鎮守府裏の魚屋さん   作:ヴェルヌイ

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水上機母艦と出世魚①

「……………………で、結局何で来たって?」

 

「えーと、空母の方々のお魚を私が勝手に食べちゃって…………………」

 

「その時は許してくれたみたいなんですが…………………」

 

「流石に謝るだけじゃ申し訳なくなっちゃったんです………………」

 

「ほう?それで?」

 

「うぅっ…………………それで陽炎ちゃんが言ってたお魚屋さんに買いに行こうと思ってたんだけど、私のお金はもう無くなっちゃって………………だから何か釣りを教えてくれないかなぁって思いまして………………」

 

「…………………………まぁ良い。なら姉の…………何て言った?」

 

「ち、千歳です。」

 

「千歳、千円でその条件を呑んでやる。後はお前らの技術次第だ。」

 

「分かりました、けどなぜ千円…………?」

 

「………………4日後だ。4日後にもう一回うちに来い。そしたら教えてやる。」

 

「うぅっ…………………それじゃ4日後に………………」

 

「あぁ、じゃあな。」

 

「はい、また。」

 

そう言って水上機母艦の『千歳』とその妹艦『千代田』は少ししょんぼりしながら鎮守府へと戻っていった。そして店の奥からクエの件から更に店に通う様になった陽炎がおっさんの脇腹にチョップを入れる。

 

「何をする。」

 

「そんな言い方する事ないじゃない。最後千代田泣いてたわよ。」

 

「俺にゃあんな事情に無償で乗っかるほどお人好しじゃねぇからな。逆に千円で条件を出してやったんだから感謝してほしいな。」 

 

「もう……………………それで?今回は何用意するの?」

 

「ブリ。」

 

「ブリ?それはまたなんで?」

 

「聞けばあいつらは何段階も改造できるらしいじゃねぇか。ブリは成長につれて名前が変わる出世魚。そして結局食うのは大喰らいの空母ども、サイズの大きいブリならばこれ以上にちょうど良いのはいねぇだろ。」

 

「確かにそうね……………でも仮にも女性を大喰らいって言うのは見過ごせないわねっ!」

 

「仮にもっ()ってるお前も大概だ。」

 

「うっ…………………それより!千代田達から何で1000円巻き上げたの?」

 

「あ?ありゃ船代だ。」

 

「船!?そんなの自殺しに行くようなものじゃないの!」

 

「深海の化け物どもか?大丈夫だ、東北と北海道を行き来する知り合いに頼む。」

 

「だから何よ。」

 

「そいつぁ、遠洋に行って漁して帰ってくるんだが、その(たんび)に深海の奴らから逃げ切っている。その回数19回。」

 

「漁船で!?奴ら30ノットくらいで追っかけて来んのよ!?しかも砲撃付きで!!」

 

「そもそも漁船じゃねぇ。あいつが改造に改造を重ねたモーターボートだ。元がどれくらいかは知らんが、2ヶ月前に会った時は『45ノットは出る』と自慢してきた。」

 

「45!?島風より速い……………」

 

「それにあいつは25年船を動かし続け、おかげで砲撃を見てから避けるのも余裕だとか言っているな。」

 

「その人も大概化け物じゃない。」

 

「それは俺も認める。」

 

「そう言えば、釣りを教えるとか言ってなかったっけ?」

 

「嘘に決まってんだろ。逆に1000円でブリが手に入るんだから感謝してほしいね。」

 

「…………………ツンデレ?」

 

「後で鎮守府に請求しておこう。」

 

「やめて!?私が怒られる!」

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