今もやってるクラス別ピックアップガチャ、黒猫さんはワルキューレ狙いでランサークラス引きに行ったんですけど、まさかの李書文先生w まだまだドレイクとか、アンリマユとか、メルトリリスとか、柳生の爺さんとかも育てなくっちゃならないのに……まぁ好きなのでしっかり育てますけどね!w
「お願いしますラック殿! どうか私に聖剣を!」
唐突で悪いが目の前にはあの太陽の騎士が深々と俺に頭を下げて懇願しに来た。さて、どうしてこうなったのかと聞かれれば簡単な話、アーサー王がブリテンを復興させて王位を継いだことに感銘を受けて自分もアーサー王に仕えようと思ったらしい。
そしてそのための力として聖剣を授かりに来たとか。
いやだからさ、こういうのはニミュエの役目のはずなのにどうして俺が対応してるのさ。というかガウェインって姉弟子の子供でしょ? 何で魔術師じゃなくてとんでもなく強い騎士になってんのさ。
というか生ガウェイン初めて見た。これがゴリラか、確かにかなり筋肉はあるしさらに聖者の数字もここに加わるとなると相当なスペックを発揮できるだろう。
「しかしよくここを見つけたな。結界も貼ってあるし中々気づかれないと思うんだが……」
「3日程森を走り回ってようやく見つけました。ここら一帯は私の聖者の数字が無効化されていたので何かあると思い調べて見たのです」
The脳筋探索……もうちょいマシな探索方法はなかったのか。
「まぁいいや。それよりも聖剣が欲しいんだって? 確かにお前さんにピッタリの聖剣はあるぞ」
「おぉ本当ですか! では早速試練を!」
試練? そんなものないんだけど……
「ランスロット殿はラック殿の試練をクリアして聖剣を賜ったと聞きましたが?」
うっわぁ凄い変な伝わり方してるなぁ。あれは眠気とド深夜に訪ねてきたランスロットにイラついて適当に理由付けて迷宮に放り込んだだけなんだけど。でもそれを伝えるのもなんだかなぁ。
……あぁそういえばちょうどやって欲しいことがあったな。
「じゃあガウェイン。君に試練を与えよう」
「はっ! なんなりと」
ちょっと楽しくなってきた。
残念ながらやってもらうことはランスロットと、オルトースのやらかしたことの後始末なんだけどな。本来ならアイツらか俺がやるべきなんだろうがオルトースは当然論外、俺の命令を達成するために周囲を更地にしかねない。
ランスロットは修行中、そして俺は……ただただめんどくさい。
という訳でガウェインに押し付けてしまおう。
「今回ガウェインにやってもらいたいのは俺が作った迷宮から逃げ出した魔獣の捕獲を頼みたい」
「魔獣の捕獲ですか?」
「あぁ、とある事情で魔獣が迷宮から脱出してな。それを捕まえて欲しい」
「なるほど、分かりました。このガウェイン! 誇りにかけて捕まえてみせましょう!」
そう言ってガウェインは颯爽と走り出してしまった。
「……まだどんな魔獣かすら言ってないんだが」
魔獣の容姿も特徴も能力すらも知らずにどうやって捕まえてくるつもりなのだろうか。まぁガウェインは太陽の加護を持ってる。だからこそ大抵のことは上手くできてしまうのだろう。
だが流石に今回ばかりはそうはいかない、今回の魔獣は捕まえ方に特徴があるのだから。
はぁ……めんどくせぇ。だが仕方がない。サポートに行ってやろう。
しかし普通に助けるのもつまらんな。最近刺激が無さすぎてどうも享楽的な性格になってる気がする。よし、ならば幻術で……いや幻術は必要ないな。それよりも上位の能力を使えば幻術とか比べ物にならないし。
という訳で性質を反転させまーす。
自分の内でスイッチを切り替える。まぁこれは感覚的なものだがこの表現が1番しっくりとくる。
すると、身長が少し縮み灰色の髪を腰までたなびかせ、黄金の瞳を自虐的に輝かせた美少女がそこにいた。
まぁお察しの通りメルランモードです。
この状態だと思考すら普段とは真逆に走るからなぁ。
「そう言わないでよ私、こうやってたまには出してよね?」
(はいはい)
そう、メルランは俺とは意志をほとんど分離させており、俺と会話が出来たりと中々の自由度を誇る。
まぁ正確には性質を反転させたためか俺とは全くの別人となり、その結果として別人格を形成し、俺の中へと保存されたのだ。
何でそんなことをしたかと言われれば単純に割と便利だからである。
主導権は俺にあるし、万が一ということもない。
この間のランスロットの1件でメルランを初めて出した時にせっかく作ったのだから完成させてみたいと思ってしまった。そんな考えから生まれたのがメルランという俺の中に備わる人格。
しかしこれは二重人格と言ってもいいのだろうか? 1つの身体に2つの人格、確かにこれだけなら二重人格なのだろう。しかし俺とメルランは性質が違うだけの同一人物。しかし別々の思考回路を持ち、よく意見が割れる。
メルランは冷酷で他者の苦を愛おしいという人でなし。対して俺は他人にある程度の関心を持ち、慈しみを持って接する。
しかしメルランは俺のやることを無駄だと嗤うし、俺はメルランを心無い存在だと憐れむ。
しかしお互いにお互いを理解し合い、補完する。まぁ散々カッコつけたが言ってしまえば要するに同じ自分と会話するための存在を作ったと思えばいい。
まぁメルランにメルランの時の身体を預けるかと問われればそれも俺のさじ加減。なんとでもなる。
そして今回はメルランに預けてみる。正直性質を反転させてる身体を俺が動かすとそっちに引っ張られるので割とめんどくさい。
(じゃあ頼んだぞ?)
「分かってるわよ。仕事はちゃんとするもの」
さぁどうなるのやら、試運転は上手くいってくれることを願うばかりである。
♢♢♢♢♢
私は森をさまよっていた。この森は太陽の光が届きにくく、中々力を上手く使えない。
まぁそれとは関係なく、複雑な森の中を方角する分からずに歩き回っていただけなのだが。
「やっほぉお兄さん? 迷子かな?」
私はそこで救いに出会った。しかしそれは救いではなかったのかもしれない。なぜなら彼女は善悪で区別するならば、確実に巨悪に属する存在だったからである。
しかし私はそれをまだ知らない。
「迷子ではないです。しかしそうですね。森の出口はどこですか?」
「やっぱり迷子じゃん」
森の中でケタケタと笑う美少女とその美少女の目の前で道を聞く騎士らしき男。傍から見れば何があったのかと首を傾げるだろう光景だが幸いと言っていいのか、この光景を見ている者はいなかった。
「ふぅ、面白かった! 久々に笑ったしお礼に出口に案内するよ。私みたいな怪しいやつを信用できるなら着いてきてね!」
「えぇ分かりました」
「……即答かぁ。いいね! 気に入ったよ!」
言葉通りに途端に機嫌が良くなる少女。その少女が鼻歌を歌いながら歩き出したのでその後ろをついて歩く。
「しっかしよくこんな森に来ようと思ったね? ラックかニミュエに何か用事でもあった?」
「あぁラック殿に聖剣を授かるために試練を受けに来たのです」
「へぇ~どんな試練なの?」
「なんでも、迷宮から魔獣が逃げ出したらしいので私に捕まえてこいと」
「どんな魔獣?」
「それは……あっ」
そういえば魔獣について詳しく聞くのを忘れてしまった。今から戻って聞きに行くか? しかしかなりデタラメに歩いたせいでどの方向にラック殿がいたのかが全く分からなくなってしまいました。
「……聞くのを忘れてしまいましたよ」
「アハハッ! おっちょこちょいなんだね! でもそうだなぁ。ラックの迷宮から逃げ出した魔獣の中でまだ捕まってなかったり処分されてない魔獣は……ケルピーぐらいかな?」
「ッ! 知っているのですか!?」
「まぁねぇ、私もこう見えて魔術師だし? ある程度は詳しいよ?」
「で、ではそのケルピーという魔獣はどのような魔獣なのですか?」
そう聞くと顎に細くて真珠のように白い指を当てると考え始めた。そしてすぐに思い出したのか再度喋り出した。
「緑がかった水色の皮膚と海藻のたてがみを持つ魔獣なんだけどね? 属性で区分するなら水に当てはめられるかなぁ。でもまぁ君なら相性も悪くないんじゃない? 太陽の加護と、水属性なら火と水で水が有利に思うかもしれないけど太陽の加護とそんじょそこらの火を一緒にはできないからねぇ」
「なるほど、ならばなんとかなりますか」
「残念だけど今回に限っては微妙かなぁ。君の仕事は捕獲だろう? そうなると殺す訳にはいかない。ケルピーは捕まえるよりも討伐の方が楽なのさ」
「そうなのですか?」
「まぁねぇ、ケルピーはしっかりと乗りこなさないとこっちの言うことを聞かないからね。でもアイツら背中に乗られるとたてがみで拘束されて水の中に引きずり込むんだよね。そうなると君は若干不利かなぁ。傷付けずに捕獲するためには水中のケルピーを乗りこなさないといけない。正直呼吸が続かないだろうさ。全く、厄介な仕事を押し付けられたね?」
……それほどに難しいことなのだろうか? 今の話を聞いている限り、そんなに難しいことには聞こえないのですが。
そう思っているのが顔に出ていたのか、メルラン殿は呆れたようにため息をつくと、笑った。
「まぁ確かに君ならなんとかなるかもね? 正直全く予想がつかないからなぁ。私も結果を楽しみにしてるね!」
そう言い残してメルラン殿は霞のように消えた。そして気が付くとそこは、森の出口だったのだ。
さぁ私の栄光はここからです!