暑さへの耐性をお願いした筈が炎熱アンチになったんだが? 作:黒三葉サンダー
この男はところ構わず破壊する!!
「久しぶりだなぁお前ら!元気してか!」
「グルルゥ♪」
「ギャオン!」
「うわぁ!!かっわいい!!」
嘱託魔導師になってから初の休暇。
久しぶりに訪れたジュラシック・ワールド!もとい俺の故郷こと第64管理外世界!最近ようやっと仕事が落ち着いて来たんでせっかくなのでアリシアちゃんと一緒に一日だけの里帰りです。
え?アリシアちゃんは大丈夫なのかって?
あぁうん。本当は初めアースラに置いていく予定だったんだよ。でも前からアリシアちゃんに俺の故郷の話をしていたから「どうしても行きたいっ!」と駄々をこねられてしまい……仕方ないので炎熱耐性があるかを調べたんですわ。
結果は見ての通り。元気にラプトルに抱きついております。えぇ、どうやらこの子、俺の特性を引き継いでしまったみたいです。はい。
将来は俺と同じように熱血ファイター(物理)だな!
今後の成長が楽しみです。
「ルージュ兄さん!この子達凄く大人しいね!」
「うむ。こいつらは俺の従来の友だからな!アリシアちゃんが俺の関係者だと理解してるから大人しくしてるんだ」
ラプトル達もアリシアちゃんに抱きつかれてご満悦。わかるわかるぞ。アリシアちゃん可愛いし、やぁらかいからな。鍛えられた俺の体よりも心地良いだろお前ら。
これはこれでアリシアちゃんを連れてきて良かったのかも知れない。ある意味こういう経験が出来るのは俺とアリシアちゃんくらいだろうしね。
他の人なら火傷待ったなしの環境みたいだし、ここの恐竜達もこの世界の環境に適応し過ぎているので他の世界では温度差で生きていけないらしい。まさに貴重な体験である。
俺らとしても、恐竜達にしてもだ。
……まぁ個人的には。なら何でこの世界に人の居た痕跡があるのかとか、ビッグティラノが不自然に洞窟を守っていたのかとか、気になることは沢山あるけどね。
それに教官が言っていた古代ベルカ式と言うワード。結局教官からは古代ベルカ式というものを教えてもらうことは出来なかった。しかもクロノ少年に聞いても首を傾げるものだ。
……俺もしかして、曰く付きの何かを拾ったのだろうか。
「あっははは!速い速ーい♪」
「……ん?」
速い?
アリシアちゃんの声がした方を見てみると、アリシアちゃんがラプトルに乗って陸地を爆走していた!!
いつの間に!!?仲良くなるの早すぎぃ!!
アリシアちゃんには密かに[動物会話A+]のスキルを命名しておこう。
「あんまり遠くに行っちゃダメだぞー!?」
「はぁい!!」
楽しそうにラプトルを乗りこなして駆けていくアリシアちゃん。ううむ、何やらライダーへの適性がありそうだ。もうちょっと大きくなったらロキに乗せてみるのも良いかもしれない。何事も経験が大切だ。
なのはちゃんとのデートの約束もまだだし、今度時間があれば誘ってみるかな。ふふ、なのはちゃんもスピードに取り憑かれるやもしれんな!
「なぁ?お前もそう思わんか?」
「キュル?」
ラプトルは首を傾げるだけだった。
───────────
悲報:休暇を楽しんでいたら休日出勤になった
いやはや、何でもなのはちゃんがいる第97管理外世界こと地球でなんかトラブってるらしい。一応フェイトちゃん達も向かってるみたいだが、俺にも主戦力として向かってほしいそうだ。ぶっちゃけ過剰戦力になるんでは無かろうか?フェイトちゃんやユーノ少年も優秀な魔導師だと思うんだけど。
「と言うわけで、俺達もお仕事です」
「んむぅ?」
小さなお口いっぱいにティラノ肉を頬張るアリシアちゃん。中々豪快な齧り付きだ。ほっぺがリスみたいに膨れている。可愛い。ツンツンしたい。
「先に準備してるから、慌てずゆっくり食いなさいな」
「ん!」
洞窟から出ると辺りはすっかり暗くなってしまっている。空を見上げると、雲一つなく星空がハッキリと見える。
今日も星が綺麗だなぁ………
ロキに跨がってスロットルを回す。こんな時間でもヘソを曲げずに乗せていってくれるこいつには感謝しかない。流石は俺の次元渡りの相棒だ。
「悪いけど次も頼むぜ、ロキ」
任せろ!と言わんばかりにライトをチカチカと点滅させるロキに頼もしさを感じる。
満足するかは分からないがよーしよしとロキを撫でていると、食事が終わったアリシアちゃんが急いで飛び出してきた。
「ごめんなさい!遅れちゃった!」
「これくらいならまだ間に合う。すぐにいこう」
アリシアちゃんがサイドカーに乗ったのを確認して、地球へ向かう為にロキを走らせる。
やれやれ。地球は魔法関連が殆ど無いって聞いたんだけどね?
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「っ!?シグナム!何か来るぞ!」
「……分かっている。これは……!」
パリーン!!
「ヒャッハー!久しぶりのシャバだぁぁ!!」
「ひゃっはー♪」
あいも変わらず硝子を突き破るかのような音が堪らないぜっ!ってこら!アリシアちゃん!そんな言葉使いを女の子がしちゃいけません!
おー懐かしき日本の風景!並び立つビルの数々!社畜の作り出す幻想の光!
星の屑成就のために!ソロモンよ!私は帰ってきたぁぁぁ!!
「ルージュお兄さん!?」
「ごきげんようなのはちゃん!ってどしたのその格好!?レイジングハートまで!?」
我等が魔砲少女なのはちゃんが相棒のレイジングハート共々ボロボロになってしまっている!あの鉄壁っぷりをぶち抜いた奴が今回の敵ってことか。よくも俺の妹分をなぶってくれたものだ。是非ともお礼しなければ。
スゥッと俺の中でスイッチが切り替わるのが分かる。
「アリシアちゃん。なのはちゃんの側にいてあげてくれ。俺はフェイトちゃんの援護に行ってくる。もし敵からの攻撃がきたら遠慮なくやってかまわない」
「はい!気を付けてね?」
「ルージュお兄さん!フェイトちゃん達をお願いします!」
「任せろ」
なのはちゃんの近くに降りてロキを停めると、アリシアちゃんとロキをなのはちゃんの護衛に置いておく。ロキも俺の意図に気付いてくれているだろう。
なのはちゃんにコートを被せ、魔法で足場を作って空を跳ねる。本当なら飛行魔法を使った方が楽なんだろうけど、俺としてはこっちの方が簡単だったのだ。足場が出来る分力も入りやすいので意外と重宝する。
「待たせたなフェイトちゃん!力を貸そうか」
「ルージュさん!ごめんなさい。私……」
「気にするな。今回の相手が強いみたいだ」
心は燃えるが思考はクール。視界に映るのは何やらハンマーを持った赤い服の少女と目の前のキリッとした雰囲気のレディ、そしてアルフちゃんと向かい合っている青い犬。……犬?また犬かい!ってことはあれもケモだな!?
「……はん?まだいるな?微弱だけど魔力反応がする。影打ち要員か?」
「え?」
「……」
フェイトちゃんは気付いてなかったみたいだな。まぁ目の前のレディは強そうだし、相手してれば気付かないのも仕方ない。ほんとに微弱だし。多分戦闘要員じゃないな。
それにレディ?少しだけ眉が動いたぞ?それじゃあ図星だと言ってるようなものだぜ。
「……フェイトちゃん。手を貸すって言っておいて何だけど、まだ彼女と戦えるかな」
「……はい!大丈夫です!」
「じゃあ彼女の相手は引き続き君に任せる。俺は速やかに影打ち要員を排除する」
「そんな話を聞いて行かせると思っているのか?残念だがそこの少女では私には勝てないぞ?」
影打ち要員を叩きに行こうとすると中々の速度でポニテレディが俺の前に立ち塞がる。フェイトちゃんがすぐにポニテレディに向かおうとするが、それを一度手で制す。そして冷静にじっくりと相手を観察。きっと今の俺の視線はスカウターの如くピピピ!と相手をロックオンしてるはずだ。
ふむ……
「……恐ろしい程のプロポーションだな!鎧越しでも体のメリハリがわかるぞ!その年でそれは破壊力が凄いな!うむ眼福眼福」
「……なぁ!!?何処を見ているのだこの不埒者が!!」
流石に恥ずかしかったのか、ポニテレディは俺の視線から己のナイスバディを守るように手で隠す!うむ!その姿すら艶やかで扇情的に見える!恐ろしい相手だ!!
しかし隙だらけだぞ!!
「よし今のうちだフェイトちゃん!ここは任せた!」
「は、はい!……私もあれくらいになれればきっと……!」
「なに!?くっ!卑怯な!!」
明らかに調子を崩したポニテレディに攻撃を仕掛けるフェイトちゃん!しかし何故かその目はハイライトが無い!何処に行ってしまったのハイライトさん!!仕事よぉ!?
「「……クズがっ!」」
遠くで戦っている筈のワンコ2匹にも罵倒される始末。声的にあの青い犬は雄だな!?ケモっ娘じゃねぇのかよ!!ケモ野郎だったわ!!(憤慨)
とにかくフェイトちゃんがポニテレディを抑えてくれている間に微弱な魔力反応の元へ足場を作って駆ける!
しかしそうは簡単に行くまいな!?
「行かせるかぁ!!」
「むぅ!?」
「ルージュさん!!」
赤い服の少女が小さな鉄球みたいなものをフルスイングでかっ飛ばしてくる!そのどれもに中々強力な魔力が込められているようだ。
ユーノ少年が悲鳴染みた声で注意してくれるが、なぁにこれくらいなら問題ない。
「ふん!」
「はぁ!!?」
飛んできた鉄球を全て指で掴み取る!掴んだ鉄球はすぐに魔力を失った。持ち主は向こうなので返してあげることにする。
「キャッチボールは硬球かソフトボールでミットを用意してやりなさい!」
「ぐっ!!くそっ!!」
多少魔力を込めて投げると、赤い服の少女はすぐにバリアを張って少し踏ん張りながら弾いてしまった。ううむ残念。戦意を削ぐまでにはいかないか。
「うぉぉぉぉ!!」
「おっと?」
今度は上からケモ野郎が人型になって殴りかかってくる!振り向き様に拳を合わせるように此方も右腕でパンチを繰り出すと両者の拳が衝突する!
ぬっ!力強いなこいつ!でも俺の方が上だっ!
「うぉらぁぁぁ!!」
「ぬぐっ!?ぐっ!ぐぁぁぁぁ!!」
少し拮抗したが、結果として殴り合いは俺の勝ちだ。
ケモ野郎を殴り飛ばし、ケモ野郎の頑張りに思わずサムズアップ!
俺とお前の違いは!踏ん張れる足場があるかと!鍛え上げられた筋肉の差だ!!
筋肉イェイイェイ!!
違う!そんなことをしている場合ではない!!
「紫電一閃!!」
「ルージュさん!!あぶない!!」
「む?ぬぉぉぉ!?」
眼前に迫る強大な魔力を即座に危険と判断し、魔力と炎で腕をガッチガチにコーティングして受け止める!!
しかしその斬撃は予想以上の火力だったため、何とか受けきったものの左腕が斬られてパックリと開いてしまっている。
あ、あぶねぇ……少しでも遅れてたら俺の上半身と下半身が離婚するところだった……!!俺が結婚もしてねぇのにそんなこと許せるか!結婚しても許せるものか!お義父さん許しませんよ!?
「ルージュさん!!?」
「……!?化け物か……!」
「死ぬかと思ったわ!!」
ポニテレディが信じられないものを見るかのような目で俺を見るが、俺も信じられんわ!あんたら殺さないように戦ってたんじゃないんかい!!俺だけ手加減無しじゃねぇか!?まだプロポーションのこと気にしてるのかレディ!?
「な、なのはちゃん!!」
「む!?」
アリシアちゃんの悲鳴が聞こえた俺は出来るだけ目の前のレディから目を離さないように、なのはちゃんの方へと視線を向ける。するとそこにはスターライトブレイカーをチャージしたまま胸を手で貫かれたかのような彼女を発見した!
くそっ!!やられたっ!!
「スターライト……ブレイカー!!!」
それでもなのはちゃんはスターライトブレイカーを放ち、その驚異的な収束魔法は瞬時に結界を破壊した!
なのはちゃん……君のその姿は本当に尊敬する……!その姿に報いなければ!!
「アリシアちゃん!!魔力反応を追え!!」
「わ、わかった!!」
しかしアリシアちゃんを掻い潜ってくるとは!!
アリシアちゃんが急いで魔力反応を追って飛んでいくが、なのはちゃんを貫いていた手がまるで焦ったようになのはちゃんから引っこ抜かれた。その際に何か手に光るものを見た。
「なのは!!」
「なのはぁ!!」
「なのはちゃん!!」
なのはちゃんが倒れそうになるとすぐにロキが車体を傾けてなのはちゃんを出来るだけ優しく受け止めてくれた。今はロキに任せるか……!
「……私はヴォルケンリッターの騎士、シグナム。貴様、名前は?」
「……ルージュ・テスタロス。嘱託魔導師だ」
「テスタロスにテスタロッサか。その名前、覚えたぞ!」
燃え暴れだす心を何とか抑えつけて連中を睨み付けるが、連中はここを潮時を考えたのかすぐさま散り散りに飛んでいってしまった。今すぐにでも追っかけてやりたいが、今はそんなことよりもなのはちゃんが心配だ。
すぐになのはちゃんの元へと足場を作っていき、なのはちゃんに駆け寄って抱き起こす。左腕の痛みなど知ったことか!でも血がつかないように右腕だけを使う。
……魔力反応がか細くなっている?スターライトブレイカーの反動だけではないな。あの時の光か?
「なのは!!ルージュさん!!」
「今すぐ彼女を運ぼう。サイドカーに乗せるの手伝ってくれ!すぐに──ぐぅ!?」
「駄目ですお兄さん!!お兄さんもすぐに治療しないと!!」
「ルージュ兄さんごめんなさい!逃がしちゃった──きゃあぁ!?ルージュ兄さん!!?」
うっ、不味い……流石に血を流しすぎた……か……
意識……が…………
珍しくシリアス……