それはある晴れた日の朝のことだった。
「あーあ、こんな遠くまで魔物退治にいかなきゃならねえとは......めんどくせえなあ。」
「うるさいぞ!デフロット!ごちゃごちゃ文句言うな!」
めんどくさそうに歩きながら欠伸をしていたデフロットにマリユスが説教をしている。
「なんでマリユス坊っちゃんはそんなに元気なのかねえ.....そもそもこんな安い報酬ではるばる出掛ける意味がわからねえ。」
「モルモル~♪ サーガは貧乏領主モル~♪」
「そんなはっきり言わなくても......。」
楽しそうに飛び回るクーを横目に、サーガが渋い顔をしながら言った。
3年前のあの日、空想やおとぎ話の中のものだと考えられていた魔物が突如としてこの世界に出現した。
未だにその原因は解明されていない。交流は不可能で人を見るなり手に持った剣や槍で容赦なく攻撃してくる。
一匹一匹はそこまで強くなく、持っている武器もボロボロだが集団で行動する習性があり毎年多くの人間が犠牲になっている。
ちなみに倒したとしても肉は汚染されていて食べることもできないので、ただただ邪魔で害悪な存在だ。
「デフロット、確かに俺は貧乏領主かもしれない。でも依頼をお金で判断して困っている人を見捨てるわけにはいかないだろう?」
「そうだぞ!デフロット!サーガの言うとおりだ!」
「あー!!わかったよ!!全く、このお人好し領主は......。」
サーガとそれに同調したマリユスに責められたデフロットは長い青髪をかき乱しながら叫んだ。
「モルモル~♪デフロット怒られてるモル~♪」
「モルモルうるせえぞ!このモルモル野郎!」
「モルモル野郎じゃないモル!クーにはちゃんとクー・モリモルっていう名前があるモル!」
「うるせえ!ごちゃごちゃ言うな~!」
「あ、おい!クーをいじめるな!」
宙をモルモル笑いながら飛び回るクーを捕まえようとするデフロットをマリユスが必死な表情で止めている。
「先は長いんだ、遊ぶのはこの辺にして先を急ぐぞ。」
サーガが苦笑いをしながら争いを止めた。
オーベル領にはお金がないので他の領地のように騎士団や傭兵団を雇って見回りをさせることができない。
だからこうしてサーガとその仲間達で魔物を退治しに行く必要があるのだ。
サーガの従者であるマリユス。
短く鮮やかな金髪と緑色の目が特徴的だ。
3年前、戦火につつまれる王都で、フェルナンドが助けた少年。戦争孤児となったため、モーリスがオーベルに連れ帰った。気が強く負けず嫌いで、誰に対しても物おじしない性格である。
当初は心を開いていなかったものの徐々に打ち解け、現在は活発な少年となった。
武器として剣を使う。
そして見習い騎士のデフロット。
長めの青髪と青い目、二枚目な顔つきが特徴だ。
やんちゃで常に楽観的な性格。オーベル騎士団のムードメーカーでもある。
美人に目がないが振り向いてもらった試しがない。
主に槍を使うがそこそこ剣もできる。
謎の精霊 クー・モリモル
マリユスと一緒にいる謎の生き物。
語尾に必ず「モル」がつく。生まれたときからマリユスと一緒なので仲は良い。
思ったことをはっきりと言うため、しばしば争いがおこることがある。
「今回はなんだったっけな? オーベルの森に住んでいる一人暮らしの老人の確認と周辺の魔物退治だったか?」
「まったく!なんでそんなところに一人で住んでいるんだ!」
今となっては魔物の巣窟ともいえる森の中に一人で住むという危険で愚かな行為にマリユスは憤慨した。
「マリユス......あの人は。」
「あー!! 理由なんてどうだっていい! ちゃっちゃと終わらせて帰るぞ!!」
「そ、そうだな!確かに細かいことを気にしていてもしょうがない。さあ、行こう!」