兎と龍の幽雅な日常   作:バンドリーマーV

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超お久しぶりです!


再臨のムーンサルト

 

 

《鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イエーイ!》

 

 

久々にビルドに変身した俺は、三浦が変貌したというスマッシュに向けて構えた。

 

 

夕士「せ、戦兎さん、もしかしてそれが…!」

 

ビルド「あぁ。仮面ライダービルド。"創る"、"形成する"って意味の"ビルド"だ。以後、お見知り置きを」 

 

 

葛城に倣い、そう夕士に告げた後、俺はスマッシュ目掛けて駆け出した。

 

 

ビルド「ハッ!」

 

 

俺はスマッシュに連続打撃を叩き込み、

 

 

ビルド「ハアッ!」

 

 

タンクの右足のキャタピラ攻撃でダメージを与える。

 

 

『ガァアアアアアアアッ!!』

 

 

スマッシュは火炎を放つ。

 

 

ビルド「フッ!」

 

 

俺はラビットの左足のバネで飛び上がって回避する。

 

続けて連射される火球もなんとか避けた。

 

 

ビルド「炎タイプね。なら…!」

 

 

俺はフルボトルを交換する。

 

 

《ハリネズミ!消防車!ベストマッチ!》 

 

《Are you ready?》

 

ビルド「ビルドアップ!」

 

《レスキュー剣山!ファイヤーヘッジホッグ!イェーイ!》

 

 

ファイヤーヘッジホッグフォームにチェンジし、消防車の左腕から放水。スマッシュの放つ火炎攻撃を消火しながら接近し、ハリネズミの右腕に装備した針で攻撃する。

 

 

 

『──ザケンナヨォオォオオオッ!!』

 

ビルド「──!?」

 

 

三浦か…?

 

 

『オレハ悪クナイッ!オレハ悪クナインダァッ!!』

 

ビルド「くっ…!」

 

 

攻撃の勢いが激しくなっている。

 

くっ…!心は弱いクセにパワーだけはありやがる!

 

 

『オレハイツデモ優秀ダッタ!ミンナニ支持されてキタンダッ!ソレヲアノガキドモガッ!』

 

 

……こいつにとっちゃあ、前の学校でのことは初めての挫折だったわけだ。田代って子の情報によれば、かなりいい大学出てるらしいし、在学中も評価されていたらしい。

 

 

『ナンデダヨッ!!ナニが先生のやり方ニハツイテイケナイダヨッ!お前ラノ言うコトヲ誰がキクモンカッ!フザケンナァッ!!』

 

ビルド「無茶苦茶なこと言ってんじゃねぇ!自分の弱さから目を逸らすのも大概にしろ!そりゃ前の学校の生徒だって勝手なとこあったんだろうけどな、そいつらの価値観を理解しようと努力したことが一度でもあったのかよッ!!」

 

『ンナモン知ルカァッ!!ウルサイウルサイウルサァイッ!!ゼンブメチャクチャニブッ壊レチマエェエエエエエエエエエエエエッ!!』

 

ビルド「馬鹿野郎がッ…!」

 

 

残念だか……

 

こいつは、本物のクズ野郎だ。

 

 

《ラビット!タンク!ベストマッチ!》

 

《Are you ready?》

 

ビルド「──ビルドアップ」

 

《鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イエーイ!》

 

 

ラビットタンクに戻り、再びレバーを回転させる。

 

 

ビルド「勝利の法則は…決まった!」

 

 

《Ready Go!》

 

《ボルテックフィニッシュ!》

 

 

ビルド「ハァアアッ!!」

 

X軸でスマッシュを拘束し、ラビットの左足で跳び上がった俺は、放物線を滑り、回転するタンクの右足を叩き込んだ。

 

 

『──オァアアアアアアアアッ!!』

 

 

大爆発が起こり、人間が倒れ込む。…こいつが三浦か。

 

ふと、足元に何かが転がって来たので見てみると……

 

 

戦兎「…!ボトル…!?」

 

 

 

 

……ボトルを拾い上げた俺も、ドライバーからボトルを抜いて、変身を解除した。

 

 

戦兎「……!?」

 

 

三浦の体から、赤黒いスライムのようなものが抜け出したかと思うと、次第に色褪せ、消滅した。

 

戦兎「今のは…?」

 

 

 

夕士が歩みより、三浦を見下ろす。

 

三浦は、まだナイフを握っていた。

 

 

 

夕士「三浦……あんたは、"ちゃんとした"病気だ。病院で見てもらって来いよ…」

 

 

三浦は、駄々こね倒して、疲れて寝落ちしたガキみたいな様子だった。

 

……実際、そうなんだろうけどな。

 

 

夕士「誰だって、色んな失敗や挫折をするんだよ。けど、そこで全部投げ出してどうすんだ?何もなかったことにするのか?また同じ失敗するだけじゃねぇか。……そんなの、バカみてぇじゃん」

 

 

そう言った夕士の顔は……悲しげだった。

 

 

 

 

 

俺が帰った後、警察が到着した。

 

警察は三浦がナイフを握りしめていたことに注目し、夕士は襲われたことを証言した。

 

警官相手に泣きながら前の学校でのことを愚痴ってたらしいが…。

 

 

深瀬「救えねぇもんは、救えねぇさ」

 

 

アパートに帰り、そのことを聞いた画家はそう言った。

 

……そう。取り憑いたものを払ったところで、三浦がいい奴になるわけじゃない。元の三浦に戻っただけ。

 

何の自覚もない甘ったれたダメ大人。それが奴の本質だったんだ。

 

俺達にできるのは…それを"受け入れる"ことだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

長谷「テメェはッ!危なくないと言っただろうがッ!それがなんだ、このザマはぁ〜ッ!!」

 

夕士「ギャアアアアアアアッ!!」

 

 

夕士が長谷から痛ぁい友情によるお仕置きを受けている横で、俺は万丈に今日のことを話していた。

 

 

龍我「なんでスマッシュが!?エボルトは消えたはずだろ!?」

 

戦兎「それはそうだ。しかし…確かに新世界になったことで、エボルト…あと伊能達に取り憑いていた三人のブラッド族も歴史ごと消えたはずだ。だか…エボルトと関係ない、他のブラッド族までは消えていないのかもしれないな」

 

龍我「マジかよ…」

 

戦兎「もちろんこれは仮説に過ぎないが…スマッシュが人を襲う危険がある以上、どちらにせよ警戒は怠れないぞ」

 

龍我「だな…」

 

 

やっと掴み取った新世界だ。

 

絶対に守ってみせる…!

 

 

 

 




バトル一区切り。またやりますが、ひとまずは日常に戻ります。

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