少しの沈黙。
真っ先に破ったのは山田真耶副担任であった。
「……はい、ありがとうございます。」
普通ならこのクラスの女子、ほぼ全員がキャーキャーと声を飛ばすだろう。
しかし、この男はキャラが濃すぎてなんというか、もう……どう対応していけば良いのか分からなくなっている。
ただこの教室内にいる生徒全員がこう思ったであろう。
意外と自己紹介まともだな、と。
その考えが強すぎたのか誰も助力の事について考えてないのである。
「…では…織斑一夏君!」
実際先程のやり取りを見ていた山田真耶副担任ですらそう思っていた。
だがとりあえず自己紹介を続けてもらおうと思ったのか、次の名前を呼んだ。
「あっ、はい!」
織斑一夏はその場に立ち、クラス中を見渡す。
途中にサングラスの手入れが終わったのかサングラスを鞄に入れつつサムズアップをしてくる男がいたがとりあえずスルーした。
そして大きく息を吸い、生徒ほぼ全員がどんな挨拶をしてくるのかと期待するが……
「……織斑一夏です!よろしくお願いします!……以上です!!」
この少年にはこの挨拶が限界だった。小学生か。
漫才をしているかのような綺麗なフォームで少年二人以外の生徒全員がずっこける。
その光景を微笑みながら見ていたサングラスマンは口を開いた。
「おや。私としてはとても我が救世主らしい自己紹介で素晴らしいと思ったが…」
パチパチと手を鳴らしながら織斑一夏の自己紹介改め、事故紹介を評価している姿を見た当の本人はこう考えた。
(…こいつ、結構良い奴なんじゃないか…?)
ウッソだろお前。
チョロすぎかよ。
羽織主のような変人に会ったのは今までで初めてだが、一周回って良い奴と思える。
腕を組みつつそう考えていた織斑一夏の頭を出席簿がスパーキング。
子気味よい音を響かせ先程の羽織主と同じように首が曲がった。
実は仲良いだろお前ら。
「ングゥッ」
「挨拶もまともに出来んのか、お前は。」
織斑一夏の頭を叩いたのは先程羽織主の頭を叩いたスーツの女性。
それこそ一年一組の担任の織斑千冬。
織斑一夏の実の姉であった。
「ってぇ…げっ、千冬姉!!」
頭をさすりつつプライベートでの呼び方をしてしまった織斑一夏に今度はげんこつがタイムバースト。
明らかに脳細胞が193万個程死んだ音がした。
いやそれは死にすぎか。
「ンゴゥッ」
「学校では織斑先生だ、馬鹿者。
……すまなかったな、山田君。少しの間任せてしまって。」
「いえ。」
(……なんで千冬姉がここに…?)
織斑一夏は疑問に思う。
全然家に帰って来ない上、何をしているのかも告げなかった実の姉が何故このIS学園で担任をしているのかと。
そんな疑問は姉の声でかき消された。
「諸君!私が担任の織斑千冬だ!君達新人を1年で使い物にするのが仕事だ。」
織斑千冬が自己紹介を終えると、突如織斑一夏の手に物が投げられた。
よく見てみるとそれは耳栓で、投げられた方向を見ると「早く付けるといい」と言わんばかりのジェスチャーを羽織主がしていた。
(付けろって事か…?ええい、ままよ!)
織斑一夏が耳栓を付けた瞬間、耳栓越しでも分かる程に大きい声が教室中に響いた。
キャーキャーというような黄色い声は女子が出しているようで、個人個人の声は上手く聞き取れないがとりあえずうるさいのは良くわかる。
ちょっと待って教室揺れてない?
「静かに!」
その中ではっきりと聞こえたのは織斑千冬の声のみ。
そのタイミングで耳栓を取る織斑一夏。何故姉の声だけしっかりと聞き取れたのか。流石シスコン。
「諸君には、これからISの基礎知識を半年で覚えてもらう。その後実習だが、基本動作は半月で身体に染み込ませろ。いいか?良いなら返事をしろ。良くなくても返事をしろ。」
滅茶苦茶である。
支離滅裂な思考・発言。
「はいっ!」
だが女子達は納得し返事。
羽織主の声は聞こえない。
「……で、羽織主。」
織斑千冬が羽織主を呼ぶが、反応は無い。
当の本人は小さいストップウォッチの様な物を磨いていた。
何してんだお前。
「……羽織主、何をしている。」
「……ん、ああ。すみません、返事が遅れてしまいましたね。」
織斑千冬が前に立つと、羽織主の耳から耳栓がスポンと抜けた。
どうやら羽織主も付けていたらしい。
「……まあいいだろう、次は無いぞ。」
こめかみを抑えながら、教卓に戻っていく。
呆れたのレベルが高かったらしい。
ちなみに高校でこういう事言われると完全に見捨てられるぞ!
困っても助けてくれなくなるから気を付けよう!
「あはは……さて、皆さんも知っている通り、ISの正式名称はインフィニット・ストラトス。
日本で開発されたマルチフォームスーツです。
十年前に開発された当初は宇宙空間での活動を想定されていたのですが、現在は停滞中です。
アラスカ条約によって軍事利用も禁止されているので、今はもっぱら競技種目、スポーツとして活用されていますね。
そしてこのIS学園は世界唯一のIS操縦者育成を目的とした教育機関です。
世界中から大勢の生徒が集まって、操縦者になる為勉強をしています。
様々な国の若者達が、自分達の技能を向上させようと、日々努力をしているんです。
…では、今日から三年間しっかり勉強しましょうね!」
やけに長い説明が終わると、女子全員がはいと返事をする。
羽織主はニコニコとストップウォッチのようなものを磨きつつ軽く返事をし、織斑一夏は顔を青くして返事無し。
恐らくプレッシャーを感じているのだろう。
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「ねぇ、あれが世界でISを使える唯一の男の人、織斑一夏君だよね…!?」
「世界的な大ニュースだったよね!」
「でもあの男の子誰?」
「ニュースでも特に何も無かったけど…」
HRが終わり休み時間、同学年や上の学年の女子生徒達が窓に張り付き織斑一夏と羽織主を観察していた。
「…はぁ……」
「動物園の人気者になったようで気が楽じゃない、そうだろう?」
織斑一夏が溜め息を一つ吐くと、空いていた前の席に座り話し掛ける羽織主。
「…まぁ、そんな所だけど…それで、お前なんなんだ?俺の事を救世主、って呼んでるけど…」
最初からずっと気になっていた事を織斑一夏は質問する。
身に覚えも無いのに救世主呼ばわりなんて恥ずかしいったらありゃしないのだろう。
「…話せば長くなる。それに今話した所であまり良い方向には向かないだろう、時が来たらお話しよう。
だが、訳あって君を救世主と呼んで慕っているという事だけ覚えていてほしいな。」
微笑みかけ、簡単な説明をする。
長くなるという事はかなり深い訳があるらしい。
「ふーん…良く分からないけど、よろしくな、ウォズ。」
「ああ、よろしく頼むよ、我が救世主よ。」
互いに手を差し伸べ、握手をする。
それを見ていた女子軍大興奮。
「何あれ…!あの男の子と織斑くん、そういう…!?」
「良い…!!クリスチャン、あの子の名前は!?」
「ウォズと呼ばれていました、つまりウォズ×一夏です!!」
「馬鹿野郎!一夏×ウォズでしょ!」
「もうやだこの人達…」
その一連を聞いていた一夏は全力で聞かない振りを、羽織主はニコニコと女子達に手を振っていた。
「あっ好き…」
「好青年、イケメン…!!あの笑顔の威力ファイナルベント!」
「もう一生ウォズくん推しでいいや…」
「ほんともうやだこの人達……」
とりあえず女子達はチョロいらしい。
設定作らなきゃ……(使命感)
活動報告で募集を始めたオリジナルライダー&オリジナルフューチャーリング募集企画、既に何個かアイデアをいただいております。
本当にありがとうございます…!!
本編に必ず登場させていきますので、何卒よろしくお願いします…!!
もし思いつけば活動報告にてよろしくお願いします!
あとエボルトの小説始めてはエボルドライバー持ってなくて欲しがった結果買ってという経験があるのにも関わらずビヨンドライバー買ってないというこの感じがもう。
ジクウドライバーも買ってないやん!どうしてくれんのこれ!?