緋弾のアリア~次元の名を継ぐ者~   作:マグナムリボルバーはロマン

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1弾 神崎・H・アリア颯爽登場

「そう落ち込むなよ」

 

「別に落ち込んでねぇよ」

 

教務科(マスターズ)に今朝の事件を説明した後、康介はキンジと、教室へと向かっていた。

 

「別に、俺はお前がロリコンだったとしても、気にはしねぇよ」

 

「誤解だ。俺はロリコンじゃない。んなことより、早く教室に行くぞ。くそっ、事件に巻き込まれて遅れたなんて良い笑い者だ」

 

「安心しな。これぐらい、武偵じゃ日常茶飯事だ」

 

そんな会話をしながら、二人は教室に向かう。

 

「よぉ、キンジ!康介!今年も、車輌(ロジ)の武藤剛気様が同じクラスだぜ!」

 

教室に入ると二メートルほどの身長がある男が二人に声を掛ける。

 

武藤剛気。

 

車輌科のAランク武偵で、乗り物と名のつくモノならなんでも乗りこなすことが出来る武偵で、康介とキンジの友人でもある。

 

キンジは武藤を無視し、自分の机に座ってうつ伏せになる。

 

「どうしたキンジ、星伽さんと一緒のクラスじゃなくて悲しいのか?俺は悲しいぜ」

 

「………武藤、今の俺に女の話をするな」

 

そう言ってキンジは何も話さなくなった。

 

「武藤、俺の席は何処だ?」

 

「康介は向こうの席だぜ」

 

そう言って武藤が指さした方を見て、康介は思わず舌打ちをした。

 

そして、席に近づき、そこに座ってる生徒に声をかけた。

 

「おい、峰。そこは俺の席だ。どきな」

 

「そんな固いこと言わないでよ、コー君」

 

その生徒の名は、峰理子。

 

探偵科(インケスタ)のAランク武偵で、趣味が覗きに盗聴、盗撮、ハッキングなど武偵向けである為、情報収集能力が並外れて得意。

 

康介の知り合いでもある。

 

正確には、やたら康介に付きまとってくる、康介にとっては厄介者でしかない。

 

「いいからさっさと退きやがれ。鉛玉食らいたいのか?」

 

「ちぇ~……今退きまーす」

 

理子はそう言って、席を立ちあがると、康介の一つ前の席に座る。

 

「……何のつもりだ?」

 

「だって、ここが理子りんの席だも~ん」

 

もう何か言うのも疲れた康介は、何も言わずカバンだけを置くと教室を後にした。

 

康介が向かったのは屋上だった。

 

授業をサボって、ここで日向ぼっこしつつ、一眠りしようと考えてのことだった。

 

問題があるのではと思うが、東京武偵校に限らず、武偵校の偏差値は基本低い。

 

単位さえ取って入れば、進級も卒業もできる。

 

康介は既に、卒業できるだけの単位を取得しており、今更授業の一つ二つどころか、十、二十サボっても問題はなかった。

 

さらに、見た目に似合わず意外と頭も良く、定期テスト前でも余裕で眠りこける程だ。

 

「まったく、朝っぱらからツイテないぜ」

 

帽子を顔に乗せ、手を頭の後ろに組み、そして、足を組んで、康介は寝る準備に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

康介が寝始めてから、数時間がたった頃。

 

何者かか梯子を上がってくる音で康介は目を覚ました。

 

その瞬間、素早く起き上がり、腰のマグナムを抜き、銃口を向ける。

 

「やめろ、俺だ」

 

顔を出したのはキンジだった。

 

「なんだ、キンジか」

 

「授業サボって、昼寝かよ」

 

「俺は授業出なくても問題ないレベルで単位取ってるからいいんだよ」

 

マグナムを仕舞い、康介は再び寝転がる。

 

キンジはそのまま康介の近くに移動し、同じように寝転がる。

 

「しかし、珍しいな。お前さんが、ここに来るってのは」

 

「ちょっと問題が発生したんだよ」

 

「問題?」

 

「今朝のあの女。同じクラスだった」

 

「マジか?」

 

「ああ。強襲科(アサルト)所属で、名前は神崎・H・アリア。俺らとタメだ」

 

「神崎だと?」

 

その名前に、康介は思わず反応する。

 

「知ってるのか?」

 

「……ああ。イギリスじゃ、有名人だぞ。Sランク武偵の二つ名持ちだ」

 

「Sランクか。ま、あの腕前なら納得だな。ちなみに、その二つ名ってのはなんだ?」

 

双剣双銃(カドラ)。小太刀の二刀流、ガバメントの二丁拳銃の使い手のことから、そう呼ばれてる」

 

「へー、他には?」

 

「そうだな。……そう言えば、リアル貴族らしい」

 

「貴族って、今も実在してんだな」

 

「らしいな。ま、俺も見たのは初めてだがな」

 

二人して特に意味があるとは思えない話をしていると、屋上の扉が開く。

 

声からして女子が数人来たらしい。

 

女子が来たことに、キンジは顔を顰め、康介も溜息を吐く。

 

「ねぇねぇ、周知メール見た?」

 

「見た見た。武偵殺しの模倣犯だってね」

 

「てかさ、この被害に遭った武偵って康介とキンジじゃない?」

 

(流石は武偵高。噂が広まるのが早いな)

 

キンジは変に納得しながらそっぽを向く。

 

「二人も不憫だよね。新学期の初日に模倣犯の被害に遭って、おまけにアリアに目を付けられるとか」

 

「二人?おい、キンジ、どういうことだ?」

 

「なんか神崎の奴が俺の隣がいいって言いだしたんだよ。それと、お前もアリアの隣の席になったぞ」

 

「マジかよ……ま、峰の後ろじゃないだけマシか」

 

「お前、本当に理子が嫌いだな」

 

「嫌いなんじゃねぇ。ああいうタイプの女は、どうも苦手なんだよ」

 

「同じようなもんだろ」

 

小声で話しながら、女子たちの会話を聞いていると、さらに話し声が聞こえてくる。

 

「そう言えば、さっき情報科(インフォルマ)で二人の資料漁ってたの見たよ」

 

「私も二人の事聞かれた。キンジは昔、強襲科(アサルト)で、凄かったって言っておいたけど。康介は、早撃ちでは、誰も勝てないって。あとは、キンジと康介の二人は最強のコンビってぐらいかな」

 

「あ、それ分かる。あの二人が一緒にいると、どんな事件も立ちどころに解決しそうだよね」

 

「それに、二人ともかなり息合ってるしね」

 

「最強コンビだとよ」

 

「Eランク武偵と、SランククラスのAランクが最強のコンビな訳あるかよ」

 

「抜かせ、実質SランククラスのEランクじゃねぇか」

 

二人で空を見上げつつ、言い合う。

 

「でもさ、キンジも康介も、女嫌いなのによりによってアリアとか最悪だよね。アリアってさ、ヨーロッパ育ちだかなんだか知らないけど空気読めてないよねー」

 

「でもでも、アリアってなにげに男子の間では人気あるみたいだよ」

 

「あー、そうそう。3学期に転校してきてすぐファンクラブできたんだって。写真部が盗撮した体育の写真、万単位で売れるヤツもあるって聞くし」

 

「特に水泳とか新体操の奴は高値で売れてるらしいよ」

 

そんなどうでもいい情報を聞きながら、二人は思った。

 

(どうやら、神崎は武偵高の中でも、一際浮いてる存在なんだな)

 

(なんか、スゲー嫌な予感がする………)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後になると、キンジは教室を窓から飛び降り形で逃げ出し、一目散で走り出す。

 

「よぉ、キンジ」

 

校門の近くでは、康介が待っていた。

 

「ナイスタイミングだ」

 

「いいから、乗りな。厄介な連中が来る前にずらかるぞ」

 

「ああ」

 

キンジがバイクの後ろに乗り、康介はバイクを走らせる。

 

「今日は逃げ切ったが、明日はどうするか………」

 

「同じクラスだからな………逃げ道がねぇな……それよりよ、キンジ。お前さん、強襲科(アサルト)に戻る気はねぇのか?」

 

「断る。あんな血生臭くて、硝煙臭くて、鉄臭い場所、二度とごめんだ。俺は

一生探偵科(インケスタ)で行く。普通の武偵としてまっとうに生きていくんだ」

 

「武偵の時点で、まっとうからかけ離れる気もするぞ」

 

そうツッコミ、康介はキンジを探偵科(インケスタ)の男子寮まで送る。

 

「康介、上がれよ。神崎への対策考えようぜ」

 

「あいよ」

 

バイクを停めると、康介は、キンジの部屋に上がる。

 

ソファーに座ると、キンジは上着を脱ぎ、康介はマグナムを抜き、キンジの部屋に置いてある道具で、マグナムのメンテを始める。

 

「相変わらず、メンテするんだな」

 

「テメーの()は、テメーで手入れしないとな」

 

康介はメンテをしつつ、キンジに尋ねる。

 

「それで?どうやって、神崎に対抗するんだ?」

 

「それを今から考えるんだよ」

 

「……そもそも、どうして神崎は、俺とキンジのことを調べてたんだ?」

 

「それが分かったら苦労はしねぇよ。……まぁ、強いて言うなら、俺のヒステリアモードかもな」

 

「なるほど。その力目当てってことか。……だとしても、俺のことを聞く理由はなんだ?早撃ちなんて、誰にでもできる芸当だぞ?」

 

「0.3秒の早撃ちで、100m先の1セント硬貨すら撃ち抜く奴のどこが、誰にでもできるんだよ?」

 

「………神崎もそうだが、もう一つ気になることがある」

 

「なんだよ?」

 

「お前さんを狙った武偵殺しだよ」

 

康介がそう言うと、キンジは反応した。

 

「ただの模倣犯だろ?」

 

「模倣犯にしては手馴れていたって言ってんだよ。それに、大量のセグウェイにUZI、模倣犯がそろえるにしても、かなりの量だ。値も張るだろう」

 

「………確かに」

 

キンジが頭を抱え、何かを考え始める。

 

すると、部屋のインターホンが鳴る。

 

「鳴ってるぞ」

 

「ほっとけ」

 

そう言ってインターホンを無視するが、しつこくなり続け、キンジはとうとう諦めて、玄関に向かう。

 

康介は、最後のメンテを終わらせ、弾を込め、仕舞う。

 

それと同時に、リビングの扉が明けられる。

 

「あら、アンタもいたのね」

 

「神崎か?お前、どうしてここに?」

 

「キンジに用事があったのよ。ま、アンタにもあったけど」

 

アリアがそう言うと、後ろからキンジが、アリアの持ち物と思われるキャリーバックを引きずってくる。

 

「この部屋、アンタたち以外いないの?」

 

「俺は強襲科(アサルト)の男子寮だ。ちょいと訳合って、来てるだけだ」

 

「あっそ。ま、ちょうどいいわ」

 

「それで、神崎。一体何の用だ?用件言ってさっさと帰れ」

 

キンジはアリアの荷物を置き、そう言う。

 

「それはアンタの返答次第よ。それと、あたしの事はアリアでいいわ」

 

そう言ってアリアは二人の方を振り向く。

 

「キンジ!康介!アンタたち、あたしの奴隷になりなさい!」

 

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