ラブライブ!サンシャイン!!輝こうサッカーで!   作:ルビィちゃんキャンディー

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皆さんどうも!ルビィちゃんキャンディーです。
ついにオーガ戦決着です。頑張れ日本。




第3章 172話 「オーガ戦 "私たちのサッカー!"」

 

 

渡辺曜の心の中にあるのは出場出来ることへの歓喜では無く、白線を隔てた外と中の世界の異様なまでの違いに対する困惑だった。

 

外では歓声の雨がゲリラ豪雨のように降り注ぎ、ベンチに座る仲間たちも声を荒げて応援している。

 

対する中…フィールドの中はまるで別の世界ではないか。

ボロボロになりながらその場で倒れている日本代表の選手たち、何事も無かったかのように持ち場で静かに立つオーガの選手。

そして…もはやサッカーの次元を超え、殺意をぶつけ合う"バダップ"と"高海千歌"。

 

まるで…戦場だった。

今から私はここへと足を踏み入れるのか?入った瞬間に機関銃で蜂の巣にされないだろうか?地雷がそこらじゅうに埋められていて、数秒で身体が弾け飛ぶのではないか?

 

それほどまでにフィールド内の空気は刃物のように、鋭く危険なものだった。

私は…サッカーに対する以上の緊張感から、アップで温まっているはずの体が、凍ったように震えてしまっていた

 

 

美奈「晴夏ちゃんも頼むわね」

 

晴夏「はい!任せてください」

 

交代するのは私だけでは無い。

心身共に限界を迎えた善子ちゃんと晴夏ちゃんは交代する。

監督から指示を受け、明るく返事を返す彼女に…私は羨ましさと同時に疑問を持った

 

 

曜(なんで…そんなに明るくいられるの?)

 

目の前で繰り広げた光景は見てきたはず。

なのに、ずっと待ってましたと言わんばかりに、今か今かと交代の時を待つ…

 

未来の世界で戦争を知っているから、こんな状況には慣れてしまっているのだろうか。

でも…私は正直怖い。怖くて、その場から動ける気がしない。

 

 

そんなことを考えている間に、ルビィは曜の目の前までたどり着いていた

 

 

ルビィ「曜ちゃん」

 

すでに"Awaken the Last resort"を解除していたルビィの髪は元の赤色へと戻っていた。

フラフラで足元がおぼつかない中でも、声はフィールドで暴れ回ってた時と同じく…とても強いものだった

 

 

ルビィ「あとはお願いします」

 

曜「ルビィ…ちゃん」

 

気持ちの整理がつかないまま、曜がフィールド内へと入る時間がやってきた。

だが、やはり足が動かない。

そんな曜を見てか、一番近くにいた海未がすぐに駆け寄る

 

 

海未「曜、何をしているのですか?」

 

曜「あ…あはは…ちょっと緊張しちゃって」

 

海未「怖いのですか?」

 

曜「………」

 

沈黙は肯定だと捉えられることは分かっている。

だが、それ以外の理由が思いつかない。思いついたとしても海未ならば自分の態度ですぐに見破ってしまうだろう。現に瞬殺だった

 

 

海未「…曜。あなたの気持ちはよく分かります。だからこそ、あなたには千歌の話しを聞いて欲しいです」

 

曜「千歌ちゃんの…?」

 

それ以上考える暇を与えずに海未は曜の手を引いた。ついにフィールドへと足を踏み入れた曜。

そして海未が目指す先では、日本代表の選手たち全員が集まっていた

 

 

千歌「…みんなに聞いて欲しい」

 

一人ひとりと順に目を合わせ、それから千歌は口を開いた。バダップと睨み合っていた時のような殺伐とした雰囲気は無く、いつもと同じ、優しく力のある声だった

 

 

千歌「私たちは元々別のチームで…育った場所、学校も違う。考えも、プレースタイルも違う。何もかも違う…でも、今こうして一緒にサッカーをしている」

 

千歌「気づいたら…なんの違和感もなく私たちは同じチームで、近くにいて当たり前な存在になってる。それって…本当にすごいことだと思う」

 

千歌「チームの無限の可能性は…私が浦の星女学院のみんなとサッカーをした時によく分かった。だから、同じ"チーム"である私たち、サニデイジャパンもなんでも出来る」

 

 

千歌の提案は究極なまでにシンプル。

 

 

千歌「楽しく…勝とう!!!!」

 

「「「!!!!!!」」」

 

 

千歌「私たちのサッカーは…本来はそうだった。どうせなら楽しくやって最後終わろうよ!!」

 

千歌「こんな大舞台だよ…!世界一が目の前なんだよ…!確かに私たちのサッカーを掛けた戦いだけど…その前に、私たちがしていることは……」

 

千歌「サッカー。やろうよサッカー」

 

いつだったか、イタリア代表キャプテン"三浦和葉"が言っていた。

「私は楽しむためにサッカーをしている」と。当然のように思えることだが、勝負の世界では見失いがちなこの気持ち。

 

そして三浦和葉が世界で最も優れたプレイヤーと呼ばれる理由…それは、いかなる時もこの考えを持っていることが一番だった

 

 

晴夏「ふぅ…結局全部言われちゃいましたね」

 

千歌「え…?」

 

晴夏「私、監督から作戦とは別に伝言を預かってきているんです」

 

 

美奈『千歌ちゃんたち〜?みんな顔がひきつってるわよ??ベンチから丸見え♪』

 

美奈『もっとリラックスして…よく聞いて?私からの"最後の指示"よ』

 

 

 

美奈『あなたたちの思ったようにやりなさい!』

 

 

「「「!!!!!!」」」

 

全員がベンチの方へと向き直す。

そこには千歌と同じく、全ての希望を込めたように輝く目をした美奈が立っていた

 

 

美奈「思いっきり楽しんできて。本当のサッカーをね!」

 

穂乃果「監督…!!」

 

「「「はい!!!!!」」」

 

 

サニデイジャパンのサッカーは試合の中で常に進化し続けてきた。それは時に、相手チームにとって自分たちのイメージを崩し、試合を覆す脅威となった。

 

例え…全てが完成されたオーガとはいえ、日本代表のそんな底力まで見抜き切れてはいない。

 

しかし、サニデイジャパンの選手たちならば知っている。全てを知っている

 

 

美奈「…難しいことは考えないで。あなたたちが何故ここに立っているのか…思い出せばいいのよ」

 

 

A『さあ、まもなくオーガのスローインで試合再開です…!なんと、エースストライカーの黒澤ルビィに代わって渡辺曜。攻守ともに活躍した津島善子に代わって葉石晴夏が入ります…!!』

 

レヴィン『ここでエースストライカーを失ったのは痛いですね…しかし、曜選手も優秀なプレイヤーです。頑張ってもらいたい』

 

 

ー サニデイジャパン ー

 

FW……………鹿角理亞、綺羅ツバサ

 

MF………渡辺曜、高海千歌☆、園田海未

 

MF………………桜内梨子、矢澤にこ

 

DF………葉石晴夏、優木あんじゅ、南ことり

 

GK……………………高坂穂乃果

 

 

 

ツバサ「…あんじゅ。勝てると思う?」

 

あんじゅ「ふふ♪あなたがそんな初歩的な質問をしてくるなんてね」

 

梨子「この中には1人もいないと思います」

 

にこ「勝てないなんて…思ってるやつはね!」

 

ツバサ「ええ…そうだったわね!」

 

 

千歌「さあ!みんなー!」

 

千歌「世界一になるぞぉーっ!!」

 

「「「おおーっ!!!」」」

 

千歌が空高く伸ばした右手、そして世界一を示す人差し指。それに応えたサニデイジャパンの選手たちの顔に"痛み"や"恐怖"は無かった。

 

ピーーッ!!

そして試合再開の笛が吹かれ、スローインでオーガの攻撃が始まった。

ボールを持ち込むのはFWの2人、エスカバとミストレである

 

 

エスカバ「邪魔だぁぁ!!」ビュオォッ!

 

ターンするだけで突風が巻き起こる。

ボールを奪おうとしても、この強力な風の中で身動きが取れる選手はいない

 

 

にこ「──でも、負けないけどね!!」ズザーッ!

 

エスカバ「なっ!?」

 

────矢澤にこを除いて

 

 

凛「にこちゃんナイスーー!!!」

 

希「やるやんにこっち!!」

 

 

ロニージョ「ニコ…!」

 

神奈「まだまだ行けるよね…!」

 

強風にも耐えるフィジカルをにこは持っている。そのまま得意なドリブルでオーガの選手を躱しまくる。

その姿はまさにフィールドで踊る"ファンタジスタ"だった

 

 

梨子「私は…私に出来ることを!!」

 

梨子「【神のタクトWI】!!」ズババババッ!

 

ゾーンで思考判断力が強化された梨子は青く輝く指揮でチームを導く。

これにより、日本のサッカーはチームとしてより完璧に進化を遂げる。

 

パスとドリブルが全て上手く繋がり、オーガのディフェンスはいとも簡単に崩されていく

 

 

にこ「頼むわよ…理亞!!」パス

 

理亞「─────はあぁっっ!!」

 

理亞(なんなのよ…ここまで来て交代なんて…っっ!!)

 

ボールにエネルギーを加えながら悔しさで唇を噛む理亞。最後の試合だというのに…何故あれほどまでの無茶な技を??結局途中で自爆したではないか。

ベンチで座りながら彼女は何を思っているのか、悔しい?もっと活躍したかった?私にエースの座を奪われないか心配か?

 

いや、

 

 

ルビィ「頑張れーっっ!!理亞ちゃん!!!」

 

理亞「ルビィは、バカみたいに私を応援してるに決まってる!!!」

 

理亞「【真オーバーサイクロン】!!!」

 

両足で放つ、進化した激風シュート。

"ラストリゾート"にも引けを取らないその破壊力は、まさに今の理亞の熱い心そのものだった

 

 

理亞「ツバサさん…!こいつでシュートチェインを!!」

 

声に反応したツバサは最初から来ることが分かっていたかのように飛び出していた。"ゾーン"で強力したオーラをボールに込め、美しく空へ、そこから一気に急降下で畳み掛ける

 

 

ツバサ「【ゴットブレイク】!!」

 

ツバサ「はああぁぁぁぁっっ!!」ドガァン!

 

 

A『"オーバーサイクロン"と"ゴットブレイク"の合体シュート!!ザゴメル選手は止められるか!?』

 

 

ザゴメル「【ハイボルテージGX】っっ!!」

 

しかし、どこまで日本代表のチーム力が上がったとしても、最後の砦であるGKの必殺技を破るのは至難の技。

理亞とツバサのシュートも跡形もなく焼き焦がされてしまった

 

 

バダップ「牙をもがれた人間が…」

 

ザゴメルからボールを貰ったバダップは再びシュートのために空へと飛んだ。流れが完全に日本代表のものになる前にここで潰す。

今からなら高海千歌のカウンターも間に合わないだろう。そう確信し、赤黒い死のシュートを放った

 

 

バダップ「【デススピアー】!!」

 

────キュイィィィィィィィィン

不快な音と絶望的なまでに巨大で強力なシュート。

しかし、先ほどまでとは違うことがある

 

 

理亞「準備はいい!?」

 

梨子「私が指揮でカバーするわ…!」

 

日本代表のゴール前では選手たちが集まっていた。

鹿角理亞を中心にまるでディフェンスの壁を組むように…

 

 

理亞「姉様たちの想いも…私が繋ぐ!!」

 

理亞「必殺タクティクス!!」

 

「「「【絶対障壁】!!!!」」」

 

 

聖良「……あの技は!!」

 

函館聖泉の伝統ある技"絶対障壁"だった。

姉である鹿角聖良の最も得意とするディフェンス戦術の要であり、チームの全てが込められた必殺技でもある。それを、理亞は継承していた。

 

その硬さは申し分無し。

あの"デススピアー"を受け止め、威力を半分以下にまで落としていた。これだけの威力では、高坂穂乃果のゴールを破ることは不可能

 

 

ホノカ「【ゴットハンドX】っっ!!」

 

赤く燃える手で死のシュートを受け止める。

穂乃果が止めるだけでも、会場の盛り上がりは最高潮にまで達する。もちろん、仲間たちの気持ちにも火が灯る

 

 

穂乃果「よーし!反撃だぁ!!」

 

 

バダップ「どういうことだ…」

 

バダップが理解できないこと。

それは日本のボールが再び繋がりだしたことでも、自分のシュートが止められたことでも無かった

 

 

バダップ(奴ら…先ほどまで立つことでさえ精一杯だったはず…なのに何故走れる!?)

 

まるで時を戻されたかのように、日本の選手たちの動きがボロボロになる前に戻っている。

混乱する中、ふと地面を見た時だった。

 

微かだが…地面が光っているように見えた

 

 

バダップ「光…?いったい何の…?」

 

瞬時に日本代表のデータを頭の中に叩き出す。そして…この謎の光とデータが一致する選手が1人

 

 

ことり「【ワンダーゾーン】」

 

バダップ「絶対支配領域……」

 

選手たちの謎の回復。

そして南ことりの"ワンダーゾーン"。

全てが繋がった。

 

南ことりは"ワンダーゾーン"を、誰も気づかないほど"広く"。そう、このグラウンドよりも巨大な領域を発動していた。

選手がどこにいても領域の中に入れるように

 

 

ことり「"ワンダーゾーンの中にいる千歌ちゃん以外の日本代表選手の体力を回復"…上手くいったね。晴夏ちゃん」

 

晴夏「はい…!流石はことりさんです!」

 

"ワンダーゾーン"は絵の具のように広げれば広げるほど色が薄くなっていく。

そして効果量も減少していく技。

今回はそれを逆手に取り、バダップたちが気づくのを遅らせたのである

 

 

ことり「相手を好き勝手できる力は出せないけど…みんなを回復させるのは時間さえあれば可能です」

 

晴夏「でも、何故今の今まで気づけなかったのか…それは私の闇の技"ブラックアウト"の効果だよ」

 

葉石晴夏改め、高海晴夏の闇のオーラを使用した必殺技"ブラックアウト"。

効果を与えたものの存在を隠すことができる技。

これでことりの存在を隠し、回復に集中させたのである

 

 

バダップ「……っっ!!」

 

晴夏「まだまだ、これだけでは終わらないよ…!」

 

晴夏の言葉の意味、バダップはすぐに分かることとなる。そしてその答えはすでに、日本代表のプレーにより出ている

 

 

千歌「必殺タクティクス!!」

 

「「「【ミラクルウェーブ】!!!」」」

 

 

A『出たぁぁ!!ブラジル代表の"アマゾンリバーウェーブ"をも破った、日本代表の奇跡の波!!!』

 

 

巨大な波がオーガの選手を次々と飲み込んでいく。しかし、"ミラクルウェーブ"がセンターラインを越えた時だった

 

 

イッカス「【デスクラック】っっ!!」

 

──ドオォォン!!

DFのイッカスが足を地面に叩きつける。

そこから巨大な地割れが発生。"ミラクルウェーブ"の波はその裂け目へと流れ込むように消えていく

 

 

A『巨大な地割れが"ミラクルウェーブ"を飲み込んでいく!?』

 

レヴィン『タクティクスブレイクの必殺技ですか…!相手も対策してきていますね』

 

 

イッカス「残念でしたね…!!」

 

梨子「まだです。全て想定内」ズババババッ!

 

地割れはフィールドの中心から日本のフィールドに向けて直径40mほどの長さ。

中心なため、両サイドにはスペースがあり、梨子の指揮はその両方へと導かれていた

 

 

梨子「必殺タクティクス…!!」

 

「「「【ダブルウイング】!!!」」」

 

イッカス「な、波が分裂した!?!?」

 

地割れは新たなタクティクスへと繋げるために利用されていた。

両サイドで走るオーラで作った2つの翼。

どちらの翼がボールを持っているかは、中の様子が見れないため分からない。

 

ならば────────

 

 

イッカス「両方潰しなさいっっ!!!!」

 

ダイッコ、ジニスキー「「────っっ!!」」

 

高速で"ダブルウイング"に突進し、強引に中で走る選手を吹き飛ばしたオーガのDFたち。

必殺タクティクスは解除され、選手たちの姿を隠していたオーラが消え去るも…

 

 

ダイッコ「!?」

 

ジニスキー「ボールはどこ!?」

 

どちらの翼にもボールを持つ選手はいなかった。

ならばボールはどこに?

地割れの底へと落ちたのか?

 

 

晴夏「"ブラックアウト"…解除」

 

 

最初からボールを持つ者は────

 

 

千歌「ありがとう…みんな!!!!」

 

イッカス、ダイッコ、ジニスキー「「「!?」」」

 

 

────真ん中を真っ直ぐに、走っていた

 

 

A『な、なんと!?オーガフィールドの中心に高海千歌が現れた!!!!』

 

レヴィン『"ミラクルウェーブ"と"ダブルウイング"は全て囮!?全ては高海選手をフリーにするために!!』

 

 

千歌「ブレイブ──────────

 

チカ「──────ハートっっ!!!!」バッ!!

 

"ゾーン"×"闇の力"。

光り輝く目、漆黒に染まる目、オッドアイの少女は可能な限りのオーラをボールに込める。

全員が作ったこのチャンス。絶対に無駄にはしないと決意を胸に、光と闇のシュートを放った

 

 

チカ「【エクリプス・サン】っっ!!」ドガァン!

 

これだけでも強力なシュート。

しかし、そのシュートを挟んで走る2人の少女がいた。呼応するかのように2人はボールの元へと飛ぶ

 

 

海未「曜…行きますよ!!!!」バッ

 

曜「はい!!!!」バッ

 

意識よりも先に体が反応していた。

気づいたら飛び出しており、今は千歌のシュートの目の前にいる。そしてゴールは…すぐそこだ。

 

蹴り込もうとした瞬間。

千歌のシュート、曜と海未のオーラだけでなく、たくさんの選手たちのオーラが集まり光輝いていた。

なんて綺麗で暖かいんだろう。それはまるで、自分たちのサッカーに対する熱い気持ちの結晶であった

 

 

海未、曜「「【プライムレジェンド】!!」」ドガァン!!

 

「「「行けえぇぇぇぇ!!!!!!」」」

 

青く輝くシュートはゴールへ一直線。

待ち構えていたザゴメルは一気に焼き払うため、最高火力でシュートにぶつかった

 

 

ザゴメル「【ハイボルテージGX】っっ!!」

 

ザゴメルには絶対の自信があった。

日本代表の切り札級のシュートを後半、全て止めてきた。今回のシュートも最高火力ならば自分の敵では…そう、思っていた

 

 

ザゴメル(…な、なんだ…と??)グクグ…

 

 

有り得なかった。だが、しかし、

 

 

マーク「シュートが押してる…!!」

 

神奈「そのまま行けぇー!!!」

 

 

フィレア「決めろ…ここで決めるんだ!!」

 

フロイ「行ける…行けるよ…!!」

 

 

クラリア「威力が…増大していくぞ!?」

 

和葉「あのオーラ…まさか、」

 

ザゴメルを押し続けるシュート。

まるで徐々に威力が増しているようだった。その変化に覚えのある和葉。それもそのはず、"プライムレジェンド"は──────

 

 

海未「"僕たちはひとつの光"と同じオーラです」

 

曜「みんなの力を集めながらエネルギーに変える…それが"プライムレジェンド"!!!」

 

ザゴメル「ぐぐっっ…こ、こんなもの…」

 

観客、選手、全員がひとつになっていた。

そして途切れることなくエネルギーは増え続ける。まるで無限に成長、進化していくかのように

 

 

千歌「これが私たちの──────

 

──────サッカーだ!!!!!!」」」

 

 

ザゴメル「ぐっ!?ぐぅぅぅうああ!?!?」

 

ザゴメル、そしてブボーとゲボーが吹き飛ばされた。シュートはそのままゴールへと突っ込んでいく。決まった。逆転だ。

勝利を確信した。だからこそ──────

 

 

バダップ「─────っっ!!」メキッッ!!

 

「「「!?!?!?」」」

 

 

その光景に、目を疑った

 

 

バダップ「エスカバ、ミストレ、来い」

 

エスカバ、ミストレ「「──っっらあ!!」」メキッッ!!

 

バダップとFWの2人がシュートブロック。

しかし、ブロックにしては様子がおかしいと気づくことになる

 

 

ツバサ「…シュートのオーラが変わっていく、」

 

青く輝いていた"プライムレジェンド"。しかし、徐々にオーガの選手たちのシュートと同じく、赤黒いオーラに染まっていく。

寒気が止まらない。ここまで禍々しいオーラは魔王の時以来だった。いや、それ以上の迫力である。

 

 

────ドゴオォォン!!!!

そして全員の想いが込められたシュートは捻り潰された。地面に叩きつけられ、完全に"プライムレジェンド"のオーラは消え去っていた

 

 

理亞「は…?なんで…あんなに強力なシュートが…」

 

晴夏「……"イロージョン(侵食)"です」

 

理亞「"イロージョン"?」

 

 

フラム「"デスイロージョン"。闇の力の技…ボールに込められたオーラを侵食して破壊する…あの技のせいでキャプテンの"ブレイブショット"もゴールを破ることは出来なかった…」

 

和葉「…恐れてはいた。だけどまさかこのタイミングで使ってくるとはね」

 

完全に決まったと思ったシュートだった。

突然のことに状況が整理出来ていない中、怒りの声がスタジアムを激しく揺らした

 

 

バダップ「高海千歌ぁぁっっ!!」

 

千歌「─────!?」

 

怒りからだろうか。

闇の力が溢れ出し、声も震えている。

目も完全に自分のことを敵としか認識していない。

 

そして次の瞬間、3人はボールと共に上空へ。

再び赤黒いオーラを込め始めた

 

 

バダップ「我々は…負けることなど…許されないのだ!!!!」

 

バダップ、エスカバ、ミストレ

「「「【デスブレイク】!!」」」メキッッ!!!

 

バダップ「サッカーを捨てろぉぉ!!!!」

 

この試合の中でも一番の破壊力を持っているシュートだということは嫌でもわかる。そして…自分たちがブロックしても意味が無いレベルだということも。

しかし、シュートが待つことは無い。

センターラインを越え、日本フィールドを突き進み、穂乃果が待つ日本ゴールの目の前へと迫っていた

 

 

千歌「あのシュート…"フルカウンター"でも止められない」

 

曜「じゃあ…あのシュートは止められ…」

 

にこ「なーに諦めてんのよ」

 

千歌、曜「「!!」」

 

にこ「穂乃果を…信じるのよ」

 

自分たちは見届けることしか出来ない。

しかし、穂乃果の目は任せろと言わんばかりに、ギラギラと輝いているようであった。

無理かどうかはやってみなければ分からない

 

 

ホノカ「【ゴットハンド・ダブルX】っっ!!」

 

"デスブレイク"に挑む穂乃果。

しかし、シュートの進むスピードを遅くしただけで止まる気配は無い。必殺技としての格が違う。それが穂乃果がこのシュートに抱いた第一印象だった。そして…

 

 

ホノカ(なんて…悲しいシュートなんだろう)

 

楽しさからはかけ離れた感情が込められている。バダップたちの境遇は理解しているつもりだが、だからこそ、私たちのサッカーを知らないからこそ、この試合…負けられないのである

 

 

ホノカ「"ラストリゾート"も"グランドファイア"も…みんなのシュートチェインも止められた…負けられないっっ!!」

 

ホノカ「バダップさん…私はサッカーを捨てない!!サッカーが大好きな仲間がいる限り、私は絶対に諦めない!!!」

 

────穂乃果の心の炎が溢れていく。

胸の中心が赤く光だし、飛び出したオーラが"デスブレイク"をも抑えるほどの巨大な手を作り出す

 

 

ホノカ「【タマシイ・ザ・ハンド】ぉぉ!!!」

 

バダップ、エスカバ、ミストレ「「「!?!?」」」

 

文字通り、"魂の必殺技"だった

 

 

A『止めたぁぁ!!穂乃果、新しい必殺技で止めましたぁぁ!!!!』

 

 

ホノカ「私たちのサッカーは…負けない!!」

 

穂乃果の新必殺技により失点を回避したサニデイジャパン。しかし、このままでは同点で試合の決着がつかない。

自分たちの持てるシュートは全て止められてしまう…ならば、この試合どうすれば勝てるのか

 

 

千歌「……もう、答えは1つしかないよ」

 

千歌「"スリリングワンウェイ"。今ここで完成させる」

 

 

――――――――――――

――――――

―――

 

 

曜『"スリリングワンウェイ"に足りないのは…パワー』

 

『『『………』』』

 

曜は美奈の言葉をあの集合のタイミングで伝えていた。完成に足りなかった残り1ピース。

それはとても単純なものだった

 

 

曜『タイミングも…オーラの量も…配置も完璧。でも肝心の技を放つ力が足りないんだよ…』

 

曜『でも、千歌ちゃんのあの技があれは…!!』

 

美奈が最後の足りない1ピースをここまで言わなかった理由…それは千歌がカウンターを継承することに反対していたからだろう。

カウンター無しで"スリリングワンウェイ"を完成させることを目標にしていた…だが、今は違う

 

 

 

千歌「お母さんが…みんなが…私を信じてくれている!!なら、私はそれに全力で応える!!!!」

 

 

A『おぉっと!?日本代表の選手たちがボールを中心に円状に走り始めました…!!』

 

レヴィン『"奇門遁甲の陣"の動きに似ています…が、あれはディフェンス技です…何を狙っているのでしょうか』

 

 

走り続ける選手たち、徐々に風の流れが生まれ、巨大な竜巻が形成されていく。

竜巻にはオーラも込められている。

そして…その竜巻の中に3人の選手が飛び込む

 

 

千歌、曜、穂乃果「「「っっ!!」」」バッ

 

"奇門遁甲の陣"のスペース、覚えているだろうか。

そこへとボールを誘い込み、奪い取るというタクティクスなのだが…そのスペースの真の目的。それは竜巻の中に入るための"通路"

 

 

曜(私と穂乃果さんはシュートコースを調整!!)

 

穂乃果(蹴るのは千歌ちゃん…!!)

 

選手たちがオーラで作る竜巻。

これを千歌は"フルカウンター"で全てシュートとして撃ち放つ。まるで山を蹴っているかのようにビクともしないボール。

千歌は"リベンジカウンター"の出力をMAXまで引き上げ、肉体の限界を超えた力でぶつかる

 

 

美奈「……私たちが完成させた究極のシュート"ジェットストリーム"。それをタクティクスとして撃つ技…」

 

チカ「これがっっ!!!!!!」

 

 

「「「【スリリングワンウェイ】!!!!!」」」

 

オーガ「「「!?!?!?」」」

 

真上に放ったシュートは曜と穂乃果のコース調整により、カーブを描きながらゴールへ。

今までのシュートの比ではないことは分かっていたザゴメル。すぐに必殺技を放つ…が、

 

 

ザゴメル「【ハイボルテー…ぐあぁっ!?

 

その凄まじい威力に吹き飛ばされる。

すぐにバダップがブロックに入り、必殺技を発動する

 

 

バダップ「【デスイロージョン】っっ…!?何故だ…シュートのオーラが破壊出来ない!?」

 

バダップ「くそっ…ぐあああぁっっ!!!」

 

なんて熱いシュートなのだろう。様々な人間の前へと突き進むための感情がこれでもかというぐらい込められている。

憎たらしく、邪魔でしかないはずの存在なのに…自分たちの世界を地獄へと変えた感情なのに…

 

 

バダップ「どうしてこんなに…綺麗なんだ」

 

 

―――バシュウウゥゥゥゥン!!!!!!

ネットが揺れ、同時に笛が吹かれる

 

 

千歌「…ハァハァ」

 

何故か、状況を理解するのに時間がかかった。

会場も恐ろしいぐらいに静寂に包まれている。そんな異様な空間に終止符を打つのもまた─────

 

 

ピッピッピーッ!!!

 

笛の音、試合終了の笛だった。

 

 

千歌「……やった」

 

なんだろう…おかしいな?

突然生暖かい水が胸から溢れ出すような感覚がしてさ…?こう、鼻の奥もツーンってするんだよね

 

 

千歌「やった…やった……」

 

あぁ、私の今の顔、めっちゃくちゃ恥ずかしいぐらいボロボロなんだろうなぁ

 

 

千歌「やったぞおおおーーっっ!!!!」

 

残った体力は無いけど、叫ぶ体力は無限にあるように感じる。現に、声が止められない

 

 

千歌「うおおおおーーっっっっ!!!!!!」

 

千歌「勝ったぞおおおっっ!!!!!!」

 

 

高海千歌たちのサッカーを守る戦い。

そして世界一をかけた戦い。

それに勝利したサニデイジャパンを…世界中全ての人が祝福した。日本は"世界一"になったのである

 

 

日本 3-2 オーガ

 

 

ー 次回 最終話 『輝こうサッカーで!』ー

 

 

 

 




『ブラックアウト』特殊/高海晴夏
高海晴夏が持つ闇の力の必殺技です。
効果を与えた選手の存在を隠すことができます。一見地味な技ですが、本編のような使い方によっては強力なサポートとなります。

『デスクラック』ディフェンス/イッカス
オリジナルのオーガの必殺技です。
クラックの訳は"割れ目"で、その名の通りフィールドに巨大な地割れを発動します。
輝こうサッカーの3つめとなる"タクティクスブレク"で、強力な必殺技となっています。

『デスイロージョン』特殊/バダップ
オリジナルのオーガの必殺技です。
イロージョンの訳は"侵食"で、オーラに侵食しそのオーラを破壊する技となっています。
これを使えばオーラを使った技はほとんど破壊出来ます。最初から使っていれば普通に勝てたかもしれないのに…

『プライムレジェンド』シュート/渡辺曜、園田海未
原作の中でもホントにかっこいい必殺技の1つとして名が上がるシュートです。この技に言えることはめちゃくちゃかっこいい。あとシュートチェインしやすそう。です。
何故、曜ちゃんと海未ちゃんを選んだかは…作者の感覚です。

『タマシイ・ザ・ハンド』キャッチ/高坂穂乃果
リトルギガントのGKロココが"ビックバン"を止め、敵としてはほとんど前例の無い"敵で勝利のbgm"を使わせた必殺技です。あのシーンに震えた人は少なくはないでしょう。
そして…穂乃果ちゃんのたどり着いた新たな境地でもあります。

『スリリングワンウェイ』タクティクス
引っ張って引っ張って引っ張りまくった必殺タクティクスです。その正体は原作最強技の1つ"ジェットストリーム"をタクティクスとして改良したシュートとなっています。
日宮美奈、そして高海千歌のカウンターがなければ完成しなかったこの技。過去と今が全て繋がったことにより成功したと言えます。


次回 最終話 本日夜更新予定です!


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