ラブライブ!サンシャイン!!輝こうサッカーで!   作:ルビィちゃんキャンディー

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皆さん、メリークリスマス!ルビィちゃんキャンディーです。
世界編もついに残り3話です。よろしくお願いします





第3章 171話 「オーガ戦 "最終局面"」

 

 

南国、ライオコット島で世界の頂点を決める激戦が繰り広げられている中、選手たちが知らない場所では―――新たな可能性が芽吹き始めていた

 

 

「…ゆうちゃん、何見てるの?」

 

「サッカーの世界大会!この人たち凄いんだよ!」

 

「サッカー…?」

 

まだ幼い少女たちは、テレビに映るその試合の決着がつくまで…目を離すことは無かった。

全く知らない人たち、スポーツ、難しい単語の嵐。

それでも何故か、何故だろう。

鳥肌が止まらない

 

 

「頑張って…サニデイジャパン…!」

 

この2人の少女だけではない。

大樹の枝先に芽吹く蕾のように、数え切れないほどの可能性が今この瞬間も生まれている。

 

 

 

そして、ライオコット島─────

 

 

 

曜「ルビィちゃんと…交代ですか?」

 

美奈「ええ。あの技は…まだ早すぎたのよ」

 

ルビィとの交代を指示された曜はまだ実感が湧いていないようであった。

不安になる気持ちも分かる。しかし、高海美奈は敢えて、ここで曜を呼んだのである

 

 

美奈「曜ちゃんにしか出来ないことがある。今から…私からの最後の指示を伝えるわ」

 

曜「…!」

 

 

 

A『あぁっと!?黒澤ルビィが膝をついた!試合終盤、疲労が見え始めてきたか!?』

 

 

ルビィ「ゼェ…ゼェ…」ゴゴゴ!!

 

理亞(ルビィが限界…!!3分は経ってない…千歌さんの回復にはまだ時間がかかる)

 

現在、バダップに太刀打ちできる日本の選手は千歌とルビィのみ。

その2人が機能しなくなれば、すぐに日本代表の流れは変えられてしまうだろう。梨子のゾーンもいつまで持つか分からない。

もちろん…自分の今の状態(ATP×ゾーン)

 

 

バダップ「試合終了も近い。ここで終わらせてもらう」パス

 

理亞(パス…誰に…っっ!?)

 

日本「「「!!!!!!」」」

 

日本代表の全員が察した。

バダップが何を考え、その選手にボールを渡したのか。これから何が起きるのか。

絶対に…撃たせてはいけなかったシュート

 

 

エスカバ「うらあぁぁぁぁっっ!!!!」

 

エスカバ「【デスレイン】!!!!」

 

砲台から放たれるシュート。

空から降り注ぐ光景はまさに"死の雨"だった。

この技で前半、日本代表の半数のメンバーが負傷した。残されたメンバーも限られている。絶体絶命、そう、覚悟した時だった

 

 

「撃ってきたわね。ここは私に任せてもらえる?」

 

1人、自ら死の雨の落下地点へと歩を進める選手がいた。

誰もが絶望的だと確信する状況の中、彼女は恐ろしいほどまでに静かに、クールに、絶体絶命に抗おうとしていた

 

 

あんじゅ「【ジャッジメント・レイ】」パチン!

 

 

フィリップ「"睡蓮の女神"優木あんじゅ…!?」

 

エドガー「いったい何を…」

 

空中に魔法陣を出現させ、そこから絶対火力の無差別攻撃を放つあんじゅの最強の必殺技。しかし、その魔法陣を空中では無く地面に錬成

 

 

あんじゅ「撃ち落とすわよ…!」パチンパチン!!

 

空に向けて放たれる無数のレーザー。

降り注ぐ死の雨に次々と命中し、大量の爆発が空を覆った

 

 

A『なんと!?あの"デスレイン"をシュートブロック!!破壊の名に相応しいディフェンスは…世界の場でも健在!!!』

 

 

エスカバ「な、なに!?」

 

ツバサ「流石ね…あんじゅ」

 

しかし、全てのシュートを防ぎ切る事は出来なかった。

数本は地面に落下するが、そこは誰もいない場所。

あんじゅは選手たちが立っている場所だけは完璧に死守していた。1本、例外を除いて

 

 

レヴィン『1本のシュートがゴールに向かっていますね』

 

A『さすがの優木あんじゅも全ては止めきれなかったか!?ゴールに迫るシュート、高坂穂乃果は止めることが出来るか!?』

 

 

美奈「…わざと撃ち落とさなかったわね」

 

英玲奈「まったく…こんな大事な時に、」

 

せっかく温めた身体が冷えちゃうでしょ♪

と言わんばかりのあんじゅに呆れる英玲奈たち。

そして…燃え上がる太陽

 

 

ホノカ「ありがとうあんじゅさん…絶対に止める!!」

 

闇の力で身体を強化。両腕にオーラを集め、赤黒く燃える炎で迫るシュートを―――がっちりと掴み取る

 

 

ホノカ「【ゴットハンド・ダブルX】っっ!!!」

 

オーガ「「「!!!!!!」」」

 

ゴールよりも巨大な炎の手。

ルビィのATPとはまた違った熱さだ。オーラではなく、高坂穂乃果の存在自体が炎…いや、太陽のような灼熱。

その覇気に押され、死のボールは徐々に威力を失い─────

 

 

ホノカ「……よし!!」シュゥゥゥ…

 

 

フラム「あの"デスレイン"を…止めた…」

 

 

A『止めたぁぁ!!高坂穂乃果、自身の持つ最強の必殺技でエスカバ選手の"デスレイン"を見事に止めましたぁ!!!』

 

レヴィン『何もかも言うこと無しでしたね…!なんて頼りになるGKでしょうか…』

 

 

ホノカ「反撃だよ…にこちゃん!!」パス

 

にこ「任せなさいっっ!」

 

 

A『そしてボールを持ったのは"日本のファンタジスタ"矢澤にこ!!彼女にボールを持たせれば、それだけで脅威!!!』

 

 

にこ(千歌はまだ動けない…ルビィも限界…)

 

ミストレ「もらう―――っっ!」バッ

 

にこ(なら─────────

 

 

────ズババババババッッッ!!!!!!

強風がミストレの横を流れる。

突然のことに、反応が遅れるどころか全く出来なかった

 

 

ミストレ「―――!?」

 

人間がドリブルをしただけでこの切り裂くようなスピード?

不規則な動きが自分の状況判断能力を迷子にし、横を過ぎ去る少女をただ呆然と見ることしか出来ない。動けない。彼女は…いったい何者なのだ?

 

 

にこ「【真ファンタスティックキープ】」

 

にこ「銀河一のサッカープレイヤー矢澤にこよ。覚えておきなさい」

 

 

A『ドリブルで躱した!!…いや、まだ持ち込みます!!』

 

 

ダイッコ「馬鹿な…自強化技も無しに」バッ

 

イッカス「その華奢な体…吹き飛ばしてあげますよ!!」バッ

 

にこ「………」

 

にこ「──────っっ!!」

 

小柄な体から生まれる圧倒的な技術。

そして、想像も出来ないほどのフィジカル。

────ズババババババッッッ!!!!!!

 

針目を縫うような際どいドリブル。それを迷いなく連発し、全てミスなく完璧に、まるで1つの芸術作品のような

 

 

にこ「まだまだっっ─────!!」ズババッ!

 

その極められたサッカーを見た者たちは声を揃えて言うだろう。矢澤にこはただ才能を持つだけの選手では無いと

 

 

にこ「負けらんないっっのよ!!!!」

 

"努力する天才"。

その存在そのものが、人々を魅了する

 

 

にこ「【スーパーエラシコ】っっ!!」バッバッバ!!

 

 

A『矢澤にこが止まりません!!!!!!』

 

アメリカ「「「矢澤アニキー!!!!!!」」」

 

オーガ陣内に切り込んだにこは大きく空いたスペースへとボールを蹴り上げた。その場には1人の選手が走り込んでいた。

にこはその少女の名をはち切れんばかりの声で叫んだ

 

 

にこ「理亞っっ!!決めなさい!!」

 

理亞「はあぁぁ―――っっ!!!」

 

頭上のボールにATP、そして大量の空気が集まっていく。

紅と青のオーラがひとつの生き物のように渦を巻き、今か今かと爆発の時を待つ

 

 

理亞「―――ふっ!!」バシッ

 

両足で抱え込むようにボールを地面へ。

先回りし右足で2つのオーラを混ぜ合わせる。

そして…完成した"爆弾"を大気をも揺らすほどのパワーで放つ

 

 

理亞「【ラストリゾート】っっ!!」ドガアァン!!

 

 

A『出たあぁぁ!!!黒澤ルビィから継承した、日本代表の最強シュート!!!!』

 

 

ドガァン!ドガァン!ドガァン!

何度も地面を砕きながらバウンド。まるで巨大な竜が突進するかの如くの轟音だった。"ATP"×"ゾーン"状態であるため、威力も跳ね上がっている。

そんなシュートを前にしても、オーガのGKが怯むことはなかった。

 

―――この時までは

 

 

ザゴメル「……【ニードルハンマー】」バチバチ!

 

ルビィの"ラストリゾート"を沈めた必殺技。

何度もパンチを打ち付けるため、触れないシュートが弾き続けたとしてもジリ貧の敗北となってしまう

 

 

ザゴメル「――――――ふっ!!」

 

────ドガガガガガガガガガ!!!!

しかし、理亞のシュートはそれだけでは終わらなかった。

バチィン!!と音を立て、ザゴメルが後方へと吹き飛んだのである。同じくシュートも弾かれたが、勝敗が変わった。引き分けである

 

 

ザゴメル(重い…貫通しきれなかったか!?)

 

 

理亞「…まだ、動けるでしょ?」

 

弾かれたボールを理亞は追おうとはしなかった。

次は…絶対にあいつが撃つ。分かっているからこそ、信じているからこそ、ボールの行く末を見届けける。

 

そして、その"あいつ"も全て分かっていた

 

 

ルビィ「ハァ…ハァ…お姉ちゃんが、助けてくれた」

 

消える寸前の蝋燭のように弱まった青い炎。

なんとか立ち上がり、絞り出すように呟くのは…フィールドで見た、姉の最後のプレーだった

 

 

ダイヤ『ルビィ!!危ないっっ!!』ドガッ!

 

ルビィ『お姉ちゃ─────

 

前半終了間際、"デスレイン"が放たれた時、姉のダイヤがルビィを庇うことにより、ルビィは無傷でベンチへと戻ることとなった。

姉はこの試合、いや、もう一緒にはサッカーが出来ないと言うのに…躊躇うことないどころか「今度は…守れましたね」と言ってきた

 

 

ルビィ「ここで…限界…?」

 

魔界軍団Zとの戦いでルビィがダイヤを庇ったこと…

ダイヤは姉として、自分の無力さに怒りを忘れた日は無かった。そして、決勝でのダイヤの負傷交代。ここで終わり?黒澤ダイヤとのサッカーは…これで……

 

 

ルビィ「ふざけるなぁぁぁっっ!!!!!!」

 

────ボオオオォォッッッッ!!!!!!

まるで破裂した水道管、溢れ出るマグマ、それを一言で言い表すと…噴火だった

 

 

サンダユウ「まだ…これほどの力が!?」

 

ダイッコ「黒澤ルビィの体力は…無くなったんじゃないのか!?」

 

本人でさえ出処が分からない大量のオーラ。

心做しか発動時よりも強力になっている気がした

 

 

ルビィ「お姉ちゃんのサッカーは…終わらない、終わらせないっっ!!ルビィがこの場に立っている限り、絶対に消えない!!!」バッ

 

そのままルビィはボールに飛びついた。

自身から溢れ出るオーラを全てボールに込め、にこが、理亞が、みんなが作ったチャンスをこの一撃で繋ぐ

 

 

ルビィ「これが…正真正銘最後の…っっ!!」

 

ルビィ「【ラストリゾート】っっ!!!」ドガアァン!!

 

残った全ての力を出し切り放った"切り札"は、地面を砕きながらゴールへと迫る。

対するザゴメルは理亞のシュートによりダメージを負った右腕とは逆の腕で再び立ち塞がった

 

 

ザゴメル「【ニードルハンマー】!!」ドガガガガ!!

 

"ニードルハンマー"以外のザゴメルの技は発動するのに時間が必要だと、ここまでのプレーでよく分かった。

ならば隙を与えずに両腕を潰して一気に叩く。

感覚と経験で状況を判断し、それを周囲の選手たちも共鳴したかのように合わせ続ける。まるで大きな波のように

 

 

ザゴメル「ぐっっ!?」バギッ!

 

ザゴメル(両腕が潰れた…!!!)

 

 

梨子(新形態のルビィちゃんのボールも止めた…でも!!)

 

 

A『さあ!!サニデイジャパンは一世一代の大チャンス!!ボールは再び弾かれ、走り込んでいるのは…またこの選手!!!!』

 

 

穂乃果「これで…終わりにするっっ!!」

 

グローブをつけ、長袖のGK用ユニフォームでボールの落下地点へと走る日本の守護神。

その姿を見た観客たちの歓声が何倍にも膨れ上がった。しかし、走る穂乃果、そして選手たちには聞こえていない。

ただひたすらに、全力以上の力を出しながら走る

 

 

バダップ「高坂穂乃果を止めろっっ!!」

 

穂乃果「──────!?」

 

あと数メートルでボールに届くところで、オーガのDFたちが穂乃果の前に立ち塞がる。

走ることに意識を向けすぎたことが失敗だった。

今の穂乃果に自分の目の前に立つ相手選手たちを全員抜き去ることは不可能だ。体力的…能力的…時間的にも、全てが足りない。

本能が────そう叫んでいた

 

 

 

────バリバリ!!!!

 

そんな状況だったからだろうか。

変に冷静になってしまったからこそ、自分の横を駆け抜けた"何か"。そして聞き覚えのある"雷音"が鼓膜を刺激した

 

 

穂乃果「─────ぇ、」

 

 

バダップ「!?」

 

ミストレ「なんだ…!?何が起きた!?」

 

皮膚と音でその異常を察知するよりも先に、穂乃果を含め全員が"目"に飛び込んできた光景に衝撃を隠しきれなかった。

オーガのDF全員がその場で石のように固まり、動かなくなっていたのである

 

 

月「あの技ってまさか……」

 

花丸「そうずら…こんなことが出来るのは、1人しかいないずら」

 

 

オーガ陣内から離れた日本代表のゴール前。

1人の選手が満身創痍な中、"とある技"により今の光景を作り上げていた。

片目をこれでもかというぐらいに押さえつけ、呻きに近い声を発しながら、片腕を穂乃果の元へと向けていた。

 

その腕には黒紫色の禍々しいオーラが…電気のようにバチバチと弾けていた。

それは忘れもしない。最悪の根源、"魔王"のオーラ

 

 

善子「行きなさいっっ!!穂乃果っっ!!!!」

 

そして、オーガの選手たちの動きを止めたのは魔王の技、"ブラックサンダー"だった。

何故、消滅したはずの魔王の技を善子が使えるのかは分からない。だが、その前に穂乃果たちにはやるべきことがある

 

 

穂乃果「このボールを…ゴールに叩き込む」

 

海未、ことり「「【グランドファイア】────

 

穂乃果「─────イグニッションっっ!!」

 

─────ドオオオォォォォン!!!!!!

巨大な炎がフィールドに広がり、地を焼き払いながらゴールへと迫っていく。

"ファイナルトルネード"を進化させた不死のシュート"グランドファイア"だった。その破壊力は、オーガの選手たちでさえ立っていられないほど

 

 

A『こ、この技はいったい!?サニデイジャパンの怒涛のシュートラッシュのラストを飾るのは…この最強火力と言っても過言ではない"グランドファイア"となるのでしょうか!?!?』

 

 

和葉「行ける…!!」

 

フィレア、鞠莉「「行ける!!」」

 

「「「行ける!!!!」」」

 

 

ザゴメル「【ハイボルテージ】っっ!!」

 

穂乃果「これが…私たちのサッカー!!!!」

 

強引に発動を間に合わせたザゴメル。

しかし、それにより洗礼さは失われており、徐々に"穂乃果たちの炎"が電撃波を押し始めていた

 

 

ザゴメル「ぐあっっ…こ、この力は!?」

 

穂乃果「そのまま行けぇぇぇぇ!!!!」

 

もうすでにゴールは目の前。

ザゴメルの体が止まることは無い。

決まった。私たちの全力が…ゴールに届い…

 

 

ザゴメル「………ふ、ふふふ」

 

追い詰められた中で笑うオーガのGK。

何か様子がおかしい。そう、穂乃果たちが思った時だった

 

 

ザゴメル「ははは…流石だぁ…旧人類史上最強と言われたチームだけのことはある」

 

穂乃果「──────!!」

 

この時、ザゴメルだけでなく、ブボーとゲボーのオーラが急激に高まったことを…穂乃果を含め、数人の選手たちは見逃さなかった。

まさか────────

 

 

ザゴメル「【ハイボルテージGX】っっ!!!」

 

バチバチバチバチッッッ!!!!!!

─────更なる圧倒的…絶望的な実力を知ることになるとは

 

 

ことり「……嘘、"グランドファイア"が、」

 

海未「まだ…力を隠していたのですか…」

 

"無印"など生ぬるかったのだ。

オーガのGKの全力は数段飛び越えた"GX"の世界。

ついに底を見た。だが、その底に辿り着くことは不可能であるということも、同時に分かってしまっていた。

 

日本代表の出せる破壊力は全てぶつけた。

それでもオーガのゴールは越えられなかった

 

 

穂乃果「ハァハァ……や、やばい、ゴールが」

 

 

フラム「穂乃果!!早くゴールに戻って!!」

 

がら空きのゴール。

しかし、穂乃果が戻る間、オーガの選手がシュートを撃つことは無かった。

その代わりに、体力を激しく消耗した日本代表の選手たちに矛先を向け始めたのである

 

 

ドラッヘ「─────!!」ドゴッ!

 

ルビィ、理亞「「っっ!?」」

 

 

エスカバ「───だりゃっ!!」ドゴッ!

 

あんじゅ「きゃ!?」

梨子「痛っっ!?」

 

 

A『オーガの反撃…!!試合終盤、壮絶な試合展開だぁぁ!!!』

 

 

人に向ける威力を超えたボールが、日本代表の選手たちの心身を粉々に砕こうとしていた。

穂乃果がゴールに戻った時には、すでに立っていられる選手はほとんど残っていなかった。イタリア代表の時と同じ光景を…穂乃果は見た。自分も体力はほとんど残っていない。今度は…自分の番だ

 

 

千歌「ぐはっ!?」

 

バダップ「…情けないな。高海千歌」

 

バダップ「仲間が必死に戦う中、自分は見ていることしか出来ない。そしてそんな仲間たちも傷だらけだ」

 

千歌「ハァ…ハァ…」

 

バダップ「これが、お前の言うサッカーか?」

 

朦朧とする意識の中、千歌は"自分のサッカー"が何だったのかを、必死に思い出していた。

確かに…今自分たちがやっていることは、サッカーの次元を超えすぎている。

何故、私は今ここにいるんだろう?何をしているんだろう?何故、こんなにも苦しいのだろう

 

 

バダップ「捨てさせる。お前からサッカーを…全てを。歴史を修正するためにも、貴様は邪魔なのだっっ!!高海千歌ぁ!!!!」

 

空高くボールを蹴りあげたバダップ。

剥き出しの殺意がオーラと共にボールへと集まっていく。そのボールを両足で挟み、濁った血液のような赤黒いドリル状のシュートを放つ

 

 

バダップ「【デススピアー】!!!」

 

────キュイィィィィィィィィン

不快な音と絶望的なまでに巨大で強力なシュート。

そのオーラはまるでスポットライトのように穂乃果を赤黒く照らしていた。それでも、絶対に止めなければならない

 

 

穂乃果「私は…絶対に諦めないっっ!!」

 

紅く燃える炎のオーラを両手に集め、迫るシュートを受け止める。

だが、シュートが手に触れた瞬間、身体が砕けたかと思うほどの衝撃が穂乃果を襲った。先ほどの"デスレイン"とは威力がまるで違う。

強い…強すぎる

 

 

ホノカ「【ゴットハンド・ダブルX】っっ!!!」

 

闇の力、穂乃果自身のオーラ、全力以上の力で出し切っているはずなのに…地面をスパイクで抉る線が伸び続けて止まらない。

ドリル状に回転するシュートが徐々に"ゴットハンド"を削り、砕き、ヒビ割れがどんどん広がっていく

 

 

ホノカ「負けるっっもんかあぁぁぁっっ!!!」

 

叫ぶ。状況は何も変わっていない。

それでも高坂穂乃果は叫ぶことを止めなかった。

目を閉じ、耐えることだけに集中する。

 

だからだろう、気づくのに遅れたのは。

 

 

 

────キイィィィン

 

視覚を遮断した世界で聞こえてきたのは…まるで金属音。何かが空を切ったような、軽く突き抜けた音。

その後、1秒も経たないうちに───────

 

 

ホノカ「え……うわっ!?」ドサッ!

 

「「「!!!!!!」」」

 

突然、手をついていた壁が消えたかのように。

力を加える場所を見失った体は、勢いよく前方へと投げ出され、そのまま地面へと倒れることとなった

 

 

ホノカ「シュートが…消えた??」

 

何が起きたか全く理解出来ていない穂乃果はすぐに目を開く。そして目の前に映る光景に、全身の鳥肌が震え立ったのが分かった。

 

紅く輝く瞳。みかん色の髪、そして水色に包まれたユニフォームは彼女が放った技の衝撃により激しく揺れている。

そして…衝撃は髪とユニフォームを揺らすだけでなく

 

 

チカ「【フルカウンター】」

 

"デススピアー"のオーラ全て、跡形もなく消し飛ばしていた

 

 

バダップ「高海千歌…!?何故動けて!?」

 

チカ「あなたたちのおかげだよ…たくさんダメージを与えてくれたから、それらが全て私の力に変わった」

 

バダップ「ま、まさか…」

 

チカ「【リベンジカウンター】。疲労、ダメージを全て自身の力へと変換させる。習得したばかりで…時間はかかったけど」

 

それは忘れることは無い。

カウンターの先駆者、日宮美奈の必殺技の1つ。

その無茶苦茶な力は、どんな不利な状況でも天地真っ逆さまにひっくり返す

 

 

チカ「…確かにあなたの言う通りだよ」

 

バダップ「……」

 

チカ「私は…私のサッカーを使命感から見失っていたんだと思う。こんなの…確かに楽しくないよね」

 

高海千歌は"輝き"をサッカーで見つけた。

そして…今度は"輝こう"としている

 

 

チカ「だから…"輝こうサッカーで"。私たちのサッカーで…あなたたちに勝つ」

 

チカ「決着をつけよう。私たちのサッカーは…私たちが守る」

 

 

 

ー 次回、オーガ戦決着 ー

 

 

日本 2-2 オーガ

 

 




『ブラックサンダー』ドリブル/津島善子
天界&魔界編で登場した魔王の必殺タクティクスです。何故、善子がその技を使えたかどうかはまだ深堀はしていませんが、相手を石のように固め、動きを封じる技となっています。

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