ラブライブ!サンシャイン!!輝こうサッカーで! 作:ルビィちゃんキャンディー
今回は輝こう史上初の推理回です。裏切り者が誰なのか、考えながら読んでいただけたら
全ては偶然から始まった
真恋「…あれ?」
将来、自分たちを焼き付くしかねない巨大な炎に変わる前の。小さな、小さな火種
真恋「この履歴…」
―――――――――――――――
天空の使徒、魔界軍団Zとの戦いを終え、無事に宿舎へと戻った日の夜。
とある選手らが美奈に呼び出されていた
希「失礼しまーす」
月「僕たち2人だけ?」
ミーティングルームには呼び出された2人と美奈と真恋のみ。
練習は明日からでミーティングも今日は行わないとつい先程指示があったばかりだ。
別の要件で呼ばれたのだと、2人はこの場に来るまでの間に察していた
美奈「2人ともありがとう♪すぐに来てくれて」
月「それで、何故僕たちを?」
美奈「そうね。回りくどいのは無しで単刀直入に言うわ」
美奈「サニデイジャパンの中にイタリア代表へと情報を流した人がいるかもなの」
希、月「「!?」」
希「それって…イタリア代表のスパイ??」
真恋「確定では無いけど…その可能性が高いわね」
月「…詳しく聞かせてくれないかな?」
この疑惑が浮上したのは偶然。
真恋がミーティングルームに置いてある誰でも利用できるパソコンを使っていた時だった。
そのパソコンには選手たち、そして日本代表の情報を守るために普通のパソコンには無い、データ履歴を保存できる機能をつけていた。
普通なら見ることも無いその履歴。
真恋が開いた時には目を疑った
真恋『なに、これ?』
そこにはイタリア代表へと送られたであろうファイルが複数見つかった。
パソコン本体の方は完全にファイルのデータ、送信履歴が全て消されていたが、この機能には気づかず、足跡を残していったのだと考えられた
真恋「ファイル送信の時期は〇月〇日から〇月✕日」
月「スペイン戦の次の日からイタリア戦の数日前まで…だね。そこからは?」
真恋「イタリア戦数日前を最後に送信履歴は確認出来なかったわ。ファイルの中身は見れないし…送信されたという事実しか残ってないわ」
希「ふむふむ」
イタリア戦前までイタリア代表へと送られたファイル。
選手の情報を送られたという可能性から目をそらす事は出来ない。
月と希はそのスパイの特定のために呼び出されたのであった。
何故この2人なのか、理由はいくつかあるが、1番の理由は――――――
美奈「推理とか得意そうだし、2人とも♪」
希「そ、そんな理由でウチらを?」
月「ははは、」
美奈「でも信頼しているのは確かよ。2人には誰にも気づかれないように、特定を急いで欲しいの」
真恋「イタリアとは決勝で再び戦う可能性が高いわ。その時は両チーム共に不安要素無しで戦ってもらいたいの」
希、月「「……」」
月「じゃあ、やりますか」
希「そうやね」
こうして、月&希によるスパイ特定はサニデイジャパンの努力の日々の裏で始まっていた。
望むならば何かの間違いであって欲しい。
しかし、それと同時に何も知らないであろう仲間たちのためでもある。
犯人には情けをかけるつもりは無かった
ー 翌日 (109話)ー
月「何から始める?」
希「そうやね…まずは、気になったことから言ってもええ?」
月「ああ、僕もあったんだ。気になったこと」
"何故、情報の送信はスペイン戦後からスタートしたのか"
イタリアに日本代表のデータを送るならば、期間限定の情報では無く出来る限り全試合のデータが欲しいはずだ。それはどこの国も同じ。
全試合のデータをまとめて送った可能性もあるが、それは低いだろうと考えていた
希「あのファイルの量から見て全試合分の送信は不可能や。スペイン戦からのデータと見て間違いないと思う」
月「本戦以降のデータが欲しかったのかな…いや、予選にしかないデータもあるからなぁ…」
希「うーん、それに…」
"何故、あのパソコンだったのか"
月「リスクがありすぎるよね。全員が使えるパソコンでなんて」
希「しかもミーティングルームや。誰かに見られたら終わり…つまり、それほどまでに余裕がなかった…?」
月「危険を冒すぐらい?」
ここまでの分析により1つ。
仮説に近い考えが思い浮かんだ
希「スペイン戦からデータ送信を始めたんじゃなくて、あのパソコンの利用をスペイン戦から始めたんかもな」
月「…なるほど」
スペイン戦の前からデータ送信は続けられていた。しかし、なにかの理由でその送信が出来なくなった。
止むを得ずにスパイは日本代表兼用のパソコンで送信を続けた。まさか、履歴を消しても別の場所に保存されているとも知らずに
月「その理由が分からないんじゃなぁ…何も出来ないんだよね…」
希「スペイン戦、FFI本戦スタート、ライオコット島に移動…環境が変わってからやね」
月「じゃあ、会場の変化がその理由に関係している…?」
今は練習前。サニデイジャパンのメンバー全員がコートに出て準備を始めている。
そんな中で希は2人の選手に視線を向けていた。
津島善子と葉石晴夏だった
希「本戦から合流した2人」
月「まぁ、そうなるよね」
予選リーグまでは日本代表メンバーたちとは合流せず、簡単にデータを送ることが出来ただろう。
しかし、本戦でメンバーと合流してからはどうしても行動に制限がかかる。
何かがきっかけでパソコンを使うことになった可能性もある
月「また"何か"なんだよなぁ……」
希「先は長そうやな」
千歌「ねえねえ、希さん、月ちゃん。さっきから2人で何の話をしてるの?」
月「ん?いや、今日の練習何かなーって」
希「そうそう。またワシワシゲームかもよ♪」
千歌「げっ…あれはもうやりたくないよ…2人とも真剣な顔で話してたからちょっと気になっちゃった」
月「朝に弱いからね…まだ眠いからかな?」
希「そんな時はワシワシで…」ワキワキ
月「えぇ!?」
千歌「逃げよ」
「………」
――――――――――――
ー その日の夜(110話)ー
今日の練習の間、善子と晴夏の行動を観察したが、これといって目立つ動きは確認出来なかった。
しかし、ほかのメンバーとの会話の中で気になる情報を得ることが出来た
希「梨子ちゃんと英玲奈っちが?」
月「うん。結構なメンバーが見たって」
深夜。ミーティングルームへと向かう梨子と英玲奈を見たという会話が耳に入った。
何人かが2人に質問していたが、「相手チームの分析」としか教えてくれなかった。
怪しい。疑うなという方が無理なレベルで怪しかった
希「深夜に相手チームの分析…いろいろツッコミどころ満載やな」
月「どう?問い詰めてみる価値はあると思うけど」
希「そうやな…黒であれ白であれ。何か面白いことになりそうやなぁ」ニヤッ
月「!?」ゾワッ
―――
英玲奈「大変申し訳ございません」
梨子「殺してください」
月「え、えぇ……??」
英玲奈と梨子の部屋に家宅捜索に入った希と月。最初、何のことかとぼけていた2人だったが、希の一言により2人は完全に白旗をあげることとなった
希『ミーティングルームのパソコンな、履歴消せないんや』
梨子、英玲奈『『!?!?』』
そこからが早かった。
まるでルビィの"スプリントワープ"。
まるで凛の"イナビカリダッシュ"が如く。
2人は地に足を付き、なんと土下座をするのだから驚いた。月は言葉を失い、希は笑いこらえている
英玲奈「どうかこの事は口外しないでくれ…」
梨子「死にたい」
月「あ、あの…まずは訳を教えて?」
顔を真っ赤にした梨子が説明を始めた。ん?顔を赤く?
その内容は…月が思っていたのとは全くの別の答え―――
月「百合同人誌を…調べてた??」
希「そんなことやろうと思ったwww」
聞くと…梨子はそっちの内容が大好きで、浦の星女学院のメンバーにも隠しながら趣味を堪能していたらしい…
そんな時。英玲奈が偶然、梨子のカバンからお宝本が飛び出しているのを発見。
梨子はミイラ取りをミイラにすべく、英玲奈に"その"魅力を浸るように語ったのだとか…
結果。2人で趣味を語り合う仲になったのだが…
梨子「速度制限でスマホじゃ見れなくなって…」
英玲奈「私のパソコンは何故かフィルターで見れなくて…」
月「あぁ…確かにこの宿舎、ネット環境が良くないもんね」
希「それで見つからないように夜な夜なミーティングルームでw」
梨子「いやあぁぁぁ!!!」
英玲奈「くっ…無念、一思いに殺せ!!」
月「いやいや武士じゃないんだから」
希「うーん…貸しつきなら誰にもいわんよ?」
月(確信犯だな…最初からこれ狙いだったのか)
捜査は空振りで終わった…と、思ったが思わぬ収穫があった。
善子のアリバイだった。
英玲奈は深夜、ミーティングルームに行った日以外のその時間帯はツバサとあんじゅとゲームのマルチで遊んでいたらしい。
そのメンバーの中にライオコット島から加わったのが善子だった。
もともと、ネットで「ヨハネ」というプレイヤーとはマルチで知り合いだったらしく、それが善子だと分かった途端。ゲーム仲間は4人へとなった
希「じゃあ、英玲奈っちがミーティングルームに行かなかった日はほとんどそのメンバーでゲームしてたんやな」
月(どんだけゲームしてたんだ…?)
英玲奈「梨子もゲームを観戦していたから信ぴょう性はあるはずだ」
希「ふむふむ、なるほどなぁ」
梨子「何故、そんなことを?」
希「何となく気になったんや〜」
―――
月「とまぁ。振り出しと」
希「でもヨハネちゃんのアリバイは証明されたし、一歩前進やない?」
英玲奈にミーティングルームにいる時にほかのメンバーが部屋に入ってきたか聞いたが、答えはNO。
パソコンの履歴にはイタリアへと送られたファイルはどれも深夜。
タイミングが重なってないことを考えると……
希「英玲奈っちたちがミーティングルームに行かないこと…要するに4人がゲームをいつしてるか分かるメンバー?」
月「聞き込み…行きますか」
―――
ことり「ことりはいつもヨハネちゃんと一緒にいるよ♪♪」
善子「基本はヨハネはゲームしてるわね」
あくまでも練習の相談としてことりと善子の部屋へと訪れた。
もしスパイがいるのだとしたら、悟られる訳には行かない。言葉を慎重に選び、得たい情報を聞き出す。
それによって分かったことは、善子とことりは夜中はほとんど部屋から出ない。という事だった。これで善子とことりの無実は証明されたことになる
希「ヨハネちゃんたちはいつも何のゲームをしてるの?」
善子「モン〇トよ。コラボが毎月のように来るから周回が忙しいのよ」
希「フレンド機能でマルチしてるん?」
希が訪ねると善子はフレンドリストを見せてくれた。ほとんどのプレイヤーが高ランクのユーザー。その中でも目に止まる名前が、
希「"ゴットストライカー"…」
善子「それはツバサさんのね」
希「"完全にフルハウス"…」
善子「あんじゅさん」
希「"皇帝@運極300"…」
善子「運極作りの鬼、英玲奈さん」
月(やっぱゲームやりすぎでしょ…)
希「あれ?"ミナリンスキー"って…」
ことり「ヨハネちゃんに勧められて始めたの♪」
…このままだと自分たちもゲームに染められそうだったためひとまず退散する。
その後、ツバサとあんじゅの部屋へと同じく向かったが、再びひっぱりハンティングの勧誘を受け本日の捜査を終了した―――
――――――――――――――――――
その後も月と希のアリバイ、そして手がかり探しは続くも情報の少なさから難航。
捜査開始から数日が経過しようとしていた。
希たちは徐々に焦りを感じていた
美奈「アリバイ証明以外は収穫無し…ね」
月「面目ない、さすがに情報が少なすぎるね…」
美奈「……かくなる上は」
月「かくなる上?」
美奈「いや、なんでもないわ。あなたたちには引き続きアリバイ証明を…」
希「…ダメやね。それじゃスパイの思うつぼや」
「「「!!!」」」
希は焦りはしているものの、手がかり探しを諦めた訳ではなかった。
自分に任された使命、仲間を裏から守るという重要な役割。中途半端では終わらせたくなかった
希「想像の範囲を広げるしかないね」
真恋「想像?」
希「ずっと考えてたんよ。この数日間、スパイは何故リスクを冒してミーティングルームのパソコンを使ったのか」
考えもしなかったアクシデントが起きたのか。逆に今まで、パソコンの前は何を使って情報を送っていたのか?
何を使えば一番安全で簡単か
希「スマホを使うのが…一番妥当やね」
月「それが、何かの拍子に故障。止むを得ずパソコンを使った…」
希「これは全てウチの想像や。スマホも、パソコンを止むを得ず使ったのも…でも、これぐらい視野を広げないと裏切り者には勝てない」
月「…希さん」
次なる捜査内容は―――『スマホの故障』
月「今日までにスマホが故障したっていうメンバーは…」
希「ウチは2人知ってる」
月「…やっぱり?」
美奈、真恋「「………」」
希「花陽ちゃんと……ルビィちゃんや」
善子良かったな!完璧なアリバイだね!!
梨子ちゃんと英玲奈さん推しの人にはごめんなさい
百合同人誌はちょっと直接過ぎたなぁ…反省