聖王歴 767年 12月15日
それは雪がしんしんと降り注ぐ暗くて寒い夜のことだった。
「この裏切り.....この怒り! これが忠義を尽くした家臣への仕打ちか!!.....うおおおおおおおおおおおお!」
「どうしたルギス、何を怒っている。喜べ......や、やめろ! なんだその姿は!!」
「ルギス.....だめだ!やめろ!!」
「お、おとさま.....? いやああああああああ!」
700年続いたオルタンシア王国の平和はカメリア公国のルギスによる国王殺害により終わりを告げた。
この時、たまたま現場に居合わせた王女を守るため神殿騎士「フェルナンド・オーベル」「レオン・オリヴィエ」両名が立ち向かうも、同じ神殿騎士である「ルギス・カメリア」に殺害される。
その後ルギスは護衛小隊をたった一人で壊滅、逃走した。
また、王女である「マリエル」は行方不明に。現国王の死亡及び第一継承権を持つマリエル王女が行方不明になったことにより、弟の「シャルロ」が教皇及び諸侯の後押しを受けて国王に即位した。
オルタンシア王国は突然のカメリア公国反乱、国王の殺害という大罪に混乱を極めるのであった......。
今思えばあの夜がすべての始まりだった。
王国を守る王国騎士の中でも最強と評される「神殿騎士」。その神殿騎士の中でも筆頭であった俺の父さん。
このオーベルで領主を務めていて領民からの人望も厚かった。
絶対になにがあっても負けることは、死ぬことはないと思っていたのに。
「あ、父さん!.....え?モーリス.....おじさん?」
「わりいな、フェルナンドじゃ、、、お前の親父じゃないんだ。しばらくみないうちに大きくなったな、サーガ」
ドアを開けるとそこにあったのはいつもの父さんの笑顔ではなく、片目を失ったモーリスの悲痛そうな顔だった。
そしてモーリスが両手で抱えている剣は...........。
「なんで.....なんでおじさんが父さんの剣を持っているの?父さんはどこ!?」
「......すまねえ、守りきれなかった。フェルナンドは一人の騎士として王女の、この国の光を守るために立派に戦って死んだんだ。」
「嘘だ!!」
「..........サーガ。」
「くっ..........!」
あのモーリスが片目を失っている時点でなにかとんでもないことが起こったということはすぐにわかったけど......それでも受け入れるのに時間がかかってしまった。
父さんが死んでしまった今、この家で一番年上なのは俺だ。
俺しかいないんだ。
父さんが残したこのオーベルを守らなければならない。
これからは俺が領主としてしっかりしなければ。
オーベル・サーガとして務めを果たすんだ。