デート・ア・ライブ 小雪セイバー   作:業務用消火器の安全栓

12 / 12
一先ず最初に謝っておきます。遅れて申し訳ない。
今回も駄文です。あと少しアンチ気味です。
それでもいいという方のみ本編をどうぞ。


小雪コンフロント

天央祭が行われる天宮スクエアは、天宮市中央に位置する大型コンベンションセンターである。中央にセントラルステージを置き、その周囲に大型展示場が広がる構造になっており、天央祭で使うのは東ブロックの一~四号館だった。

 

「それで…………美九はどこにいるんだ?」

 

念のため小さくした声で、インカムの向こうの琴里に話しかける。ちょっと御手洗に、と逃げ出そうとしたのだが、なぜか目を爛々とさせた折紙に追跡されてしまったのだ。先日、いざというときにと小雪から渡された非常マップを行使して何とか逃げ切ったところだ。

 

『ようやく一人になれたのね。美九は今1号館、竜胆寺のブースが設営される場所よ。』

 

「了解。1号館だな。すぐに向かう。」

 

言って、隠れていた資料の影から身を躍らせると、皆───特に折紙───に見つからないように警戒しつつ1号館へと向かっていく。

目的の彼女は簡単に見つかった。1号館の奥の方に紺色のセーラー服に身を包んだ少女達の集団がおり、その中心に美九がいたのだ。やはりと言うか、たくさんの取り巻きに囲まれているので、どうにかして彼女を一人にさせないといけない。〈ラタトスク〉に相談しようと耳のインカムに手をかけたところで、美九がその集団から抜け出し、一人でどこかに向かって行った。

 

『分かってるわね、そのチャンス、見逃すんじゃないわよ。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方そのころ、小雪は実行委員としての仕事と十香と折紙に士道を探しに行かないように監視をする〈フラクシナス〉の仕事を平行して行っていた。ついでに言うなら、士織と美九の会話を聞きつつ、である。一つ目はあくまでもボランティアなので誤魔化しは効くが、小雪は性格上そんなことはしない。それ故に一般人からすればまあまあのオーバーワークをこなしている。

それが原因で、小雪は気がつかなかった。視覚情報を十香と折紙、聴覚情報を士織と美九に割いているから、懐かしい友人が近づいていることに気がつかなかったのだ。

 

「あれ、小雪?久しぶり!」

 

何とも軽い調子で話しかけてきたのは、小雪の中学校時代の同級生であり、何故か竜胆寺に入学したスミレだった。

 

「スミちゃん?久しぶり!」

 

小雪も懐かしい───といってもそれは体感で実際は前会った時からそこまで間は空いていないはずだ───との再会を喜んでいる。

 

「小雪、初めの頃はいなかったよね。ってことは、やっぱりいつものアレ(ボランティア)?」

 

「うん、正解。スミちゃんこそ、なんで実行委員やってるの?」

 

小雪から見たスミレとは、多少頭が固いところもある現実主義者(リアリスト)。面倒事を厭うタイプで、委員会なんかも仕事量が少ないものを選んでいた。

そんなスミレが、一体どんな風の吹き回しで実行委員なんて時間が潰れるようなことをやっているのか。

 

「だって、お姉さまが───あの誘宵美九がやるんだよ!?」

 

文面だけみれば、ミーハーな少女がアイドルに憧れてその結果、と見えないこともない。だがその疑問に答えた友人(スミレ)の顔は、明らかに普通のものではなかった。ハイライトの消えた、それが当然であると一分の隙もなく疑っている、そんなふうに見てとれる。彼女の心には疑念も悩みも欠片ほど無く、小雪に心の声は聞こえない。

意識を意図的に切り替える。学校での自分ではなく精霊としての自分に。狂信的な人間は、求める答えのみを認識する。故に、何も考えない状態でも返答だけならば簡単に出来る。その間に、彼女を()()した美九の目的を考える。〈フラクシナス〉から聞こえる士織さんとの会話でも、小雪に聞こえる心の声にも、特に異常は見られない。むしろ困り事なんて無いのかもしれない。令音さん相手のように、天使が全く声を拾えていない訳じゃない。ただただ音量が小さすぎて埋もれてしまうだけだ。そう判断した小雪は、不承不承ながら一度様子を見ることにした。友人を一人訳分からない状態にされておいてそれは本当に業腹だが、一応〈ラタトスク機関〉との契約の内容もある。精霊の手は出したくない。

それに極限まで好意的に見てみれば、知られて困る動機ではないということだ。それが善行であれば当然人は良心の呵責なんて感じない。負の要素を徹底的に排除する人間が正の要素を忌避する理由なんてどこにもないのだから。だが同様に、零の要素(些事)であれば人の心は動かない。あってもなくても同じようなもの。

ただ、その見方がほとんどあり得ないのは小雪も気がついている。これは一種の言い訳だ。今すぐ突っ走って美九の首元にルーラを突きつけたい衝動を抑えるための言い訳だ。

今は耐える。耐えて答えの分かりきった問題の解答を待ち続ける。その時が来れば……………

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

その日の夜。小雪は〈フラクシナス〉に呼び出されていた。

 

「理由、分かってるわよね。小雪、あなた、何するつもりだったの?」

 

艦橋中央の司令はいかにも不機嫌そうな風体で、小雪にそう問いかけてくる。小雪には確かに質問の内容は分かっているが、それ故に黙秘する。

 

「何、だんまり?」

 

やはり小雪は反応しない。琴里に変わって令音が何度か声をかけてみるが、やはり反応しない。〈フラクシナス〉の船員を一通り試したところで、折れたのは琴里の方だった。小雪を〈フラクシナス〉から降ろし、改めてあの時の精神状態を再確認する。

親しげに話しかけられたその時から急速に不機嫌になっていき、一定以下になるとそれが怒りへと変貌した。そこから今までほとんど上昇、下降していない。つまり彼女は未だその身の中に怒りを抱えている。

これがただの少女なら良い。放っておけば解決しているかもしれないし、士道を向かわせることにデメリットがない。こんなふうになるまで放置していた士道にとっては良い薬だろう。だが、彼女は精霊だ。それも、十香や狂三たちとは違い、破壊の権化たる精霊の力を全くと言って良いほど〈フラクシナス〉に見せていない。

 

「あんたたち!誰でも良いわ。今までの小雪を見て何か変なことはなかった?」

 

暴走される前に絶対に止めなければならない。その為の糸口を探すべく、琴里は〈フラクシナス〉船員に問いかけるが、答えは帰ってこない。かく言う琴里自身も士道とデートをしたあの時以来話していない。一縷の望みをかけて令音を見る。彼女は八舞姉妹攻略の折に少なからず小雪と直接関わっている。それ位しか手がかりがないのだから聞くしか道はない。

 

「ああ………」

 

令音はそれに反応して考え込むような素振りをみせる。思い出さなければいけないほどに少ないのか、それとも言うのを渋るようなことなのか。

 

「彼女はあの時、エレン・メイザースを殺そうとしていた。」

 

令音が示した答えは予想外で、だが現状と絡めて見てみるとすこし納得できる部分もある。

 

「隠していたが、彼女の今日までの来歴を漁ってみたことがある。正確には、今まで判明していたことをより深く、だ。」

 

「もう皆知っていると思うが、彼女は幾らかの国に出向いて、内戦やらテロやらを解決・防止した経験がある。それ故に彼女はASTからも討伐対象とされていないわけなのだが……………」

 

令音はそこでまた言葉を詰まらせた。だが、元々言うつもりで話し始めたのだろう。すこしだけ回りを見てから再び話し始めた。

 

「その現場で、主犯格やそれに近しい者が不自然にいなくなっていることがある。毎回という訳ではない。ただそれでも、過半数よりは多い頻度でだ。」

 

誰も言葉を挟まない。それを見て、仕方なく琴里が口を開いた。

 

「あんたは、小雪がやったって言いたいの?」

 

不自然な点も、不明瞭な点もたくさんある。だがそれでも、令音がそう言いたいのだと琴里は思った。答えは帰ってこないが、それで合っているのだろう。

最悪の精霊(時崎狂三)最善の精霊(姫川小雪)。同時期に〈フラクシナス〉と遭遇、接触した二人の精霊。初めて遭遇したときは、琴里にも余裕はなかったし、小雪はこちらに完全に友好的だった。琴里から見て異変と言える所は、令音が言っていた事実そのものだ。エレン・メイザース、世界最強の魔術師(ウィザード)、小雪ら精霊とは明確に敵対している存在だ。

それに仮に令音の考察が本当だったとして、相手は犯罪者たち。彼女のいた国のような場所でなくともクズな人間というのはどこにだっているものだ。〈ラタトスク機関〉のトップもそんな奴らばっかりで、話していると嫌になることもある。

単純な人間の視点から見て、自分を殺すかもしれない者や社会のクズを殺しておいて責められることは多くはないはずだ。少なくとも、それがやらない動機になることはない。

だがそれでも、彼女が誘宵美九をそのどちらかと見なす理由が分からない。直接話したことのない相手を敵と見なせる狂人だったのか、それともまた別の理由があるのか。

やはり情報が少なすぎる。〈フラクシナス〉は彼女を放置し過ぎた。彼女もまた精霊なのだ。単体で国を滅ぼすことの出来る意思を持つ災害。彼女の場合その矛先がたまたま〈ラタトスク〉の利になっていただけ。原因が分からないが、令音の説が正しかった場合、〈ラタトスク〉は恐らく小雪と敵対する。士道や十香はきっと彼女と戦えないだろう。

その場合、あくまでそんな最悪の場合、(イフリート)が出るしかない。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

五河士織として美九に接触した翌日。全力で変装を行い変声機も装着して士道は美九の下校を待って竜胆寺女学院の校門前に立っていた。

 

『士道、聞こえる?竜胆寺の授業が終わったわ。もうすぐ来るはずよ。』

 

何時ものように、右耳から聞こえてくる琴里の声に相槌を打つ。士道(士織)は美九と接触を図るための秘密道具─────染み抜きと洗濯の済まされたレースのハンカチ───をポケットから取り出す。借りたハンカチを返しに来るという名目であれば会いに行く理由が出来るし、あとはそこからどうにかして話を広げていくかだ。…………そこは士織(士道)だけでは不安なので、〈フラクシナス〉からの指示に期待したい。

 

『それと、今日は小雪は休んでもらってるわ。』

 

精霊が出る度に士道の護衛をしている小雪だが、今回は休みらしい。詳しい理由は教えてもらえなかったが、〈フラクシナス〉に労基はあるのだろうか。

 

『ほら、もたもたしない!来てるわよ!昨日の数値から考えるに、悪い扱いは受けないはずよ。』

 

校舎の方に見える生徒たちの集団、美九その取り巻きたちだ。士道(士織)はごくりと生唾を飲み込み、ポケットに入れたハンカチの感触を確かめる。

ちらちらと自分達を窺う視線に気がついたのか、取り巻きの先頭にいる生徒が士道(士織)に話しかけてきた。

 

「………何かご用ですか?」

 

緊張していた士道(士織)はそれに気がつかずに、驚いて声をあげてしまう。

 

「えっと……。俺は昨日天宮スクエアで誘宵美九さんに………。」

 

「もしかしてあなた、お姉さまのファンの人ですか?気持ちは分からなくもないですけど、ファンなら公私の区別はつけてくださいね。」

 

やれやれといった様子で肩をすくめたその女子は、士道(士織)に対してそう語りかけてくる。士道(士織)は困り顔で弁明しようとするが、女子生徒の奥から出てきた彼女によってその必要は無くなった。

 

「あらー、士織さんですかー?」

 

目を丸くして口をてで押さえている美九の方にお辞儀をすると、士道(士織)の道を塞いでいた女生徒たちが一気に道を開いた。

 

「お、お姉さまの知り合いの方でしたか………。これはとんだご無礼を………」

 

「いえ、気にしないでください………」

 

女生徒が申し訳なさそうにお辞儀をしてくる。そもそもが自分の説明不足にあると考えた士道(士織)はそれにお辞儀で返し、お辞儀合戦が始まってしまう。

 

「どうしたんですかー?今日は合同会議はありませんよー?」

 

その言葉で用件を思い出した士道(士織)は、ポケットからレースのハンカチを取り出す。

 

「そんなぁ、気にしなくてもよかったのに」

 

「いや、そういうわけにはいかないだろ。」

 

美九の言葉に真剣な口調で返す士道(士織)。それが気に入ったのか、美九はたいそう可笑しそうにくすくす笑っている。それに不服を感じはするが、士道(士織)はそれよりもこの先のことを考えている。ここで「それじゃあさよならー」なんてことになってしまえば次の合同会議まで待たなければならない。〈フラクシナス〉は美九(〈ディーヴァ〉)の攻略への糸口を一刻も早く掴んでおきたいのだろう。

 

「じゃあ、受け取っておきます。ふふ、でも、少し残念ですねー」

 

先の展開を考えていた士道(士織)は、美九のそんな発言に首を傾げる。何か駄目なことがあったのだろうか。美九から注意されている対女性の心掛けはしっかりしているつもりだが………。

 

「士織さんが私をお茶に誘ってくれるのかと思って、少し期待しちゃいましたー。」

 

士道(士織)は心臓が跳び跳ねるのを感じた。きっといまⅠ彼《彼女》の顔は真っ赤になっていることだろう。それほどまでに凄まじい破壊力を持った笑みで美九はそう言った。天然なのか計算ずくなのか分からないが、美九ならきっと後者だろう。士道(士織)の僅かに残った理性が「こっちも勉強しなくちゃな………」と嫌に冷静に評価していた。

 

『ちょっと、何ボーッとしてるのよ!返事は!?』

 

インカムからの琴里の叱咤によって理性が復帰していく。士道(士織)は肩をハッとしたのち美九を見返した。

 

「えっと……じゃあ、是非ハンカチのお礼ガしたいんだが、お茶でもどうだ?」

 

「はい、よろこんで!」

 

そう言った美九の顔は、今まで見てきたなかで一番美しかった。

 

 

 

 

 

 

竜胆寺女学院から歩いて数分、トントン拍子で進められた美九とのお茶の話は、流されるがままの士道(士織)の対応によって、美九が前々から行きたいと思っていた喫茶店で行われることになった。もっともあれだけの取り巻きのいる美九が誰とも一度も行っていないというのは疑わしい話だ。事実美九は手慣れた様子で注文を行っており、士道(士織)は彼女のおすすめをそのまま頼んでいる。

琴里が言うには、諸々の数値は順調に上昇しているらしいので、後はもっとそれを上昇させて霊力を封印するだけだ。だが、そこまで考えた所で、今まで考えないようにしていた事実に直面する。

精霊は機嫌が悪くなると封印されていた霊力が逆流し、ASTに捕捉されてしまう。その機嫌をとるための方法は精霊()それぞれだが、手っ取り早いのは惚れさせた相手(士道)と会うのが一番だ。だがそこで問題が生じる。美九の持っている好感はあくまで五河士織という少女に対してだ。男性に対してのつっけんどんな態度は依然(おそらく)変わっておらず、美九と会う時は必ず士織にならなくてはならない。会う時だけではない。美九に精霊を封印できるのは士道一人だと知られてしまえば、それだけでバッドエンド確定だ。

 

「すみません。ご注文の品を…………」

 

考え込んでいたためが、店員が近づいてきたのに気がつかずビックリしてしまう。そんな士道(士織)を見て美九は機嫌よさそうに笑っている。毛恥ずかしさから顔を背けしまった士道(士織)の代わりに、美九が女性店員の対応をしようとする。

 

「もしかして、アイドルの誘宵美九さんですか!?あの、わたしファンなんです!この前のライブにも……」

 

だが、彼女の顔を見るなり血相を変えた店員は、感激からか一気に捲し立てる。

 

「あらー。わたしのファンなんですか?うれしいですー。」

 

プライベートでいきなり話しかけられたにも関わらず、美九は落ち着いた反応だ。こうゆうのには慣れているのか、余裕そうだ。

 

【でも、今はプライベートなのでー。今日見たことは誰にも話さないでくださいねー。】

 

だがその美九の一言を聞いた途端、その店員が不自然に落ち着いた。ごゆっくりどうぞ、と、急に普通の対応を始めたものだから、士道(士織)は首を傾げる。

 

【そうだ。私、士織さんにお願いしたいことがあるんですけど、いいですかー?】

 

さらに美九が唐突にそんなことを言うものだから、数秒ほど士道(士織)の思考が停止した。だがそれだけで十分だったのが、美九はとても嬉しそうな顔をした。

 

「あなた、もしかして─────精霊さんですか?」

 

その爆弾発言にいち早く反応したのは〈フラクシナス〉でそれを俯瞰していた琴里だった。

 

『士道!分かってるわね!』

 

その声を聞いて困惑していた士道(士織)も誤魔化そうと言葉を探す。

 

「い、意外だな。美九もゲームとかそうゆうのやるのか。それより、お願いしたいことって何なんだ?」

 

「あはは、いいですよー誤魔化さなくても。わたしの『お願い』を聞いてくれない人が普通の人な訳ないんですから。」

 

だが困惑していたままの頭では冴えた言い訳も出るはずがなく、もとから違うとも考えていない美九に否定される。

 

「いえ、むしろ、精霊さんだったらうれしいですねぇ。私、自分以外の精霊さんに会ってみたかったんですよぉ。」

 

「ねぇ士織さん、あなたは一体何者なんですか?やっぱり精霊さん?それとも、あの魔術師(ウィザード)とかいう人たちの仲間なんですか?」

 

その質問の答えを、士道(士織)はすぐに返せなかった。答えるにしても、魔術師(ウィザード)だなんて言うのは論外。だが士道(士織)は精霊ではないのだ。だったら答えは一つしかない。

 

だが、士道(士織)がその答えを言うより早く、騒音が辺りに響いた。

 

平和大国である日本には不似合いなその(銃声)は、喫茶店に集まっていた客たちを絶叫させるには十分過ぎた。

自分達の置かれた状況をいち早く理解した士道(士織)は、〈フラクシナス〉に連絡を入れつつ美九を庇うような位置に立つ。

 

「そこの店員!金を出せ!」

 

全体的に黒い服装をして、目出し帽を被ったTHE強盗といった風体の(声から判断すると恐らく)男は、手に持った拳銃を店員に突きつけながらそういった。

 

「客が邪魔だな…………。そこの女二人以外客は全員外に出ろ!警察は呼ぶんじゃねぇぞ!」

 

男は次に店一体を見渡すと、人質として使いやすそうだと思ったのか女子高生二人(美九と士織)の方にも銃を向けながらそう言った。

男から逃げるように揉み合いながら他の客たちは店から飛び出していく。

 

『あー、士道?多分大丈夫だから、万一にでも怪我しないように注意しときなさい。』

 

琴里の唐突な安全宣言の真意を問うよりも早く、店のドアが静かに開かれた。少し前にあれだけの数の人が走り出ていったのだ。入ってくる者はそうそういまい。サイレンの音は聞こえていないから警察ではない。そう考えていたであろう男は後ろに振り返り、頭を消火器で殴られて倒れた。

 

「小雪?」

 

今日は休んでるんじゃなかったのか、という疑問だったが、小雪はそれに反応しない。美九は急展開に目を白黒させている。

 

「何か、狙われるような理由でもあるんですか?」

 

唐突にそんなことを聞いてきた。そもそも明らかに金目当ての強盗だった筈だ。と、そこまで考えて、彼女がそこまで見ていないことに気がついた。

 

「俺は特にそんな心当たりは無いし、第一現金目的の筈だ。」

 

「私だってないですよぉ。悪いことなんてしてませんもん。」

 

だから二人とも自分の無実を証明すべく口を開く。

 

「そう………ですか。」

 

小雪はそう言うと、強盗の持っていた銃を拾い上げる。

 

 

 

そしてその銃を、美九の方に構えた。




誤字報告、お気に入り登録、感想有難うございます。
文化祭自体はほとんどカットされると思います。

あと、美九ファンの方々申し訳ない。次回はもっと扱いが悪くなるかもしれません。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。