ラブライブ!サンシャイン!!輝こうサッカーで!   作:ルビィちゃんキャンディー

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皆さんお久しぶりです。ルビィちゃんキャンディーです。

受験も折り返しなので息抜きに1話だけ更新します。
天界戦が2.5話だったのに対し、魔界戦が4話…こればかりはお話の都合上仕方なし、という感じですね。

今回のお話は恐らく、輝こう史上最長。感想とか応援頂けたら、モチベ爆発して近いうちにまた更新したいです




第3章 102話 「魔界軍団Z戦 "燃ゆる血、舞いに応える"」

 

 

 

 

前回の、輝こうサッカーで!

善子が堕天使を捨てた理由、それはサッカーをする善子にとって邪魔な存在であり、必要がなくなったからであった。

魔王に乗っ取られながらも悲しみを訴える善子。そこからフィレア、クラリアの世界レベルのサッカー。そして千歌の新必殺技「相手の力を奪い、シュートの威力を高める」『エクリプス・サン』で同点とした。

試合は残り僅か。満身創痍の日本&海外チーム、果たした勝つことは出来るのか??

 

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 

ピピーー!!!!!!

 

 

笛が魔界に鳴り響く

 

 

 

千歌「ハァハァ…」

 

決めた。新必殺技で決めた。

三度目の正直とはよく言ったものだが、この1点は大きい。

時間的にも次のゴールが決勝点になるだろう。今の流れで行けば必ず勝てる。そう、

 

 

ダイヤ「千歌さん…大丈夫ですか!?」

 

千歌「ハァハァ…ぐっっ!」

 

ダイヤ(喋れないほどの疲労…)

 

それは今の流れで行ければの話。

 

先程までの威勢は消え去り、それどころか立っているのもやっとのように見える。

それは決して、千歌だけではない

 

 

フィレア「やばい…ちょっと無茶した」ガクッ

 

にこ「ゼェ…ゼェ…キツいわね」

 

全員が既に限界だった。

膝をつき、前を向けず、疲労とあと一点の果てしなさにより、下を見るのはそう難しくはなかった。

 

気持ちでは勝負がつき始めていた。

それはダイヤにとって、これ以上の絶望はなかった

 

 

ダイヤ(どうすれば…動けるのはわたくしだけ…)

 

ダイヤは見た。

世界トップクラスの疾風のようなサッカー。

それに怖気付くことなく食らいついた千歌。自分とは真逆に、その強い心…センスで希望を繋げたのだ。

 

その間、自分は何をしていたのか?

ぼーっと見ていたのか。ただ、世界レベルに圧倒され、自分は足でまといだと、無駄に足を止めていたのか??

 

いくら自分が、才能がないからってーーー「ルビィちゃんダメだよ!!!!」

 

ダイヤ「!?」

 

 

ダイヤを現実に引き戻したのは、フィールド外から聞こえる月の声。そして、

 

 

 

 

 

ルビィ「選手…交代だよ……」

 

 

 

痛みに耐える、最愛の妹

 

 

 

ダイヤ「ルビィ…」

 

月「ちょっ、ダメだって…ルビィちゃん動いちゃダメだよ…!」

 

ルビィ「ルビィが気絶しているあいだに…こんな…っっ!!」

 

月の静止を振り切り、フィールドに戻ろうとルビィは歩を進めていた。

しかし、その動きはぎこちなく。見るからに痛みに苦しみ、プレーは不可能。

怒りに燃える雰囲気からは想像出来ないほどの弱々しさだった

 

 

希「ルビィちゃん…その体じゃ、プレーは不可能や。自分が1番分かってるやろ?」

 

ルビィ「こんなの…ATP使えば騙せる」

 

鞠莉「無茶よ…絶対にダメよ」

 

希も、鞠莉も、みんな辛いはずだ。

それでも交代はするなと、ルビィをフィールドに入れようとはしなかった。

 

そしてルビィも。

体に刺さる激痛。誰よりも苦しいだろう。

それでも交代すると、自分の使命を貫こうとしていた

 

 

ダイヤ「……」

 

 

それをも全て見ているだけのわたくし、黒澤ダイヤ。

 

なんと情けなく、見苦しいのか

 

 

わたくしは、

 

 

ダイヤ「ルビィ」

 

ルビィ「…!」

 

 

自分に、怒りに、燃えた

 

 

ダイヤ「貴方が出る必要はありませんわ」

 

ルビィ「お姉ちゃん、それじゃ勝てないよ」

 

ダイヤ「わたくしが決めます」

 

「「「!!!!!!」」」

 

ルビィ「………」

 

 

根拠など無い。

ただ、自分への怒りから飛び出した言葉なのか、ルビィを守るためのその場しのぎなのか。

 

先程まで自分の全てを悲観していた、それがこのセリフである

 

 

ルビィ「お姉ちゃんに決められるの??」

 

 

ルビィも黙ってはいないだろう

 

 

果南「ルビィ…!!ダイヤになんて事を」

 

ダイヤ「大丈夫です。果南さん」

 

果南を止めるダイヤ。

本来ならばダイヤが激を飛ばすはずのルビィの一言。

しかし、ダイヤは分かっていた。ルビィは、こんな事を言う子ではない。

この一言を言わせるまでに、自分はルビィを追い詰めていたのだと

 

 

ダイヤ「善子さんを想うならば当然ですわ」

 

ルビィ「…」

 

ダイヤ「ルビィ、わたくしも日本代表ですわ」

 

 

ダイヤ「戦わせてください」

 

 

ルビィ「お姉ちゃん…」

 

にこ「ダイヤ…」

 

クラリア「…」

 

自分には才能が足りないと。

力になれないと戦いから避けていたダイヤが、今、戦う意思を見せた。

それはルビィを、ここにいるチーム全員を納得させるには十分すぎるものだった

 

 

ルビィ「お姉ちゃんはルビィの憧れだよ」

 

ダイヤ「…!」

 

ルビィ「善子ちゃんを助けて」

 

ダイヤ「はい」

 

 

何の根拠もなかった。

戦意させ、ついさっきまでは無いに等しかった。それが、ダイヤが再びポジションに戻る頃には真逆。

自分が決める。勝つ。助ける。

まるで希望の炎、そのものだった

 

 

クラリア「よく言った。ダイヤ」

 

ダイヤ「クラリアさん」

 

クラリア「才能よりも必要なのは、誰でも持つことが出来る、心の強さだ」

 

千歌「前に言いましたよね?ダイヤさんにしか出来ないことがあるって。誰一人、欠けちゃ駄目なんです」

 

クラリアも、千歌も、強い。

ダイヤが足りないものを彼女たちは持っている。そしてそれを必死に伝えようと。

ダイヤに何度も訴えている

 

 

にこ「正直…体は限界だわ。でも、ダイヤがやる気なら最後、あんたにボールを繋げるわ」

 

果南「ゴールは任せてよ。絶対に守るから。ダイヤは走って」

 

 

 

 

ピーーー!!!!

 

 

 

わたくしを見捨てる人は誰一人、いなかった

 

 

千歌「絶対に通さない!!!!」

 

 

それどころか、自分から仲間を避けていた

 

 

魔王「…喜べ人間」

 

千歌「…!?」

 

魔王「ーーー」ギュン!!

 

千歌(はやーーーこのスピードっっ!?)

 

魔王「確実に死ねるぞ」

 

 

魔王は使う。善子の今の全てを

 

 

にこ「"Deep Resonance"!?」

 

あんじゅ「善子ちゃんの技を使ってきた…」

 

体は限界。善子の共鳴に抗うことは不可能。

ダイヤの決意とは関係なく、魔王は共鳴でボールを奪いに来る人間たちを受け流す

 

 

聖良「やはり敵としての共鳴は厄介…ですが、止めなくては…!!」バッ

 

魔王「邪魔だっっ!!」ドガッ!

 

聖良「!?!?」

 

フィレア「ダメだ…ボディバランスのある聖良でも、ダメージには勝てない…!」

 

DFとして優秀な聖良。

体の使い方、ポジショニング。どれも世界の選手たちに負けないほどだ。

しかし、この限界の状況でその力を引き出すのはーーー不可能に近い

 

 

魔王「終わりだ…これで!!!!」バッ

 

 

鞠莉「果南っっ!!!!」

 

果南「来い!!!!」

 

魔王が回転させたボールはその禍々しいオーラにより、白と黒、色が変わる。

放たれるのは石より重く、人の域を超えたシュート

 

 

魔王「【真ダークマター】!!!!」ドガアァン!

 

 

希「進化!?」

 

あんじゅ「果南ちゃん!!!!」

 

 

果南「うおあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」バシャァン!

 

進化した魔王のシュートを止める。

止めてダイヤへとボールを繋ぐ。

ダイヤは自分で自分のサッカーを縛っているんだ、そんなサッカーをして欲しくない

 

 

果南「【デルフィナス・トリアイナ】!!」

 

海中から神器を召喚する。

そのまま想いとともに戟を強く握る

 

 

果南「形状っっ……変化!!!!」

 

果南「【アトランティス】!!」

 

迫り来る魔王のシュート。

対するは大地をも割る力を得た海の神の矛。

体の全筋肉を叩き起し、岩のような神器をその身で振りかぶる

 

 

果南「っっっ!!!!!!」ドオォン!

 

頭の上から振り下ろし、斧のようにボールを叩いた。

その激しい衝撃により地面はボールを中心に窪み、亀裂が走る

 

 

果南「ぐっっ!!!!」ググググ

 

 

ルビィ「あと少し…足りない」

 

月「ダメージのせいで力が落ちてるんだ…このままだと、」

 

最後のひと押し、あと少しでもボールに圧を加えられれば確実に抑えられる。

だが、そのあと少しがもう残っていない。

 

しかし、

 

 

鞠莉「ディザスターっっ!!!!」

 

果南「鞠莉!!」

 

鞠莉「ブレイクGX!!!!」ドガアァン!!

 

果南の槍の上から。

さらに叩きつけるようにシュート技。

鞠莉と果南が強引にねじ込むことにより…

 

 

魔王「と、止めた…」

 

果南「ハァハァ…サンキュー。鞠莉」

 

鞠莉「黙って見てるわけないでしょ?」

 

果南と鞠莉によって止められたボール。

それ即ちーーーー

 

 

 

果南「ダイヤ!!!!!!」

 

 

 

ーーー日本&海外チームの最後の攻撃

 

 

 

魔王「あの人間を止めろ!!!!」

 

 

デスタ「喰らえっっ!!」ズザーッ

 

ダイヤ(スライディング!?)

 

にこ「ダイヤこっち!!」

 

ダイヤの斜め後ろから声がした。

その声を信じてノールックでボールを預ける。そして声の主は続ける

 

 

にこ「千歌や海外メンバーはもう限界よ…!!にこがフォローするから、アンタが決めてきなさい!!ダイヤ!!」

 

ダイヤ(にこさん…)

 

何を言ってるんだ…"にこも"限界なはずなのに…先程まで足が棒のように動かなくなっていたのに…

 

 

にこ「さあ!かかってきなさい!!」

 

 

矢澤にこ…どこまでこの人は天才な「ダイヤ!!」

 

ダイヤ「!?」

 

にこ「アンタ、また天才がどうとか考えてたでしょ!?」

 

にこ「いい!?天才っていうのは2種類いるのよ!!1つは天性、与えられた力が最初から使える人間よ!!」

 

にこ「もう1つはね…努力しないと天才も何も無い、開花できない人間!!」

 

ダイヤ「!」

 

にこ自身そうだった。

シュートが苦手、そして体格のこともあり、自分にはサッカーは向かないと思っていた。

そう思いながらもサッカーは大好きだった。その想いを信じて自分が唯一得意だったリフティングを極めた。極限まで

 

 

にこ「やれることはすべてやったわよ。筋トレ、ランニング、食事管理、生活習慣」

 

ベリアル「喋ってばかりでよそ見!?」バッ

 

にこ「その努力すべてで今の自分がいるのよ!!!!」バババッ!

 

ベリアル(ノールックで躱された!?)

 

にこ「ダイヤ!!」パス

 

ダイヤ「!」

 

にこ「アンタにも必ず…絶対に自分の知らない可能性があるはずなのよ!!監督はそうでなきゃダイヤを代表には選んでない!!!!」

 

にこ「才能がない?違うわ。才能を開花させるまで努力していない!!それだけよ」

 

天性の選手とともに戦いたいのなら努力しかない。

誰かが言った。"天才が努力すること、以上に恐ろしいものはない"と。

ダイヤはドリブルを始めた。

何の特長も個性もないドリブルだが、その動きには確かに。熱意は込められていた

 

 

デスタ「【ゴートゥーヘル】!!!!」

 

千歌「ダイヤさん避けてっっ!!」

 

ダイヤ「っ!?」

 

まるで転がるように。

食らいつくようにボールを離さず、オーラの塊を躱す。休んでいる暇はない。

すぐに立ち上がり、再び前を向くダイヤ

 

 

ダイヤ(行ける…)

 

 

そう、頭に過ぎったのはダイヤだけではなかった

 

 

フィレア(行ける…ダイヤ!!)

 

クラリア(DFは薄い、行けるぞ!!)

 

千歌(ダイヤさん…!!)

 

ルビィ(お姉ちゃん…!)

 

今のダイヤならば、DFの1人や2人…ディフェンス技など躱せる。

行ける。この3文字、過ぎり、確信に変わろうとしていた―――――

 

 

魔王「【ブラックサンダー】」

 

「「「【ゴートゥーヘル】!!!!!!」」」

 

ダイヤ「!?!?」

 

「「「!!!!!!???」」」

 

 

――――――しかし、悪魔たちはそれを許さなかった

 

 

魔王「もういい。これで終わりだ」

 

ダイヤ(雷に…オーラの塊が多数……)

 

「ゴートゥーヘル」を1つ躱すなど、今のダイヤには造作もない。しかし、なんだ、これは。

雷とオーラが、まるで自分を包み込むカーテンのように。雨が降る中で、雨にあたるなと言われているかのように。

ダイヤの体は硬直。ただ、その無慈悲な雨を見ることしかできなかった。

 

無理だ。これは躱せない…

 

そして、世界が徐々にゆっくりと流れ始め察する。

 

 

死が、見えた

 

 

「「「ダイヤっっ!!!!!!」」」

 

 

 

ダイヤ「――――――――――――」

 

 

 

死を覚悟したかのように。

頭の中で記憶が膨らみ溢れる

 

 

 

『約束なんだ。ダイヤ』

 

ダイヤ「――――――!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は幼いことからよく、「何でもできる子」と言われてきた。

 

何故、このタイミングでそんな事を脳裏に浮かべたのかは…自分でも分からない

 

 

『ダイヤちゃんは優秀ね〜』

『流石は黒澤家の娘ね』

『勉強、習い事、お行儀、どれも完璧なのね』

 

 

当たり前じゃないか

 

 

『ダイヤさん違います!!』

 

ダイヤ『…!?』

 

『最初からやり直しです。これでは黒澤の名など継げませんよ!!』

 

ダイヤ『(まだ…足りない…まだ…完璧じゃない…)』

 

 

"完璧に見えるようにしている"、だけなのだから

 

 

 

黒澤家は伝統ある家だ。

もちろん、代々受け継がれてきたものを長女である自分が継いでいくために。

私は『完璧』を求められた

 

 

ルビィ『お姉ちゃん…大丈夫?』

 

ダイヤ『………ルビィ。今は1人にしてください』

 

 

心配してくれる妹の行動、言動も…少なからず嫌な感情を持っていたのは確か。

理由は嫉妬?自分よりもサッカーの才能がある妹に…それだけで?違う

 

あなたたちは何も分かってない

 

 

ルビィが習い事をしていない本当の理由、それは

 

 

 

 

ダイヤ父『もう…必要ないな』

 

ルビィ『うん』

 

ダイヤ『』

 

 

中学生の頃に全て。

習い事、またの名を…『わたくし(長女)が継ぐもの』をほとんど習得してしまったのだ

 

 

複雑な気持ちを持つのも、無理もないでしょう?

 

 

ですが、わたくしは長女として。

ルビィよりも劣っているとしても完璧に、継がなくてはならない。

大好きなサッカーも、ルビィに届かなくても足でまといにならないように、仲間の力にならなくてはならない。

 

それでも…怖い。

継げなかった時、足でまといになった時。

自分のせいで人が悲しむのは嫌だ。怖い。

そんな不安要素を何故、皆さんは捨てたりしないのか。

 

皆さんは決まって似たようなことを言う。

 

 

『お姉ちゃんはルビィの憧れだよ』

 

『ダイヤさんがいなきゃダメなんです』

 

『ダイヤのことは全員信じているし、期待している!』

 

『才能がなきゃ監督はダイヤを選ばない!!』

 

 

 

そして…

 

 

ダイヤ父『お前なら出来る』

 

 

お父様も。

 

 

 

ダイヤ父『黒澤家が…何故、地域を取りまとめるようになったのか』

 

ダイヤ『…』

 

それは幼い頃に聞いた話。

 

ダイヤ父『漁の安全・成功を願って、私たちは舞を披露するんだ』

 

ダイヤ『それがお稽古の舞?』

 

ダイヤ父『そうだ。そしてこの舞は黒澤の血を引くものでしか完成しないんだ』

 

ダイヤ父『ダイヤ。お前は努力を重ねる素晴らしい子だ。私、そして家族はダイヤを信じている』

 

ダイヤ父『その想いに応えて、黒澤の血も…炎の如く。目覚め、燃え盛る』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダイヤ父『今がその時だろ!!!!ダイヤ!!!!!!』

 

ダイヤ父『お前の全てを燃やせ!!!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――ボオォォッッッッッ!!!!!!!!

 

 

 

魔王「!?!?!?」

 

「「「!!!!???」」」

 

 

 

黒い雷・雨は全て地面に降り注いだ

 

 

 

千歌「!!!!」

 

クラリア、フィレア「!!!!」

 

 

 

あたるはずだった少女には1つもあたらずに。

ただ、地面が衝撃に抉れ、風が吹き荒れる

 

 

 

にこ「―――なっ!?」

 

果南「だ…ダイヤ…」

 

鞠莉「何よ…あれ、」

 

 

魔王(これは……炎???)

 

 

魔王は見た。

先程まで人間がいた場所から、炎の線。

1本の伸びた線がまるで流れるように、そこにある。

それは雷やオーラを避けるように流れており、魔王の後ろまで続いていた

 

 

魔王(後ろ…何かが…いる)

 

 

それは分かっていた。しかし、何故か。

後ろをすぐには振り向けなかった。本能的に体が固まった…恐怖した?この私が???

魔王は自分の行動、思考に怒りを覚えた。

その怒りのままに、見る事を拒んだ背後、炎が流れ続く後ろを――――――

 

 

 

―――――――ダイヤ「っっっ!!!!」ボオォォッ!

 

 

黒澤ダイヤが、駆けていた

 

 

 

ルビィ「あ…あれって……」

 

月「え、ルビィちゃん何か知って…って、え!?」

 

ルビィ「っっ…」ボロボロ

 

月は状況を整理することが出来ないでいた。

ダイヤの謎の動きを見た瞬間、ルビィの目から滝のように涙が溢れ出たのだ

 

 

ルビィ「お姉ちゃん…お姉ちゃんお姉ちゃん!!!!ついに…やったんだよ!!!!」

 

ダイヤ「ぐうぅっっっ!!!!」ボオォォッ!

 

 

黒澤家に伝わるもの。

それは炎。それは血。

厳しい修業・鍛錬を積み、どんな絶望にも負けない圧倒的な火力の如くの心。

それらが呼応し、血が炎のように爆発することにより、その者は"炎そのもの"になる

 

 

 

 

ダイヤ「【ヒノカミ神楽】!!!!」

 

 

 

ルビィ「……あの技は、ルビィには発動できなかった…もう負けないよ」

 

ルビィ「ルビィたちの勝ちだよ」

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

善子「ダイヤ。もう私のことはいいから…」

 

ダイヤ「駄目ですわ」

 

 

ダイヤは善子の心の中で。

暗闇で小さく怯える善子の前にいた

 

 

ダイヤ「約束したのです。必ず善子さんを助け出すと」

 

善子「でも…そのせいでみんなを、」

 

ダイヤ「よく見ていなさい」

 

善子「!!」

 

ダイヤ「この閉ざされた心の中にまで届く灼熱で、善子さんを…必ず」

 

 

 

―――――――――

 

 

 

 

ダイヤ「【ヒノカミ神楽】!!!!!!」

 

ダイヤは燃えていた。

火の粉が散り、周りには陽炎が浮かぶ

 

 

魔王(あのスピード…熱さっっ…あの人間!!??)

 

魔王「【Deep Resonance】!!」ビュン!

 

ダイヤ「!!」

 

ダイヤは『ブラックサンダー』と『ゴートゥーヘル』の雨を躱すのと同時に、魔王を流れるように突破していた。

スピードがまるで別人、動きもまるで別人。

抜かされた魔王は感じた、この技は…ヤバいと

 

 

ダイヤ(体が熱い!?!?痛い!?!?)

 

一方のダイヤ。

突如として開花した技。いったいこれがなんなのか、ダイヤは理解しているが理解しているからこそ。この技の危険度をその身で感じ取っていた

 

 

ダイヤ(無理やり開花させた"黒澤の血"…!!!!今止まれば、全ての跳ね返りがわたくしに襲いかかるっっ!!!!)

 

ダイヤ「はあぁぁぁっっ!!」ボオォォッ!

 

魔王「なあっ!?」

 

 

聖良「魔王を…"Deep Resonance"をも…圧倒している…」

 

あんじゅ「ATP…??でも、オーラが違う」

 

鞠莉「もしかすると…」

 

あんじゅ「もしかすると…何?」

 

 

 

魔王(馬鹿な!?2度も、2度も抜かされた!?)

 

共鳴を発動しているのにも関わらず、ダイヤに2度も抜かされた魔王。

ボールを奪おうとしても、体でぶつかろうとしても、まるで流れるように躱される

 

 

ルビィ「あれは"ヒノカミ神楽"。黒澤の血を持つ…そしてその中でも選ばれた人のみが発動出来る技だよ」

 

鞠莉「黒澤の血は特殊なのよ。条件が揃うと爆発したかのように、沸騰したかのように"血が暴れる"の。その条件が舞いよ」

 

 

高温となった血液、そして加速する血流。

舞うことにより血は共鳴し、身体能力が極限まで高まり、ダイヤの体が限界だと判断するまでその変化は加速する。

 

 

それすなわち

 

 

 

ルビィ、鞠莉「「舞えば舞うほど強くなる」」

 

 

 

千歌「…!!!!」

 

 

千歌は、ダイヤのひとつひとつの動きに、見覚えがあった。

それはまだ、ダイヤたち3年生がサッカー部に再入部する前

 

 

ダイヤ『……』

 

千歌『(綺麗…)』

 

ダイヤが1人、体育館のステージで踊っているのを見た。

繊細された動き、指の先、視線、足取り。

全てが蝶のように風のように流れて綺麗で、千歌は用事を忘れ、ただただ、ダイヤの舞いにみとれていた。

 

そしてそれは――――――

 

 

千歌(このためだったんだ…ダイヤさんは、あの時も…!!)

 

 

――――――サッカー部はやめても、努力はやめていなかった

 

 

 

魔王「【ブラックサンダー】【ゴートゥーヘル】!!!!!!」

 

千歌が意識を試合に戻すと、最後の悪足掻きと呼ぶにふさわしく、魔王が再び雷とオーラを降らせていた。

逃げ場などないように見えるが、それも全て無駄。

逆に、ダイヤを舞いさせる状況を作っているとも知らずに

 

 

ダイヤ「―――っっ!!」ボオォォッ!!

 

飛び、回り、捻り、極限の状況の中でも、ダイヤは舞う。

体に染み付く一連の流れ、何度やり直したか。何度間違いを指摘されたか

 

 

ダイヤ「―――見える」グルン!!

 

ダイヤ「はあぁぁぁっっ!!!!」バッ!

 

 

スピードとキレが確実に増している。

これが黒澤の血、これが父の言っていた"継ぐもの"。

魔王が何度共鳴を発動し、何度ブロック技を放ったか。それ全て「舞い払う」ため、記憶になどない。

 

勘に近い感覚で殺人級の技を躱している。

だが、勘は勘でも、当たる気がしなかった

 

 

 

 

魔王「撃たせるかあぁぁぁ!!!!」

 

ダイヤ「―――っっ!!!!」

 

 

魔王をゴール前まで追い詰めた。

雨のように降る技も全て躱した。

 

 

あとは――――――斬るのみ

 

 

 

――――――ガキイィィィイン!!!!

 

魔王「!?!?」

 

 

ダイヤのシュートを足でブロックする魔王、ぶつかった瞬間の音に違和感を感じた時には

 

 

ダイヤ「【炎・マキシマムファイア】」

 

 

斬られる瞬間だった

 

 

ダイヤ「善子さんの想いはっっ!!!!!!」

 

魔王(そんな!?!?)

 

ダイヤ「誰にも…っっっっっ――――――

 

魔王(負け――――――る―――

 

 

 

 

―――――引き裂けない!!!!!!」

 

 

 

ズバアァァァァァァン!!!!!!!!

 

 

魔王「ぐあぁぁぁぁぁぁ!?!?!?」

 

 

振り切ったダイヤ。

そのまま魔王はボールとともに、ゴールへと押し込まれた

 

 

ピピーーー!!!!!!

 

 

千歌「………決まった…」

 

英玲奈「勝ったの、か?」

 

時間を知らせる砂時計は既に流れきっていた。3-2。審判である老人は試合終了の笛を吹き、人間チームの勝利を知らせた

 

 

果南「勝った…悪魔に勝った…」ヘナヘナ

 

希「これで、善子ちゃんを取り戻せる!」

 

 

ダイヤ「…ハァ……ハァ」

 

ルビィ「お姉ちゃんっっ!!」

 

ルビィは真っ先にダイヤの元へ。

ダイヤが倒れる寸前で受け止める。痛みに響くが今はそんなこと関係ない

 

 

ルビィ「お姉ちゃん…やったよ…!!"ヒノカミ神楽"…出来たんだよ!!」ボロボロ

 

ダイヤ「ルビィ…本当に、わたくし…が?」

 

ルビィ「そうだよ!!お姉ちゃんが頑張ってきたこと全てが、今、報われて…ルビィ…嬉しくて」ボロボロ

 

ルビィ「お稽古を全てこなしたけど、ルビィは選ばれなかった…でも、お姉ちゃんが発動して…良かったよぉ…」ボロボロ

 

ダイヤ「ルビィ…ルビィ!!」ギュッ

 

姉が妹を心配するのと同様に、妹も姉を心配していた。努力を重ねた先で、ダイヤは報われるのか。自分のように血に選ばれず、絶望により先を見失ってしまうのでは、と。

 

しかしそんな考えは杞憂に過ぎなかった。

ダイヤは開花させた。黒澤の血を、今までの全てを糧とし、自分だけではなく、仲間全てを救ったのだ

 

 

ルビィ「やっぱり…お姉ちゃんはルビィの憧れだよ」

 

ダイヤ「ありがとう…ありがとう、ルビィ」

 

姉妹が喜びを分かち合う中、ゴールに叩き込まれた魔王は考えられない事態に動けずにいた

 

 

魔王「何故……ゲホッ…共鳴はしていた…なのに何故奪えなかった…」

 

ダイヤ「…それは、あなたが善子さんを完全に支配できていなかったからですわ」

 

魔王「!?」

 

ダイヤ「分かっているのでしょう?善子さんが心の中で抗っていることを。それによって"Deep Resonance"も完璧に発動できなかった。動きも鈍くなっていた」

 

ダイヤ「人の心の勝ちです」

 

魔王「……」

 

言い返せなかった。力も、能力も劣っている人間に負けたこと。

それは魔王にとって屈辱。そして―――――――――

 

 

 

 

 

 

フラエル「魔王。千年ぶりですね」

 

穂乃果「善子ちゃんを…取り戻しに来たよ」

 

 

 

千年の時を超え、女神と魔王が接触する

 

 

 

 





ヒノカミ神楽
皆さんお馴染みの某少年誌から。パクリと言われたら何も言えません笑 黒澤の血を持つ者で、その中でも選ばれた人のみが発動できるという必殺技。黒澤の特殊な血はダイヤの舞に呼応していくため、ダイヤが舞えば舞うほどスピードやパワーが高まっていきます。身体能力も格段に上がるため、条件次第ではATPやゾーンを遥かに超えてきます。めっちゃくちゃわかりやすく言うと『ギア2』です

炎・マキシマムファイア
『ヒノカミ神楽』で自身の身体能力を高めながら放つダイヤの技は進化します。本来の技に『炎』がつくため、『炎・ラ・フラム』とかもできます

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