緋弾のアリア~次元の名を継ぐ者~   作:マグナムリボルバーはロマン

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プロローグ

ある日の朝、ソファーに横になり、一人の青年は高鼾をかいていた。

 

身じろぐと、顔に乗せていたソフトハット帽が落ちる。

 

「………ん?もう朝か………」

 

帽子が落ちたことで、朝日が目に刺さり、青年は寝床にしていたソファーから体を起こす。

 

「8時か。ちょいっと寝過ごしたな」

 

スマホで時間を確認すると、立ち上がり、帽子を被り直すと、キッチンへと向かう。

 

手早くコーヒーを用意し、一口飲む。

 

「ふぅ……今日から二年か………」

 

彼の名前は次元康介

 

康介は、東京武偵高に通う学生。

 

武偵とは、近年増加する凶悪犯罪に対抗するために、新設された国家資格の一つで、これを所有するものは武装を許可され、逮捕権を有することができる。

 

そして、武偵を育成する教育機関のことを、武偵校と言い、康介は東京にある武偵校の高等部に在籍している。

 

学科は大きく分けて14学科あり、また、実力によってランク付けされている。

 

康介はその内の一つ、強襲学部強襲科(アサルト)に在籍しており、Aランクの武偵である。

 

コーヒーを飲み終えると、康介はカップを雑に流しに置いて、リビングの椅子に掛けてある上着を手に取る。

 

そして、テーブルの上にある、メンテナンスを終えた愛銃、S&W M19 コンバットマグナムを、背中の後ろに、ズボンとワイシャツの間に差す。

 

「さてと、行くとするか」

 

強襲科(アサルト)男子寮を出て、駐車場に止めてあるバイクに跨る。

 

心地よいバイクの振動を感じつつ、康介は学校へと向かう。

 

「ん?」

 

学校へ向かう途中、何やら物騒なものを見つけ、康介は思わず、バイクを止める。

 

「UZI付きのセグウェイが数台………嫌な予感がするな」

 

康介はバイクを反転させ、セグウェイが向かった方向に向かう。

 

そこは、武偵校の体育倉庫だった。

 

すると、そこでは、UZI付きのセグウェイ6台と対峙する一人の武偵高生がいた。

 

UZIから弾丸が放たれる。

 

だが、生徒は弾丸を躱すと、脇のホルスターからベレッタM92Fを抜き、発砲をする。

 

6発の弾丸は、全て、寸分の狂いなくUZIの銃口に入り、内側からUZIを破壊する。

 

生徒は不敵に笑うと、ベレッタを懐にしまう。

 

その瞬間だった。

 

新たなUZI付きセグウェイが6台現れ、生徒の背中に銃口を向ける。

 

武装解除後の死角からの攻撃に、生徒は咄嗟に反撃ができなかった。

 

すると、康介はバイクのアクセルを一気に全開にし、飛び出す。

 

セグウェイを追い越し、巧みな運転技術でUZIの9㎜弾を、バイクで防御し、生徒の前に立つ。

 

そして、目にも止まらぬ速さで、背中のコンバットマグナムを抜き、そのまま発砲する。

 

マグナム弾を受け、UZIは粉々に砕け散り、沈黙する。

 

「よぉ、余計なお世話だったか、キンジ?」

 

銃口で、帽子のつばを持ち上げ、康介はその生徒、遠山キンジを見る。

 

「いや、助かったよ。すまないな、康介」

 

そう言ってキンジは、前髪を払い、康介を見る。

 

(ん?ヒスってるのか?)

 

ヒスってると言うのは、キンジの体質のことだ。

 

キンジの家、遠山家は、ヒステリア・サヴァン・シンドロームと言う特殊体質で、βエンドルフィンが一定以上分泌されると神経伝達物質を媒介し、大脳・小脳・脊髄と言った中枢神経系の活動を劇的に亢進させ、思考力・判断力・反射神経などが通常の30倍にまで向上する。

 

キンジの家、遠山家は先祖代々、この力を使い、正義の味方を生業として来た。

 

時代と共に、その仕事は違って行き、今は武偵としてその力を使っている。

 

キンジはこの力を、ヒステリアモードと呼び、このモードになることをヒスると言っている。

 

だが、キンジはこの力を制御出来ておらず、性的興奮によって意図しない状況でヒスることがある。

 

つまり、何者かに襲われている状況で、キンジは性的興奮に陥る状況になったということだ。

 

「(襲われて興奮したか?いや、流石に親友にドMの気があるとは思いたくない)それで、これはどう言う状況か、説明してもらえるか?」

 

「ああ、それは構わないが、話はあちらのお嬢さんの相手が終わってからだ」

 

そう言って、キンジは体育倉庫に戻っていく。

 

「……女が居たか。なら、納得か」

 

キンジのヒスりの原因が分かり、康介は、溜息を吐きつつ、弾をリロードする。

 

次の瞬間、キンジは体育倉庫から投げ飛ばされる様に飛び出してきた。

 

「キンジ、どうした?」

 

「ちょっとした誤解さ。だが、いい腕だ」

 

「逃がさないわよ!」

 

すると、頭に響く様なアニメ声が響き渡り、体育倉庫からピンク髪のツインテールに身長がかなり低い女子が出てきた。

 

もちろん東京武偵校の防弾制服を着た、女生徒だった。

 

「私は今まで一度も犯罪者を逃がしたことはないんだから!」

 

そう言って、女生徒はスカートの中に手を入れ、手にしたガバメントのマガジンを交換しようとする。

 

「あ、あれ?マガジンが………!」

 

「探し物はこれかい?」

 

「あ!?」

 

キンジの手には、ガバメントのマガジンがあり、キンジはそれを遠くに投げ飛ばした。

 

「私のマガジン!」

 

「悪いね」

 

「くっ……許さない………」

 

女生徒は、ガバメントを足の太ももにつけたホルスターに仕舞うと、今度は背中に手を伸ばす。

 

そして、制服の中から、二本の小太刀を抜く。

 

「強猥男は神妙に!」

 

その瞬間、二発の銃声が響く。

 

「きゃ!?」

 

撃ったのは康介だった。

 

女生徒が小太刀を抜き、キンジに飛び掛かろうとした瞬間、得意の早撃ちで、女生徒の小太刀を弾いた。

 

「いきなり襲い掛かるのはマナー違反だぜ。お嬢さん」

 

「だ、誰がお嬢さんよ!私は、高二だ!」

 

「……マジか」

 

「どうやら、そのようだ」

 

「まさか……冗談だろ?」

 

「本人が言うにはそうらしい」

 

「ああ、あれか。飛び級とかできた天才小学生とか」

 

女生徒そっちのけで、話し出す康介とキンジに、女生徒はどんどん怒りを募らせる。

 

「私を………無視すんな!」

 

とうとう飛び掛かろうと、女生徒が走り出す。

 

「わぉきゃっ!?」

 

女生徒は謎の悲鳴を上げて、転ぶ。

 

女生徒の足元にはガバメントに使用する45ACP弾が転がっていた。

 

「ごめんよ、ちょっとばら撒かせてもらったよ」

 

キンジは一発の45ACP弾を手の中で転がし、地面に投げる。

 

「やるじゃねぇか、キンジ」

 

「康介が時間稼ぎをしてくれたお陰さ」

 

「なら、とっととおさらばしようぜ。後ろに乗りな」

 

「ああ、悪いな」

 

康介は再びバイクのエンジンを入れ、キンジが後ろに乗るのを確認すると、バイクを走らせる。

 

「くっく……」

 

「ふふ……」

 

「くははははははははははははは!!」

 

「ふははははははははははははは!!」

 

二人は、自然と笑い出し、武偵校へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これが、後に“(エネイブル)”と呼ばれる遠山キンジ。

 

後に“緋弾のアリア”として世界中の犯罪者を震え上がらせる鬼武偵、神崎・H・アリア。

 

そして、“現代の拳銃王”と呼ばれる次元康介。

 

これが三人の、硝煙の匂いにまみれた、最低で最悪のファースト・コンタクトだった。

 

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