ラブライブ!サンシャイン!!輝こうサッカーで! 作:ルビィちゃんキャンディー
皆さんどうも!ルビィちゃんキャンディーです。
原作を見たことがある方は記憶にあるシーンになります
英玲奈「これがザ・キングダムの予選データだ」
サニデイジャパンの司令塔、そしてデータ分析も兼任する英玲奈。
数日後に控えたブラジル戦のために、ほとんどの選手のデータは揃えてある。
そんな彼女にブラジル代表の情報を教えて欲しいと頼みに来たメンバーが3人
千歌「パ、パス成功率93%!?!?」
果南「ボール保持率は72%もあるよ…」
英玲奈「セカンドボールはほとんど奪っている。どの試合も圧倒的な攻撃展開だ」
果南「各選手の運動量も物凄く多いね」
にこ「はぁ…ここまで来ると笑えるわね」
しかし、こんな高レベルのチームのキャプテンが、八百長を頼みに来たのは事実。
ロニージョの真意が分からない。怒りよりも、不審感の方が大きかった
英玲奈「いくら負けたくないからと言って、無敗で勝ち上がったチームのキャプテンが八百長を持ち掛ける理由が見当たらない」
千歌「こんな気持ちじゃ戦えないよ…」
にこ「……」
―――
ロニージョ『負けて…くれないかな』
千歌『……ぇ、』
にこ『―――!!』
千歌『あなたみたいな強い人が…ど、どうして…』
ロニージョ『っっ…今のままじゃ、みんなボロボロに…』
にこ『…ボロボロ?どういうこと?』
ロニージョ『………』
にこ『ねぇ、どういうことなの!?あいつらに…何かが起きたの!?』
辛い、耐えられない。そんな表情をしたロニージョに対し、にこは口調を強くし問い直した。しかし、弱々しい表情からうって変わり、顔を不敵な笑みに変え、ロニージョが口を開く
ロニージョ『……ふふっ』
ロニージョ『つまり、サニデイジャパンは私たちには勝てない。必死に戦ってボロボロになるような、無駄な事はしない方がいいと。忠告しに来たのよ』
にこ『……本気で言ってるの?』
ロニージョ『もちろん』
にこが怒っている事はすぐに分かった。
千歌自身も未だに状況を飲み込めていない
にこ『…まさか、今までの試合も同じように『それは違う!!決勝トーナメント進出はみんなの力で勝ち取ったのよ!!』
千歌『…だったら、私たちサニデイジャパンはザ・キングダムに全力で勝ちに行きます』
ロニージョ『…!!』
にこ『千歌、』
千歌『そして、私たちが勝利を掴みます』
ロニージョ『…せっかく忠告しに来たのに、馬鹿だね』
千歌『……』
そう言い捨て、ロニージョが立ち去ろうとする。なんだろう、このまま行かせたくない。体が…気持ちが…いてもたってもいられず、
千歌『ロニージョさん!!』
ロニージョ『!』
―――
果南「私がランニングから戻ってきたら、ちょうど千歌たちが砂浜にいたってわけ」
英玲奈「千歌はその後、ロニージョになんて言ったんだ?」
千歌「…シュートを蹴ってもらった」
ボールを渡し、千歌に撃ってこいと。
ロニージョを前に千歌は構えた。
一方のロニージョは最初は迷うも、千歌を見据えると巧みなボール捌きから一撃を放った。
結果、
千歌「凄かった。ロニージョさんのシュートは…重さ、回転、スピード、どれも圧倒的だった」
にこ「千歌、闇の力使って弾いたでしょ」
英玲奈「それほどまでに強力だったのか!?」
千歌「…はい」
果南「穂乃果と私…止められるかな、それ」
ロニージョのシュートを受け、分かったことは実力の他にもあった。
千歌は言う、ロニージョは本気でシュートを撃ってきた。全力で真正面から戦う気持ちが無ければ、そんなことはしない
英玲奈「ならば、尚更分からないな…何故、ロニージョは八百長を…」
「「「…………」」」
にこ「ザ・キングダムに…何かあったのかもね」
果南「何か…??」
ロニージョが最初見せた弱々しい顔、そして「ボロボロになる」という言葉。
にこはどうしても、その言葉に引っかかるという
千歌「…ならさ、行こうよ」
果南「行こうって、どこに?」
千歌「ロニージョさんに会いにだよ」
――――――――――――――――――
ライオコット島は本戦出場チームの最高のパフォーマンス発揮を狙い、その国そのままの街・土地を再現している。
千歌たちが休日を使って訪れたのはブラジルエリア。目的はロニージョに会うことである
果南「やっぱりジャパンエリアとは雰囲気が違うね」
千歌「ロニージョさん、どこにいるんだろう」
にこ「ブラジル代表の練習グランドに行ってみましょ。練習してると思うわ」
目的地を決め、大通りを歩き始めた時だった。頭上のモニターからインタビュー動画が流れ始めたのだ。
賑わっていた繁華街にもその音声は響き渡り、そこにいる人たちの視線はモニターに集中した
『ガルシルド監督、決勝トーナメント進出を果たしたお気持ちは?』
ガルシルド『責任を感じていますよ』
『と、言われますと?』
ガルシルド『このFFI世界大会は私の愛するサッカーを通じ世界平和を目指して開いたもの』
ガルシルド『そのメッセージを全人類に伝えるために、ひとつでも多く勝ち進むことが我がチーム、ザ・キングダムの使命でありますからな』
『なるほど。ありがとうございました!』
英玲奈「…世界平和を目指してか、」
果南「うん、そんなチームなら間違っても八百長を頼んじゃダメだよ…」
千歌「ガルシルドさんって確か…」
FFI大会委員長であるガルシルド。
ライオコット島をサッカーアイランドに改造した大富豪の1人である
にこ「1人って、ガルシルドだけでライオコット島を作ったんじゃないの?」
英玲奈「実はライオコット島、とある2人の代表によって改造された島なんだ」
英玲奈「1人はガルシルド」
英玲奈「そしてもう1人は…」
英玲奈「オハラグループ代表、小原鞠莉の父親だ」
「「「!!!!!!」」」
千歌「鞠莉ちゃんの…」
果南「まさか、鞠莉の親とガルシルドがこの島を作ったなんて…」
今考えると、グループAの歓迎パーティーはイタリア代表の鞠莉が用意したと言っていた。
場所、料理の確保。会場の用意がとてつもなく早かったのは恐らく、オハラグループが関係していたのだろう
にこ「あの浦の星の暑苦しいやつ……ん?」
『日本代表の"太陽の跡目" 高海千歌さんですがーー』
千歌「…にこさん?」
にこ「千歌。あんた2つ名出来てるわよ」
千歌「えぇ!?」
先程、ブラジル代表監督インタビューが放送されていたモニター。
ブラジルエリアで日本代表の映像が流れているのは恐らく、次の対戦相手だから。
そこで耳に飛び込んできたのは千歌の2つ名と思われる名前。
当の本人も知らない、英玲奈はすぐに検索をかけた
英玲奈「…!浦の星女学院のメンバーを中心に、代表メンバーに2つ名がついてるな」
果南「あの千歌が2つ名……」
千歌「それどういう意味?果南ちゃん」
にこ「千歌は"太陽の跡目"って呼ばれてたわね」
千歌「…跡目って何?」
果南「もう、そんなことも分からないの?跡目って言うのはね…………何だっけ?」
にこ「分かんないんかい!!!」
英玲奈「"跡目"とは後継者という意味だ」
千歌「後継者…?」
果南「日本の太陽、キャプテン、受け継いだ千歌にピッタリな名前じゃん」
千歌「穂乃果さんの…後継者」
にこ「しかしまぁ…誰が考えてるのかしら。2つ名なんて」
果南「ねぇ、聖良の2つ名変わってない?」
千歌「善子ちゃんの名前カッコイイ…!!」
英玲奈「……ロニージョを探さないのか、」
2つ名で盛り上がる一行。
しかし肝心のロニージョは見つからない。それどころかブラジル代表の選手さえ、いそうな場所は全て探したが見つからず。
こっちへフラフラあっちへフラフラ。
美味しい食べ物屋に誘われ、サニデイジャパンのサポーターからは話しかけられ。
探し疲れた果南が海に逃げようとし。
にこはストリートサッカーに乱入する始末。
気づけば日が傾き始めていた
千歌「日が暮れるぅぅぅ!!!!」
にこ「誰のせいだと思ってるのよ!!!!」
英玲奈「お前たちだろ…」
目的を忘れかけていたのは不覚。
しかし、見つからないのだ。
身を隠すわけも無い。なのに何故か1人として見つからない…今日は引き上げるかと考えていた―――その時だった。
路地裏に人の気配を感じた
「親父にも仕事をやめてもらうからな」
「そんな…!!それでは私たち家族が生きていけない!!」
果南「…なんかあるみたいだね」
にこ(この声…)
「これはガルシルド様が与えたものだ。もうお前に使う権利はない」
「そ、そんな!?」
「恨むなら試合でミスしたお前の姉を恨め!!」
男性の強めの口調と共に路地裏から飛び出してきたのはサッカーボールだった。
それに続き、子供の泣き声が聞こえてくる。
どうやらただ事では無いらしい
「お願いしますっっ…次の試合、必ず期待に応えて見せます!!だからもう一度…もう一度チャンスをっっ!!」
「チャンスか…お前たちのミッション成功率は常にチェックしている」
「はい!!もう二度とミスはしません!!」
果南「ちょっと、何もめてんの?」ギロッ
「「「!!!!」」」
「あ、あなたたちは…」
にこ「大丈夫。もう泣かないのよ」
子供に声をかけるにこ。
その前に守るように立ち塞がるのは我らが松浦果南。
場が悪いと感じたのか、黒服の男たちは足早にその場を立ち去っていった。
このまま問い詰めても良かったのだが、今はこの少女たちを落ち着かせるのが最優先だ
にこ「ボールは探してあげるから、ね?」
「ぐすっ…ガルシルドめ…」
「…サニデイジャパン」
にこ「久しぶりね。ラガルート」
運がいいのか悪いのか。
ブラジル代表の選手を見つけたのは良いが、どうもこのまま引き下がれるような状況にはならないような流れへとなってきていた
ー ブラジルエリア 公園 ー
千歌「はい!ボール」
妹「ありがとう!お姉ちゃんたち!」
場所を移し、ブラジル代表メンバーのラガルートが落ち着いたところで話を聞く事にした。
英玲奈は単刀直入に聞く
英玲奈「ガルシルドめ、と言っていたな」
ラガルート「…」
英玲奈「自分たちの監督をそのように言うのは変だ」
千歌「…ロニージョさんが負けてくれって言いに来たのと、何か関係があるのかな…」
ラガルート「…!?ロニージョの奴…」
にこ「知らなかった、みたいね」
妹「…ガルシルドが悪いんだ」
妹「姉ちゃんたちがこんな辛い思いをしているのは、全部ガルシルドのせいなんだ!!」
そこから、昼間の放送で見たガルシルドのイメージとは掛け離れたガルシルドの本性を知ることとなった。
ラガルートの妹は言う。「みんな騙されたんだ」と。
最初は、貧しかった今の代表メンバーたちにガルシルドがサッカーをするための場所やお金を提供し、家族にも仕事を与えてくれた。
最初は感謝していたものの、時間が経つにつれ、ガルシルドの裏の顔を知った
ラガルート「あいつの命令に逆らったり、試合でミスをすると…厳しい罰を受けるようになった。私たちの家族にまで」
果南「家族にも…罰」
ラガルート「ガルシルドは自分の作戦通りに、完璧に勝つことを要求してきた。ミスは一切許さない…だから、」
英玲奈「選手への負担がすごく大きいんだな」
ラガルート「既に2人…オーバーワークで動けなくなっちゃった…このままじゃ、二度とサッカーが出来なくなる子も出てくる」
これで、ロニージョが言っていた「ボロボロ」の意味が分かった。
想像以上に最低で残酷な答えに、千歌たちの怒りはフツフツと煮え初めていた
ラガルート「ロニージョは…あなたたちが強いチームだと認めたからこそ、負けてくれと頼んだんだ…確実に勝ってチームメイトや家族を守るために、ブライドを捨てて」
にこ「家族にも…」
ラガルート「罰は家族にもって言ったでしょ?もし試合に負けてしまったら…私たちも家族もどうなるか、」
「「「!!!!」」」
果南「そんな…それじゃまるで人質と同じだよ!?」
ラガルート「くっ……」
英玲奈「…自分のチームにそんなことを」
何とか出来ないいのか。
そう聞くが現実はあまりにも無情だった
ラガルート「私たちには…どうすることも出来ない。ガルシルドの言うことを聞くしかないの」
にこ「それで、本当にいいの?」
ラガルート「いいんだ。ニコ、前に話してくれたよね?妹たちがいるんでしょ?」
にこ「…ええ」
ラガルート「わかるでしょ?守るのは当然だって」
そう言うとラガルートは妹を連れて立ち去った。にこは何も言い返せなかった。
綺麗事ならいくらでも言える。しかし、それが彼女たちを苦しめるのは分かりきっていた。悔しい、自分たちは何も出来ないのか
千歌「……」
にこ「千歌。抑えなさいよ。こんなところで力なんて出すんじゃないわよ」
千歌「…これが、サッカーなのかな?」
千歌の声は震えていた。
怒りをこらえ、滲み出る負の感情をギリギリで抑え込む。
しかし、耐えきれないのは全員同じだった
千歌「このまま準々決勝を戦うなんて無理だよ」
果南「うん、あの2人の辛そうな姿を見たらほっとけないよ…何とか出来ないかな?」
千歌「ザ・キングダムを、ガルシルドの手から解放するんだよ」
にこ「それしかないわね」
「あなたたちに何ができると言うの?」
「「「!!!!」」」
決意を固めようとした時だった。
背後から刺すような声が聞こえ、何故この場にいるのか?状況を整理できないままその人が近づいてくるのをただ呆然と待った
果南「鞠莉の母親、小原サエ」
サエ「どうして鞠莉のフレンドは私を呼び捨てで呼ぶのでしょうか…」
金髪の髪を伸ばした大人の女性。
明るい鞠莉とは真逆、クールで全てを見透かしているようなその雰囲気。
鞠莉も見透かすような雰囲気は持つが、サエのそれは得体がしれない
英玲奈「聞いていたのか、話を」
サエ「ええ。ですが、あなたたちには疑問を持ちました」
千歌「私たちに何が出来るのか、」
サエ「あなたたちは所詮、一般家庭のごく普通の日本人。権力も地位も圧倒的に上なガルシルドにどう抗うと言うのですか?」
果南「でも…やってみないと分からない!!」
サエ「責任は取れるのですか?」
果南「責任…」
サエ「あなたたちが下手に動けば、罰を受けるのはブラジルの選手たち。最悪の場合あの人たちは全てを失いますよ」
果南「……」
サエ「権力も覚悟もない人が、人を救うなんてほざくな」
千歌「……?」
サエ「あなたたちはただでさえ、王者と戦おうとしているのに…敵の心配する暇があるなら今すぐに戻ることデス」
サエ「死ぬまで特訓し、強くなってからほざきなさい」
「「「…………」」」
大人はずるい。
正しいことをしたいだけなのに。
それさえも大人の持つ力でねじ伏せる。
千歌たちは黙って帰路につくことしか出来なかった
果南「…私たちには力がない、か」
にこ「……」
小原サエの言うことは全て正しい。
間違っているのは自分たちだって分かっている。だからこそ、だからこそ、
千歌「…悔しいよ」
千歌「目の前に、悲しんでいる人たちがいるのに。サッカーを楽しみたいはずなのに」
千歌「みんな、不幸になってる」
英玲奈「…千歌」
まもなく日本代表の宿舎。
そんな時、千歌の足が止まった
にこ「…帰るのよ。千歌」
千歌「にこさんはそれでいいんですか?」
にこ「……」
千歌「ブラジル代表とは、友達なんですよね?友達が…あんなにも悲しんでいるんですよ?」
果南「なら、何が出来るって言うの?」
千歌「……」
千歌「ガルシルドの闇を、引きずり下ろす」
千歌ちゃんの2つ名は「太陽の跡目」です。
その他の選手はまた今度