ダンガンロンパ短編集   作:弾丸 論破

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語彙力は死んでます。


ダンガンロンパ1
霧切響子とある朝の一幕※


「………ん……」

 

視界に光を感じて、深い眠りから意識が引き戻された。半覚醒状態の目を開けると、窓のカーテンの隙間から差し込んできている陽が目に当たっている。いつものことだ。

 

 

「ん………よい……しょっと!」

 

 

そして僕は億劫そうに上半身を起こしてカーテンの裾を引っ張って隙間を閉じる。これもいつものことだ。

 

 

(夜ちゃんと閉じて寝ればすむ話なんだけどね……)

 

 

と、誰にとも知れないことを内心呟きながらもう一眠りしようと布団にくるまろうとした次の瞬間、バァン‼️とものすごい音をたてて、部屋のドアが開いた。

 

そこから入ってきたのは、長い銀髪に、ライラック色のパジャマに身を包んだ、自分が心から気を許せる数少ない友人の一人でもあり、そして………愛する奥さんでもある元少女、霧切響子だった。

 

 

「おはよう苗木君。もう朝よ。」

 

 

「ああ…おはよう霧切さん。悪いんだけど、後もう少しだけ寝かせてくれな…痛てててて‼️な、何してるの⁉️」

 

 

なぜか頬をグニーッと引っ張られた。堪らず抗議すると、手を離してベッドのふちに足を斜めに揃えて座り込み、顔をこちらに寄せてきた。眉間にシワが寄っている。どうやらこちらの態度に不満があるらしい。

 

 

「な、なんで僕は急に頬をつねられたんでしょうか?」

 

 

「なぜ?分からないのかしら?」

 

 

あ、どうやらまた返答を間違えてしまったらしい。一層強く睨んできている。でも元からそういう雰囲気を纏った可憐さを醸し出しているからなのか、もしくはただ僕が惚けているだけなのか、全く怖くなかった。

 

 

「ごめん、分からないよ。」

 

 

「もう……………。約束したでしょ?名前で呼んでくれるって。」

 

 

『なんだ、そんなことか』

 

 

その言葉が喉まで出かかったが、彼女の瞳に映る濃い不安ーーー“絶望”の影を見て、僕は無意識に彼女を引き込むように抱きしめた。

 

 

「きゃっ、ち、ちょっと苗木君⁉️」

 

 

「ごめん、響子。大切な約束だったね。」

 

 

「………………うん」

 

 

こちらの肩口に顔を埋めている彼女の体は、今はもう希望の象徴として生まれ変わったあの学園にとらわれていた頃よりも小さく感じた。それは僕が成長したっていうのももちろんあるけど、それ以上に僕の中の『霧切響子』という人間が弱くなったからだろう。だがその『弱さ』は言い換えると『優しさ』でもある。

 

あの絶望の学園にとらわれていたときは、彼女は自分の感情を表にだすことなんて皆無だった。僕が希望を見ていられるよう、みんなが生きて学園を卒業できるように自分を殺して支えてくれた、相棒という言葉が似合う少女だった。学園を出て未来機関に入った後もそれは変わらなかった。

 

だが最後のコロシアイで、彼女が自らの命を賭して僕を生かそうとした、あの時から、僕は彼女のことをただの相棒としてみることはできなくなった。

 

結果的に彼女は罪木さんのおかげで一命をとりとめた。そして永遠に失われたと思っていた彼女を再び目の前にしたとき、僕は彼女に対する気持ちを理解した。それはあの学園で舞園さんに抱いた感情によく似ていた。

 

その場で僕は彼女に思いをぶつけた。今思えばボロボロ泣きながら告白をして、自分の感情に身を任せてキスをしたりと、かなり強引で、ひどい絵面だったと思う。だが彼女は、最初は驚いたように、でもキスの後は少し涙目になって、受け止めてくれた。

 

彼女はこちらの肩口に顔を埋めたままハァ、と息を吐いた。じんわりと触れている部分が温かくなる。そしてゆっくりと話しはじめた。

 

 

「…………実はね、また夢を見たの。あの学園の夢。苗木君や朝日奈さん、十神君に腐川さんが、みんな死んじゃってて、私だけが生き残ってるの。」

 

 

「…一応確認するけど、葉隠君のこと忘れてない?」

 

 

「………………。そこはそんなに重要では無いわ。」

 

 

「そうなの?」

 

 

僅かに見えている彼女の頬は赤くなっている。まあ忘れていなかったと言わずに照れて黙りこくってしまうのも、彼女があの頃と比べて大分変化している所なのだが。

 

 

「………とにかく、生き残ってるのは私一人だったの。それで、一人で外に出たんだけど、そこには絶望しか存在してなかった。世界でもう永遠にひとりで孤独なんだって、そんな絶望が心に入ってきて、すごく恐ろしかった。」

 

 

そこまで言うと、彼女は顔を上げて、こちらを正面から見つめてきた。じっ、とこちらを瞬きもせずに見つめ続けてくる。思わず目をそらした。照れてしまっていることを誤魔化すため、先を促した。

 

 

「そ、それで?その後はどうなったの?」

 

 

「それで私は、絶望に呑まれそうになったの。でもね、そこに苗木君が出てきて、希望を捨てちゃ駄目だって言って、私を、その……………だ、抱きしめてくれたの。だからね?その、さっき苗木君に抱きしめられた時に、その時の感覚を思い出してしまって、その………」

 

 

途中からかなり恥ずかしいことを話していることに気がついたのか、しりすぼみになっていく。正直僕もかなり恥ずかしい。まあ、告白して、彼女の唇を奪っている身としては、いまさら何を照れているのだという話ではあるが。

 

 

「……それは夢の話だよね?」

 

 

「そ、そうよ!?それがどうかし……んむぅ!?」

 

 

彼女がみなまで言い終わらない内に、僕は彼女の唇を自らの唇で塞いだ。そのまま30秒ほど経った。

 

 

「んむぅ………ん、ふぅ………」

 

 

クチュ……クチュ……と艶かしい音が部屋を満たす。彼女も最初は驚いて固まっていたが、徐々に現状を認識したのか、今はこちらの首に両腕を回して積極的に舌を絡めてくる。視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚の五感全てを彼女が満たしている。頭がボーッとしてきた。このまま彼女ともっと深く繋がりたい、そんな危険な欲求が湧いてきた。

 

 

(いやいや、駄目だって⁉️このまま流れでやっちゃったら絶対気まずくなるって⁉️)

 

 

クラクラしてきた頭を僅かに残った理性で必死に抑えて、彼女の背中を軽く叩いた。だが彼女は舌を絡めるのをやめようとしない。仕方なく、少し強引に口を離す。

 

ぷはぁ………という音と共に、酸欠ぎみになっていた肺に空気が送り込まれる。彼女は舌を半分ほど伸ばしたまま焦点が合わない瞳でこちらを見つめてくる。まだ舌から唾液が糸を引いていて、収まってきていた情欲が再び湧き出てくる。

 

 

(まずい………こんな霧切さんは新鮮で可愛いな…なんて惚けている場合じゃない!)

 

 

「あの、響子………?」

 

 

「もっとぉ………」

 

 

「え!?」

 

 

「んん……。………………あ……」

 

 

彼女の目に光が戻ってきている。そして今自分が口から滑らしたことを冷静に思い出しているのか、しばらくフリーズしていたが、そのうち頬が真っ赤に染まりだした。さっき抱きしめた時もここまで真っ赤ではなかった。

 

 

「あの、ごめんね?なんだかすごく響子のことが愛しくなって……。」

 

 

「べ、別に⁉️動揺なんかしていないのだけれど⁉️」

 

 

「それは違うと思うよ?だって霧切さん、顔がすごく真っ赤になってるし、目も泳いで」

 

 

「なあ⁉️そんなことはないわよ!?心外だわ…………。でも、もうその話はもうやめてもらえないかしら……?」

 

 

「う、うん、ごめんね。」

 

 

その上目遣いは僕に効くよ………。

 

僕は女の子座りで座っていた彼女の太ももに挟むように置かれていた両手を包み込むように握りしめた。

 

 

「さっきの話の続きだけどね、響子が見た夢だけど、確かに恐ろしいと思うよ。僕も今響子がいなくなったらって考えたら怖くなるし、ていうか考えたくもないよ。でもさ、現実は僕らは二人とも生きている訳だし、十神君も朝日奈さんも腐川さんも………あと葉隠君も生きてるんだよ。だからさ、響子がひとりぼっちになることは絶対にないよ。たとえ僕が死んじゃったとしてもね。」

 

 

「私だってそんな仮定は嫌いよ。………でも、確かに苗木君の言う通り、夢は所詮夢でしかないものね……。」

 

 

「そうだよ。だからさ、これからはそんな夢を見ても気にしないでさ、もし怖くなったら、また今日みたいに僕の部屋に来ていいよ。抱きしめたり、その、キスとかも、響子さえよければだけど。」

 

 

なんか後半すごい下世話になった気がする。でも伝えたいことは大体言えただろうか。すると彼女はクスリと笑ってこちらに身を寄せてきた。

 

 

「そうね……それならいっそのこと、部屋も一緒にしましょうか?」

 

 

「へ?」

 

 

「私達は夫婦な訳だし、問題は無いわよね?そうしたら、怖くなったときもすぐ抱きしめてもらえるじゃない?」

 

 

「で、でもそれは流石に…」

 

 

「………いや、なの?」

 

 

(違うよ!?僕の理性が保たないんだよ!)

 

 

反則だよ、そんなすがりつくような目は。………でも、それなら僕も一つぐらいいたずらをしてもいいよね。

 

 

「そうだなあ………でもさ、それだと僕だけ言うことを聞くのも不公平じゃないかなあ。」

 

 

「え?それはどういう………」

 

 

「僕も下の名前で呼んで欲しいな。」

 

 

「え!そ、そんなの、は、恥ずかし……。」

 

 

「じゃあ僕も無理かなあ……」

 

 

「~~~っ‼️分かったわよ、なえき、ま、ま、誠‼️」

 

 

やけくそぎみに呼んでくれた。

 

 

「ありがとう、響子。でもあんまり密着はしないでね?僕も男な訳だし、万が一ってこともあるからさ。」

 

 

そういうと、今度は軽めの口づけをした。すると満足そうな顔をした彼女は、ぼそっとなにかを口にした。

 

 

「………別に襲われても、私は良いのだけれどね……」

 

 

「へ?なんて?」

 

 

「なんでもないわよ………誠♥️」

 

 

「っ‼️」

 

 

その時の彼女の笑顔は、おそらく僕がこれまで見てきた誰よりも眩しく、美しいものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




1で好きな女性キャラ→霧切
2で好きなキャラ→七海
3で好きなキャラ→夢野
3だけ共感してくれる人が少なくて泣いてたなあ((遠い目)
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