デート・ア・ライブ 小雪セイバー 作:業務用消火器の安全栓
大体このくらいのペースで行けたらなと思っています
相変わらずの駄文です。
それでも良いという方は残ってください。
それではどうぞ。
小雪エンカウント
士道を微睡みから引き上げたのは、鈍い痛みだった。
「───ッ!」
痛みの発生源───額に触れてみるが、傷もコブも存在していない。どちらかというと、内側から鈍痛が響いてくる感じだ。
周囲を見渡してみと、見慣れた光景、〈ラタトスク〉の医務室だ。朦朧とした意識が目覚めていくとともに、気を失う前の光景が甦ってくる。
(ッ…!そうだ!十香は?琴里は?)
ベッドの左右を見回す、誰もいない。だが足に違和感を感じて見てみると、見知った顔の少女がそこにいた。
少女────夜刀神十香は、ぐっすり眠っているようだ。口の端から涎が垂れている。
「十香………?」
名前を呼んでみるが、反応は返ってこない。ただ規則的に肩を上下させるだけだ。
「士道くーん、起きてますかー?」
そこへ、〈ラタトスク〉副指令、神無月恭平がいつもの飄々とした雰囲気のまま医務室へと入ってきた。
「神無月さん!琴里は、琴里は大丈夫なんですか!?
それに折紙と真那は!?あいつも手酷くやられていたはずです!」
士道は、近くに寝ている十香がいることも忘れるほど必死に、神無月に問いかける。
「うおっと、起きてたんですね士道くん。」
「はい、さっき目が覚めました。それよりも、琴里や折紙、真那は大丈夫なんですか?」
返事とともに、再び問いかける士道。
「はい。司令は、令音さんが言うには、問題ないそうです。いまは、別の場所にいます。鳶一さんや真那さんは後から現れたAST隊員に運ばれていきました。恐らく、今頃自衛隊天宮病院にいるでしょう。」
「く───そ………っ」
「いえ、実際君は今回良くやってくれました。〈ナイトメア〉──時崎狂三の足止めや、説得行動。予想外の事象が多かったにも関わらず、本当によくやってくれました。」
予想外の事象───何があっただろうか。痛む頭で必死に考える士道だが、思考は、聞こえてきた声に遮られる。
『おーい!士道くーん!いつまで二人だけでしゃべってるのさー。そろそろよしのんも仲間に入れてくれなーい?』
「よしのん、あんまり士道さんを、困らせちゃ……駄目でしょ」
陽気で快活な少女を思わせる声と、蚊の鳴くような小さい声。〈ラタトスク〉で保護している元精霊、四糸乃と、そのパペットのよしのんだ。
「四糸乃!お見舞いに来てくれたのか?悪いな。」
そんな想定外の訪問者に士道は思わず、日本人的な謙遜をしてしまうが、
『むー』
一人……一匹?一体?単位はともかく、よしのんへの挨拶を忘れてしまっている。
「……あ、ああ、ごめん。よしのんもありがとうな」
今度は、謙遜ではなくお礼だ。よしのんも、『寛大な心で許してあげるよー』と上機嫌だ。
「それで、神無月さん。琴里は、今どこにいるんでしょう。それと、俺たちを助けてくれた、あの……〈セイバー〉っていうのは、誰なんですか?」
はっきりした頭で、二つの質問をする士道。
「司令は先ほども言いましたが、今は別室です。そしてもうひとつ。〈セイバー〉についてですが………少々長くなるかもしれませんが、それでもいいですか?」
確認されるが、士道の答えはもちろん肯定だ。
「四糸乃たちはどうする?聞いてくのか?」
「はい、お願い………します。」
そして神無月は語り始める。最悪の精霊、〈ナイトメア〉時崎狂三の対極として各国に扱われる最善の精霊、〈セイバー〉の存在を。
「彼女、〈セイバー〉は数年前から確認されている精霊です。精霊としては、空間震の規模が小さく、霊力隠蔽能力が極めて高いことが特徴でしょうか。霊力隠蔽能力については、何かローブのようなものを被った時に発動するので、霊装の効果と見られています。空間震規模の問題と先ほど挙げた能力によって、正確な目撃件数は分かりませんが、少なくとも世界各国で数百件、それらしき人物が確認されています。ここまではまぁ、
「えっと、総合危険度?っていうのがあるんじゃないのか?琴里からちょっと聞いたうろ覚えなんだけど。」
「あぁ、それ聞いちゃいます?本筋に持って来ようとしてたんですが。いいでしょう。教えてあげます。」
変に勿体ぶった口調を、話を
「総合危険度は全精霊中最低のCランク。
いきなり何を聞いているのだろうこの人は。そんな思いを込めて睨んでみる。
「はは!猜疑心に満ちたいい目ですね!今度司令にもやってもらいましょう。」
「さて、聞き方がダメだったんでしょうか…。そのまま答え言っちゃいますね。ここで使われている〈セイバー〉はS、A、V、E、R、つまりはライフセイバーのセイバーです。セーバーとも言いますね。救助者、救済者という意味です。決して剣士のSABERではありません。」
「〈セイバー〉────彼女は災害被災地やら事故現場やらに現れて、日本で言うところの自衛隊やらが来るまでの間要救助者の救助活動をしているんです。最も大きな行動としては、○○の内乱に加担して、政府側の要人を引っ捕らえた上にそいつらの悪行の証拠を片っ端から反政府側に送って革命を成功に導いたとか。」
そんな噂を士道は聞いたことがあった。○○の革命はある一人の少女の尽力によって成されたものだった。もっとも、精霊の存在を知らない当時の士道としては、眉唾物の都市伝説程度の物だったが。成る程実話だったのか。
「そんな風に、国家にとっても利益になる行動をやってるせいで討伐命令が中々下りにくいんですね。その為、我々〈ラタトスク〉における攻略優先度はとても低いです。攻略しなくてもよいのではないか、という者もいる程度には。」
確かに、利益のみの視点から見れば彼女の存在は悪いものではないのだろう。有って無いようなものである空間震さえ耐えていれば後は向こうが救助活動をするのを待つ。たったそれだけで、被災者が減り、それだけ悲しむ人が減るのだから。
だとしたら俺が彼女を─────精霊として救おうとするのは正しい事なのだろうか。これはただのエゴなんじゃないか。そこまで考えて、ふと下を見る。そこにいた少女を見て、大切な約束を思い出した。
(そうだ。俺は十香と約束したじゃないか。精霊は全員俺が救うんだ。エゴだろうと何だろうと関係ない。ありがとな、十香。)
覚悟は決まった。どんな精霊でも救ってみせると、そう決めたのは他ならぬ彼自身なのだから。〈セイバー〉──救済者という名前をつけられた彼女すらを救済するため、今得た情報をまとめようとする。
「ちょっと待ってください神無月さん。
〈ラタトスク機関〉が誇る空中戦艦〈フラクシナス〉。その船のある一室で、精霊〈セイバー〉とラタトスク解析官、村雨令音は対面していた。
「さて、一先ずお礼を言っておこう。今回、精霊〈ナイトメア〉時崎狂三との戦闘の際、シンと琴里、それに十香を助けてくれてありがとう。我々〈ラタトスク機関〉にとっても、私にとっても、これはありがたい事だ。何かこちらに出来ることはないかな?我々の総力を以て手伝わせてもらう。あぁ、すまない、まだ名前を聞いていなかったね。名前で呼ばれるのが嫌だ、というのなら識別名でも構わないが、そう思わない者もいるだろうから教えてくれると助かるよ。」
覇気の無い、ゆったりとした口調で礼を言う令音。対面の少女は眉ひとつ動かさずに口を開く。
「私は姫河小雪です。まず質問ですが、あなた達は何がしたいんですか?」
本当に疑問に思っているようには全く聞こえない。平坦な口調で〈セイバー〉────姫河小雪は問いかける。
平坦な口調といったが、これは人から見たときの話だ。
実際のところ、小雪の心中は穏やかなものではない。眼前の女性からは、自身が持つ力、つまり天使の能力によって聞こえるはずの心の声が
だが令音からは心の声が聞こえなかった。心の声を全て読み取ればいいのかもしれないが、スノーホワイトであろうとしている限りこの封印は解くつもりはない。
結果、直接聞くという手段をとった。
「最初は質問か。そうだね。私たち〈ラタトスク機関〉は精霊との対話交渉を目的として設立された組織だ。決してAST等のような対精霊部隊ではないよ。君と敵対する理由もない。」
バレたら困る、というような声は聞こえない。屋上にいた少年、士道と呼ばれていた彼の望みとも一致する。小雪は、少なくともこれは嘘ではないと考えた。それなら次に聞くべきは───
「では二つ目です。精霊と対話して、何がしたいんですか?」
これだろう。精霊と対話し、平和的に取り込んだ後利用する。そんな組織なら一刻も早く壊滅させるに尽きる。
「単純に、君たちを助けたいから。では信じてもらえないだろうか。」
これにも、バレたら困るという風ではない。この状況で心の中まで平然と嘘をつける人はいないだろう。警戒を一段階緩めた上で次の質問を考える。
「士道さん、でしたか?明らかに一般人であろう彼がどうしてあのような状況のあの場所にいたのか。彼が〈ラタトスク機関〉にいる理由を教えてください。」
困っている人を助ける、小雪の行動の根幹はこれだ。それは誰であっても例外ではなく、当然、あの場にいた彼も対象だ。無理にやらされているのならば、解放しなければならない。特に困っていなかったのだから、それはない可能性の方が大きいのだが。
「シンのことかい?彼は〈ラタトスク〉の最終兵器、精霊と
ウソはない、のだろうか。そろそろ不安になってくるが、頭を落ち着かせる。天使の能力は人間に対しては絶対だ。目の前にいる女性は霊力を感じないから間違えなく人間、何も問題はない。
「他に何か、質問はあるかい?」
令音は表情を笑みから変えない。その事実に小雪はあせりを加速させる。実の話、表情は無いままなので冷静なようにしかみえないのだが、本人には分からないものだ。
再度思考を落ち着かせる。お礼は断るのが魔法少女としてのマナーかもしれないが今回ばかりはそうは言ってられない。
当たり前の事しかできない私が、その当たり前を少しでも広くするために手に入れた力が。
そんな事は有ってはならない。だが、私に人の望みを妨げる資格なんて無い。
ならどうすればいい。どちらが正しいなんて無い。エゴのぶつかり合いだろう。
「いえ、もう質問はありません。お礼の方ですが、私を最後にしてください。」
「……………最後に、というのは、どういうことかな?」
目的はとうの昔に決まっている。
迷う必要なんて無い。
戸惑う時間が勿体ない。
私は私に可能な限り、あらゆる悩みに応えると決めたのだ。
『手が届くのに、手を伸ばさなければ死ぬほど後悔する』
どこで聞いた言葉だったろうか。
正しくその通りだったんだ。
今でも死ぬほど後悔している。
『それが嫌だから手を伸ばす。』
それだけの話だ。
それは確かに
手を伸ばせば助けられるなら、この世界に未練なんて存在しない。
それは確かに
迷わないだけで、戸惑わないだけで、成功の道へと繋がるならば、この世界に後悔なんて存在しない。
小さな親切だけではなにも変わらない。
見てるだけではことは動かない。
他人任せでは解決しない。
自分がやらなければいけないこと、自分がやりたいと思うこと。
それが自分の選ぶ道なら、死んでも自分を貫き通せ。
それすらも
────────それでもわたしは夢見てる。
ラタトスク医務室、少人数で成り立っているその空間の人数がまた増えた。増えた本人────令音は士道を琴里がいる部屋に案内した後神無月を呼ぶと、医務室の外に出た。
「村雨解析官、〈セイバー〉は何と言っていましたか?」
令音は、いつもと同じく覇気の無い、しかしいつもと違ってやりにくそうな声で答える。
「我々が精霊を被害を出さずに全員攻略する事が1つ、自分が最後に攻略される精霊であることが1つ。この2つを条件に、フラクシナスに協力させろと言ってきた。どう思う?」
「そうですね、彼女が噂に違わぬ存在であるなら悪くないのでは?
「あぁ、後はシン次第だ。」
「……琴里を、デレさせろ……って」
最近困惑してばかりな気もするが、今回も士道は困惑していた。
妹が実は精霊で、五年前に士道がそれを封印して、そのせいで士道の能力がラタトスク機関に露見して、今士道は精霊を救っている。
ここまでは百歩…………いや数千歩ほど譲って理解できる。
琴里が精霊になるととてつもない破壊衝動に駆られてしまう。
今はまだ薬品で抑えているが、数日も経てば琴里は衝動に呑まれてしまう。
だから二日後、
この三つの事実が、士道を困惑させているのだ。
困惑のまま何も考えずにフラクシナス内部をうろうろしていると、ある人物を見つけた。
(令音さんと…………誰だ?)
歩いている二人の内片方は間違いなく令音だった。だがもう一人には見覚えがない。茶色掛かった黒髪に黒目、前髪をヘアピンで留め、来禅高校の制服を着た女子だ。
……………
「ちょっと、令音さん!?フラクシナスに誰乗せてるんですか?」
「?」
令音さんはきょとんとした顔で、隣の少女も似たような表情だ。
「あぁ、まだ話して無かったね。彼女は〈セイバー〉、姫河小雪だ。」
令音の言葉に対する、士道の理解は数瞬遅れた。
仕方ないことだろう。少女の外見が屋上で見た彼女と結び付かなかったのだ。特徴的だった桃色の髪の毛や金色の瞳は、日本を探せばどこにでもいそうな黒髪黒目。そして何より顔に表情が存在する。
よく見れば細部が似通っている気がしてくるが、素人目で見れば区別はつかない。
「それで、何で制服を?」
それも問題だろう。学校に普通の精霊が来たら確実にASTに狙われる。神出鬼没なのが精霊の強みの1つなのだから、殺されたくないならそれを手放すのは馬鹿のする事だろう。
令音さんがそんな考えの無い行動をするとは思いたくないけど、でも令音さん天然だからなぁ…………
そんなことを思っての質問だったが、令音にその意図は伝わるのか…………?
「当然、学校に行くからだが、他に制服を着るときがあるのかい?」
伝わらなかったようだ。
「そうじゃなくて!精霊が学校に行ったら、狂三みたいにASTから刺客が送られてくるんじゃ?!」
そう言うと、令音は納得がいったような顔をする。
ようやく伝わったか………。胸を撫で下ろす士道だが、ここで更なる爆弾が投下される。
「それについては問題は無いようだ。彼女は元々高校に通っている。その間ASTに狙われていないと言うことは、彼女の霊力隠蔽能力がそれだけ高いと言うことだ。」
霊力隠蔽能力については士道も聞いていたが、そこまで性能が良いとなると士道としては複雑な心境だ。それを量産すれば、全ての精霊が簡単に救われる。誰でも簡単に思い付くことだ。だからこそ優秀な〈ラタトスク〉の職員たちが実行に移そうとしていないのはおかしい。だがもしかしたら………………
そう考えてしまうのが士道の弱さだろう。相手のことを思いやりすぎて勝手に自滅していってしまう。昔の自分を見ているようでイラついて 小雪は彼を叱咤しようとする。
だが、「そういえばまだ名前を言っていなかったね。」
そんな令音の発言に妨げられる。心でも読んでいるのかと言うほどのベストタイミングに驚き、士道に何か言おうという気もなくしてしまった。黙って令音の言葉の続くを待つ。
「彼女は一応は来禅高校の生徒で君の隣のクラスにいる。精霊関連で何かあったら行ってみてくれ。」
「彼はシン、ここ〈フラクシナス〉の最終兵器だ。小雪、君がラタトスクの活動に協力したいというならば、シンが君のパートナーになる。こちらとしては協力は惜しまないつもりだが、シンを傷付ける様なことがあっては敵対せざるを得ない。忘れないようにしてくれ。」
「はい。分かってますよ。」
「え、ちょっ!待っ!」
問いかける間も無く、二人は去っていった。
「えー…………」
ちなみにこの後小雪は十香と出会い、関わりやすそうな雰囲気になった小雪と話した後に少し町を案内したそうだ。
十香が夕飯の席で話してくれた。
このような作品を読んで下さった皆様に感謝を。
ぼるてるさん、星6評価有難うございます。
ゃしさん、ヴェノムさん、2020さん、ハントマンさん、はたさめさん、メリオダス1さん、焼き鳥ストリームさん、シャロ0802さん、カンナちゃん、マジやばくねさん、181Aの電流さん、HDさん、みつきけいさん、ロットンさん、ショーちゃんさん、静流さん、お気に入り登録有難うございます。
これからもこの作品をお願いします
そして、小雪の精霊としてのプロフィールを書いておきます
名前 姫河小雪
識別名 セイバー
総合危険度 C
空間震規模 C
霊装 B
天使 A
STR(力) 150
CON(耐久力) 140
SPI(霊力) 120
AGI(敏捷性) 200
INT(知力) 200
霊装 神威霊装・純雪(スノーホワイト)
天使 裁定審判(マステマ)
特典 四次元袋 一人で持ち上げることが出来る大きさ、重さであればどんなものでと入れることができる。主に大型の業務用消火器がはいっている。
透明外套 羽織っていると姿が消え、身に付けていると霊力の反応が消える。使うと霊力は外に漏れでる。本来スノーホワイトの持ち物ではないが、ファルの代わりにもらった。
兎の足 ピンチの時にラッキーになるアイテム。