緋弾のアリア~次元の名を継ぐ者~   作:マグナムリボルバーはロマン

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久々の更新で忘れ去られてるかもしれませんが、更新は不定期でします


4弾 斬鉄剣を守れ

「14時だな。不気味なほど静かだ」

 

康介は自身の腕時計を確認し、そう呟く。

 

「まだ14時です。犯行予告時刻は13時から15時の間。15時が過ぎるまで、油断はできません」

 

一方で、浩美は辺りへの警戒を怠らず気を張り巡らせながらそう言う。

 

その瞬間、浩美の持つ無線に通信が入った。

 

「はい、こちら銭形」

 

『ぜ、銭形武偵!犯人です!例の予告状の犯人と思われる人物が現れました!』

 

「本当ですか!?今犯人は何処に!」

 

『そ、それが正面入り口の警備を倒し、そのまま乗り込んできました!』

 

まさか、正面から正々堂々と来るとは思っておらず、これには浩美も康介も驚いた。

 

『現在、展示室前の階段を駆け上ってうわああああああ!!』

 

その言葉を最後に無線が切れ、ノイズ音だけが無線から虚しく聞こえる。

 

「おい、浩美」

 

「ええ、分かってます」

 

浩美は康介にそう言い、懐からコルトM1911A1を抜く。

 

(……そう言えば、神崎の銃もコルトだったな)

 

そんなことを思いつつ、康介も愛銃のマグナムを抜こうとする。

 

マグナムに手が触れた瞬間、突如扉が勢いよく開き何者かが飛び出してくる。

 

顔は紫の頭巾で隠されているが、袴姿の小柄な人物だった。

 

「止まりなさい!」

 

浩美は素早く銃を向け、威嚇射撃をする。

 

だが、その人物は怯みもせず突っ込んでくる。

 

「喰らいな!」

 

康介は狙いを素早く定め、引き金を引く。

 

しかし、その人物はこれも躱し康介に接近する。

 

軽くジャンプし、そのまま康介の胸に蹴りを入れる。

 

「うをっ!?」

 

蹴りを喰らった康介は、そのまま床に転び、襲撃者を斬鉄剣が収められているケースへの接近を許してしまった。

 

そして、襲撃者はそのまま素手でケースを破壊し斬鉄剣を手にした。

 

「この野郎!」

 

康介は床に寝転がる様に転び、銃を撃つ。

 

そして、放たれた弾丸は襲撃者の持つ斬鉄剣へと向かう。

 

「しまった!?」

 

刀や剣などは、刃の横から衝撃を与えると壊れやすい。

 

康介の撃った弾丸は、斬鉄剣の横っ腹目掛け飛ぶ。

 

弾丸は斬鉄剣の鞘を砕き、刀身をへし折る。

 

そう思った。

 

次の瞬間、襲撃者は一瞬で斬鉄剣を構え、そして、抜刀した。

 

弾は切り裂かれ、そのまま襲撃者の背後の壁に二つの穴だけを残した。

 

「嘘だろ……!」

 

弾丸をも斬れる斬鉄剣のキレ味にも驚いたが、康介はそれ以上に襲撃者の技量とその能力にも驚いた。

 

亜音速で飛来する弾丸を追える動体視力、ソレを刀で切り裂く技、そして、刃毀れ一つ起こさない技量。

 

どれをとっても一流のものだった。

 

(武偵ならA……いや、Sランククラスだな!)

 

そんなことを思いながらも、康介は発砲する手を止めない。

 

素早く立ち上がり得意の連続早撃ちを繰り出す。

 

だが、襲撃者はその全ては斬鉄剣一本で防ぐ。

 

「ちっ!」

 

康介は素早くシリンダーから排莢し、左手でシリンダーと銃を持ち、右手の人差し指と中指の間に弾を二発、そして、中指と薬指の間に一発挟み同時に三発をリロードする。

 

そして、同様に弾を持ち、手首を捻って残りをリロードする。

 

ここまででリロードに掛かった時間は一秒にも満たない。

 

至近距離で康介は、襲撃者に発砲する。

 

しかし、襲撃者は至近距離からの発砲に対しても斬鉄剣で弾丸を防ぎ、康介へと向かっていた。

 

「おりゃ!」

 

康介は脚を上げ、蹴りは襲撃者の手に当たる。

 

斬鉄剣を持つ手は上へと上がり、わずかばかりの隙が出来る。

 

その隙を逃さず、康介はマグナムを襲撃者の足へと向け、発砲する。

 

唐突だが、武偵には武偵法と言うものがある。

 

その中にある9条に、『武偵は如何なる状況においても、その武偵活動中に人を殺害してはならない』と言うのがある

 

康介の使うS&W M19は.357マグナム弾と言う弾を撃つことが出来る。

 

.357マグナム弾は威力が高く、殺傷能力も高い。

 

つまり、当たり処関係なしに人を再起不能にしてしまう。

 

だからこそ、康介は装備科(アムド)の知り合いに頼んで.357マグナム弾(タイプ)の弱装弾、通称“弱装マグナム弾”を特注で作らせ、使用している。

 

鈍く、強い痛みが襲撃者を襲い、襲撃者は頭巾の下で、顔を苦痛に歪ませる。

 

だが、襲撃者はその痛みを抑え込み、康介に斬り掛かる。

 

今の一発で、康介のマグナムは残弾が零。

 

襲撃者はすでに目の前。

 

斬鉄剣の刃が、康介へと振り下ろされる。

 

しかし、その動きは唐突に止まった。

 

何故なら、襲撃者の左手には手錠が嵌められていた。

 

そして、本来なら鎖がある部分は縄があり、縄の先を持っているのは浩美だった。

 

「へっ!俺ばっか気にして、周りが疎かになったな」

 

「康介さんばかり、見てるんじゃありません!」

 

そう言い、縄を一気に手繰り寄せると同時に走り出し、浩美はバランスが崩れた襲撃者の胸ぐらを掴む。

 

「うおおおおおおおおっ!!」

 

そして、そのまま一本背負いをする。

 

「ぐっ!?」

 

流石のコレは効いたのか、襲撃者は苦しそうな声を出す。

 

「これで終わりです」

 

そう言い、浩美は襲撃者の右手にも手錠をかける。

 

「流石だな。銭形警部自慢の生け捕り術と手錠捕縛術」

 

「まだまだ父には及びませんけどね」

 

浩美の父、銭形幸一。

 

彼の名を知らない者はICPOは愚か、警察や武偵、その筋で生きる者には居ない。

 

数多くの犯罪者を捕まえ、その功績から特例として銃の所持・発砲許可と逮捕権を与えられた。

 

さらに、本来なら武偵でも御法度とされる犯罪者の殺害も特例で許可されていた。

 

だが、銭形警部はあくまで自身を一介の刑事と言い、銃は所持しても発砲することは少なく、犯罪者は全て生け捕りにし、引退するまで一度も犯罪者を殺したことがなく、加えて取り逃したこともない。

 

浩美は、そんな父に憧れ、父の様な優秀な刑事になりたいと思っている。

 

事実、浩美は威嚇射撃はしても犯罪者に対しての発砲はしたことがない。

 

武偵の道に進んだのも、何かと都合がいいからだ。

 

「ともかく、これで仕事は完了。報酬はいつも通りで頼む」

 

「ええ、分かってます。お疲れ様でした。それにしても………私たち、やっぱりいいコンビになれそうじゃないですか?」

 

「だから、お断りだっての!」

 

康介はそう言い残し、美術館を後にした。

 

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