転生したらマーリンの弟子になった   作:黒猫街夜

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今回は完全にオリジナル展開です。



ラックの試練

「ここが湖の乙女の一人であるニミュエ殿が住む湖で間違いないだろうか?」

 

のちの円卓の騎士最強、ランスロット。

彼はニミュエに用事があるらしい。

まぁどんな用事かは予想がついている。

間違いなく無毀なる湖光(アロンダイト)が目的だろう。

ランスロットの代名詞の一つ。

確かランスロットは湖の乙女に育てられ、その過程で無毀なる湖光(アロンダイト)を送られたのだろう。

しかし神造兵器やその姉妹剣である聖剣などは全てニミュエが管理している。

だからこうしてニミュエに貰いに来たのだろうな。

しかしそうなるとランスロットを育てたのは一体誰なんだ?

 

まぁそれよりもとにかく返答をするのが先か。

 

「ニミュエは今部屋にいるよ。もう少ししたら来るだろうけど用事があるなら聞こうか?」

 

「……あなたは?」

 

思いっきり不審者を見る目で見られた。

そういえばまだ名乗ってもいなかった。

それなのに今の返答は不審に見えるだけか。

 

「すまんね、名乗り忘れてた。俺はラック、まぁそれなりに腕に覚えのある魔術師でニミュエの夫をやってるよ」

 

そう言うとランスロットは目を見開きそしてすぐに納得がいったかのような顔をしていた。

 

「そういえば母が妖精の伴侶となった魔術師がいるとそれは楽しそうに語っていましたが……まさか本当だとは」

 

「まぁそういうことでな。ニミュエに用事なら俺が聞いておこうか?」

 

「……まぁそういうことなら問題はないでしょう。私はランスロット、アーサー王に仕えるために聖剣を授かりに来た次第」

 

「そっかぁ聖剣ね。まぁそれなら俺が渡すわけにはいかないね。それは湖の乙女の役目だ。俺が関与すべきではない……だがアーサー王に仕えるなら話は変わる」

 

俺の雰囲気が変わったことに気がついたのかランスロットは思わず身を固くする。

 

「彼は俺の知り合いでね。子供の頃に面倒を見たこともあった。まぁ君に彼を守る力があるのか見せてもらおうかな?」

 

「……なるほど、分かりました」

 

「……意外だね。だからなんだと跳ね除けることも君ならできるだろう?」

 

これに関しては正直とても意外だった。

だって彼には俺の言った通り俺に力を見せる必要など全くないのだから。

生意気だと、傲慢だと跳ね除けることもできただろう。

しかし彼は、ランスロットは了承したのだ。

俺を配慮してくれたことが分かる。

本当にいい青年じゃないか。

これが不貞とかいうくだらなすぎる国家の崩壊を招く人物になるとは……

本当になぜなのだろうか。

 

「……まぁいいや、じゃあ君には俺の迷宮でもクリアしてもらおうかな。流石に最後の蛇は倒せないだろうからとりあえずはそこに到達するだけでいいからね」

 

「え?」

 

「じゃあ行ってらっしゃい。頑張ってね」

 

一方的に告げて迷宮に放り出す。

まぁこんな夜中に尋ねて来るのが悪いのだ。

流石に眠すぎる。

ランスロットは鎧も着てたし剣も持ってた。

それに例え迷宮で瀕死になっても生きてさえいれば一応帰って来られるようになっている。

生きてれば俺が治療を施せばいいだけの話なのだ。

割と何も問題は無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ここは」

 

一方的に迷宮へと飛ばされたランスロットは辺りを見渡している。

地面は足首まで水が張っており思い通りに動くことは難しい。

獣の呻き声や争うような声が響いており、自分はそれなりに広い部屋にいることが分かる。

そして壁や地面は明らかに加工されていることが分かる茶色い石材でできている。

その壁や地面一体に青白く光る文字が書かれているのが分かる。

それは幾何学模様のように見えるが実際には全く規則性がなく書かれておりじっと見ていると遠近感覚さえ狂わされそうになる。

極力それらを見ないように立ち上がると一本の道があることに気がついた。

止まっていても仕方がないとその道に向かって歩き出す。

 

その時だった。

今まさに向かっていた道から一体の魔獣が現れたのだ。

それは緑がかった水色の皮膚を持ち海藻のたてがみを持つ馬。

幻獣ケルピー。

それが目の前に現れた魔獣の名前である。

ケルピーは背に乗せた人間を水の中に引きずり込みその肉を食べてしまうという。

そのケルピーがかなりの速度で猛進してくる。

ランスロットはギリギリで身体を逸らしすれ違いざまに斬りつけるがまるで金属同士がぶつかったかのように甲高い音を立てて弾かれた。

ケルピーはそのまま身を翻し再度ランスロットへと向かっていく。

 

どうするっ! 剣では切れないし攻撃手段がない。

打つ手なしか!

そんなことを考えながら横に転がってケルピーを躱す。

すぐに立ち上がり剣を構える。

 

しかし唐突に戦闘は終わった。

急に空が暗くなる。

実はこの迷宮の天井や壁、そして地面は発光する。

夜の間は光量は抑えられるが昼の間は本物の昼のように明るい。

故に空というものはないがまぁそこは察して欲しい。

それにここの天井はとても高く天井に書かれた文字は見えない。

だから空だと言い張ることもできるかもしれない。

 

まぁそれはさておき急なことに驚き空を見上げるとそこには、

 

巨大な怪鳥が睥睨していたのだ。

 

黄金の羽毛を持ち4枚の翼を羽ばたかせ尾羽の代わりに真っ黒な蛇を生やした怪鳥が悠々と空を飛んでいる。

 

怪鳥は尻尾の蛇を伸ばすとケルピーに噛み付こうとするがケルピーは跳ね上がることで蛇を回避する。

しかし怪鳥はケルピーに直接掴みかかると爪を食い込ませ、そして持ち上げた。

苦しみ暴れるケルピーに黒い蛇が追い討ちをかけるように牙を食い込ませる。

ビクンビクンと痙攣するケルピーを急降下する勢いで地面に叩きつけとどめを刺す。

グチャリと肉が潰れる音と短いケルピーの悲鳴が絶命を告げる。

そして怪鳥は死んだことを確認するかのようにくちばしでつつくとランスロットをギロリと鋭い瞳で睨みつけてからケルピーを咥えてどこかに飛んでいった。

 

ランスロットは今起こったことを信じられず呆然としている。

しかしこれはのちにランスロット最大の難関とまで言われる試練の始まりに過ぎなかった。

 

弱肉強食を体現するラックの迷宮。

しかしここに弱者はいない。

存在するのはラックが被害を出したため捕獲した魔獣やラックが実験や趣味で作った合成獣(キメラ)達。

罠やラックが時折遊び半分で放り込む悪霊で溢れるため魔獣たちですら移動に最新の注意を払う最強の監獄。

昔アルトリアに攻略してもらおうと中に入れてみれば数分で音を上げられたということもあった。

違う魔獣同士が混ざり合い全くの新種が生まれることもあった。

しかしこの迷宮の創造者はそれを楽しんでいる。

 

最古の魔獣観察のための施設(攻略不可能の迷宮)

生存競争の絶えない強者のみの監獄(地獄)

しかしここには4つのルールがある。

 

 

一 徘徊者に見つかるな

 

二 鉄人形と戦うな

 

三 砂の部屋には近づくな

 

四 蛇の王には逆らうな

 

これらは魔獣達が作った暗黙の了解である。

そのためランスロットはこれらを知らない。

これさえ守っていれば生きていられる。

それでも魔獣達が戦うのはラックが気に入ったやつはたまに外に出してやると宣言したからである。

だから魔獣達は自身の強さを知らしめようとその力を振るうのだ。

 

そしてたまに人間が入ってくる。

彼らは皆ラックが入れた罪人達でありここでは強くなければ餌でしかない。

ランスロットは知る由もないが大抵は人間が放り込まれるとこの大広間に放り出される。

故にもう既にランスロットは餌として見られている。

 

ここは魔獣達の巣窟(楽園)

この世ならざる者達の闘技場。

今そこに異物が投じられた。

 

 

壮絶な殺し合いが幕を開ける。

 

 

 




怪鳥はオリジナルです。


それから活動報告で魔獣の募集とかやってみたりします。
まぁ初めての試みなので色々あるとは思いますがお願いします!
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