転生したらマーリンの弟子になった   作:黒猫街夜

15 / 31
繋ぎ回ですがラック視点に1回戻ります。ランスロットの迷宮脱出もそろそろ山場。頑張ります!


訪問者

朝目覚めるとそばにはいつも通り一糸まとわぬ美貌が眠っていた。どうやらニミュエは朝が弱いらしくいつも俺より遅く起きる。

そのまま風呂場に移動して身体を軽く洗う。

そのままいつも通りの服を着てその上に砂を纏い、被せるように黒いローブを着込む。服の洗濯はニミュエが行っている。服を水の中に入れれば水が汚れを吸い出してくれるという仕組みになっている。

だから服はいつでも清潔であり、まさに便利な洗濯機というところである。

 

まぁニミュエも家事なんてやったことがないから新鮮で楽しいなんて言っているし俺も助かってるからこれでいいのだろう。

 

しかしニミュエは料理だけはどうしてもできない。なので料理は俺が担当している。ニミュエはいつかきちんとできるようになって俺に振る舞いたいと言ってくれる。

とても楽しみだ。

 

鶏の卵を取り出して魔術の炎でジュージューと焼いていく。

するとその匂いに釣られたのかニミュエが2階から降りてくる。

 

「おはようございますラック様」

 

「おはようニミュエ。よく眠れた?」

 

「はい! バッチリです!」

 

ニコニコと綺麗な笑顔を浮かべて微笑んでいる。この笑顔のために戦えと言われたら俺は戦争も辞さないだろう。そんなことを考えながら目玉焼きを完成させる。

やっぱり目玉焼きは半熟こそが至高だと思う。

 

「今日も美味しそうですね~」

 

「ありがとな。じゃあ食おうか」

 

「はい!」

 

ついでにパンも焼いたのでそれも一緒に食べる。平穏な朝の食卓。

 

「私もお邪魔していいかしら~?」

 

そこに響いたのはどこか間延びした穏やかな女性の声。それと同時にニミュエの機嫌が目に見えて悪くなる。

 

「……ヴィヴィアン、何の用ですか?」

 

「あらごめんなさいね~ニミュエ。でもあなた達にどうしても聞かなければならないことがあってね~」

 

「いいけど……どうしたの?」

 

「実は私が育てた人間の子の反応がこの辺りで急に消失したんだけど~心当たりはある~?」

 

……ランスロットのことだよね。なるほど、ヴィヴィアンが育ててたのか。そしてその反応が消えたからここに来たと。う~んどうしようか。

 

「……人間なんて育ててたんですか?」

 

「まぁね~私の湖のそばを通った女がね~子供を抱いてたから貰ってあげたの~それでそのまま育てたら色々と面白いことになってね~ついでだからニミュエの預かってる聖剣を貰いに行かせたのだけれど~」

 

流石は湖の乙女。それが誘拐だということなどお構い無しなのだろう。彼女にとってその子供が興味を引くものだった。それだけが彼女の行動理由なのだ。

 

「ふーん、でも私は知らないわ」

 

「そっかぁ~ラック様は知らないかしら~」

 

「知ってるよ」

 

流石にこれを誤魔化すわけにはいくまい。経緯は誘拐だとはいえヴィヴィアンはランスロットを大事に思ってるみたいだしな。教えておいた方がいいだろう。

 

「昨日夜中に訪ねてきてさ。聖剣を貰ってアーサー王に仕えるって言ってたもんだから夜中の来客に苛立ってたのもあるし、一応剣を教えたりもしたアーサー王に仕えるってことなら俺が試してみようってことで異界の迷宮に送り込んじゃって」

 

「あ~あの子夜中に訪ねたんですか? 申し訳ないです~」

 

ペコリと頭を下げる。その様子に本当に母親をやってるんだと納得できてしまう。妖精である湖の乙女がまさか人間の子育てをするだなんて……前世の知識があっても驚愕するレベルだよな。

 

「まぁそういうわけだから今ランスロット君は俺の作った迷宮にいるよ。呼び出そうか?」

 

「……いえそれはやめておきます~その方が面白そうですし」

 

自分が育てた子供の危機を面白そうと言い切っちゃうあたり人ならざる妖精の証拠なのだろう。掛け値無しの愛情を注ぐ癖に飽きたらゴミのように捨てられる。

ニミュエには俺を見て人間の常識を学んでいるからまだましな方ではあるがたまにかなりずれた発言をすることがある。

しかしはたから見たら少しおかしな発言をする子くらいに見られるだろう。だがヴィヴィアンは違う。彼女と会話したら相手は間違いなくヴィヴィアンの正気を疑うだろう。

 

俺だってこの時代の常識に慣れるのは未だに苦労している。しかし彼女達湖の乙女にはそんなことをする理由も必要もないのだ。

 

「……了解、じゃあそういうことだから。ごめんね?」

 

「いえいえ~今回はあの子が悪いみたいなので~しょうがないです~」

 

ニコニコと綺麗な笑顔を浮かべて微笑んでいる。しかしその笑顔はさっきの発言もあり、どこか作り物めいて見えた。そしてそのまま状況も理解したので帰る、と言い屋敷の外にある泉に飛び込んだ。

 

「ヴィヴィアンがすみません……」

 

「ニミュエは悪くないさ。ただランスロット君に同情してただけ」

 

ランスロットの境遇を思い少し悪いことをした気分になる。罪滅ぼしという訳では無いが様子見という意味で迷宮からランスロットの魔力を探し出す。

 

すると目に飛び込んで来たのは魔獣の群れに襲われるランスロットと、それに同伴する魔術師であろう男だった。

 

……なんでさ。

 

 

 

 

 




全く関係ないですがよーちゃん誕生日おめでとうw
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。