緋弾のアリア~次元の名を継ぐ者~   作:マグナムリボルバーはロマン

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2弾 女には毒がある

奴隷。

 

その二文字にキンジと康介は頭を悩ませた。

 

アリアの顔は、決して冗談を言ってるような顔ではない。

 

(康介、どう思う?)

 

(本気とは思えないな。多分違う意味があるんじゃないか?)

 

(いや、でも、相手はリアル貴族だぞ。冗談じゃない可能性も……)

 

(そう言われると否定できねぇな)

 

「ちょっと、さっきから何固まってんのよ」

 

康介とキンジは、アリアに気づかれないように、指の動きだけで会話をしていた。

 

ついでに言うと、これは一般の武偵が使うものと異なり、康介とキンジが考えたものであり、アリアはそれに気づかなかった。

 

「いや、悪い。てか、奴隷ってなんだよ。俺たちに小間使いでもさせるってか?」

 

「それも悪くないわね。でも、今はそれより頼みたいことがあるの」

 

「頼みたいこと?」

 

「それよりさっさと飲み物ぐらいだしなさいよ!無礼な奴ね!」

 

「行き成り押しかけてくる奴は、無礼じゃないのか?」

 

「コーヒー!エスプレッソ・ルンゴ・ドッピオ!砂糖はカンナ!1分以内!」

 

康介の言葉も無視し、アリアはソファーにぽすっと座る。

 

そんなアリアに、キンジは溜息を吐き、台所に向かう。

 

「素直に従うからお前はダメなんだよ……」

 

キンジがコーヒーを入れる姿を見つつ、康介は溜息を吐く。

 

そして、キンジはインスタントコーヒーを三つ持ってきた。

 

「ほらよ」

 

「悪いな」

 

康介はお礼を言ってコーヒーを受け取る。

 

「これ本当にコーヒー?」

 

「それしかないんだからありがたく飲めよ」

 

「変な味、ギリシャコーヒーに似てるけどちょっと違う」

 

お礼すら言わないアリアに、康介は頭が痛くなりつつも、コーヒーを飲む。

 

「今朝助けてくれたことには感謝してる。それにその…お前を怒らせるようなことを言ってしまったのは謝る。でもなんでここに押し掛けてくる?」

 

「分からないの?」

 

「分かるかよ!」

 

「アンタは?」

 

今度は康介の方を見て聞いてくる。

 

「知るかよ。そもそも、俺は途中から来たんだ。あそこまでの経緯なんて知るか」

 

「アンタたちならすぐわかると思ったのに。んー、そのうち思い当たるでしょ、まあいいわ」

 

何一つよくないと二人は思いつつも、何も言わないでいた。

 

「おなかすいた。なんか食べ物はないの?」

 

「ベーコンとグリンピースならあるぞ」

 

「おっ!ベーコン豆か、いいね」

 

ベーコン豆は康介の好きな料理の一つで、キンジもまた簡単に作れることから好んでよく食べている。

 

「なにそれ?変な料理ね」

 

だがアリアには理解できない料理らしく、たった一言、変だけで片付けられてしまった

 

「流石に毎日ソレってわけじゃないでしょ。普段はどうしてるのよ?」

 

「俺の基本はベーコン豆か、下のコンビニだ」

 

「こんびに?ああ、あの小さなスーパーのことね。じゃあ、行きましょう」

 

「じゃあってなんだよ。じゃあって」

 

「決まってるでしょ。買いに行くのよ。もう夕食の時間でしょ。あ、そこって松本屋のももまんって売ってる?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コンビニで夕食を揃えた三人は再びキンジの部屋に集まり、夕飯を摂り始める。

 

康介はコンビニに行った隙に自身の寮に帰ろうとしたが、キンジにバレてしまい、いい笑顔で「俺たちは相棒だろ?逃げるなよ、次元ちゃ~ん」と肩を掴まれた。

 

康介のことを「次元ちゃ~ん」と呼ぶ時のキンジは、康介を巻き込む気満々で、もし逃げる様であれば、容赦なく愛銃のベレッタで撃ってくる。

 

武偵とは言え、コンビニの前で発砲事件なんかを起こしたくないので、康介は大人しくキンジに従った。

 

「それで、奴隷ってなんだよ?」

 

ハンバーグ弁当を食べつつ、キンジが訪ねる。

 

強襲科(アサルト)で、あたしのパーティーに入りなさい。一緒に武偵活動するの。あと、康介もよ」

 

アリアは買ってきた5個目のももまんを頬張り言う。

 

「はぁ?なんで俺もなんだよ?」

 

康介は適当に買った焼肉弁当を食べつつ、アリアに尋ねる。

 

「太陽はなぜ昇る?月はなぜ輝く?アンタたち、質問ばっかの子供みたい。仮にも武偵なら情報を集めて推理しなさいよね」

 

「……なぁ、神崎」

 

「アリアでいいって言ったでしょ」

 

「悪いが、俺はテメーを信じてねぇんでな」

 

「………どういうこと?」

 

「武偵が気を付けなければいけないモノ。金と毒。そして、女だ。金は言わずもがな、毒はどんな実力者でも一舐めすりゃあの世行きだ。ま、毒にもよるがな。俺はこの三つの中でも、特に女には気を付けている。女を庇って死んだ奴はごまんと見てきた。それに、ハニートラップを仕掛けられて、情報を漏らし、裏切られた奴もな」

 

「あたしは、そんな女とは違うわよ」

 

「そりゃな。お前さんの体型みりゃ、それ目当てじゃないのはわかってる」

 

康介のその発言にアリアはイラっと来て、ガバメントを抜こうとする。

 

だが、それよりも早く康介はマグナムを抜いていた。

 

その速さにアリアは目を見開きつつも、すぐに冷静になり、ゆっくりとガバメントから手を放す。

 

「話を戻そう。いくらお前さんが、Sランクの実力者だろうと、女とは組まねぇ。単純に信じられないからな」

 

そう言い康介はマグナムを仕舞い、立ち上がる。

 

「帰る。キンジ、明日までにソイツを追い出しとけよ、でなきゃ、絶交だ」

 

「絶交のハードル低すぎだろ!?」

 

「ちょ、待ちなさいよ!」

 

二人の声をさっさと無視し、康介は部屋を出ていく。

 

「女………か」

 

康介の脳裏に金髪の一人の女性の顔が過る。

 

「ちっ!嫌なこと、思い出しちまったな………」

 

帽子を深く被り直し、康介は寮へと向かった。

 

「嫌な夢見そうだな………」

 

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