黒黒黒・・・見渡す限り黒一色の世界が地平線まで広がっていた。
ミクロン単位のの起伏さえない平面がひたすら広がっているだけ。
しかしそこには異物が存在した。
ステンドグラスのように色とりどりのガラス片のような輝きが星のように世界を満たしている。
それは、「世界」の残骸だ。
幸福な世界、不幸な世界、あらゆる世界の残骸がまるで鋭いガラス片のように砕け散り天を覆う星々のように漂っていた。
対峙するのは二対の神。
魔神オティヌス。
天狗道第六天波旬。
魔神が槍を振るうと数百数千の世界が生まれる。
悪神が呼吸すると数百数千の世界が壊れる
言葉で説明できる領域などとうに超えていた。あまりにもスケールが狂っている。
「ああ、気持ちが悪い。俺の宇宙からだは俺だけのものであるはずなのに、何故穢らわしい塵屑が存在しているのだ」
その瞬間、何百かの世界が崩壊した。
「能力の相性?馬鹿臭い。力を使う際の危険要素?阿呆か貴様。
質量の桁が違えば相性などに意味はなく、使用に危険を伴う力なぞは単なる使えぬ欠陥品だ。少し考えれば稚児であろうと分かることを、己の矮小さを正当化するためにみっともなく誤魔化しておる」
その口調にオティヌスに対する感情は込められていなかった。
あくまでも一人語り。
自分が満足するためだけの自己愛。
他者に微塵も興味はなく、全てにおいて第一に優先される存在、それこそが第六天波旬という悪神なのだった。
「あの程度では足りないとほざいたか、ならば威力を上げれば済む話なのだろう?」
その瞬間、ゴドアッッッッ!!!!と主神の槍が最悪の悪神を数百光年先まで薙ぎ払われた。
「なァにいッッ・・・!!??」
そう、上条当麻は言っていたではないか、神のスケールを測ることなどこの世の誰にもできないと。
そう、たとえ同じ神であっても。
「魔神はお前の想像を簡単に飛び越える。あまりこのオティヌスを舐めるなよ?」
その瞬間、
グシャツツッッッ!!!とオティヌスが握りつぶされた。
何度殺されただろうか。
腕がもがれ頭が潰れ存在が素粒子レベルで灰になる。
しかし魔神はその程度で死ぬ存在ではない。
一千一億一兆途方もなく捻りつぶされて、
――唵――
阿謨伽尾盧左曩 摩訶母捺囉摩抳 鉢納摩 入嚩攞 鉢囉韈哆野吽
地・水・火・風・空に偏在する金剛界尊よ
今ぞ遍く光に滅相し奉る!
天地玄妙神辺変通力離――
卍曼荼羅ァ――無量大数ゥ!
音は消えた。
空間は圧搾された。
世界は消滅した。
存在するはだだ一柱。
天上天下唯我独尊、第六天波旬だたひとり。
「ああそうだ、一つ、たった一つだけ聞きたかったことがあったんだ。」
疑問形ではあるがやはりオティヌスへの興味は感じられなかった。
ただのひとりごと。
ただの自己満足。
そして最低の一言を呟いた。
「俺の糞は旨かったかァ?」
ドッッッ!!!と一本の杭が魔王の胸から飛び出した。
「妖精化」
ただ一言、歌うように魔神は告げる
最後の審判のように
「・・・・・・・・・・・・・は?」
「たとえ世界に影響を与えるほどの存在であっても完全に姿を隠し通せることは右方のフィアンマが証明した。」
「 」
「さらばだ天狗道、かみさまごっこはたのしかったか?」
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
クソがああああああアアアああああああああああアアaAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」