兎と龍の幽雅な日常   作:バンドリーマーV

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奇跡のリユニオン

 

ある日の朝。

 

戦兎「ふわぁあ…」

龍我「ったく、俺まで起こしやがって…ふわぁああぁ…」

 

今日はなぁんか早く目ぇ覚めてしまった。まだ朝5時だよ。

 

夕士「あ、戦兎さん。うはよっス」

秋音「おはよ〜ございま〜す!」

龍我「お、夕士、秋音」

戦兎「おはよう、休みだってのに早いな」

 

万丈と廊下を歩いてたら、夕士と秋音ちゃんがいた。

 

秋音「夕士くんの修行がありますからね!」

戦兎「修行…?」

夕士「あぁ、まだ言ってませんでしたよね」

 

夕士は一冊の本を取り出す。

 

夕士「フール、挨拶しろよ」

『かしこまりましたッ!』

 

すると、ポンッと、本から手乗りサイズの小人が現れた。

 

戦兎「小人…?」

龍我「なんだコイツ?」

フール「お初にお目通り致します、桐生様、万丈様!私め、『(プチ)ヒエロゾイコン』の案内人にして、夕士様の忠実なる僕、(ニュリウス)のフールと申します」

 

万丈「プチピエロ大根?」

戦兎「プチヒエロゾイコンなバカ」

万丈「バカ言うなよ、せめて筋肉つけろ!」

戦兎「だからバカが筋肉バカに変わってなんになるんだっての!…んで、なんだそりゃあ?」

 

夕士「えっと、この本は22匹の精霊や妖魔を封じ込めた魔導書なんです」

秋音「夕士くんはこの本に選ばれた見習い魔導士ってわけです」

戦兎「なるほどな…」

龍我「魔法の本ってか?お前もすげぇじゃねぇか」

 

夕士は苦笑いした。

 

夕士「ところがプチは大した魔導書じゃなくて、精霊も妖魔も役立たずで…」

 

フール「役立たずとは手厳しい!」

 

夕士「役に立つ奴いたかよ!英知の梟はボケてるし、死神は幽霊のクリに向かって『お前は3日以内に死ぬ!』なんて言うし、ケルベロスはまだ子犬だし!」

 

戦兎「な、なるほどなぁ…」

 

この本を作った大昔の魔導士だかなんだか知らないが、どうやらかなりお茶目な奴だったようだな。

 

秋音「それでもいざという時のため、本をコントロールするための霊力トレーニングは必要なんですよ」

戦兎「へ〜え…」

 

 

 

つ〜わけで、夕士がホースの水かけられながら経文読んでる間、俺と万丈は食堂で、るり子さんが淹れてくれたコーヒーを飲んでいた。

 

戦兎「美味いな。新世界のマスターのコーヒーも美味いけど、負けてない」

 

万丈「だな。そういやエボルトの野郎、10年も喫茶店やっててなんであんな不味いコーヒーしか淹れられなかったんだろうな?」

 

戦兎「さ〜あ、けど奴がnascitaを経営してたのは、ブラックホールを連想させるコーヒーを気に入ったかららしいぞ」

 

万丈「はぁ!?んだそりゃあ!てかなんでそんなこと知ってんだよ!」

 

戦兎「エボルト本人からだよ。聞いてもないのに勝手にベラベラ喋った」

 

龍我「マジかよ。で、それがなんだってんだ」

 

戦兎「ブラックホールに近づけようとして黒さだけ追及してたらひたすら苦いだけのマズいコーヒーになったんじゃねぇの?」

 

龍我「あ〜そうか。ったく、そのせいで俺までコーヒー淹れんのド下手になっちまったじゃねぇか」

 

戦兎「遺伝子のせいにするんじゃないよ」

 

 

 

『どうも〜、お届けに来ました〜』

 

戦兎/龍我「「──ッ!?」」

 

俺達は思わずバッと顔を上げた。

 

龍我「お、おい戦兎、今の声…!」

戦兎「あぁ…!」

 

 

 

 

 

「どうも、猿渡ファームです」

一色「いつもありがとうね〜」

 

厨房の奥の裏口で、るり子さんと一色さんが野菜の入った段ボールを受け取っていた。

そして外にいたのは…!

 

龍我「カズミン!!」

 

猿渡一海…仮面ライダーグリスとして、共に戦った仲間がそこにいた。

 

しかも、三羽ガラスまで後ろにいる。

 

 

 

一色「おや、戦兎くん、万丈くん、おはよう」

 

一海「…!戦兎、龍我…!」

 

赤羽「ん?あぁ!」

青羽「マジか!」

黄羽「ホントだ!」

 

──!?

 

戦兎「お前達…俺達のことを、覚えてるのか…?」

 

一海「あ、あぁ。ついこの間思い出したんだけどな。てかお前らここに住んでんのか!?」

 

龍我「あ、あぁ…」

 

一色「そうか…君たちが一海くんの言っていた仮面ライダーだったんだね」

 

戦兎「え…知ってたんですか?」

 

一色「まぁね。…君たちは本当に、よく走りきったよ」

 

一海「俺が大体のことを話したんだ。記憶が戻った時にな」

 

 

──俺達は、一海達の話を聞いた。

 

新世界の猿渡ファームは、人間と妖怪が共に働く農場となっているらしい。

 

俺達が入居する2週間前から、寿荘に野菜を納品しているそうだ。

 

寿荘に出入りするうちに、このアパートの特殊な霊気の影響で記憶が戻ったとのことだ。

 

俺達は再会を喜びあった…しかし、俺には、喜んでばかりはいられない理由があった。

 

 

 

戦兎「──すまなかった。…いや…本当に、すいませんでした」

 

青羽「お前…」

 

 

俺は青羽──相河修也さんに、頭を下げた。

 

龍我「戦兎…」

一海「…………」

 

 

俺が……"殺して"しまった。

 

何をしても、償えることじゃない。

 

だが、それでも…。

 

 

青羽「……顔、上げろよ」

 

戦兎「……ぁ……」

 

青羽「お前は…カシラ達といっしょに、戦ってくれた。…それ以上、何もいらねぇよ」

 

戦兎「……青、羽……」

 

青羽「いつまでもジメジメしてんと…心火を燃やしてぶっ潰すかんな!」

 

 

一海「あっ、それ俺の台詞だぞ!」

青羽「ハハ!いいじゃないですかカシラ!」

赤羽/黄羽「「アハハハ!!」」

 

龍我「ハハ!……ほら、戦兎」

戦兎「……あぁ……!」

 

俺は涙を拭って、万丈の手をとって立ち上がる。

 

一海「うっし!湿っぽい話はここで終わりだ!お前らのことも聞かせろよ!」

 

龍我「おう!ここに来たのはな、公園で…」

 

 

 

一色「いい仲間を持ったね、戦兎くん」

 

戦兎「……はい……最っ高です…!」

 

 

 

 

 

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