ラブライブ!サンシャイン!!輝こうサッカーで! 作:ルビィちゃんキャンディー
もうすでに今年の目標「去年より投稿する」を達成しそうです。
「どうだった?あなたのお母さんたち」
隣の座席でフェイはそう聞いてきた。
正直、まだ実感が湧いていないのは事実、だが思ったことを私は伝える。
「寂しいなって」
「寂しい?」
お母さんの怪我が無かったら、何か違っていたら、あのまま彼女たちはサッカーを続けていただろう。
そしてパラレルワールドの共鳴現象による"超覚醒"の力を、自分の力で習得し…いや、
そんな世界は存在してはいけない。
私は自分にそう言い聞かせる。
「あの光景を…私の知るお母さんたちは知らない」
「…そうだね」
ゆっくりと頷き、フェイは続けた。
「でも、あの光景を知らないからこそ、手に入れた思い出もあるんじゃない?」
「それって、」
「君たちの世界大会優勝だよ」
「…!」
美奈の挫折があったからこそ、穂乃果と千歌の闇の力のコントロールが可能となった。
もし怪我無く選手として活躍していたら、指導者として専念できず、監督にも選ばれていないかもしれない。
サエはガルシルドを追うことなく、そのまま戦争が始まっていたかもしれない。
この世界に完璧なんて存在しない。
何かを失うから何かを得る、フェイはそう言った。
「本当の時間軸の高海…いや、日宮美奈が得たもの。千歌が大切にしていくんだ」
「うん」
それに、あの世界軸からも得るものがあった。
それは元の時代に戻る少し前のこと、日宮美奈たちと最後の会話をしていた時だ。
『よくわかんなかったけど…みんな、サッカーを守るためにあの人たちと戦っているのよね』
『そうです!』
『それ、私も戦いたい!!』
突然の申し出に驚いたが、月城真恋が止めに入る。
『あんたがやらなきゃいけないことは、サッカーで全国制覇でしょ。それが、サッカーを守るってことになるんじゃない?』
このまま歴史通りに進み、私たちにサッカーを繋げる。
やることとすれば正しい…だが、彼女たちは知らない。
後日行われる全国大会本戦初戦、ガルシルドにより、音ノ木坂学院のチームは崩壊することを。
だが、そんなこと言えない。
『そうね。なら、私たちは私たちにできることをやるまでね』
お母さん…日宮美奈さんは笑顔でこう言った。
『次会う時は日本一よ。その時はあなたたちのチームとサッカーしましょ』
『…!』
『約束。だからあなたたちも、サッカーを守って』
約束。私は託されたんだ。
サッカーを取り戻す、守ることを。
「そのためにも早く確認しなくちゃね」
「確認?」
突然の話に私は聞き返す。
フェイによると、お母さんたちの時代の危機を未然に防いだことで、後の時代がどう変化しているのかを、確認する必要があるのだという。
なら、今のうちに話しておかないとね。
後部座席で志満ねえが話し始めた。
志満ねえはこのまま戦いに参加してくれるらしい。
それは心強いが、理由は…善子ちゃんだと言う。
「千歌ちゃん。あなたの知る私の歴史は…」
「私が高校生の時に試合中の事故が原因で、私がサッカーをできなくなってしまった…ということよね」
「うん」
「あの事故は起こらなかったわ」
「…!」
高海志満は帝国女学院に入学し、そこで松浦北也と出会うこととなる。
それが善子と志満が出会うきっかけとなるのだが、今ここにいる高海志満の入学先は、清真高校となっているという。
だからこそ、志満は善子と出会うことなく、善子はあの技を習得することができなかったのだ。
"Deep Resonance"を。
「北也さんは私を知らない。会ったこともない。当然ね、私は清真高校サッカー部なんだから」
それにより、善子は代表の実力に届かず、追加選手として選ばれることなく、世界大会は終了した。
実力不足、無力感、そして気まずさから、善子はサッカーから離れていってしまった。
「…それは浦の星の津島善子からサッカーを奪うために、エルドラドが仕掛けた…ということですよね」
フェイの鋭い指摘が入る。
それに対しての志満の答えはイエス。しかし、
「それは成功したのでしょうけど、彼女らは私の前に現れた。私からサッカーを奪おうとしてね」
「志満ねえも襲われた…!?」
驚き席を立つ千歌。
だが新たな時空の中で高海志満は、多くのサッカー選手に大きな影響を及ぼした。
狙われるのは当然だった。
しかし、とある人物に助けられたことにより、高海志満はサッカーができ、時空を超えることができた。
「名前は言わなかったわ…でも、『あなたたちのようなサッカーを愛する者たちを、私は支援している』と言っていたわ」
「サッカーを愛する者を支援している…?」
「その人は私を助けてくれただけじゃなく、この"タイムブレスレット"を渡したの」
"タイムブレスレット"を使うことにより、時空を移動することができる。
その支援者を信用するには疑問が残るが、その人のおかげでここまで戻ってくることができた。
話がひと通り終わったところで、まもなく元の時代に到着すると、ワンダバからアナウンスが入った。
千歌の緊張が高まる。
本当に歴史は元に戻ったのか…それは、着いてみなければ分からない。
夜のアキバスタジアム。
ボロボロの姿でフィールドに座り込んでいた高坂光穂は口を開いた。
「まだ夢を見てるみたい」
同じく座り込んでいる日宮美奈。
"リベンジフルカウンター"で体力を使い切り、立てる力も残っていなかったが、その目は輝いたまま、千歌たちが消えていった空へと、向けられていた。
「千歌ちゃん、きっとまた会える。そんな気がする」
──────────
無事に現代の清真高校へと戻ってきた千歌。
早速、部室へと向かい、時代が元に戻っているかどうか確認しなければならない。
しかし、どうしても足が重くなる。
「もし…まだみんながスクールアイドルだったら、、」
「その時はすぐにタイムジャンプして問題を解決しなきゃ。ほら、行こう」
急かすフェイ。
だが、スポーツ一筋でやってきた人が、急にフリフリの衣装を着ながら笑顔で歌う身にもなってもらいたい。
毎日歌詞の提出で梨子には怒られるし。
もちろん、今も白紙だ。
「……そう言えば、お母さんたち、覚えるはずの無かった技を覚えちゃったけど、歴史は大丈夫なの?」
道中、ふとした疑問をフェイに投げかけた。
情け程度の現実逃避である。
「大丈夫さ。パラレルワールドがもたらす時空の変化は、あなたが思う以上に不思議で面白いものなんだ」
「え、どういうこと?」
「一時的な超覚醒だからね。おそらく使えなくなってるよ」
更にややこしくなってしまったが仕方ない。
しばらく歩くと見えてきた…サッカー部部室のある扉が。
ここを開けた先にいるみんなはサッカー選手なのか、それともスクールアイドルなのか、千歌は覚悟を決め、扉を開けて入室する。
「あれ、千歌ちゃん?もう練習始まっちゃうよ?」
最初に話しかけてきたのは梨子。
千歌は反射的にスクールアイドル前提の返事をしてしまう。
「梨子ちゃん!?練習って…その前に、あの…歌詞なんですけどまだ……」
「歌詞?なんの事?早く着替えてスパイク履いて」
「スパイク…って、サッカーの?」
「もう、それ以外に何があるのよ」
「サッカー部!!?元に戻ってる!!やったあぁぁぁぁ!!!」
あまりの嬉しさにその場で飛び跳ねる。
海外での短期留学から今日まで"サッカー部"の梨子たちとは会えていなかった。
数ヶ月ぶりの再開と言える。
何が何だか分からないメンバーたちは、その場で千歌のことを見守るしか無かった。
「こんにちわ〜。お邪魔するわね」
そこへ現れた高海志満。
彼女の姿を見たメンバーの表情は、いっきに明るくなった。
「お久しぶりです!志満先輩!」
「高海先輩、今日こそは勝ちます」
曜は志満"さん"ではなく"先輩"と呼び、ルビィは何度も勝負を挑んでいるようだ。
会話から自分の知る世界とはまだ少し違っているのだと、千歌は感じた。
だが、一番の違いは別にあった。
「善子ちゃんは…?」
そう尋ねた瞬間、場の雰囲気が暗くなったのを千歌は見逃さなかった。
そうか…まだ元通りでは無いのか。
そう心の中で呟く。
「じゃあ、みんなに説明しなくちゃね」
志満も状況を察し、メンバーに今起こっていることの全てを説明をし始めた。
途中、フェイとワンダバも説明に参加し、少し騒ぎとなったのはまた別の話。
パラレルワールドのこと、高海志満のこと、そして善子のこと。
一通り説明し終わったところで、最初に口を開いたのは花丸とルビィだった。
「なんだか、自分が自分じゃないみたいで、なんか嫌な感じずら…」
「それに…善子ちゃんのサッカーが奪われたままなんて、絶対に嫌だよ」
同級生ということもあり、善子を心配する気持ちはいっそう強いのだろう。
「今話したように、この私は『偽りの時間』の中に生きているわ。千歌ちゃんの知っている私が、本当の私よ」
「だから、本当の私を取り戻して、善子ちゃんにサッカーを返してあげたいの」
それは千歌たち清真高校サッカー部が、本来の清真高校サッカー部になることを意味する。
善子を取り戻すために気合いを入れるメンバー、これ以上に頼もしい仲間はいない。
だが、ひとつだけ気になることがある。
善子を取り戻すのは当然、歴史を修正するのも絶対だ。
だが、
「志満ねえは…消えちゃうんじゃ…」
「千歌ちゃん?」
無意識に口に出ていたようだ。
咄嗟に誤魔化すが、千歌の迷いは晴れない。
善子を取り戻せば、この時空の高海志満は消えてしまう、本当にそれでいいのか。
「よしっ。まずは今日の練習を終わらせてから作戦を考えましょ」
志満の声でメンバーはいっせいに準備を始めた。
千歌も準備を始めようとするが、なかなか手が動かない。
そんな中、1人の少女が志満に話しかける。
「志満さん。そのプロトコル・オメガの選手たちと、戦うかもしれないんですよね」
その少女は覇気を放っていた。
「じゃあ、ルビィがその人たちに通用するかどうか、確かめてください」
「勝負です。志満さん」
紅く燃える少女が、高海志満に挑む。
高海志満/MF/海外プロチーム
必殺技:皇帝ペンギン・シン1号
高海志満が怪我をしなかった世界線では、プロサッカー選手として世界で活躍しています。高校は清真高校と本来の世界線とは違っており、松浦北也や善子とは出会っていない。
現在は海外に住んでいるため、旅館は美渡が切り盛りしている。
どっちの方が読みやすいですか?
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千歌「サッカーやろうぜ!」
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「サッカーやろうぜ!」(名前を入れない)