「すまない、ちょっといいか?」
織斑一夏が全力で目逸らし、羽織主がニコニコと手を振っている途中に凛々しい女子の声が二人の気を移らせる。
「…箒…」
織斑一夏が思わず声を漏らす。
おそらく、目の前の女子の名前だろう。
「おや、私とした事が。
折角の幼馴染同士の再会で話したい事もあるだろう、私の事は気にせずに話してくるといい。」
羽織主は立ち上がり、自分の席へと戻っていく。
するとストップウォッチ型の何かを取り出すと、持ち手を中から取り出し耳に当てた。
『Calling!』
やけに渋い音声を出したそれはどうやら変わったタイプの携帯らしい。
内部構造はどうなっているのか。
「ああもしもし。
こちらは無事だが、そっちはどうかな?
……そうか、良かった。」
話のトーンからして知り合いらしい。
「……行くぞ。」
「あっ、ちょっと待てよ箒!」
一言だけ残し、少女は廊下に向けて歩いていく。
そんな少女を織斑一夏はすぐに追い始めた。
「……ああ、じゃあ、また。
定期的に連絡するよ。」
通話を終えたのか羽織主は持ち手を折り畳み、ポケットの中にストップウォッチ型の携帯を入れる。
「……ふぅ、中々楽じゃないな…理想の従者になるのは。」
誰にも聞こえない声量で、羽織主はボソリと呟く。
そして逆側のポケットから取り出したストップウォッチ型の『モノ』を見つめた。
銀と黒の色で構成されたそれの前面には、ある者の顔が印刷されていた。
───────────────────────────────────────────
「……では、ここまでで質問のある人。」
所謂一時間目が始まり、約十、二十分程経った時に副担任である山田真耶が進行の確認をする。
ほぼ全員に質問は無いようで、手を挙げない。
しかし、この男。
(…このアクティブなんちゃらとかどういう意味だ……!?まさかこれ全部覚えないといけないのか…!?)
世界で初めてISを動かした男は完全に理解していなかった。
せめて用語の名前は覚えよう、教科書見てるんだから。
「織斑君、何かありますか?」
「うぁっ!?…えっと…」
絶好のタイミングで山田真耶が織斑一夏に話し掛ける。
さあ勇気を出して、さあ。
さあ。
さあ!!
(うるせぇよ!!…ってあれ、なんで今…?)
あっやべ、ごめんなさい。
……コホン、大きなリアクションを取った織斑一夏に対して山田真耶が言葉を続ける。
「質問があったら聞いてくださいね、何せ私は先生ですから!」
目の前の満面の笑みに申し訳なさを感じるようだが、覚悟を決め手を小さく挙げる。
「…先生…」
「はいっ、織斑君!」
「ほとんど全部分かりません…!!」
今にも泣きそうな声でそう答える織斑一夏。
「ぇっ、全部ですか!?…い、今の段階で分からないって方はどれくらいいますか!?」
山田真耶が不安そうに声を出すが、誰も手を挙げる者はいない。
問題のもう一人の男は真剣にノートに視線を向けていた。
(えっ、ウォズも分かるのか!?)
心底驚きつつも織斑一夏は羽織主に視線を向ける。
さて、ここで当の本人のノートを見てみよう。
『ン我が救世主の理想チャート』
(ここがこのルートで、このタイミングでこの能力を使うことが出来れば…)
授業中に何してんだお前。
「織斑、入学前の参考書は読んだか?」
あの馬鹿従者は放っておくとして、織斑千冬が織斑一夏に話しかける。
(…参考書?…おかしい、この本にはそんなもの書いていなかったが…)
とりあえずお前黙っとけ。
「えっ?うーん……あっ、分厚いやつですか?」
「そうだ。必読と書いてあっただろう?」
「あー……間違えて捨てました…」
刹那、織斑一夏の頭に出席簿がスパーキング。
あんぱんよりタチが悪い。
「っでぇ!?」
「再発行してやるから一週間で覚えろ。いいな?」
「えっ、で、でも、あの量を一週間でって…」
「良いな?」
「ハイ」
やはり権力には弱かった。
残念無念。
(織斑一夏、参考書を約二日で内容を全て覚える…と。)
羽織主は手に握られた少し大きめのタブレットのように機械的なノートに何かを書いて……っておいちょっと待てまだ出さないでそれ!重要なやつ!重要なやつだから!
(これでよし。)
良くねぇよこの馬鹿!もういい!もう知らない!!
お前なんかマナポップン石田にみかん投げられて果汁で足折れてしまえ!
(誰?)
うるさいバーカバーカ!お前の母ちゃんタイムマジーン!
(いや、本当に誰なんだい?)
あっごめん
……ゴホン、では今回はここまで。
次回もお楽しみに。
(終わらせようとしないでくれないか?
今回は全然話が進んでいないよ?)
うっせバーカ!終わり!閉廷!以上!!
次回はドキドキワクワク初変身!サヨナラ!
(ちょっ
はいおしまい。
次回は予告通り初変身…の、予定です。
何の小説であろうとできる限り投稿早くできるように頑張ります本当に申し訳ございません。