せめて月一で投稿できるように頑張りますのでよろしくお願いします。
このところ幻想種が騒がしい。どうやら本格的に島の神秘が薄れてきたらしい。どうやら人間達を殺して、人間達が持っている神秘を少しでも回収しようと躍起になっているらしい。
だがそう上手くはいかないらしく、回収できる量は微々たるもので、さらには襲撃に失敗して返り討ちに合う個体もいるようだ。
魔獣と人間の明確な違い、それは知能だろう。魔獣は戦いに戦術など持ち込まない。自身の身体に備わっている武器を振るい、敵を殺す。それだけを目的としているちょっと強いだけの単純な動物。それが魔獣だ。
しかしこの感想は、魔獣を片手間で葬れる俺だからこそ言える事。普通に暮らしてるだけの人間達にとっては、自分達の生存を脅かす最悪の生物なのだから。そんな彼らを返り討ちにできる時点で、戦う術を持っていた人間に挑んだということになる。
まぁある程度の幻想種は回収して妖精鄉に送っている。だから今ブリテンにいる魔獣達には悪いが、別に滅んでもらっても構わない。どうやらヴォーディガーンの奴は幻想種を少しでも救おうとして躍起になってるらしいが、無駄な事だ。
ブリテンの滅びは決定付けられてしまった運命。
そもそも、ブリテンの滅びは神代の神秘の崩壊の象徴として歴史に刻まれる事が確定している。抑止力が決めた運命だからな。
「ラック様〜ご飯の準備ができましたよ〜!」
「すぐ行く!」
最近ニミュエの料理の腕が上がってきた。最近の一番の楽しみでもある。妻の料理を楽しみにしてる夫って、割と理想的な家庭なのでは? まぁそんな事よりも、早く行かなくてはニミュエが拗ねる。
「今日はローストビーフを作ってみました!」
「へぇ、割と面倒な料理だったと思うんだけど。よく作れたね」
「えへへ〜頑張ったんですよ?」
ふわふわとこちらが溶かされそうな笑顔を浮かべている。なんとなく撫でてみる。すると、気持ちがいいのか、目を細めて頭を軽く押し付けてくる。きっと尻尾があればちぎれんばかりにブンブン振られている事だろう。耳があったらピコピコ揺れ動くのだろうか? どちらにしてもとても可愛いだろうな。
……今度獣化の魔術でも作ってみようか。絶対似合うと思う。犬にしようか、それとも猫か? とても迷うところだな。
「あの、ラック様? どうしたんですか?」
「獣耳っ娘っていいよな」
「……ウワキデスカ?」
「違うってば、俺はニミュエ一筋だよ」
「ではなぜ獣耳っ娘なんて発言が?」
どんどん瞳からハイライトが消えていくのが怖いので正直に白状する。すると納得してくれたのか、ようやく瞳に色が戻ってきた。
「今度やってみます?」
「あれ? 獣化の魔術もう作ってあるの?」
「いえ、そこら辺の獣の耳でも使おうかと」
「そんな猟奇的なものは求めてないからね?」
最近どんどんニミュエの発送が魔術師側に寄ってきている気がする。まぁそんなニミュエも可愛い。最近だと魔術の腕もかなり上がってきていて、水の操作は俺も絶対に叶わない領域まで成長している。湖の水を巨大な水球状にして空中に浮かせて維持するとか。俺でも中々難しい事を平然とやってのける。
まぁ才能と努力の賜物だろう。流石は湖の乙女ってところか。
というかそろそろアルトリアが聖剣を取りに来る頃だろうからな。歓迎の準備ぐらいは今度やっておこう。
「じゃあ冷める前に食べちゃいましょう」
「そうしようか」
しかし今考えるべきなのはニミュエの事だろう。子供の事、島が滅んだ後の事。たくさん考える事はあるが、今だけは、この平穏な時間を楽しみたい。というか今は飯に集中しないとまた嫉妬される。
ローストビーフはとても美味かった。
「そういえばラック様、そろそろヴォーディガーンが暴れ出す頃では?」
「まぁそうだな。でも白き竜の血を取り込んだアイツに勝つなら、もうちょい戦力は欲しいだろうなぁ」
実は俺も招集を受けていたりするが、割とサボるつもりでいる。別に行ってもメリットがある訳じゃないからな。邪竜ヴォーディガーンの相手とか面倒だし御免蒙る。
「でもまぁ、マーリンがなんとかするだろ。俺はノータッチでいいかな」
「でも白き竜の素材だけは持っていくんですよね? そんなに上手く行きますか?」
「危なくなったら手助けすればいいよ。それで恩を売っておけば素材ぐらいは貰えると思う。もし貰えなかったら……強奪するか」
白き竜の素材はなんとしても欲しい。割とたくさんの道具が作れるだろうからな。貰っておいて損はないどころか、役に立たない事は絶対にない。
どうせ苦戦するんだろうからな。正史においても
白き竜の化身程度なら魔術だけで殺せる自信がある。
まぁそんな感じだから、適度にアルトリア達が死なないように援護してやればマーリンからの仕事を果たした事になる。ついでに貴重な竜種の素材も手に入る。いい事づくめだな。
たとえ貰えなかった場合でも、妖精鄉を経由して、キャメロット城に侵入すればいい。どちらにしたって素材は手に入る。
「なるほど、分かりました」
「よし、じゃあ納得したところで検査するか」
「はいっ」
最近の日課に毎日の認識検査がある。まぁといってもニミュエの内部の魔力を検査して子供が宿ってるかを検査するだけだからな。体内に魔力が2つあるなら妊娠している、1つならまだ妊娠はしていないという事だ。
さぁ今回はどうだ?
ニミュエの腹部に手を当てて魔力を探る。腹の中の赤子の魔力はとても小さなもので、かなり集中しないと見つけ出す事は難しい。ニミュエもそれをわかっているからか、一言も喋らない。
そして──────見つけた。
少し意識をそらせば即座に掻き消えそうな程小さな魔力。そんな魔力がニミュエの中に1つ、存在していた。
間違いなく、それはニミュエが妊娠しているという証拠だった。
「……ニミュエ」
「は、はい」
普段と少し違う俺の雰囲気に、少し緊張しているのか、若干固くなる。
「おめでとう、妊娠してるよ」
「ほんとですか!!」
「もちろん、嘘なんてつかないよ。間違いなく妊娠してる」
ニミュエは歓喜のためか、俯いて震えている。そして頬を伝う液体を見て、ニミュエを抱きしめる。
「これからニミュエがお母さんになるんだよ? 頑張ってね」
「……ラ、ラック様もお父さんになるんですよ? 私にだけやらせないでくださいね?」
「分かってるよ。でも俺は子育てとかやった事ないしなぁ。上手くできるかな?」
「私だって初めてですけど……一緒に頑張りましょうっ!」
子供ができた。たったこれだけの事だが、それでも俺達にとっては大きな1歩であると言える。そもそも最初は子供を作るつもりすらなく、その手段も確立されていない状況から、ようやくここまで来れたのだ。膨大な魔力と素材と時間を注ぎ込み、ようやく完成した愛の結晶。
どんな子供が生まれてどんなふうに育つのか、今から楽しみである。
ついに妊娠……ここまで来るのにだいぶ時間がかかったな……
まぁここまで書いても、書きたいことの半分以下しか書ききれてないんだけどね!