ラブライブ!サンシャイン!!輝こうサッカーで! 作:ルビィちゃんキャンディー
後書きに世界編のアンケートがあるので是非回答をよろしくお願いします。
そう結論づけたのはあの日の夜だった。
帰国し、楽しみを胸にサッカー部部室へと飛び込んだあの日、誰からも"サッカー"という言葉を聞くことはできなかったあの日。
私は考えた。
サッカーのこと以外は決して宜しくないその頭で懸命に考えた。
だがやはり、答えはひとつしか出なかった。
普通の人ならばその答えで結論づけるのは不可能だが、私ならその答えで十分すぎた。
過去を操作された。これ以外に答えはない。
そこからは持久戦だった。
おそらく、自分だけ歴史が修正されていないのはあちらも気づいている。
ならばいつ自分の前に現れるのか…それは抵抗の意思を示さなくなった時だろう、そう私は予想した。
だから待った。
絶望し、恐怖し、気力を無くしたように見せかける。
いつか必ず絶対に現れる。
我慢しろ高海千歌、耐えろ高海千歌。
そう自分に言い聞かせなければ、もし現れなかった時に精神を保てる自信がなかった。
だが…"彼女"は現れた。
「…こちらの存在に気づいていたということか」
あぁ、逃がさないよ。
数週間この地獄で耐え抜いたんだ。
彼女だけがこの地獄から垂れた蜘蛛の糸、掴んで絶対に離さない。
そんな気持ちから、掴む力がどうしても強くなってしまう…それでも、少女の表情は1ミリも変わっていなかった。
「私はアルファ。我が使命はサッカーの消去」
「サッカーの…消去」
「残る痕跡は高海千歌、お前だけだ…」
「!!」
一瞬、目の前にいる少女が化け物のように見えた。
私は咄嗟に掴んでいた手を離し、距離を取る。
怒りと嬉しさで高まっていた感情は恐怖により掻き消され、今は底の見えない少女のオーラに圧倒されている。
「痕跡…じゃあ、みんなを変なふうにしたのは、あなたのせいなんだね」
「そうだ」
なんなんだ、彼女は本当に人間なのか?
その瞳はまるで人形のように沈んだ黒い色をしている。
まるで感情がないようで、不気味で、恐怖心が背中から溢れてきている。
だが、彼女以外にこの世界をどうにかできる人はいないのだ。
私は負けじと、恐怖に抗うように口を開いた。
「サッカーを消すなんて絶対に許さないよ。早く、今すぐに、私たちにサッカーを返して」
「ノー。我々の行うべきはその逆、サッカーの完全消去」
「そんなこと…させると思う?」
仕掛けてくるなら来い。
私はオーラを高め、いつでも対応できるように構えた…しかし、
「拒否はできない」
「!?」
突然、赤い光に包まれた。
光源は少女が足で踏んでいるサッカーボールのような物であり、《タイムワープモード》と機械音も聞こえてきた。
光が強すぎる…
目を開けていることは出来なかった。
その間に攻撃を…?
しかし、感じられるのは強烈な光のみ。
千歌は何も出来ないまま、少女と共に光の中へと消えていった。
――――――――――――
嘘…なんで?
千歌はそれしか言葉を見つけることは出来なかった。
光に包まれること数秒、目を開けるとそこは記憶にしか存在しない場所、閉校前の浦の星女学院だった。
雑草一つない、整備されたグラウンド。
人の出入りの痕跡がある校門。
生活感のある教室の数々…1年前まで、自分たちが通っていた浦の星そのものであり、今ではもう、存在しないはずだ。
記憶をほじくられたようで寒気が止まらないが、先程の少女が見当たらない。
周辺を探したが、千歌1人、過去の世界に置き去りにされていた。
「こんなところに連れてきて…何を、」
手段が分からない以上、警戒を怠ることは出来ない。
地雷原を歩くように、慎重に、全神経を研ぎ澄ませながら通り慣れた道を歩いた。
すると、聞きなれた声が耳に入ってきた。
「千歌ちゃん、気が早くない?」
幼なじみの声だった。
声のする方を見ると、浦の星の制服を身にまとった自分を含め3人。
「早いに越したことはないよ!」
「もう…しっかりしてよね?部活の設立がかかってるんだから」
あの会話…そうか、ここは─────
「理解しなくともよい。受け止めろ。目の前で起こる現実を」
「!?!?」
全身から汗が吹き出た。
気づかない間にあの謎の少女が自分の背後に立っていたのだ。
すぐに振り返るが、心臓がバクバクと暴れており、骨と皮膚を突き破って今にも飛び出してきそうな勢いだ。
落ち着こうにも、呼吸が乱れてすぐには落ち着かない。
「これより、お前にとってのサッカーは消滅する」
そう少女が言ったのと同時だった。
背後から自分と同じ声の異変を感じ取った。
「あ、痛!!いててて…」
「千歌ちゃん…大丈夫?…!!!!千歌ちゃん!!!!!!」
「高海さん!避けて!!!!」
道に落ちてたロープに引っかかり躓く自分、その拍子に倒れてくる鉄骨、そうだ…この場所でダイヤさんに助けられたんだ。
だから今も私はサッカーを続けられており、ダイヤさんたちの気持ちに気づくきっかけになったんだ…
「修正開始」
それを…
《ストライクモード》
たった一蹴りで…
───ガラガラガシャアァァン!!ゴン!!!
「ち、千歌ちゃんっっ!!!!」
「嫌あぁぁぁ!!!」
無きものにされた。
ダイヤが撃ったボールを少女は撃ち落とした…それにより、鉄骨は無慈悲にも私を潰し倒すこととなり、曜と梨子の悲鳴だけがこの空間に鳴り響くこととなった。
私はそれらをただ見ていることしかできず、少女は口の横に装着している機械でどこかに状況を報告している。
一歩も動けない、私は、いったいどうなる?
「心配は無用だ。死んではいない。全治3ヶ月…二度とサッカーが出来ない体になっただけだ」
「これで、お前にとってのサッカーは…消えた」
ズキッ…!!!!
「う、うあああっっ!?!?!?」
少女の声に続き、頭を割るような痛みが千歌を襲った。
それだけでは無い、頭が上手く働かなくなり、今自分が何をしているのか、今まで何をしてきたのかも分からなくなっていた。
「サッカーって…私…何……うわあああ!?!?」
過去を変えたことによる"今の修正"、それが現在進行形で行われている。
立っていることができず、その場に踞る。
頭をミキサーで掻き混ぜられているような感覚に、吐き気と痛みが止まらない。
もう何も考えることができず、ただ断末魔をあげるだけの生き物と化していた。
そんな高海千歌を見ても、少女の表情は何一つ変わらない。
「任務完了」
だが──────
「………待てよ」
高海千歌の本能は──────
「いい加減に…しろよ…サッカーを…返せって!!」
「!?!?」
────それを、許そうとしなかった。
「これはどういうことだ??」
薄暗い部屋の中心で光るモニター、その中には血走った目で少女を睨みつける高海千歌の姿があった。
それを囲むように座る老人たち、全員が漏れなく動揺を隠しきれず、一人が堪らず口を開いていた。
「…高海千歌はインターラプトの修正によっても変化しない」
「彼女の意志…いや、本能は修正された現実と戦っている」
「まさか…そんなことがあり得るのですか!?」
「面白いではないか。もう少し…監視を続けよう」
不敵に笑う一人の老人。
議長と書かれた名札の前に座るその姿からは、今の状況に余裕を感じているようであった。
「……イエス。ではそのように」
「ハァハァ……返してよ…っっ!!」
なんとか自我を保つ千歌、一方、少女は老人たちから新たな指令を受けていた。
「この事態を解決する新しい方法が提案された」
《ルームモード》
また少女がボールらしきものを操作する。
今度は青い光に包まれ、再び目を開くと浦の星女学院のグラウンドへと移動していた。
ワープした…?あのボールのような機械で、タイムスリップやワープをしているのだろうか。
しかし、少女は考える暇を与える気は無いようで、千歌の目の前に現れる。
「喜べ。ここからは、お前の好きなサッカーの時間となる」
だが、現れたのは少女1人だけでは無かった。
同じ服装を身にまとった、仲間と思われる少女たちが新たに10人、千歌を囲むように立っていた。
千歌の好きなサッカーの時間とは言っていたが、どうやら歓迎ムードではないようだ。
「あなたたちはサッカープレイヤーなの…?」
「そんな次元の低い存在ではない。我々は時間に介入することを許された"ルートエージェント"」
「タイムルートの補正…サッカーというものがこの世から消えていくルートを生み出すのが我らの使命」
「サッカーが…この世界から消えるルート!?」
次の瞬間、千歌は構えを取っていた。
ボールが《ストライクモード》と発したのと同時に少女…アルファが蹴りの体勢入っていたのだ。
―――メキッッッ!!!!!
放たれたボールをギリギリのところで足で受け止めようとする千歌、しかし…
(お、重い…!?何このパワー!?!?)
蹴り返すどころか、勢いを抑えることも出来ず、逆に徐々に千歌の方が押されている。
足のダメージもこのままでは酷くなる一方、なんとかボールを受け流すことに成功するが…
(あのボールを蹴り返してきた…!?)
背後にいた別の少女があの重いシュートを蹴り返してきたのだ。
予想もしてなかった状況に構えが遅れる千歌、その結果、シュートは腹部に直撃することとなってしまった。
「ぐあぁっっ!?ぐっ…ゲホッ!!」
地面に倒れるも、千歌はすぐに起き上がろうと体にムチを打つ。
相手は手段を選ばないとここまでのことでよく理解出来た。
上手く呼吸は出来ないが、先程のシュートの衝撃で割るような頭痛は吹き飛んでいた…ならば、こちらも足掻けるだけ足掻く。
本来の目的はサッカーを取り返すことであり、そのためには今取り囲んでいる11人全員を倒す必要がある。
「ハァハァ…やるしか…ないか」
「「「!!!」」」ゾクッッッ!!
11人、全員の表情が一瞬だけ揺らいだ。
千歌は"闇の力"を発動し、アルファよりも更に深く、淀んだ目を見開いて周囲を見渡す。
グラウンド、そして周辺には誰もいない。
これならば手加減せずに本気で暴れられる。
「続けろ。ネタン」
「了k────ドゴオォォォォン!!!!!
「「「!?!?」」」
ネタンがボールを蹴り放った瞬間、千歌はネタンの目の前へ一瞬で移動。
千歌に向かって飛んでいったはずのボールは、ネタンの腹部でめり込んでおり、同時に勢いよくその体はボールと共に吹き飛んだ。
───────まず、1人目」
雰囲気だけでなく、スピードとパワーも数倍に膨れ上がっていることを、アルファたちは今の一撃で感じ取っていた。
この中で千歌の動きに反応できた者は半分もいないだろう。
それは千歌自身が確信していた。
「【ストームゾーン】っっ!!!」
闇の力で周囲のもの全て消し飛ばす力技、まずは完全包囲の絶対不利状況を崩す。
それから一人ひとりを相手していけばいい、先程の感覚で何となく分かったが、確かに身体能力はかなり高い。
しかしそれでも、私がその上を行ける。
私の方が強い。
「逃がすな。作戦通り高海千歌を戦闘不能にしろ」
「「「了解」」」
要はサッカーと同じで、相手チームの動きを把握し、予測、自分の行動判断の糧とする。
前からの攻撃だけとは限らないし、先程自分がやったような不意打ちも頭に置かなければならならない。
「【ZスラッシュGX】」ズババババッ!!
「「!?」」
だが生憎、それらは今までのサッカーで実践済みだし、逆に自分の得意分野の域でもある。
前後で挟み撃ちしてきた少女2人を磨きあげられた必殺技で躱し、そこを闇の力で一気に叩く。
「2人目、3人目」
次に別の少女がパワープレーを仕掛けてきた。
千歌と少女の足がボールにぶつかり、お互いに力いっぱい押し合う。
かなり体格のいい人で、世界の選手たちとサッカーをした時もここまで大きい人はいなかった。
だが──────
「ぐっっ……!?嘘でしょ…??」
「力勝負でも負ける自信はないよ」
余程力に自信があったのか、千歌が押し始めると少女は驚きを隠せずにいた。
その後も、千歌は10人を相手に一歩も引かず、それどころか優位に暴れ回る姿を見せていた。
これが…闇の力を持つ者の強さなのか。
アルファは目の前のみかん色の髪を揺らした少女から放たれる殺気に近いオーラを肌身に感じながら、そう呟いた。
そして、不可解な点が1つ、自分たちが知るデータの中では高海千歌は"闇の力単体では発動出来ないはず"であった。
しかし、今の高海千歌は闇の力のみを発動して我々に対抗しており、データと食い違う。
イタリアに留学している間にこれ程までに、能力のコントロールを可能にしたのだろうか。
ならば決着を急がなければならない。
「!?」
千歌は足を止めた。
アルファがまた何かを仕掛けてくると感じ取ったからである。
「そろそろ行く」
「存分にお暴れください」
アルファは考えていることが読めず、身体能力もほかのメンバーの更に上を行く。
闇の力を使っているとはいえ、油断すれば勝敗はあちらに上がるかもしれない。
しかし───────
「【天空の支配者 鳳凰 "アームド"】!!!」
「…よ、鎧をまとった……」
────戦況は一瞬で傾くこととなった。
アルファの背中から現れた人型のオーラが、彼女の体に鎧として変化し合体したのだ。
見た目だけではない、オーラも爆発的に膨れ上がっており、認めたくはないが、今の自分よりも上回っている。
出し惜しみする状況ではなくなった千歌はすぐに、ゾーン×闇の力【Braveheart】を発動しようとする。
───どこを見ている」
しかし、彼女は千歌を圧倒していた。
千歌が反応するよりも先に背後を取っており、その瞬間、千歌の中で"敗北"の文字がよぎる。
すぐに"Braveheart"を発動しようとオーラを高めようとする―――が、
「あ…あれっ…?」ガクッ
突然、体の力が抜け、闇の力も解除されてしまった。
わけも分からず地面に膝を着いていると、近づいてきたアルファが口を開いた。
「忘れたか。お前は修正しようとする歴史に抗った。その時に消費した体力は計り知れない…ここまで動けただけでも異常だ」
「ハァ…ハァ……」
(ま、まずいよ…体…頭も働かない…)
「一撃で終わらせる。これで終わりだ」
こんな呆気なく終わるものなのか、何もかも奪われたまま、いいようにされて消えるのか。
ボールにオーラを込めるアルファを見ながら、千歌は自分の無力さを責め───────
────まだ諦めちゃダメだよ!!」
「!?」
「「「!?」」」
新たな謎の少女が、アルファのボールを蹴り放つ寸前で奪い取った。
エメラルド色の宝石のような髪と瞳、そして明るい表情をする人は久しぶりに見た。
「諦めちゃダメ。諦めなければ奇跡は起こる。これはあなたの言葉だよ。千歌!」
「え…」
「何者だ」
こんな状況でもアルファの感情が揺れることはなく、謎の少女に質問する。
「私の名前は"フェイ・ムーン"。千歌と同じ…サッカーを必要としている者さ!」
外国人だろうか、それにしては日本語が上手すぎるし、本当に味方かどうかもまだ信じられない。
しかし、彼女に助けられたのは事実であり、あの状況で一瞬でボールを奪い取る技術もある。
相当な実力者であることは確かだ。
「これだけいて1人をいたぶって楽しい?だったら勝負しようよ。サッカーでさ」
「……いいだろう。ならば……待て」
フェイの提案を受けようとしたアルファだったが、先に連絡の対応をする素振りを見せた。
すると、予定していなかった連絡のようで、事実ですか?と確認を取っていた。
そして連絡を終えた彼女は、
「…イエス。ご指示のままに」
「どうしました?」
「先程行った、高海千歌のインタラプト修正が無効化された」
「え!?誰がそのような」
「おそらく奴らだ。本来の流れを維持しようとする時の流れの自然治癒力。それにより再び正しい流れになった歴史は変えにくくなる」
「撤退だ」
――――――
その後、アルファたちは呆気なくその場から姿を消した。
謎の少女、フェイ・ムーンは千歌の味方だと言い、千歌たちの周りに何が起こったのかを話し始めた。
千歌を襲った集団はサッカー自体を消すことを目的とし、200年後の未来から時を越え、千歌たちのサッカーに関わる重要な出来事に影響を与えたのだという。
その結果、パラレルワールドとして高海千歌たちがスクールアイドルとして生きる世界が生まれた…
「なんで…サッカーを消す必要があるの?」
「それについても説明したい…けど今は先に千歌たちのサッカーを取り戻すのを急いだ方がいい。修正された歴史が安定してしまったら、それを再び修正するのが難しくなってしまうからね」
「取り戻す…でも、どうやって?」
「千歌たちのサッカーの始まりの場所へ行くのさ」
「始まりの…場所」
「3X年前の音ノ木坂学院…日宮美奈たちが"音ノ木坂の奇跡"として結成された世界に」
向かう先は奇跡の始まり
アルファの仲間≦アルファ<千歌≦アルファ(アームド)
化身と化身アームドを出すか迷いましたが、世界編までで味方が強くなりすぎたので出すことにしました。パワーバランスなどは上手く調整します。
感想よろしくお願いします。
どっちの方が読みやすいですか?
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千歌「サッカーやろうぜ!」
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「サッカーやろうぜ!」(名前を入れない)