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ニミュエに魔術を教えて3日目。
ついに俺は選定の剣の台座に魔術をかけ直すために出発することになった。
元々はこんなに道草を食うつもりは一切なかったが頼み込まれて出発が遅くなってしまった。
まぁ俺も他人に魔術を教えるのは楽しかったしお互いに満足できたんだから何も問題は無し。
帰ったらマーリンに小言は言われそうだがしょうがない。
仕事をサボっていたのだ。怒られるくらいの覚悟はしている。
「……もうお別れですか。寂しくなりますね」
「また遊びにくるよ。その時まで待っててくれ」
「はい分かりました。次に会う時までに魔術の腕を磨いておきますね!」
太陽のように眩しい笑顔。
やはり可愛い。
そこでニミュエは何かを決心したようにふと真面目な顔になり。
「ラック様、お渡ししたいものが」
「渡したいもの?」
「はい。まずはこれから役に立つであろう幻想種の素材です」
そう言ってニミュエはどこからか大量の幻想種の素材を取り出し俺に渡してきた。
「まぁくれるなら貰うけどさ。こんなに貰っていいの?」
俺が受け取った幻想種の素材はかなりの量があった。
これだけあればいくつかの礼装を作ることが可能だろう。
いくつか作りたくても素材が足りなくて作れなかった礼装があるのだ。
構想は既に立ててある。
あとは素材さえあれば作ることができる。
「構いません。この素材は全てこの間仕留めたものです。まだまだ大量にありますから」
「まぁそういうことならありがたく貰っていくよ」
「はい。ではもう1つ」
「まだあるの?」
「えぇ。ちょっとついてきてください」
ニミュエは俺の手を握り水の中に引き込む。
またかよ。
そう思ったがしかしついた先は全く見覚えない場所だった。
そこはゴツゴツとした洞窟だった。
「じゃあついてきてくださいね」
そう言ってニミュエは歩き出す。
足元は少し濡れており歩く度にぴちゃぴちゃと音を立てる。
一切曲がること無く洞窟の終着点へとたどり着く。
一体なんの剣なのかはすぐに分かってしまった。
真ん中にあるのは黄金に輝く剣。
アルトリアが持つことになる神造兵器。
そして横にあるのは
のちにガウェインとランスロットに渡されることになるがここで見ることになるとは思わなかったな。
そしてその後ろから漂う色濃い神秘の気配。
一見ただの行き止まりだが俺は壁の向こう側からとてつもなく濃密な魔力が漂ってくるのが感知できた。
その魔力は目の前にある
「ニミュエ……この先に何がある?」
「流石ですね……目の前の剣ではなく奥の物に気がつきましたか……」
「そりゃあなぁ」
ニミュエは無言で剣を通り過ぎその先の壁に手を当てる。
するとたちまち壁は崩れ去り、その奥に目も眩まんばかりの黄金の輝きを放つ1本の剣が台座に刺さっていた。それはまるで芸術品のように目を引いた。この世にある全てが霞むほどの輝きに俺は目を奪われていた。
知らず知らずのうちにもっと近づこうと足が前に進む。
しかしその途中でニミュエに袖を捕まれ我に返る。
「これはこの島に残された神秘に惹き付けられ流れ着いた
「
そう呟いて解析を掛けてみる。
西方の海より流れ着いた神秘。死した蛇の
「……は?」
まるで理解ができない。いや、情報が多すぎて読み取りきれない。
俺は今確かにあの剣に解析をかけたはずだ。実際今も解析を続けている。
膨大な情報量が完結せず、脳が焼かれるような痛み発する。
「大丈夫ですか!?」
ニミュエの声がどこか遠くから聞こえる。声を頼りに必死に意識を浮上させる。視界がぼやける。
数度頭を振って思考をクリアにする。
「
「掛けた。そしたらいつの間にか倒れてた」
「やはりそうでしたか……では説明しますね。この剣、
あの聖剣の雛形、それだけでも驚愕に値する事実だ。更にはニミュエの姉妹達にマーリンまで関わっているとなれば、とんでもない一品になっているだろう。
傷一つ無い
「まぁとにかくこの剣はその特殊な出自のためかこの剣自体もかなり特殊なものになっています。この剣は真名解放を行えば竜種にすら対抗できるでしょう」
とんでもない話を聞かされてしまった。
「で? そんな話を聞かせたからにはなにかあるんだろ?」
まぁそうじゃなければ実物まで見せてこんな話をしないだろう。
そう思って聞いて見ると案の定なにか要件があったのかニッコリと綺麗な笑顔を見せた。
「この剣を引き取ってはいただけませんか?」
「……………………は?」
今なんて? どれだけポジティブに考えてもこの厄介な危険物を俺に預かれと?
「大丈夫です! ちょっと神秘が内包され過ぎていて、鉄も簡単に斬り裂ける事を除けばに気をつけさえすればとっても便利ですよ!」
「そういう問題じゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
思わず絶叫する。
場所が洞窟だからかとってもよく響く。
「あからさまな危険物を押し付けないでくれよ!」
「そうもいかないんです! この剣は他の聖剣使い達が暴走した時の抑止力なんです! こんな危険物をそう簡単に渡す訳にもいかないですし、信用できるのはラック様だけなんです!」
「自分でも危険物って言ってるじゃないか! しかも俺が解析できなかったレベルだぞ! 扱える自信がねぇよ!」
「ラック様が解析できなかったのは神秘としての格が違ったからです! 私も同じことをやったのでよく分かります! でもラック様なら絶対大丈夫です!」
「根拠の無い自信やめろ!」
もはや兵器に近いそれををなんとか俺に預けて俺の手助けがしたいニミュエ。竜種をサクッと葬れる可能性のある剣を受け取りたくない俺。
聖剣の押し付け合いという傍から見れば信じられないような光景が繰り広げられている。
「大丈夫です! ちゃんと用法を守れば安全ですから!」
「そのセリフは怖すぎるだろうが!」
薬じゃないんだぞ!?
「大丈夫です! きっと大丈夫ですから!」
「だから根拠を言えってば!」
「これがあればきっと役に立ちますよ!」
「災厄を撒き散らす可能性の方が高いと思うんだ! 俺は!」
「でも! これがあればラック様はきっと安全です! お願いですから受け取ってください!」
「うっ……」
赤く潤んだ瞳で俺を見つめてくる。
この目はずるいだろ……
純粋に心配してくれているのは分かっている。元々俺に選択肢は無い。この目をする彼女の頼みを断ることはできない。
それに一度解析に失敗している以上、詳しく調べ直したい気持ちが無いわけじゃない。
「はぁ……分かったよ! 貰ってくよ! それでいいんだろ!」
「はいっ!」
花が咲くような笑顔を浮かべる。なんて言うか普通に可愛い。ふわふわと本当に幸せそうに笑う。それを見たらまぁいいかと思える。
「じゃあこれは鞘です。ちなみに鞘も
そう言って渡された鞘は黄金の剣にふさわしい白銀の鞘だった。
「じゃあそろそろ行くか」
「はいっ!」
今にも鼻歌を歌いそうな程上機嫌になりながら足元の水たまりに俺を引きずり込んだ。
どうやら水であれば水の深さは関係ないらしい。
そして次の瞬間には懐かしの湖が広がっていた。
ニミュエと一緒にいた間は現世には戻ってはいなかった。
故に俺は実に3日ぶりの現世になる。
「それじゃあまたな。たまには遊びにくるよ」
そう言って歩きだそうとするがニミュエに袖を掴まれる。
その顔を見るとどこか不満げな顔を浮かべている。
「? どうしっ!」
言葉は続かなかった。
不意打ちで口づけをされたからである。
突然のことに驚いているとニミュエは恥ずかしそうにはにかみながら。
「たまにじゃ寂しいです」
と言った。
やっぱり可愛いな。
「分かったよ。ちょくちょく遊びにくるよ」
「はいっ! いつでも待ってますからね!」
ニミュエは俺が見えなくなるまで手を振っていた。
それに苦笑いをしながら道を急ぐ。
流石に時間を食いすぎた。
早く帰らないとマーリンに文句を言われかねん。
それは嫌だからな。
目指すは選定の剣。
まぁ別に俺が抜くわけじゃないけどな?
早く目的地に行けよ(威圧)
エクスカリバーよりも強いかもしれない剣を獲得!