転生したらマーリンの弟子になった   作:黒猫街夜

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受験シーズンなのでしばらく投稿をお休みします! そして受験が終わったら友達との共同作品を友達の垢で投稿しますので是非見てください。


新たな目標

 突然だが、アーサーの聖剣が折れたらしい。使い魔を通してその様子を見てたが、どうやら勝利すべき黄金の剣(カリバーン)に魔力を込め過ぎて折れたらしい。

 一応あれでもマーリンが割と力入れて作った聖剣だったんだけどなぁ。それを魔力で折るとか……どんだけ魔力量多いんだよ。流石は竜の因子持ちってところか。

 

 「……凄い魔力ですねぇ」

 

 「まぁマーリンが理想の王として生み出した存在だからな。それなりに強力な力は持ってるとは思ってたが……ここまでとはなぁ」

 

 勝利すべき黄金の剣(カリバーン)が折れるのは知ってたけど、実際に見ると凄いな。

 さて、史実通りなら、アーサーはこれから折れた勝利すべき黄金の剣(カリバーン)の代わりとなる、アーサー王の代名詞と言える聖剣、約束された勝利の剣(エクスカリバー)を貰いに来るはずだな。最近みんな聖剣貰いに来すぎじゃねぇか? まぁ残り一本しかないからこれで終わりだけどな。

 

 勝利すべき黄金の剣(カリバーン)は、アーサーがブリテンの王である証明でもあった剣だからな。対外的にもアーサーが王である象徴があった方がいい。ならばマーリンは確実に、この湖に約束された勝利の剣(エクスカリバー)をアーサーに取りに来させるだろうよ。

 Fateでは、アルトリア・ペンドラゴンの誇る最強の対城宝具にもなっている約束された勝利の剣(エクスカリバー)は、世界でも屈指の知名度を誇る。抑止力的には確実に約束された勝利の剣(エクスカリバー)をアルトリアに渡したい事だろう。歴史の修正力とはそういうもんだ。

 

 「じゃあ後はアーサー王に約束された勝利の剣(エクスカリバー)を渡したら私の仕事は終わりですね」

 

 「そうだな、まぁ残念ながら俺の仕事は残ってるけどな。ヴォーディガーンの対処に、神秘の保護。他にもたくさんやる事がある。……めんどくせぇな」

 

 「ふふっ、頑張ってください。私もできる限りお手伝いしますから」

 

 「それはありがたいな」

 

 実際このところ仕事続きで疲れる。職場から離れても仕事に追われるとか……どこのブラック企業かな? まぁ本当にめんどくさくなったらこっちの意思で突っぱねられるから別に構わないけどさ。

 でも俺に仕事を回す前に少しは自分で解決する努力をするべきだろうに、なのにあの夢魔(マーリン)は、俺にやらせた方が早いし楽だからなんていう理由で俺に押し付けてくる。やっぱりアイツ今度殴っておこう。

 

 「今日は何をしましょうか……」

 

 「俺は変わらず実験かなぁ。そろそろ目処が立ちそうだよ」

 

 「じゃあ私は魔術の練習でもしてますね」

 

 「了解、頑張れよ」

 

 「ラック様も頑張ってください。

 

 相変わらず笑顔がまるで太陽のように眩しい。最近はニミュエの笑顔で仕事を頑張ってる気がする。

 

 俺には三人の上司がいる。

 一人目が俺をこの世界に生み出した張本人、ブリテン島の神秘。

 そして二人目が俺の魔術の師匠でもあり、世界でも有数の屑、マーリン。

 三人目は、上司の中では唯一の俺の癒し、アーサー王こと、アルトリア・ペンドラゴン。

 アーサー以外の上司は無理難題を平然と押し付け、自分はそれを見ているだけ。やろうと思えば自分でなんとかできるだろうに……島の神秘にそこまでハッキリした意思はないからそこはしょうがない。問題はマーリンの方だ。大抵の事なら自分で解決できるであろう問題を全部俺任せにして自分はハッピーエンドの台本作り。舞台もキャストもいるけど内容がハッキリしてない物語(茶番劇)

 滅びが確定してるのは分かってるだろうに、少しでもいい滅びをってか? でもそこに入れるのはお前が決めた人間だけだろう? そんなつまらないものをハッピーエンドって言ってしまうのは正直どうかと思う。

 

 まぁそもそも人の心が分からない夢魔に、理想の人の王なんて作れるはずがない。どう足掻こうと運命は変わらないだろうし、その滅びは悲惨なものになる。

 そんな事も分からないようじゃ、ハッピーエンドなんて夢のまた夢だ。

 

 だけどそれにアルトリアは関係ない。

 

 アイツは生まれながらに王となる為に作られた。本来なら普通に15歳の少女として育っていたかもしれない。だが王の子として生まれただけでその道は初めから存在すらしなかった。俺としてはそういう平和な普通の女の子としての生活もさせてあげたかったんだけどな。まぁそれは無理だっただろうな。周りの環境全てがアルトリアを王にする流れだった。

 アルトリアはその境遇に文句なんて言わなかった。でも俺は知っている。ケイの家に住んでいた頃、アルトリアが他の女の子を見て羨ましそうな顔をしている事を、俺と会話をするのを楽しみにしてるのは、俺が彼女を王であるアーサー・ペンドラゴンではなく、少女であるアルトリア・ペンドラゴンとしての顔を知っていて、その上で彼女の心の内の無意識の願望を俺が肯定しているからだという事。

 

 アルトリアは自分でも気がついていないのだろう。昼は騎士としての訓練、夜の夢の中ではマーリンによる王のための英才教育。よく心がもったと思う。

 そしてこれからも少女(アルトリア)理想の騎士王(アーサー)として生きていく事を余儀なくされるのだろう。

 

 仕方の無い事なのは分かってる。俺の力ではどうしようもない事も分かってる。でも納得はできない。する訳にはいかない。俺までそれを当然の事だと受け入れたら、アルトリアは本当に壊れるだろう。あれは誰かに願われれば救わずにはいられない。

 それこそがマーリンの描くハッピーエンドの姿なのだから。

 

 アルトリア本人の意志を度外視している辺りが、流石はマーリンと言えるだろう。

 

 ……よし、当分の目標をアルトリアの救済に設定しようかな? ブリテン島の滅びを少しでも良いものにしよう。

 

 「……ラック様?」

 

 笑顔が怖い。さっきまで太陽が霞むぐらいの眩しい笑顔だったのに、今では不機嫌な肉食獣の笑顔に早変わりしている。原因は……アルトリアの事をずっと考えて、さらにこれからの目標をアルトリア絡みの目的にしたからか。

 まぁ要するに嫉妬だな。可愛い。

 

 でも今回ばかりは譲って欲しいんだが……

 

 数秒程見つめ合う。

 俺からすれば息が詰まりそうな程の苦しい時間だが、目を逸らす訳にはいかない。

 

 

 

 

 そしてニミュエが諦めたようにため息をつく。

 

 「仕方がないですね……どうせアルトリア・ペンドラゴンの事なんでしょう? ならさっさと救って戻ってきてくださいね? 待ってますから」

 

 「……悪いな」

 

 「……ラック様がアルトリア・ペンドラゴンに恋愛感情を抱いていないのは分かっています。でも女として不安になるのです……」

 

 「俺にとってはお前が一番だよ。それは絶対だから」

 

 「………………ラック様は魅力的な方です」

 

 「うん? いきなりどうした?」

 

 「ですから女がよってくるのは仕方の無い事だと思うんです」

 

 「お、おう」

 

 「………………で、ですので…………私を一番大事にしてくれるなら…………ちょっとの浮気ぐらい許しますよ?」

 

 「馬鹿言え」

 

 考察の余地もない即答だった。

 流石に驚いたのか綺麗な瞳を大きく開いている。

 俺からすればその反応はかなり不満だ。

 

 「俺が愛するのはお前だけだ。だからそんな事をお前が言わないでくれ」

 

 そう告げると俯いて身体を震わせる。瞳からは透明な雫が溢れ頬を伝う。

 

 そしてそのまま抱きついてきた。

 

 「……ごめんなさい」

 

 「気にすんな」

 

 短い会話だが、これで大抵の事は伝わる。伊達に長い付き合いじゃないからな。

 

 「でも何でそんな事を?」

 

 「…………アルトリア・ペンドラゴンはラック様に好意を抱いています」

 

 「……やっぱり?」

 

 それに関しては薄々気づいてた。正直割と露骨だよな。でもあの感じだとアルトリア自身は自覚はなく、無意識の好意なんだろうなぁ。

 俺としては一番めんどくさいが、救うと今決めたばかりだし、そんな事は言ってられない。

 

 「それだけじゃありません。街に住んでる女達の半分はラック様に好意を抱いています」

 

 「それも知ってる」

 

 実際、幻術使わずに街を歩いた時の視線はヤバい。獲物を狙う肉食獣の目って言うのかな? というかマーリンが手を出してない奴は、ほとんど俺を見てくる。

 別に自惚れてる訳では無いが、それがハッキリ分かるぐらいには、誰も視線を隠さずに俺を見てくるのだ。俺としては全く笑えない。

 

 「ですから、いずれ私が大事にされない日が来てしまうのでは、と……」

 

 「はぁっ……ニミュエ」

 

 「は、はい」

 

 「俺が愛してるのはニミュエだけだし、それは今までもこれからもずっと変わらない。なんなら契約でもするか? 目に見える物があった方が分かりやすい?」

 

 「目に見える物ですか?」

 

 「まぁそうだな……渡すにはちょうどいいか」

 

 いつも持ち歩いていたとある物を取り出す。

 それが何か分かったのだろう。ニミュエはただでさえ大きな瞳を大きく見開き、また涙を零しながら幸せそうに笑う。

 

 まぁいつか渡すために持ち歩いていたが、俺が勇気を出せずに渡せていなかった──────

 

 「ニミュエ、まだしっかり言ってなかったから言うぞ。……俺と結婚してくれ」

 

 婚約指輪である。

 

 「は、はいっ!」

 

 良かった。無いとは思ってたが、これで振られたらしばらく立ち直れないところだった。

 

 そしてニミュエは恥ずかしそうに左手を出してくる。

 その白く細い指にこの間採取した星の光を封じ込めた宝石をあしらった、銀の指輪をはめる。色々考えたが、実験のデータも十分に取れたからな。指輪とは循環の象徴、そこに超魔力である星の光を合わせれば、まぁ子作りのほんの少しだけでも手助けになればいいと思う。

 子供と親は循環する運命、お守りとしては十分だろうな。

 

 

 

 

 そして、左手の薬指にはまった指輪を見るニミュエのその顔はとても幸せそうに蕩けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




最後の指輪の設定はオリ設定となってます。というかこの流れがやりたいがために星の光の下りをやった感があるのでw
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