転生したらマーリンの弟子になった   作:黒猫街夜

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頑張って投稿しちゃうのだぁ。

今回はちょっとオリジナル設定がございます。苦手な方はブラウザバック推奨です。


星を閉じる

 今日、マーリンの馬鹿から面白い話を聞いた。唐突にやって来て言うことが、『明日ブリテンの上を星が通るよ』とだけ言ってどっかに去っていった。話の脈絡が無さすぎる上に、だからどうしたと言いたくなる内容。相変わらずのマイペースっぷりだと呆れていたが、隣で同席していたニミュエは話を聞いて非常に楽しみだと言わんばかりにキラキラとした目をしていたのでまぁいいとしよう。

 

 まぁ恐らく流れ星か何かだろう。この世界ではそんなことは分からないしな。問題なのは、その流れ星、超高純度な魔術触媒として魔術師の間で有名なことだろう。どうにかして星の光を閉じ込めようと、躍起になっているヤツらも多いと聞く。

 

 ……なら俺も頑張って捕まえてみるか? そのままニミュエにプレゼントすれば喜んでくれるかもしれない。やってみる価値はあるだろう。

 まずは膨大な星の光の魔力を閉じ込める器を見繕わないとな。そこら辺にあるような魔術触媒程度じゃ、魔力に耐えきれなくて、自壊するのがオチだろう。幸いにもこの世界に来てから、割と大量の触媒が集まってくる。

 自分で集めたものや、俺に覚えてもらおうと、それなりに高純度の魔術触媒を俺に献上してくる魔術師のおかげで、俺の倉庫には触媒が山のように積み重なっている。

 きっと星の光を閉じ込める器として機能する物もあるだろう。

 

 そうと決まれば早速探しに行こうか。

 

 「ちょっと行ってくるよ」

 

 「私も少し行くところがあるので」

 

 どうやら用事があるらしい。最近ニミュエと2人っきりの状況が中々ないな。今度、ちゃんと時間を作ってやらないと。

 

 ニミュエと別れて、俺は家の地下室に用意された倉庫へと向かう。重厚な黒い扉が、固く閉ざされているが、この扉は俺の魔力に反応して開くようになっているから何も問題は無い。

 中には金銀財宝、ワイバーンの死体に、竜の涙、10年に1本しか生えない貴重な薬草etc.....もしも魔術師がこの倉庫を覗き込んだなら、半狂乱で喜び、持ち出せるだけ持ち出していただろう。

 まぁその場合は俺が殺すし、手に入る事など何1つ無いのだ。最近では、ニミュエの思考も苛烈化してきていて、俺の物は俺のもの、自分の物も俺のものと、なぜか俺至上主義みたいになってる。

 

 まぁそれはさておき、ここに来た目的は星の光を閉じ込めるための器を探し出すこと。方法としては星の光を1度魔力に変換して、触媒の中に封じ込める方法。これをやるためには、星の光を魔力に変換するための魔術処理が必要になることか。膨大な魔力を扱うことは割とあったが、自分でその膨大な魔力を用意するのは今回が初めてになる。

 

 倉庫の中身を乱雑に、それでいて壊れないように丁寧に退かしながら目的の器を探していると、ようやく出てきた。

 それは真紅の宝石、ニミュエと最初に出会った時に、彼女から貰った大量の素材の1つ。

 宝石というものは、それ自体がかなりの魔力を内包しており、魔術触媒としては割とポピュラーな部類に入る。分かりやすく説明するなら、遠坂家やエーデルフェルト家何かが分かりやすいかもしれない。

 

 要するに宝石には魔力を貯蓄するという、少々便利な特性が備わっている。魔術師としては、ありがたい限りだ。

 その宝石に星の膨大な魔力を閉じ込めるための仕組みとして、まず何より、星の光を魔力に変換する方法が必要になる。

 まぁそれは正直どうとでもなる。問題なのは、魔力に変換した星の光をどうやって宝石に閉じ込めるのか。これも簡単だ。なぜなら、そもそも、星の光が魔術師にとって魔力をの塊のようなものなのだ。ならば星の光の魔力を宝石に誘導すればいい。

 

 誘導するのに、かなりの魔力を使いそうではあるものの、比較的成功率は高いだろう。ならばやってみる価値はある。この宝石の許容量なら、星の光の器としてしっかりと機能するはずだ。しかし明日の何時か分からないのは辛いな。それさえ分かれば後は完璧なのに、やっぱりマーリンは役に立たない。

 今度会ったら腹いせにアイツの工房から何か触媒でも持って帰ろう。今まで散々迷惑かけられてるしそれぐらいは許される。

 

 まぁそれはさておき、星の降る時間はちゃんと自分で調べておく必要がありそうだ。

 

♢♢♢♢♢

ニミュエside

 

 今日はマーリンから非常に面白い話を聞きました。なんでも、明日ブリテンの上を星が通るのだそうです。もしもその光を捕まえることができたら、ラック様は喜ぶでしょうか? えぇ、きっと喜んでくれるはずです。

 私はラック様から魔術を教わっており、今回の星の光の価値ぐらいならば分かります。星の光があればその魔力で国1つ滅ぼしてもお釣りの出る魔力量です。

 

 ……あぁなるほど、だからマーリンは私達にこの話をしたのですか。ブリテンに悪心を抱く者に星の光を与えないように、その者達が確保する前に私達で先に確保してくれということですか。

 確かに私達はこのブリテン島の味方です。お互いその立場ゆえにこの島を──そしてブリテンの頂点たるアルトリア・ペンドラゴンの国を守る必要がある。

 私達はこの島での、これ以上の動乱を望んではいない。安定さえしてくれればそれで言うことは無い。

 

 というか落ち着いてくれないとラック様との時間が減るんですよお願いですから問題を次から次へと持ってこないでくださいラック様という大切な御方がいるのに仕事なんてしたくないんです。

 

 というかなんならマーリンがやればいいのでは? ……いえダメですね。それを使ってさらに問題を引き起こす未来しか見えません。どうせ私達にやらせるのは自分でやるのが面倒臭いとかいう適当な理由なのでしょう。

 やっぱり今度マーリンをラック様と一緒に殴りましょう。

 

 この瞬間、キャメロットの城でハッピーエンドについて考えていたマーリンは突然原因不明の寒気に襲われたらしい。

 

 さて、それはさておきとりあえずは星の光を捕まえる方法を考えなくては、星の光を安全に管理する必要がある。誰かも分からない魔術師に管理させる訳にはいかない。

 あれほど膨大な超魔力の塊を悪用でもされようものなら、どれだけの影響が出るのか全く分からない。

 

 少なくともこの国が滅びるのは確定ですね。まぁ私の役割は聖剣の管理、残ってるのは後1本。

 まぁ渡す相手はアルトリア・ペンドラゴンでしょうけどね。

 全く……ラック様に数年に渡って教えを受けるだなんて、羨ましい限りです。私もラック様から魔術の鍛錬を受けているとはいえ、アルトリア・ペンドラゴンにも魔術を教えたことがあると、ラック様は言っていた。

 ラック様の初めては全て私が欲しかったのに……まぁ妻になれたのだからみっともない嫉妬は止めておきましょう。私が格下に思えてきてしまいますからね。

… …身長は負けてますが、まぁ胸は私の方がありますし? ただ、もう少し身長があればなぁ〜なんて思うこともあります。

 

 コホン、話がそれてしまいました。では私は星の光を捕まえる触媒を探して来なければ、待っていて下さいね? ラック様。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ニミュエのキャラがブレてヤンデレっぽくなってしまったw

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