まぁ黒猫さんもメルランに人格を付けたのは思うところがありましたが、それでも今後の展開としてこうした方が便利であるという黒猫さんの判断によりこうなりました。
そしてそろそろ原作に入りたいけどブリテン編でやりたいことが大量にあるため、まだまだ時間がかかるかなぁ。
side メルラン
……あの騎士は馬鹿なのだろうか? 確かに太陽の騎士に相応しいだけの力は持っている。しかしあれは全く頭を使わない。自分の太陽の力さえ奮っていればなんとかなると思っている。いや、実際なんとかなってしまうからさらに質が悪い。
あれだけの魔力と凄まじいまでの腕力があるならもっと効率よく物事を進めることもできるだろうに。
まぁ? 私としては愚かで滑稽な未来の騎士様を見るのは楽しいからいいんだけどね? 全くあのゴリラめ、アイツが破壊した森を修復するのは誰だと思っているのやら。ニミュエはこういった森の修復とかはかなり苦手な部類に入るらしい。ニミュエは水の妖精であって、森の妖精では無いということだね。
(アイツは姉弟子の子供らしいし、俺としてはしっかりと見張っておきたいけどな)
「見張るって、私には原作知識があるじゃん。必要ある?」
(現に今、原作から外れてるぞ)
そう言われると何も言えない。しかしこの試練を与えたのはラックだろう。まぁラックはメルランでもあるため、微妙なところだが。
「まぁそれはいいや。この後どうする?」
(妖精鄉からガウェインを見張る。まぁこの先は任せるぞ。俺はしばらく眠る)
「はいは~い、おやすみぃ。後は私がやっておくよ~」
……どうやら本当に眠ったらしい。じゃあお仕事しますか~
♢♢♢♢♢
ねぇアイツ本当に馬鹿じゃないの? いや、馬鹿だね。あれが馬鹿じゃないなら他に何だと言うのか。ケルピーにたどり着けるように色々と誘導したが、その内の6割を無視して歩いていく。だというのになぜか自力で誘導したかった方向にたどり着く。
運がいいらしいが、正直とてもやりずらいのでなんとかしろ。はぁ……ラックから身体を借りたのは早計だったかな? あの太陽ゴリラにはもう関わらないからね。
という訳でパ~ス。後は任せたよ。
「……アイツ、俺に押し付けて消えやがったな?」
という訳で強制的に入れ替わられました。ここから俺に丸投げとかマジかよ……まぁ実際やることは少ない。
俺は少しサポートするだけでガウェインならケルピーにたどり着くことができるのだろう。
*****
……化け物かよ。アイツケルピーを無理やり押さえつけやがった。
ガウェインはケルピーを見つけた瞬間に剣すら使わずに殴り倒して気絶させた後縄で縛り上げると、そのままズルズルと引きずって森に戻るべく歩き出したのだ。流石にその光景にはドン引きした。
しかしケルピーは引きずられる衝撃で目を覚まし、そしてそのまま暴れだした。特に神秘が宿っている訳でもない縄は、速攻でちぎれ飛び、ガウェインから逃げ出そうと近くの湖に飛び込んだ。
しかしガウェインはそんなことお構いなしにケルピーの背中に飛び乗ると当然ケルピーと一緒に湖の中へと入っていった。
本来ならばそのまま呼吸ができなくなって溺死するまで背中に乗せ続けてその肉を食らうのだが、こともあろうかガウェインは、背中に乗り続けたままケルピーを殴り続けたのだ。
水中であるため、威力が半減していて、呼吸がいつまで持つかも分からないのに殴り続ける。正直言って正気とは思えない。
しかしガウェインはケルピーを再度気絶させてしまったのだ。そして縄はもうないため、今度は両手で掲げて森にまで運ぶつもりらしい。
道行く人々の好奇の視線を浴びながらも、ガウェインは森へと数日かけて戻ってきた。
「この馬で間違いないですか?」
可哀想に、ケルピーのヤツ恐怖で震えてるよ。
ケルピーは途中で運搬の途中で起き、暴れたのだがガウェインに地面に叩きつけられそれからはまるで置物のように大人しくなってしまった。
今もケルピーからは助けてくれという視線を感じる。
その後はケルピーを迷宮の中へと戻し、太陽の聖剣、
どうもこれからアーサーに仕えるためにキャメロットに行くらしいが、まぁそれなら頑張ってくれと送り出した。
ガウェインは非常に浮かれていた。念願だった太陽の聖剣である
しかしそのガウェインに水を差すかのように少女が声をかけた。
「こんにちは騎士様、気分はどう?」
その少女はこの森を出る際に道案内をしてくれた少女、
「こんにちはお嬢さん、今はとても気分がいいですね」
「そっかぁ、あっ! そういえばまだ名乗ってなかったね! 私はメルランって言うの! よろしくね」
「私はガウェインです。それで、あなたはこの森で何を?」
「私? 私はねぇ、暇潰しかな? この森に迷った人達を案内したり、嘲笑ったり、結構楽しく過ごしてるよ」
「……そうですか」
嘲笑うと言った少女に思うところはあったが、恩人故に何も言うことは無い。
「まぁ今回はちょっと違うけどね。あなたにお話があって来たの」
「私に話ですか?」
「まぁ単なるお節介だけどね」
そう言って少女は嗤う。しかし今回はそれほど悪意に満ちたものではなかった。これはメルランにとっては非常に珍しいことだったのだがそんなことをガウェインが知るはずもなく会話は続く。
「あなたの太陽の加護は確かに強いけど無敵って訳じゃない。例えばこの森、あなたの太陽の加護を弱体化させるような仕組みがいくつもある。まぁあなた対策で用意されたものじゃなくて偶然なんだけどね。つまりあなた対策で用意したらこれ以上の効果が出るって訳だけどさ? そこら辺をちゃんと理解してこれから頑張ってね?」
「ッ! あなたは一体!?」
しかし少女の姿は既になかった。そこにはまるで最初から何もいなかったかのような静けさがあった。
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これ以降メルランは、度々騎士達や、旅人達の前に現れては助言や悪意に満ちた罠などを用意する魔女として後世に伝えられるようになった。
その正体は全く分からず、湖の乙女のような妖精なのでは? という意見もあれば名前の語感からマーリンが変化したものでは? という意見もあった。
ただ分かっているのはメルランは決して善の存在ではなく、混沌を呼び込み、破滅を愛する魔女であると同時に、正しい騎士や、旅人を導く賢者でもあるということだけだ。
アーサー王伝説 メルランの助言より抜粋