暑さへの耐性をお願いした筈が炎熱アンチになったんだが? 作:黒三葉サンダー
おまけ
「クロノ少年、罪人を連れてきました。罪状はなのはちゃんの下着観察です」
「誤解を招く発言はやめて!?」
「……そこに正座しろ。お前とはしっかり話をしなければならないみたいだ」
「そんな!?不可抗力だ!!」
「諦めろユーノ・スクライア。君の罪はしっかり───」
「お前も正座だ」
「……何故に!?why!?」
「お前の罪状はなのはとの同衾だ。怪我人だからといって許されることではない」
「それこそ馬鹿な!?俺にはそんな覚えはない!!」
「それに関しては本人から証言が出ている。倒れた馬鹿のお見舞いにいったらベッドに引きずり込まれた、とな」
「そ、そんな……!?ち、違う!!コナバナナ!!」
「ルージュお兄さんも相当じゃないか!!人のこと言えないよ!?」
「俺は何もやっていない!!弁護士を呼べ!!」
「……いいから。そこに正座しろ。今すぐ」
「「はい……」」
このあと滅茶苦茶怒られた。
「貴方には是非これを!これぞ我々が作り出した技術の結晶!!その名もブレイズハート!!頑丈さも威力も期待以上な筈ですよ!!」
時空管理局本局にて頼んでいたデバイスを受け取りに来た俺は目の前の物に発狂しそうになっていた。
だって目の前にあるこれは明らかに杖なんかじゃない。
技術部の変人どもが作り上げたブレイズハートなる杖擬きの元になったであろう物の名称はBrowning Automatic Rifle。
つまるところ、かの有名な双子の片割れが無邪気に使ってるあの銃!BAR1918A2なのだ!!
「馬鹿野郎!お前これ杖じゃねぇだろ!いい加減にしろ!」
「Ex-sガ〇ダムのような持ち方なら杖に見えますって!大丈夫!!我々が保証します!!」
「そんな持ち方で杖に見えるかぁ!!」
Ex-sガ〇ダムの持ち方で杖に見えるなんて言い訳が通るわけなかろうに!!しかもマジでEx-sガンダムのライフルみたいなデカさしてやがる!俺が頼んだのは至って普通のデバイスだぞ!?
「どうして杖頼んでこんなデバイスになるんですかねぇ?」
「そりゃ貴方の保有魔力量に合わせた結果です。武装隊が使ってるようなデバイスじゃ貴方の魔力放出に耐えられないんです!そもそもあのパイルバンカーを基準にしたら何だってこんな化け物デバイスになりますよ!!それにあの!あのレイジングハートのデータすら貪欲に取り込んで作られたデバイスなんです!むしろ早く使いこなしてデータ下さい!!」
「ウソダドンドコドーン!!」
私欲丸出しじゃねぇか!それにレイジングハートのデータを取り込めなんて一言も言ってねぇぞ!?
どうしてこの技術部はこう変人ばっかなんだ!ア〇アビット相手にしてるんじゃねぇのか俺!?
「ふ、ふふふ!安心して下さい!きちんと貴方の身体データと合わせながら調整したので、貴方以外には使いこなせないでしょう!安全性も抜群なのです!」
「ほう、例えば?」
「貴方以外がこのデバイスを使おうものなら反動で片腕持ってかれるんじゃないですかね?誰にも扱えず、取られても利用される事のない完璧な安全性!そもそも持てるかどうかも怪しいところですけどね!」
「ヒエッ」
やっぱこいつら頭おかしい。そんなん何処が安全なんだよ!そんな威力で撃ったら相手蜂の巣じゃねぇか!
「ささっ!遠慮なさらずに!貴方には助力を惜しむなと言われてますので!」
「はえー……期待が重い」
人が単機で何処の次元へも行けて尚且つ即戦力だからって期待しすぎだよあのお偉いさん。嘱託魔導師はブラックなお仕事だったよ……
取り敢えずブレイズハートなる杖擬きを受け取ってさっさと帰─────
「あ、そういえば新しい任務があるって言ってましたよ?何でも緊急のものだとか。どうせそっちに行くだろうから伝えておけって」
「アイエエ!?ニンム!?ニンムナンデ!?」
あぁ神よ。俺が何をしたというのですか?
────────
「はっ!はっ!はっ!」
加速魔法を駆使して路地裏や細い道を利用して必死に逃げる。常に張り付いてくる殺意と駄目になった右腕の痛みに脂汗が止まらない!恐怖で足がもつれそうになる。
なんなんだ!!なんなんだよアイツは!?こんな事になるなんて聞いてねぇ!!データを盗むだけの簡単な仕事だって言ってた筈だろうが!!糞が!!
「Arrrrrrrr!!」
「ひいぃぃ!?」
後ろから人の形をした赤い獣の唸り声が聞こえる!
あれは人なんかじゃない!!あんな声は人間が出すものではない!あれと戦っては駄目だ!殺される!否応なく殺される!!実力差なんてちゃちなものじゃねぇ!!
時空管理局の奴らはなんて化け物を飼ってやがるんだ!!どうやってあんな化け物を手懐けやがった!!!
ダン!
「ひっ!?」
突如目の前に赤い獣が降り立つ!馬鹿な!?さっきまで後ろにいた筈なのに!!?飛行魔法にしても速すぎる!!
「Arrrrrrrr……」
「あっ……!あっ……!」
赤い獣の鎧兜越しから視線が合う。燃え上がるような真っ赤な光の残像を残して、ゆらりゆらりと動くその姿は獲物を狩る獣の予備動作のようにも見える。
そして赤い獣は迷いなく銃口を此方へと向け────
「Arrrrrrrrthurrrrrrr!!!」
ズガガガガガガガガガガ!!!
「ギャアァァァァァァァ!!!?!」
────────────
──────
───
「……やっべー……テンション上げすぎたわ……」
目の前には白目を剥いて口から泡を吹き出している確保対象。対して俺は鎧も着込んでブレイズハート(アサルトライフル擬き)装備。うん事後だなこれ。狂スロ気分でぶっ放すのが悪かったか。
にしてもそんな死物狂いで泣いて逃げなくてもいいじゃない。そのせいで狂スロ気分が高まったのもあるのよ?
取り敢えず鎧は解いとこ。
「こんばんは、ルージュ君。もう終わってたみたいね」
「あ、クイントさん。どもども」
丁度鎧が燃え尽きたタイミングで色っぽいレディ、クイント・ナカジマさんが物騒なデバイスを着けて笑顔でいらっしゃった。非常に美しい人なんだけど、いかんせん両腕のデバイスが怖すぎる。簡単に言えば俺のパイルバンカーを両腕に着けているようなものだ。
殺意高過ぎぃ!
「……あの、ルージュ君。その銃は?それにその人……もしかして殺っちゃった?」
「滅相もない」
止めて!笑顔で両手にぎにぎしないで!死ぬ!それ食らったら流石の俺でも死んじゃう!
は、早く引き渡してスタコラしよう!そうしよう!
「クイントさん!後はお願いします!俺は地球に戻りますね!」
「あ!ちょっと!」
デバイス担いでBダッシュ!明日とロキへ向かって全速前進☆DA!
こんなところにいられるか!俺は帰るぞ!
──────────────
「あらら……行っちゃったわね」
凄まじい速度で走り去って行く彼の背中を見送り、確保対象にバインドを掛けて逃げられないよう拘束する。
本当ならこのあと彼を食事に誘うつもりだった。ゲンヤさんも会いたがってたし、私もゲンヤさんも彼には色々と聞きたいことがあったのだけれど。
「あれ……デバイスよね……?」
彼が担いでいた銃を思い出す。流石に見たまんまの武器だとは思ってないけど、彼なら銃を持っていても何故か違和感がない。それほどまでに彼は私たちからみると様々な面で規格外なのだ。
でも一番気になるのは彼が試験の時に使ったと言われる近接型デバイスだ。そのデバイスは試験の時以来一度も使われたところを見られていない。分かっているのは古代ベルカ式であると言うことだけ。
……とにかく今は任務を終わらせましょうか。
「今度戦ってみるのもいいかもしれないわね?」
そうと決まればゲンヤさんにも相談してみないとね。
この作品のデバイス関連の技術者は変人ばかりです(真顔)
だ、大丈夫!エクセリオンとアサルトは魔改造されてはいない──────はず。
そして作者はたまに一人言を呟きます。気になる方は活動報告へ。