「流石にやり過ぎではないですか?――悪かったとは思ってるよ、うん――手早く済ませるべきと判断したので」
右手にバチバチと残留していた雷を元の妖力に戻していると、急に内側から一つ飛び出してきて私を叱ってきた。まぁ、言われた通り過剰量だったのは認める。けれど、これだけ強力になったのは大体藍の所為だから。多分。え? 二発目を撃った私の所為だって? ……防衛本能さ。咄嗟に撃っちゃったんだよ。しょうがないじゃん。はぁ。
身体が地面に落ちた魔理沙の元へグイグイと引っ張られるように動くので、私はそれに合わせて動き出す。雷に打たれて煙を上げてるのを見れば、そりゃあ傷を癒したくなるよね。無駄に多く受け取った妖力がまだ残ってるし、これを治療に回して帳消しってことにしよう。そうしよう。
魔理沙の元にしゃがみ込み、伸ばした手から淡い光が流れ出す。とりあえず残っていた妖力をまとめて流し込んでやると、溢れ出る光がたちまち魔理沙を包み込み、光が晴れると一通り綺麗サッパリ治療されていた。うわぁお、凄い凄い。羨ましい限りだ。はぁ。
「ちょっと、魔理沙は大丈夫でしょうね?」
「ひとまず命に別状はないかと――死んでないし、平気平気」
「紫、ペットにはちゃんと首輪とリードを付けるべきよ」
「あら酷い。このくらい別にいいじゃない」
私は紫様のペットじゃないよ、と言ったところで意味はあまりなさそうである。まぁ、私としてはリードを付けたきゃ付けてもいいよ。そうしたいなら。別に構わない。どうでもいい。
とりあえず治療を終えた魔理沙をこのまま放置するわけにもいかないと隣のが言ってみれば、紫様が魔法の森にある魔理沙の家にスキマを開いてポイっと投げ込んでしまった。うわ、雑。せめて布団の上に投げ出されていることを願おう。ま、たとえ床に放り投げられていようと私としては一向に構わないが。
やることが済んだとばかりに二つとも内側に戻っていくのを感じ、どうしてよりにもよって私を置いていくんだと肩を落としていると、ポンと肩に手を置かれた。振り返ってみれば、にこやかに笑う藍がいた。
「よくやった」
「あー、うん。けど、多過ぎない?」
「あの程度では死なんさ」
「……そうですか」
嘘だな。あれは下手に扱えば死にかねない妖力量だ。どうやら、何かしら思うところがあったらしい。……ま、いいや。生きてるし。
まぁ、これで少なくとももう魔理沙に邪魔立てはされなくなっただろう。よかったよかった。あとは、偽りの月の黒幕なわけですが。そちらはどうなんでしょうかね?
「あら? あれは何かしら」
「どうやら目的地のようね。本当、貴女はいつだって運がいいわ」
……何ですと? 私は若干疑いながら霊夢と紫様が見ている方向に目を向けてみれば、少し遠くて見づらいがそこには確かに古めかしいお屋敷があった。阿求のお屋敷とどっちの方が広いかなぁ? ま、どうでもいいか。
「とりあえず、あの屋敷の中にいるわね。ほら、行くわよ」
「えぇ、そうしましょう。貴女はいつだって正解よ」
「彩、何をしている?」
「え、あぁ、うん。行く行く」
二人はさっさとお屋敷に向かって飛んで行ってしまい、ぽけーっとしていたら藍に叱責されて私も急いで追いかけていく。夜はまだまだ長引きそうだ。はぁ。