転生したらマーリンの弟子になった   作:黒猫街夜

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お久しぶりです。
今回みたいな話を書くのは初めてなので違和感あっても見逃してくだしあ


新たな命

 「はぁ……はぁ……」

 

 「頑張れよ! もう少しだからな!」

 

 「うっ、あぁ」

 

 さて、もう察しているかもしれないが、もうすぐ出産が始まる。最初は空気を読んで部屋から出ていようかとも思ったが、ニミュエ本人からの希望で、俺は部屋に残りニミュエの手を握っている。何でも、俺から魔力を受け取っていた方が、色々と安定するらしい。やっぱり妖精とはよく分からん種族だ。

 だから俺はそばに居て応援するだけ、後の事は産婆の人に任せている。ちなみにこの産婆はマーリンが事前に呼んでいたらしい。まぁ人外としての先輩としてのマーリンの事だ。今日がその日だと察してたんだろう。千里眼での覗き見だったら流石に引くぞ……

 

 

 

 

 

 

 

 それから大体10時間程度の事だった。

 

 「おぎゃあ! おぎゃあ」

 

 「よく頑張ったなニミュエ!」

 

 「はぁ……はい、私、頑張りました……」

 

 産まれたのは女の子で、それはとても可愛らしかった。……心配な事は多々あるが、それでもこの子のためならきっとやっていける。ニミュエも居る事だしな。

 

 「ありがとな婆さん」

 

 「いえいえ、気にしないでくださいな。これが仕事ですじゃ」

 

 産婆の婆さんは他の人達とは違い、随分とフランクだった。

 その後はいくつか注意事項を言って、帰っていった。

 

 「……ありがとなニミュエ」

 

 「いえ、私こそ……私が新しい命を授かるだなんて……思いもしませんでした」

 

 あぁ可愛らしい。俺はきっとこの子のためなら何でもやる。きっとやるべきじゃない事さえもやってしまえるだろう。

 

 「……ほら、ラック様はお父さんになったんですよ? 抱いてあげてください」

 

 「あ、あぁ」

 

 割れ物を扱うかの様に、そっと受け取る。それは思ったよりも軽く、しかし同時に重かった。これが命の重みかと理解すると同時に、これを失いたく無いと強く思う。

 

 「……名前は、どうしようか」

 

 

 「女の子ですし、前に考えていたガレスでいいのでは?」

 

 「じゃあそうしようか、特に悪い名前じゃないしな」

 

 こうしてあっさり子供の名前が決まった。もう少し考えた方がいいのかもしれないが、子供の名前付けるなんて経験ないんだから許して欲しい。

 

 その時、カリカリと窓が引っ掻かれる音がする。ふと見てみると、そこには小さな白いリスの様な獣が後ろ足で立ち上がり、懸命に窓を引っ掻いていた。

 ……第一の獣(プライミッツ・マーダー)じゃねぇか!?!? 何で此処にいんだよ! というか既にマーリンの使い魔になってたのか?

 

 「やぁラック、元気にしてるかい?」

 

 「今元気じゃなくなった、どうしてくれんだ?」

 

 「あはははは、それは済まなかったね。だが許してくれたまえ」

 

 「殴らせろ!」

 

 思わず殴りかかるが、ヒラヒラとかわされる。

 

 「まぁまぁ、落ち着いて、今回は仕事を頼みに来たんだ」

 

 「仕事だぁ?」

 

 とりあえず真面目な案件らしいので、殴りかかるのを止めて話を聞く。

 

 「ヴォーディガーンがそろそろ無視できなくなってきた。だからアーサーに約束されし勝利の剣(エクスカリバー)を授け、白き竜の化身の討伐に手を貸して欲しい」

 

 「……条件がある」

 

 「言ってみたまえ、君の願いならなるべく聞こう」

 

 「白き竜の化身の素材をいくつか寄越せ」

 

 「ふむ、それぐらいならいいだろう。流石に全部は無理だけどそれなりの数は渡せるだろうからね」

 

 「ならいい、報酬があるなら仕事ぐらいは受けてやるよ」

 

 「本当かい! なら私の仕事を……」

 

 「それは却下だ色ボマーリン」

 

 何が悲しくて、子供が生まれた直後に前の職場に戻らなければならんのか。ふっざけんな。

 

 「ダメですよマーリン、そんな事になったら私とラック様の時間が減ってしまうじゃないですか」

 

 ニミュエから、何か黒い物が漏れ出ている様に感じられる。怖い、怖いから……

 

 「……あはははは、全く、私の弟子は怖いお嫁さんを貰ったものだね」

 

 「いい嫁さんだろ?」

 

 ニミュエさん、照れてるのは可愛いですが、あなたのせいで場が混沌とし始めて……いや、原因はマーリンか。やっぱコイツ殴った方がいいって。アルトリアに今度言っとこうかな。

 

 「あれ? 何だか急に寒気がしてきたぞぉ!?」

 

 「気のせいだろ、気にすんなよ」

 

 「そうかい? それならいいんだけど……まぁいいか、それよりもアーサーは明日ここに来る。その時に適当な試練でも与えてやってくれ」

 

 「別に試練何てやらなくてもやるが?」

 

 「いやいや、それは無理だよ。今や聖剣は、君に試練を与えられ、それをクリアする事で聖剣を授かる事ができるという話になっていてね。いくらアーサーでも、その流れを無視する訳にはいかなくてね」

 

 確かにヒトヅマニア(ランスロット)と、脳筋太陽ゴリラ(ガウェイン)には確かに試練を与えたが、業の深い馬鹿(ランスロット)には八つ当たりだったし、ポテト馬鹿(ガウェイン)には向こうから頼まれたから試練を与えただけだ。それが風習化しても、俺が困る。

 

 「試練とか俺が面倒なんだけど?」

 

 「始めた君が言うかい? まぁ頼んだよ」

 

 「あっ! てめぇ! ……逃げやがった」

 

 マーリンは花弁になって消えていった。どうやら途中から夢を見ていたらしい。相変わらず厄介というかなんというか……

 

 「まぁそういう事らしい」

 

 「大変ですねぇ、……明日はガレスの面倒は私が見ますね」

 

 「任せるよ、悪いな。いきなり任せちゃって」

 

 「しょうがないですよ、お仕事ですから……構って貰えないのは少し悲しいですが……

 

 「え? 何か言った?」

 

 「いえ、何でもないです」

 

 またニミュエの笑顔に黒い物が含まれだしたため、追求は辞めておく。……最近ニミュエからの視線が、獲物を狙う目になっている時がある。まぁ妊娠してからは、少々収まってきたが、さっきからまたそういう視線を感じる。……確かにニミュエを抱いたのは俺だが、ここまでになるとは思わなかった。こっそりベッドに潜り込んで、アピールしてくるニミュエとか、可愛いからいいけどね。

 さて、明日はアルトリアに約束された勝利の剣(エクスカリバー)を渡すための試練を作らなきゃな。まぁやるとなれば、今度のヴォーディガーン戦でも役立つ試練にしよう。原作だと約束された勝利の剣(エクスカリバー)輪転する勝利の剣(エクスカリバー・ガラティーン)の同時攻撃でも倒せなかったらしいからな。そうとなれば、もっと別の方向で倒せるようにするしかない。

 相手は白き竜の化身、普通の人間が勝つには、それ相応の手段が必要になる。俺なら魔術のゴリ押しでどうとでもなるし、ニミュエでも勝てるだろう。とにかく、キャメロットの奴らが勝つには、何かしらの対抗手段を用意しなくてはならない。ランスロットは未だに修行中だしな。

 

 後は、円卓の騎士を発足する事だな。アルトリアは騎士を集めているらしいが、その中でも英雄級の奴らを集めれば、円卓の騎士が完成する。まぁ流石にヴォーディガーンが暴れる前に作るのは、もう間に合わないだろう。

 キャメロットがヴォーディガーンに勝てるようになって、それでいて明日までに準備ができて俺がなるべく仕事をしなくてもいい試練……中々難しい条件だが、まぁ何とかなるだろう。ならなかったら、適当に迷宮にぶち込めば、修行にはなるだろうさ。

 

 今しばらくは、ガレスが産まれた余韻に浸りたいからな、仕事について考えるのは、その後でいいだろう。

 

 「ふふっ、可愛いですね」

 

 「あぁそうだな」

 

 どうかこののんびりした時間がずっと続いていきますように、それだけが今の俺の願いだ。これが叶えられるかは、俺次第。

 頑張るか。

 

 

 

 

 

 

 

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