部外者は黙ってなさい!お前なんかの力は必要ないわ!」
「まぁそう言いなさんな奥さん。ぶっちゃけ今の行動のその先に未来はないっすよ?」
「そんなものいらないわ!アリシアさえ!アリシアさえ蘇らせられるなら!私はどんな方法を使ってでも!」
えぇ……そのどんな方法には俺を使うってのはないんすね奥さん。いやまぁただの口約束になるし、そもそも時空管理局員と一緒に行動してる時点で信用はされないか。でも金髪っ娘のあの顔は無視出来んしなぁ……
「もうこんな茶番は終わりよ。さぁ一緒に行きましょうアリシア……」
プレシアが持っていた杖を振り下ろすと、元々ひび割れていた床がどんどん崩壊していく。いきなり急展開過ぎやしませんかね!?なに!?ちょっと空気壊しすぎた!?
「っ!母さん!!」
「あぁ……アリシア……私の愛しいアリシア……もう2度と離さないわ……」
アリシアちゃんの入ったカプセルと共に次元の海へと落ちていくプレシア。金髪っ娘が手を伸ばすもその手は届くことはない。
普通ならこれでおしまいだろう。あとは皆を連れて脱出するだけ────────
なんて後味悪すぎるよなぁ?
瞬時にスロットルを回し、プレシアが落ちていった次元の海へと飛び出す!
目指すは標的の回収!及び都市伝説アルハザードの発見!!
「は?お、おい!!何処にいく!!」
「可愛い女の子の悲しそうな顔は見たくないんでね!!」
未だに手を伸ばしていた金髪っ娘、フェイトちゃんとすれ違い様に視線が合う。フェイトちゃんは俺の行動を見て驚いていたので、ついノリでウィンクをして落ちていくプレシアの元へとバイクを走らせる!
虚数だか虚空だか知らねぇが!俺の邪魔はさせねぇぜ!
炎路を作り出して再び爆走!すぐさま二人の下に潜り込んでプレシアとカプセルをキャッチ!流石にこれは辛い!!炎路が消えていくのも予想より遥かに速い!
「な、なに!!またお前か!!まだ邪魔を───」
「何度だって邪魔してやるさ!フェイトちゃんにも本心を告げられないような臆病者は特にな!!」
「何を言って!?」
「こちとら5年以上ラプトル達とコミュニケーション取ってんだ!相手の本心くらい簡単に読み取れる!それに!」
困惑するプレシアへも俺流スマイルをプレゼント!
「美人さんが困ってるなら助けない理由はないさ!」
「わ、私は……私は……!」
上空にクロノ少年とフェイトちゃん、ケモっ娘になのはちゃん達の姿も見える!この距離なら届く!!信じろ俺の上腕二頭筋!!
「クロノ少年!!フェイトちゃん!!受けとれぇぇ!!」
全力でアリシアちゃんの入ったカプセルをクロノ少年へとぶん投げる!クロノ少年は慌てながらもしっかりとカプセルをキャッチ!落としそうになるもユーノ少年が一緒に支えてくれた!
続いてプレシアを両腕をフルに酷使して胴上げをするときの要領でぶん投げる!こちらもフェイトちゃんとケモっ娘がキャッチ!お前ら最高かよぉ!!
「うぉ!?やべっ!!」
流石に時間をかけすぎた!!車体が持っていかれる!!
「あっ!!今助けに!!」
「来なくていい!!」
此方へと迷わず助けに来ようとしてくれるなのはちゃんを制止させる。俺だからこれで済んでるのだ。流石になのはちゃんでは耐えられまい。それになのはちゃんは人間で俺は人外。人外ならば不可能はない!!
「なのはちゃん!!今度は二人でドライブにでも行こうぜ!!お兄さんとデートと洒落込もうじゃないか!!」
「お兄さん!?そんなこと言ってる場合じゃ!!」
「なぁに問題ないさ!!だから皆と先に脱出しなさい!!早く!!」
「嫌です!!置いてくなんて出来ません!!」
尚も此方に来ようとするなのはちゃんをユーノ少年達が連れていく。その際に遠くからでもしっかり見えた。
おいおい、こんな見ず知らずのお兄さん相手に泣いてくれるのかい。本当に良い娘だ……フェイトちゃんやクロノ少年、ユーノ少年と仲良くするんだぞ!
「さて……行くかロキ。約束は守らないとな?二つとも!」
ブォン!!
高らかにエンジン音を響かせるロキが何とも頼もしい。
そんじゃあ行こうじゃないか!!一筋の光の元へ!!
─────────────
プレシア・テスタロッサの事件から数日後、私達はいろんな事があったの。フェイトちゃんのお母さんはリンディさんに連れていかれて、フェイトちゃんやアルフさんとは別の部屋へと隔離されちゃったみたいなの。
クロノ君はフェイトちゃんは何も知らずに利用されてただけだから殆ど無罪で済むって言ってたけど、フェイトちゃんのお母さんは数百年の幽閉になるだろうって言ってた。リンディさん達からはユーノ君と一緒に表彰されてちょっと緊張しちゃった。
これで全部おわり。だけど未だにお兄さんは帰って来てないの。お兄さんは最後まで笑顔だった。あの時お兄さんを助けに行ってれば助けられたかもしれない。今でもそう思うけど、反対に無理だとも分かってた。あの空間じゃ飛行魔法は使えなくなっちゃう。私が行っても助けることは出来なかった。クロノ君は気にするなって言ってたけど、そんなの無理だよ……
「なのは……大丈夫?」
「ユーノ君……」
お部屋で膝を抱えて座ってた私を心配して、ユーノ君が声を掛けてくれた。でも気分はやっぱり晴れない……
「大丈夫だよ、なのは。あの人はあんなに凄い人なんだ。きっと戻ってくるよ」
「……うん」
お兄さんは初めて会った時から不思議な人だった。何となくだけど、お兄さんを見ていると心がポカポカしたの。自然とお兄さんを敵じゃないと信じた私はお兄さんにジュエルシードを封印するためにお手伝いをお願いした。いきなり無茶なこと言ってるなぁとは思ったけど、お兄さんは少し迷った後に協力してくれた。その時のお兄さんは凄かった。パンチだけで暴走するジュエルシードを止めてしまった時は唖然としちゃった。
そのあとまた暴走しちゃったけど、フェイトちゃんと力を合わせて封印することが出来た。でもすぐにお兄さんがフェイトちゃんをバイクの後ろに乗せて走り出した時はビックリしたのを覚えてる。フェイトちゃんを守るためだったのは分かったけど、少し羨ましかった。その視線に気付いてたから、もしかしたらお兄さんは最後にあんなことを言ったのかも知れない。
お兄さん……早く帰って来てね……
─────────
「フェイト、大丈夫?」
「うん。大丈夫だよアルフ」
心配してくれるアルフの頭を撫でる。アルフは少しくすぐったそうだ。けれどアルフの心配そうな目は治っていない。それもそうか。時々ため息を溢している私のせいだ。
考えることはあの人のこと。初めて会った時は胡散臭い相手だと思った。どこか芝居かかった台詞に行動。信用できない相手だと思っていた。
そんな人に私は二度も助けられた。一度目は母さんの魔法から。アルフを振り切ってこっちに来た時に反撃しようとしたらあれよあれよと捕まって優しく後ろへと乗せられてしまった。あの時はそんな行動に全く理解が追い付かなかったけど、母さんからの魔法攻撃から私を助けてくれていたということに気付いた。あまりにも速いスピードで走るものだから、思わずギュッと抱きついていたのを覚えている。………今思い出すと少し恥ずかしい。多分今の私の顔は赤くなってるに違いない。
二度目は私というよりも母さんを助けてくれた時。
あの時あの人は迷うことなく母さんを助けるために飛び出していった。この時には既に前のあの人とは全く別の性格になっていたけれど、きっとこっちの方があの人の素なんだろう。すれ違い様に視線が合った時に、あの人はウィンクをして笑顔で降りていった。今思い出しても少しドキドキする。そしてあの人は母さん達を救い上げてくれたのだ。……でも、あの人はそのまま次元の海へと消えていってしまった。白い服の子が泣きながら助けに行こうとしていたのを見て私もとても辛かった。
結局あの人はまだ帰ってきていないのだろう。早く帰って来てほしい……またあの笑顔を見せてほしい……
私は本気でそう思っていた。
──────────
自室で今回の事件の資料を纏める。今回のプレシア・テスタロッサが起こした事件は重罪だ。けど僕はほんの少しだけ彼女の気持ちが理解出来る。
本当にアルハザードがあるのなら……
いや、止めよう。そんな事を今更考えた所で何も意味はない。過去は変えられないし、死人は蘇らせる事は出来ない。それはよく分かってる筈だ。僕も、プレシアも。
……まぁそれでもあのバカはそんな都市伝説でも探しているのだろう。
今考えてもあいつは色々おかしかった。バイクだけで次元を越えてきたり、異常なまでの保有魔力だったり、あろうことか素手でロストロギアの暴走を止めたり。まるで人間ではない。
先の時の庭園でもそうだ。いきなり現れたと思ったら傀儡兵を撥ね飛ばすし、前回とは性格が全く変わってるし。それでも傀儡兵を素手でぶん殴ったあいつはそこだけは変わらなかった。ハッキリ言って強いって次元じゃない。勝負にすらならない。しかも信じられないことにあの第64管理外世界から来たと言うのだ。第64管理外世界はおおよそ人間が住める環境ではない。それこそ耐熱性スーツを来て漸く大丈夫になるくらいの温度なのだ。
初めはただのホラ吹きだと思っていた。けれどそれは間違いだった。
あいつの戦いを見て分かったのだ。あいつは本気で炎を使ってはいないと。それをハッキリと理解したのは脱出するときの通路だ。あいつが止まって戦っていたあの空間は異常だった。ドロドロに溶けて固まった壁や床。未だに熱を帯びている空気。そのどれもがあいつの火力が如何に異常なのかを証明していたのだ。
だからこそあいつが第64管理外世界から来たという言葉を信じざるを得なくなったのだ。まぁ今はまだその人物は戻って来てはいないのだが。
「相棒、か」
おふざけで言ってきたのだろうが、相棒と呼ばれたのは初めてだった。僕はこのアースラの切札だ。そう呼ばれる方がしっくりくる。今でもそれは変わらない。
……だけど、相棒というのも悪くはないかもしれない
そんな事を不覚にも思ってしまったのだ。
「……全く、早く戻ってこい。バカが」
──────────
「艦長!!後方より強力な魔力反応を確認しました!!こっちに向かって来てます!!」
「何ですって!?今すぐ退避を……!」
「退避間に合いません!!衝突します!!」
瞬間、アースラ内に大きな衝撃が走る!一体何がぶつかったと言うのか。アースラ艦長であるリンディ・ハラオウンは冷や汗を流す。もう全て終わったと思っていた矢先にこれだ。リンディ・ハラオウンが気にやむのも仕方ない。
「艦長!僕が見てきます!」
「えぇ、お願いクロノ!」
クロノ・ハラオウンはすぐさまブリッジから格納庫へと向かう。すると道中で同じく格納庫へと向かう二人の姿が見えた。なのはとユーノである。
「お前達!何をしてるんだ!」
「クロノ君!さっきの音ってこっちからだよね!」
「そうだけど、二人とも戻ってるんだ!何があるのかわからない!」
「私も行くよ!行かなきゃいけない気がするの!」
「頼むよクロノ!もし何かあったらなのはは僕が引っ張っていくから!」
なのはは何かを感じとり、ユーノは危険があればなのはを連れ戻すとクロノへと交渉する。クロノは少し悩んだ末に二人が同行するのを許可した。彼からしてみても二人は優秀な魔導士だ。連れていっても問題ないと判断したのだ。
「分かった。けれど変な事はするなよ!」
「うん!分かってる!」
「ありがとうクロノ!」
こうして3人は格納庫へと走り出した。そして彼らは出会う。バカと罵っていた相手が、助けられなかったと泣いた相手が、運命に振り回された少女が会いたいと願った相手が───────
「おっすクロノ少年!ユーノ少年!そしてなのはちゃん!待たせたな!アルハザードよりただいま帰還したぜ!!」
幻と呼ばれたアルハザードより帰ってきたのだ!!
反省も後悔もしていない。むしろ清々しい気分だ!