暑さへの耐性をお願いした筈が炎熱アンチになったんだが? 作:黒三葉サンダー
「うむ!やっぱりマグマは気持ちいいな!なんつーか温泉に浸かってる気分だわ!」
遠くでラプトル達が俺を見てドン引きしてるのが見える。無駄無駄!そんな目をしたところで俺のお宝センサーは止まらんよ!!まだ見ぬお宝が俺を呼んでいるのだ!!
あ、これはお見苦しい姿を失礼した。今ならクトゥグアともハイタッチを交わせる自信のある男、俺です。
実際のところ出来んのかね?クトゥグアとのハイタッチ。俺は炎熱が無効になってるから実質クトゥグアの炎じゃダメージ入らないと思うんだよね。それとも流石に神話級の炎はダメージ入るかな?
いや、そもそも出会った瞬間SAN値チェックで死ぬな。ハイタッチ以前の問題だわ。
んで、なんで俺がまたこの世界に戻ってきてるかって?
そりゃお前、俺の居場所はここしか無いんだからここに帰ってくるしかないっしょ。
あの後は大変やったぞ。攻撃が止んでから金髪っ娘を取り返しに来たワンコに襲われたり、なんぞ何処からともなくまた一人少年が出てきてジュエルシードの半分を確保してたり。残り半分はワンコが持ってったよ?
しかも金髪っ娘とワンコが消えてからは黒い少年が俺を捕まえようとしてきたり、白い娘が俺とも話そうとしてきたり。取り敢えず居たたまれなくなったんで全力で次元の壁をぶっ壊して逃げてきました。やっぱ故郷が一番よ。
そんなこんなでまたこの世界でトレジャーハントを始めたのだ。そしてこの活火山の中に俺のお宝センサーが反応した為、マグマ内を泳いで捜索中。あぁ、俺グラードンになっちまったよ。ゲンシカイキは出来ないのであしからず。おわりのだいちも無理よ?無理………だと思うよ?
お?なんぞこれ。
マグマ内捜索からおおよそ40分。いつの間にやら恐竜の観客が増えた頃、何やらマグマ内を漂う影を発見。思わず手に取ってみると、どうやら宝石のようだ。
「ぷはっ!こんなマグマの中に宝石?ルビー……にしてはおかしいよな」
マグマの温度を耐えられるルビーなぞ聞いたこともない。てことは紛れもなくこれは仏様の鎧と同レベルのヤベー奴だろう。やだこの世界魔境過ぎ!キュンキュンしちゃう!
おえぇ……いい歳した野郎がキュンキュンしちゃう!とかキモすぎて反動が凄まじい。これは美少女や美女が許される言語であって俺みたいな筋肉野郎が言うべき台詞では断じてない。反省。
取り敢えず宝石持ってマグマから上がると、一目散に観客(恐竜)達が逃げ出した!ラプトル達も既に遠くまで走っている!俺は一人取り残されてしまった!!
なんで!?なんで皆逃げるん!?おにいさん怖くないよ!?一人にしないで!!(懇願)
「うぉ!?なんだなんだ!?」
突如俺の体から炎が吹き出ると、例の如く赤い鎧が装備されルビー擬きが勝手に浮き上がった!
するとルビー擬きはひとりでに動き始め、鎧の胸部に空いている窪みへとカチッと填まってしまった。
そして目の前に見知らぬ魔法陣が生成された!正三角形の頂点に円が描かれたヘンテコな陣だ。大きさは腕一本が通るくらいか。
な、何がなんだか分からない……なんだ!一体何が起きたというのだ!この世界ハプニング多すぎんよ!もっと俺の心臓を労ってくれませんかねぇ!?優しい世界はよ!
魔法陣を前に頭を抱えていると、胸部の宝石が早くしろと言わんばかりに点滅する。お前が全ての元凶だろうに!ソウルの如く砕いてやろうかこのやろう!!
しかしそんな思いもこれには届かない。ピコンピコンと点滅するだけだ。
あぁもうやってやる!やってやるさ!俺の右腕と人間性を捧げてやるわ!ちくしょうが!!
「ドッキング!!」
『Genehmigung』
叫ぶ言葉も無かったのでドッキングライザーの気分で右腕を突っ込む!我ながら完璧な右ストレートだ。なんぞ風圧で少し地面が削れた気がしなくもないが、気のせいだと思うことにしよう。
魔法陣に右腕を突っ込むと、何処からか声が聞こえたと同時に魔法陣が回転を始める!
誰っすか今の声!?俺以外に誰かいるの!?いやいねぇぞ!?ここに来てまさかのホラー要素なの!?
『Scannen……Fertig!』
へ?なんぞスキャナーみたいに動き始めたんだけど……それにこの声!これもしかして魔法陣……つか宝石からか!?何してんのこの子!?
『IFRIT……Sind Bereit!』
「……what?」
唖然とする俺の視線の先にあったのは、見るからに形の変わったガントレットと右腕に取り付けられた大きな杭。
男の浪漫兵装かつ一撃必殺の異名を象ったあの伝説の武器─────パイルバンカーだった!!
殺 意 の 塊 !!
速度×パンチ力×炎=パイルバンカー!!
駄目だ意味が分からない……!